就活マニュアルよりコミュニケーションが大切

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学生にとっては、何かマニュアルのようなものが会った方が動きやすいだろう。精神的にも、実際何かアクションを起こすにも、指針のようなものがあれば考えやすいのは、仕事をしている社会人でも同じだ。

しかし、マニュアルには、「知っている人の数だけ、同じ行動、同じ志向をする」という弊害がある。ではどうしたらよいのだろうか。

 

 「一次面接で志望動機を聞きます。1日十数名。みんな口裏あわせでもしているのではないかと思うぐらい“同じようなこと”を話します。印象に残るのは1名いるかいないか。最近はその傾向がますます強くなっていると感じます。」

なぜ同じになってしまうかわかりますか?画一的なマニュアルの存在や指導が背景にはあるわけですが、この場合だと“見ている情報”と“解釈の仕方”に問題があると考えられます。

みな大抵は同じ情報の、表面的なところだけを見て志望動機を考えています。

自分なりの解釈、たとえば「なぜこの会社は100年以上も続いているのだろう?」とか「これからどのような方向に進もうとしているのだろう?」とか「その中(未来)に自分がやりたいことができるチャンスはあるのだろうか?」とあれこれ考えるということが不足しているため、みな同じような状態、キーワードをつなぎ合わせたような内容になってしまっているのです。

自己PRも同じです。適正検査か何かわかりませんが、「リーダーシップがあります」とか「周囲に気を配ることができます」とかありきたりな言葉で自分を表現している学生を非常に多く見受けられます。

企業が知りたいのはもっと本質的な部分

企業側が知りたいのは、皆さんのもっと深い部分です。社会人基礎力で表されているような能力は必要ですが能力の有無を自己PRで知りたいわけではありません(そこは別の形でチェックしています)。

「用意してきたことを最初語ってもらうようにしています。実はその内容についてはあまり重視していません。だいたい何を話すか想像が

つくからです。全部出し切ってからが本番。整えられた表面的な話は聴きたくない。聴きたいのはもっと深い話なんですよね。」

先ほどの話とつながりますが、要は知りたいのはもっと深い部分“この学生はどのような人なのか”なのです。考え方や価値観、生き方が自社に合うかを考える判断材料を必要としています。例えば以下のような話は多くの採用担当の方がおっしゃっています。

「大学の就活講座などでは“大学時代に頑張ったことをしっかり書きましょう(語りましょう)”という指導が一般的です。でも大学時代の取ってつけたようなアルバイトの話や短期留学の話はそれほど聴きたくありません。むしろ、小学校から大学までの20年間で、どのような経験を積み、何を考え、どう行動してきたのかを聞きたいのです。余程、その方がその人の本質を捉えることにつながります」

就職活動支援が大学内でも普及しています。それにより、間違いなく学生の面接技術は高くなっていると思います。

ただ一方で、画一的になってしまい、個性が薄まってしまってきているのが実態です。昔は、個性豊かなスーツが流行った時期もあったそうですが、今やみんな黒色のスーツをビシッときめています。因みに私はブレザーにミズノ社製のマネージャーバックで面接に行き、内定をいただいた経験がありますが、めっきりそういった学生は少なくなったと採用担当者は言います。

よく学生にお伝えするのですが、最終面接では人柄やスキルや経験ではなく、志望度の高さを判断基準に決める企業が多いようです。既に人柄やスキル、経験値はばっちりな人が最終に残っているからです。企業としては全員採用してもいい、でも計画、予算があるから選ばないといけません。最後の最後は、本気がどれだけ伝わるかなのです。

来年の4月、ある企業の最終面接を迎えたあなた自身を想像してください。そのときに、誰かのマニュアルに従った志望動機で戦いますか?それとも他の誰にも語れない、あなただけの志望動機で戦いますか?

私は後者であってほしい。そういう準備を今からしてほしいと思います。

どうやって準備したらいいの?って思いましたよね。

お伝えするのは簡単です。でも大事なのは自分でまず考えることです。あなただけの志望動機を見つけるために今から何ができそうですか?まずはそこから是非とも考えてみてください。

 

「学生の知らない企業のリアル No.003」(2012年11月19日)

 

自分なりに工夫するところから就活はスタート

就活マニュアルが全く必要でない、ということを言いたい訳ではない。しかし、企業の採用担当者からすれば、マニュアルに長けている学生はみな「金太郎あめ」のように画一的で、面白くない。担当者になったと想像してみるとよくわかると思う。就活マニュアルは基礎知識として持っておき、自分なりの工夫をするところから就活はスタートする。

「就職したい」という気持ちが強すぎると、「受け入れてほしい」「受け入れられるところならどこでもいい」という方向に走る人もいるだろう。しかし、そういった受け身の人を受け入れるほど、企業は甘くない。「忙しすぎて猫の手も借りたい」企業なら別だが、そんな企業に入ったあとに、「果たしてこの会社に入りたかったのだろうか?」と思ってしまうことにはならないだろうか。

就活のミスマッチは、企業側だけで起こるものではない。学生側も自分の為に、積極的に相手を知ることは必要だ。就活マニュアルで基本的なことを押さえた上で、志望する業界や企業を深く理解するために、採用担当者とコミュニケーションをとることが、大切である。

 

疑問に思ったことを質問するところからコミュニケーションを始めよう

採用担当者は、学生を審査する役割だけでなく、学生に「自社はこんな会社ですよ」とコミュニケーションを図りながら知ってもらう役割も担っている。より理解してもらいたい、興味を持ってほしい、と採用担当者は思っているのだから、これを利用しない手はない。

 

自分で企業情報を調べることは当たり前だが、企業情報から得られた中で、自分なりに疑問を持つことが重要なことは、先の引用したコラムでも触れられている。もしまだ就活に迷いがある、不安だという人は、たいしたことでなくていいから素直に思ったこと、感じたことを、採用担当者に質問してみることからはじめてはどうだろう。

 

採用担当者とのコミュニケーションツールになるOfferBox

就活における「マッチング」のプラットフォームは、今はいろいろなサービスが出てきているが、採用担当者とのコミュニケーションが出来るサービスであれば、相手の考えていることを理解することが出来るだろう。OfferBoxは、学生が自分で経験したことや考えていることを「プロフィール」としてまとめ、登録しておくことで、企業からオファーをもらえるサービス。コンタクトのある採用担当者とは個別でやり取りが出来る。まだ登録していない学生は、無料なので体験してみてはどうだろう。

また、「自分の力を試したい」と考える学生、ベンチャー志向・中小企業志向の学生であれば、ベンチャー企業からのオファーは直接経営者とのコミュニケーションがとれる可能性が高い。採用担当者とはまた違った話が聞けるだろう。OfferBoxをはじめとし、様々なサービスがあるのであれば、十分に活用出来ているのか今一度振り返ってみてほしい。

 

満足のいく就活活動を送ってもらえるよう、このコラムでは採用者目線で就活を考えていく予定だ。