OfferBoxの過去3年間からみる今後の新卒採用の展開

OfferBoxのデータをもとに今後の就職活動の展開を予測
本調査は、「就活ルールの廃止、形骸化による採用活動の早期化」「それにともなう就活の長期化」についての懸念の声に対し、新卒に特化したオファー型サイト「OfferBox」の過去3年間の利用企業及び利用学生の実データを元に分析、実態の把握と今後の展開の予測を行う内容となる。
また、これを機に少数のインタビューデータやアンケートデータだけではなく、就職・採用活動上での実際の活動データを元にした実態把握と議論が行われることを願い発表に至った。
形骸化が進む就活ルール
経団連が示す就活ルールは以前から形骸化が進んでおり、事実上の就職活動開始時期は年々早まっている。下の図は経団連が示す就活ルールに対して、OfferBox利用企業の動きをまとめた。
企業の採用選考の動き
2019年度採用に関しては、3年生2月以前にオファー送信を開始し、4年生5月以前に内々定出しを実施した企業が全体の44%。
14%が3年生3月以降にオファー送信を開始し、4年生6月以降に内々定出しを実施した企業は全体の14%となった。
就職活動生の活動期間は長期化は起こっておらず、やや短期化している
企業の動きは「学生への接触開始日」「内々定承諾開始日」は1ヶ月程度早期化。「学生への接触開始日」は従業員1000名以上の企業において顕著。 「内々定承諾開始日」の早期化は従業員1000未満の企業に見られる。
有効求人倍率*と採用活動開始日の変化
企業のオファー開始は2017年卒と比べ2019年卒は1か月近く早くなっており、過去3年間の有効求人倍率の変化に伴い、売り手市場になった影響と推測している。
従業員規模別の有効求人倍率と採用活動開始日の変化
1000名以上とそれ未満で分けると1000名以上の企業の学生との接触時期の早期化が著しく、2017年度採用と2019年度採用の比較では2か月早くなっていいる。
学生の動きは過去3年間で半月ほど早期化。ただ企業の選考活動の早期化(内々定承諾時期の早期化)の方が加速しており、結果として3年間で就職活動の期間は1週間程度短縮化している。
登録から内々定承諾までの期間(平均)
登録から内々定承諾の期間平均は大きな変化は見られないが2017年卒と2019年卒において有意差があり、平均で約1週間ほどの短縮化が認められる。
形骸化、早期化しても3年生の10月に集中と予測
「ルールの形骸化」は実データでも見られるが、採用選考のスケジュールのルール廃止になった場合でも3年生の前半や2年生の学生の接触が増加することは現状予想し辛い結果となった。
また採用決定効率の数値を見てみると、早期化が加速したとしても3年生の10月に集中すると考えられるが、長期的に見ると現状の景況感であればその時期に集中すると予測される。
また採用決定効率の数値を見てみると、早期化が加速したとしても3年生の10月に集中すると考えられるが、長期的に見ると現状の景況感であればその時期に集中すると予測される。
時期別のオファー受信件数に対する決定効率
3年生3月の決定効率を1としたとき、3年生2月より手前の方が決定効率が良く、3年生10月が一番高くなっている。
一方でそれよりも早くなると決定効率が落ちる傾向があるため、早期化には限界ラインがあると考えられる。
【今後の展開】
就職活動を「自身にあった企業を探す」と「自身にあった企業に入社を決める」という2つのプロセスに分けて考察、検討が必要ではないか。
「自身にあった企業に入社を決める」期間に関しては求人倍率の変化や企業の採用選考活動時期の早期化は全く影響していないことがわかった。
受信から内々定承諾までの期間(平均)
さらに受信から内々定承諾までの平均期間は約3か月で統計的に大きな差は認められません。受信から内々定承諾までの期間は外部環境に関係なく一定と考えられます。企業との出会いから内々定承諾までの意思決定には約3ヶ月かかっている。
学業圧迫を軽減する就職活動の実現には、 「自身にあった企業を探す」期間と「自身にあった企業に入社を決める」期間の2つに分けて改善を検討する必要があるのではないか。
「自身にあった企業を探す」期間の改善は、インターンなのか採用選考なのかを明確にする、また移動時間などの無駄を排除するためにWEB会議システムなどを利用した効率化も効果があるのではないかと考える。
「自身にあった企業に入社を決める」期間に関して、性別(性自認)や学歴において有意差がある。また就職を意思決定する企業と関係もあると考えられるため、引き続き追加で調査を行っていく。将来的には入社後の在職離職の関係や組織へのFit・活躍との関係に関しても調査を行っていく。
調査結果の全編は資料をダウンロードすると読むことができます。