松丘啓司の気になる人事用語

松丘啓司まつおか けいじ

エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長

1986年に東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社ではチェンジマネジメントグループを立ち上げ、ヒューマンパフォーマンス統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任。2005年にエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任。以後、パフォーマンスマネジメントなどのテーマでのコンサルティング・研修とHRテクノロジーサービスに従事している。主な著書として、「1on1マネジメント」「人事評価はもういらない」「論理思考は万能ではない」「アイデアが湧きだすコミュニケーション」「組織営業力」(以上、ファーストプレス)「提案営業の進め方」(日経文庫)などがある。

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グロースマインドセット

2018.12.14

グロースマインドセットとは、「自分は努力すれば成長できる」と信じるマインドセットを指しています。人の成長のためには、このグロースマインドセットが不可欠であることが、スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授の研究によって示されています。
 職場における上司から部下へのフィードバックは、グロースマインドセットを強化するものでなければなりません。
しかし実態は、部下の課題面への「ダメ出し」型のフィードバックが多くを占めるため、グロースマインドセットが毀損されてしまっているケースが少なくありません。つまり、「やればできる」と信じるのではなく、「どうせ自分はできない」という逆のマインドセットが強化されてしまっているのです。
 上司の自分の考えを押し付けるのではなく、その人らしい努力を承認しようとする姿勢を持つことが重要です。

HRビジネスパートナー

2018.11.30

HRビジネスパートナー(略してHRBP)とは、ビジネス部門を人事の面から戦略的に支援する役割を指しています。ミシガン大学ビジネススクールのデイビッド・ウルリッチ教授によって提唱されました。
かつての人事部門は、全社一律の制度を作り、高い所から管理するような立場にありました。近年、HRBPが注目されている背景には、本社で管理をしているだけでは、ビジネスのパフォーマンス向上に貢献できなくなってきたという環境の変化があります。ビジネス部門と一緒になって、ビジネス戦略の実現を支援できなければ、人事の存在意義が薄れてしまうのです。
 HRBPには、ビジネスの課題を人事のソリューションで解決するためのさまざまな知識やスキルが必要とされます。そのため、人事部門には大きな変革が求められますが、同時にそれは人事の活躍の幅を広げる機会にもなるでしょう。

対話(ダイアローグ)

2018.11.14

対話とは文字通り、互いの考えを交流させることで、より良い結果を生み出そうとするコミュニケーションを指しています。互いの考えを交流させる前提として、双方が相手の考えや意図をよく理解しようとする姿勢が必要です。
対話の対極にあるコミュニケーションのスタイルは「議論」です。「議論に勝つ」といった表現がされるように、議論は自分の主張を相手に受け容れさせることが目的だからです。
ビジネスの場においては、対話と議論のどちらも必要とされますが、「議論は得意でも対話は不得手」とするマネジャーが少なくありません。
特に上司と部下の1on1の場面では、上司の対話力が求められます。まず上司が部下のことを理解しなければ、動機付けや成長の支援ができないからです。それにもかかわらず、自分の考えを一方的に押し付けてばかりいる上司の姿がしばしば目にとまります。

OKR

2018.11.01

OKRは組織や個人の目標設定のフレームワークです。Oはオブジェクティブ、KRはキーリザルトの頭文字を指しています。Oは実現したいゴールを表し、KRはどのような結果が達成できればゴールを実現しうるかを示す、定量的な指標を表しています。単に「目標」と一括りにするのではなく、OとKRに構造化することで、より意味のある目標を考える思考が深められます。
OKRはけっして新しいフレームワークではありませんが、昨今、多くの企業によって注目されている理由は、それがイノベーションの推進に適しているからです。
OKRのいちばんの特徴は、「野心的」(英語では「アンビシャス」)なゴールでなければならないという点でしょう。ちょっとやそっと背伸びしたくらいでは届きそうにない、野心的なゴールを定めることによって、失敗を恐れずチャレンジする行動を推奨するためです。

タレントレビュー

2018.10.15

タレントレビューとは、個々人の役職や昇進・昇格について議論するための会議の名称です。アメリカ企業では、人事主導ではなく、ビジネス部門がリードして行われるのが一般的です。
タレントレビューの特徴は、未来指向という点にあります。つまり、過去の実績などをもとに昇進・昇格を決めるだけではなく、本人がより重要な役割を果たせるようになるには、今度、どのような育成を行っていく必要があるかが議論されるのです。
かつては選抜された経営幹部候補のみが対象でしたが、その範囲を従業員全体に広げる企業が増えています。そのため、「ピープルレビュー」や「ピープルディスカッション」と呼ばれることもあります。
タレントレビューが制度化されている日本企業は少数です。昇進・昇格の判定にばかりに時間が割かれ、人材開発の議論が不足しているのが実情といえます。

ピープルマネジメント

2018.10.01

ピープルマネジメントとは、文字通り、「人のマネジメント」を指しています。「ピープル」と複数形で表されますが、実際は一人ひとりの特性に応じてマネジメントを行うことを意味しています。
なぜ「ピープル」なのかというと、一部の選抜人材を対象とした「タレント」マネジメントと区別するためです。
特にアメリカ企業ではこれまで、一部の選抜人材にエリート教育を施し、その他の大部分に対しては、目標の達成度などでランク付けして管理するマネジメントが行われてきました。しかし、企業の現場が、絶えず不連続な変化に直面する今日の環境では、一部のリーダーが指揮・管理するだけで、成果はあがらなくなってきたのです。
そのためマネジャーには、メンバーを一律に管理するのではなく、一人ひとりに応じたパフォーマンスの発揮を「支援」する役割が求められているのです。

心理的安全

2018.09.14

「心理的安全」、英語で言うと「サイコロジカル・セイフティ」とは、自分の考えや気持ちについて、メンバーが気兼ねなく発言できる職場の雰囲気のことを指しています。何かを発言するとすぐに批判されたり、見下されたりするような職場では、メンバーはいつも脅威や不安を感じながらコミュニケーションをしなければなりません。
そのような心理的安全の不足は、今、多くの企業で問題視され始めています。なぜなら、メンバーどうしのコラボレーションの良し悪しが、ビジネスの成果をますます大きく左右するようになってきているからです。
実際にグーグルが社内において、成功しているチームの特性をデータ分析したところ、心理的安全が優れたチームワークの要因をもっとも裏付けることがわかりました。イノベーションを起こすために、心理的安全のある風土づくりは最優先の課題といえるでしょう。

ピープルアナリティクス

2018.08.31

ピープルアナリティクスとは、人と組織に関するデータ分析を意味しています。これまでの人と組織に関わる意思決定は、過去の経験則や既成概念に基づくことが少なくありませんでした。ところが、不確実性や多様性が急速に増している今日の環境において、勘と経験に頼った判断は限界を超えてきています。また、クラウドサービスやAIなどのテクノロジーの進歩によって、ビッグデータの分析が容易になったことで、人と組織の特性や法則を「見える化」したり、今後の予測モデルを構築したりすることが可能になっています。ピープルアナリティクスの結果は、経営や人事の意思決定を助けるだけでなく、現場におけるパフォーマンス向上にも幅広く役立てることができます。そのため、さまざまな人事業務にピープルアナリティクスを活用することは、これからの人事にとっての必須課題といえるでしょう。

No Ratings(ノーレーティング)

2018.08.14

年次や半期の評価において、社員にA・B・Cといった成績を付けることをレーティングと呼びます。 ノーレーティングとは、そのようなランク付けを廃止する制度変更を指しています。 ノーレーティングのトレンドはアメリカの企業で広がっていますが、その背景には、レーティングは業績向上にあまり役立っておらず、むしろ弊害が大きいという認識があります。 たとえば、レーティングは人の成長マインドを阻害するという脳科学の研究結果や、レーティングの前提となっている2:6:2の正規分布は実態をゆがめているといった研究結果が根拠として示されています。 弊害がある割に、レーティングには全社的な労力を要するため、経済合理性に合わないと考えられているのです。 レーティングを廃止した企業では、レーティングを使わずに報酬や等級を決めるプロセスを実現しています。

1on1(ワンオンワン)

2018.07.31

職場における上司と部下の頻繁な対話の場を指して1on1と呼びます。 この「頻繁」という点と、「対話」という点が重要です。 従来の目標管理制度では、半期に1度の面談を行っている企業が多数を占めていましたが、それではリードタイムが長すぎて、メンバーにとっての学習効果が得られないという問題意識が背景にあります。 同時に、コミュニケーションのスタイルを「対話」に変えていくことが求められています。 管理や評価のための面談ではなく、一人ひとりのメンバーを上司がよく理解して、個人に応じた成長を上司が支援することが必要とされているのです。 つまり、1on1とは今の時代にあった部下マネジメントの方法を職場に浸透させる取り組みであるといえます。 過去数年で、1on1はアメリカの企業で急速に普及し、日本においても制度として導入する企業が増え続けています。

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