採用活動を成功に導くKPI設定!具体的な設計方法をご紹介 新卒採用計画のチャネルなど大枠は決まったものの、各フローの具体的な目標設定まで落とし込めていない採用担当者もいらっしゃるでしょう。 本稿では、その目標設定、いわゆるKPIの具体的な設計方法を紹介します。本稿ではすぐに使えるテンプレート資料を用意しましたので、ご参考にしてください。 テンプレート資料はこちら |採用KPIを設定するメリットは? KPIは、「Key Performance Indicators(重要業績評価指標)」の略で、最終目標(KGI)にいたるプロセスの達成度を示す指標です。KGIは「Key Goal Indicators(重要目標達成指標)」の略で、数値化された最終目標を指します。 KPIはKGIを達成するために設定します。そのメリットは大きく以下の2点です。 採用業務(フロー)の客観的な問題把握・改善ができる 目標KGIの達成が効率的にできる KGIは最終目標ですから、新卒採用の場合、「新卒を10人採用する」といった目標を定めます。KPIは、フローごとの目標をあいまいな内容ではなく「会社説明会参加数は200人」「6月1日までに最終選考20人」のように、人数や時期を具体的な数値で明確に設定します。 KPIを設定することで目標達成までのプロセスが可視化され、目標に対する進捗状況が把握でき、次に取るべき具体的なアクションが明確になります。 逆にKPIを設定していないと、目標に達成していない場合に何が問題だったのかを把握することが難しくなり、無駄な労力と時間を費やすことになります。 |採用KPIの具体的な立て方 本章では、KPIを設定するにあたっての手順、ポイントを以下の順番で解説します。 STEP1. KGIの決定 STEP2. 採用チャネル(応募者の応募経路)ごとのフロー設定 STEP3. KPIと歩留まり(進捗率=数値)の設定 STEP1. まずはKGIを決めましょう KPIを設定する際に、まず必要になるのが最終目標KGIです。KGIが明確にされていないところにKPIを設定しても、結果にコミットしない、形だけの戦略になってしまう恐れがあります。 KGIを設定するときは、「人数」と「人材の質」の2面で考えます。人数は、今後の事業計画や経営目標を達成するために必要となる人員を想定します。予想される退職者数も考慮して算出するのが良いでしょう。人材の質は、どの部署にどんなスキルを持った人材が必要なのかを想定します。 例えば技術系の人材を採用するメーカーや専門職の採用がある企業の場合、学生の専攻系統も「人材の質」のひとつと考えられるでしょう。一般的に、新卒採用のKGIでは人数が重視され、即戦力を求める中途採用では人材の質が重視される傾向にあります。 STEP2. 採用チャネル(応募者の応募経路)ごとの採用フロー設定のポイント 採用チャネルは、例えば「就活サイトからの公募」「新卒紹介」「リファラル」「研究室訪問」など、複数あります。チャネルの数は、採用予算や関わる人員数などによって異なるので、いくつ使うのが適切かという標準値はありません。 次に、それらのチャネル一つひとつに相当する採用フローを設定していきます。「就活サイトからの公募」を例にとれば(図1参照)、就活サイトからの「エントリー」から始め、「説明会」→「面接(段階別)」→「内定」→「内定承諾」というように、重要と考えるフローを設定していきます。 図1)採用フロー設定例 次にフロー設定のポイントを紹介します。 ①具体的に 担当者以外が見てもわかりやすいものにします。あいまいな表現ではなく、数字で確認できる具体的なフローを指標の確認ポイントにするとよいでしょう。 ②計測可能なものに 目標達成までにあとどのくらい必要か、誰でも計測できるものが望ましいです。 ③達成可能である 達成不可能、難易度が高いフローは、担当者のモチベーションを下げる恐れがあります。達成への具体的な道筋がイメージできる設定を心がけましょう。 ④期限を定めること 期限がないフローはいつまでも終わりません。KGIの最終目標達成期限から逆算してそれぞれの期限を設けましょう。 ⑤厳選して少数で 欲張ってたくさん入れ込むのも避けましょう。厳選したKPIに絞り込むことで、チェックもスピーディーに行えます。 設定したフローで着実な採用活動を進めるために、PDCAサイクルを回して適切なチェック・改善を行うことも大切です。 STEP3. KPIと歩留まり(進捗率=数値)の設定 各採用フローのKPIと歩留まりを設定してみましょう。 適切にKPIの進捗を管理するために、採用フローに数字を当てはめて段階的に管理できるようにします。数字を入れる際は、過去の実績があればそれをベースに算出します。希望的観測値はNGです。「この数値でいけるだろう」という根拠が必要です。 KPIは、STEP1で決めたKGIから逆算して設定していきます。KGIからの逆算というのは、最終的に10人の採用をKGIとしたら、「この採用チャネルからは〇人採用する」といったチャネル別のウェイト(採用人数比率)を決めることです。 例えばKGIを「10人採用=内定承諾」として、チャネル1「就活サイト」のウェイトを50%とした場合、就活サイトでの「内定承諾者数=5人」がKPIとなります。以下に採用フローと歩留まり設定の一例を紹介します。 図2)採用フローと歩留まり設定例 「面接設定率」「面接通過率」などの人数・パーセンテージは、達成可能な数値設定が大切です。実現不可能な設定は担当者のモチベーションを低下させてしまうリスクがあります。 状況によっては思い描いた通りの進捗とならない場合もあります。そのようなときはKPIを見直し、必要であれば修正や変更を加えつつ改善策を検討するなど柔軟に対応しましょう。例えば、上図の「面接の通過数」が設定値よりも低い(進捗歩留まりが悪い)場合、原因として「面接官の選考基準が厳しすぎる」「選考基準の認識が一致していない」などが考えられます。 「内定承諾率」のパーセンテージが低い場合は、「会社の魅力が十分に伝わっていない」「内定出し後のフォローが足りない」などが原因として考えられるでしょう。最終目標を達成できない原因が、フローのどこで発生しているのかが明確になるため、改善策と次のアクション決定が容易になるはずです。 |KPIで自社の採用の特徴を確認 過去のKPIを振り返り、自社の採用の特徴(強み・弱み)を把握・確認して、改善策を検討することが大切です。 自社の採用の特徴を知る 過去のKPI(KPIを設定していなければ、採用フローごとの実績数)を見て、自社の採用はどういった特徴があるのかを再確認しましょう。 進捗率を見ると、フローによって達成度の高低が現れてきます。必ずしも高ければ良いというわけではありませんが、低い数値はそのフローに弱点があると考えられます。 例えば、会社説明会の参加人数が少なく母集団形成がうまくできないという場合は、就活初期の学生に「企業が認知されていない」「企業情報が伝わっていない」ことが考えられます。 逆に「内定」から「内定承諾」に至るまでの進捗率が100%だとすると、「内定者のフォロー対応が万全」で「脱落者を出さない施策が十分に行われている」と推測できます。 歩留まり改善方法 自社の採用の特徴を把握することができたら、次はKGI(KPI)を達成するための改善策を検討しましょう。 例えば、会社説明会の参加人数が少なく母集団形成がうまくできないという場合、「学生に広く企業情報を告知するチャネルを再考する」、または数を追うのではなく有効母集団を増やすために「ターゲット学生に直接アプローチするチャネルを選択する」などが考えられます。 このように、数値に現れる自社の強み・弱み=特徴を把握することで、改善ポイントおよび強化ポイントが見えてきます。これをもとにPDCAサイクルを回し、KPIの精度を高めていきましょう。 |まとめ 新卒採用活動にKGI、KPIの設定が必要な理由、また、設定にあたり意識すべきポイント、設定手順を解説してきました。 KPIの設定は、目標達成までのプロセスを可視化することで、目標に対する現時点での進捗状況をリアルタイムで把握し、具体的な次のアクションをとりやすくするものです。 また、KPIは数値による客観性のある指標なので、担当者間の目標共有、チームワークの向上にもつながります。 しかし、状況によっては思い描いた通りの進捗とならない場合もあります。そのようなときはKPIを見直し、必要に応じて修正や変更を加えて改善策を検討するなど、柔軟な対応を行うことが大切です。KPIをもとにPDCAサイクルを回しながら、精度の高い目標達成を目指していきましょう。効率的な採用活動の実現のため、ぜひKPI設定にチャレンジしてみてください。 テンプレート資料はこちら Tweet こちらの記事もおすすめです 【2023年卒市場動向】どうなっている?2023年卒の新卒採用の動向・変化を考察 新卒採用でしか得れないメリットを覚えていますか?中途採用と徹底比較して再確認しよう 初めて新卒採用を任された『あなたに知って欲しい』基礎知識