HRテックが「学生と向かう時間」をつくる。AIやチャットボットを活用したソフトバンク社の最先端の新卒採用手法とは?

ソフトバンク株式会社様~楠田祐の人事セントラル・ステーション~

少子高齢化やそれに伴う人口減少により、大卒の求人倍率は過去最高の1.88倍に(リクルートワークス研究所調べ)。
従来の新卒採用手法では自社が求める人材を集められなくなっていると感じる採用担当者の方も多いのではないでしょうか?
今回ゲストとしてお招きした源田泰之さんは、ソフトバンク株式会社で約10年に渡り人事総務統括をされています。
ソフトバンクの採用といえば「エントリーシートをAIが選考する」というニュースが話題になりましたが、
それ以外にも多くの先進的な取り組みを実施しています。

今回は、そんな最新の試みや新卒採用市場の変化、さらに具体的な取組み内容などを伺いました。

本記事は、新卒採用担当者向けPodcast番組『人事セントラル・ステーション』のvol.2「情報革命時代における採用の今」の一部を抜粋・編集したものです。

『楠田祐の人事セントラル・ステーション~最新の人事情報プラットフォーム番組〜』について

人事セントラルステーション
日本最大級の人事エグゼクティブクラスのコンソーシアムの代表を務める人事業界の重鎮、楠田祐氏がホストをつとめる新卒採用担当者向け情報番組。有名企業の人事や、人事をサポートする企業の方をゲストに迎え、第4次産業革命時代の人事の役割を模索しながら、情報提供しています。

vol.2 「情報革命時代における採用の今」ゲスト紹介

源田泰之氏_ソフトバンク株式会社

源田泰之氏
ソフトバンク株式会社 人事総務統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長

1998年入社。営業を経験後、2008年より現職。新卒及び中途採用全体の責任者。グループ社員向けの研修機関であるソフトバンクユニバーシティおよび後継者育成機関のソフトバンクアカデミア、新規事業提案制度(SBイノベンチャー)の責任者。孫正義が私財を投じ設立した、公益財団法人孫正義育英財団の事務局長。採用では地方創生インターンなどユニークな制度を構築。幅広い分野で活躍する若手人材と、企業の枠を超え、国内外問わず交流を持つ。教育機関でのキャリア講義や人材育成の講演実績など多数。

mr_nakano

中野智哉
株式会社i-plug 代表取締役社長

株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)で法人営業を経験したのち、2012年にグロービス経営大学院でMBAを取得。同年に大学院同期3名で株式会社i-plugを創業する。深刻な雇用のミスマッチに対して問題意識を持ち、少しでも学生の可能性が広がるような機会を提供したいと考え、新卒に特化したダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」をリリース。「我が子が使うサービスを創造する」を合い言葉に就職活動の問題解決に取り組む。

ソフトバンクの「攻めの採用」とは?
マッチ度の高い学生を取りに行くための具体的な取り組み

源田さん曰く、19卒の採用として重視していたのは「攻めの採用」なのだそう。
具体的な取り組みを、「大きな仕掛けと地道な作業」の2つの軸でお話しくださいました。

「まず大きな仕掛けとして、途上国や日本の地方都市の課題を解決する実践型インターンがあります。こちらはかなり大掛かりで、途上国支援としては『カンボジアの農業課題を解決する』というプログラムを実施しました。
一方で地道な作業として、リクルーターの活動を強化し、大学の研究室や部活動、サークルなどに訪問して直接学生さんと接する機会を増やしました」(源田さん)

大きな仕掛けとして取り組んだ途上国および国内の地域課題を解決するインターンは、ソフトバンクに興味がある学生だけでなく、地方創生や途上国支援に興味がある学生からの応募が集まります。その結果として、選考が始まる前の時期に自社に興味がある人以外とも接点を持つことができるのです。
また、大学への訪問などで学生と直接話すことは企業理解の促進に繋がり、ソフトバンクに合う学生さんを集めることに成功しています。
「リクルーターの行動量を増やして接点を増やす取り組みやインターンシップの強化によって、面接官評価やSPI評価も高い、マッチ度が高い人が集まってきています」(源田さん)

源田さんは、採用におけるインターンの役割について以下のように語ります。
「日本の就活の独特な点ですが、働いたことない人が、働いたことないまま企業を選ばなきゃいけないのが現実です。
そして、その問題に効くのがインターン。ソフトバンクでは、(地域・途上国支援インターン以外のもの含め)
400名ほど受け入れています。最低でも2週間、基本的に1ヵ月程度と、本当に戦力として働いてもらい、
お互いに理解を深めているんです」(源田さん)

実際に、インターン経由で入社した人のほうが離職率が低く、ハイパフォーマーの出現率も高いというデータが出ているそう。
せっかく採用しても早期に退職されてしまうという悩みを抱えている企業は、長期インターンが有効な対策になるかもしれません。

AIやチャットボットで工数を削減!テクノロジーの活用が学生と向き合う時間をくれる

攻めの採用手法を強化し、成果を出しているソフトバンク。しかしながら多くの企業は「攻めの採用にチャレンジしたいが、人事・採用担当者の工数がとれない」という課題を抱えています。実際にソフトバンクでも、採用にかかる人的工数は増加しているそう。その時間をどうやって捻出したのでしょうか?

「我々はテクノロジーを駆使する企業として、既存の工数を削減するために新しい技術を使えないかと考えました。そこで取り組んだのが、AI(人工知能)を使ったエントリーシートの選考です。これによってエントリーシートの処理にかかっていた時間を削減できました。さらに学生さんからの問い合わせの一部をチャットボットで対応することで、電話対応などに取られていた時間も削減。結果として、学生さんとお会いして、向き合う時間を増やせました」(源田さん)

新しい技術を取り入れて採用活動を効率化するというのは理想的な反面、抵抗を感じる人事の方も少なくありません。しかし源田さんによると、テクノロジーを使って工数を削減することは、「人事担当者がよりやりがいを感じる仕事ができる環境づくりに繋がる」とのこと。

エントリーシートを読むことも、問い合わせに対応することも、重要な仕事。しかし、多くの人事担当者がもっともやりがいを感じるのは、求職者の人生と向き合い、ベストな選択の手助けをすることでしょう。テクノロジーを使った業務効率化は、そういった「相手と向き合う時間」を増やしてくれるのです。

ダイレクトリクルーティングで「企業と学生が直接つながる」。
その精度を高めるには?

攻めの採用のいち手法としてソフトバンクが取り入れているのが、ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」です。
OfferBoxは、学生が自分のプロフィールや強みを登録し、企業がそれを見てオファーを送る逆求人型のサービスであり、
従来の「学生が企業を探して応募する」方法とは一線を画しています。

源田さんは、OfferBoxを使う理由を以下のように語ります。

「研究室の訪問などを強化して学生との接点を増やそうとしているものの、これまでより学生の団体所属意識は薄まっていて、それではアプローチできない層も多くいます。昔は『教授が紹介してくれるところ』で選んでいたのが、『自分に合う企業を自分で探したい、会ってみたい』と考える学生さんが増えています。
OfferBoxなら、そういった意欲が高い学生さんにもアプローチできる。
データを元に絞り込みながら、自社にマッチしそうな学生さんを探せるのがいいですね」(源田さん)

一昔前と違い、今は学生が企業と直接つながれます。しかし、そこで課題になるのが「マッチング精度」です。以前であれば、研究室を介することで、ある程度学生のタイプやスキルを担保できていた部分があるでしょう。対して学生と直接つながるということは、ゼロから学生を知り、自社とマッチするかを判断しなければいけません。

例えばOfferBoxの中だけでも、学生登録者数と求人職種をかけ合わせると4,300億通り以上の組み合わせが存在します。この数を見れば、人の手を使ってあらゆるパターンを認識し、判断していくのは不可能だとわかるでしょう。しかし、学生と企業が直接つながるというのはそういうことなのです。

可能性が広がるのはいいことですが、自分に適した会社を選ぶことも、自社に適した学生を絞り込むことも、より難しくなっていく。その壁を乗り越えるために必要なのが、テクノロジーの力です。

OfferBoxは、学生が入力する学歴や専攻、興味のある業界などのデータだけでなく、適性検査の結果などでも絞り込みが可能です。
こういった機能を活用しながらアプローチ先を絞っていくことで、学生も企業も幸せになれる採用活動を実現できます。

「ある程度テクノロジーを使って見当を付けて、そのなかで選んでいく。とはいえそれだけだとわからない部分もあるから、そこはちゃんと会って判断する。これからはそのバランスがすごく重要になるのでは、と感じています」(中野)

企業への志望度は関係ない⁉向き合い方次第で学生の心は変えられる

OfferBoxを提供する株式会社i-plugの中野社長によると、OfferBoxを利用する企業数は4,800社以上(2019年2月時点で)、19年卒の学生登録者数は10万人に上ります。実に学生の4人に一人が利用している計算です。多くの学生に使われているOfferBoxのデータから見えてきたのは、意外な事実でした。

「OfferBoxのデータで特徴的なのが、学生の志望業界と、実際に内定承諾した企業の業界の関係性です。学生はプロフィールに、志望業界を第3志望まで書けるようになっているのですが、そこに書いた以外の業界に就職を決める人が多くいらっしゃるんです」(中野)

学生が企業を選ぶのではなく、求める資質を持つ学生に企業が自らアプローチする逆求人型サービスでは、学生にとっては思いもよらない出会いが生まれます。まったく興味がなかった業界の企業ではあるけれど、オファーの文面に魅力を感じて話を聞きに行き、惹かれていく。そんなことがたくさん起こっているのです。

「企業のアプローチの仕方次第で、学生さんの心は変えられるってこと。ということはつまり、人事担当者の力量が試されているとも言えるね」(楠田さん)

積極的に既存の採用業務にかかっている工数を削減し、空いた時間で攻めの採用活動を展開。着実に成果を出しているというソフトバンクの取り組みは多くの人事、採用担当者の方の参考になるのではないでしょうか。

ダイレクトリクルーティングをはじめとする「攻めの採用」に取り組む企業は増えています。採用市場の変化に対応するためにも、自社で活躍する人材を見つけるためにも、まずはテクノロジーやツールを使った工数削減、さらにダイレクトリクルーティングなどに取り組んでみてください。

番組の続きはこちらから聞くことができます。

<番組で聞けること>
・ソフトバンク社の今後の採用の取り組み
・インド、シンガポールなど海外採用への取り組み
・多くのインターンを受け入れるための社内体制の作り方

ソフトバンク様も活用しているダイレクトリクルーティングサービスの資料はこちらからダウンロードできます。
新卒採用向けダイレクトリクルーティング「OfferBox」資料ダウンロード

<資料でわかること>
・OfferBoxの仕組み
・利用企業、登録学生データ
・画面イメージ
・導入事例 等


2019年4月8日公開