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「人材ポートフォリオ」を用いて効果的な採用・育成計画を策定しよう

入社後、営業部で活躍し、そのバイタリティーを買われ、昨年から人事・採用を担当することになったAさん。今日のWebミーティングで社長から「これからわが社も人材ポートフォリオに基づいた採用計画を策定するように」といきなり言われました。

「ポートフォリオって何?」とあわてて検索したところ、金融用語やクリエイターの必須アイテムに交じって出てきた、「人材の」ポートフォリオは、「事業戦略を達成するために必要な人材、現状の人員構成を把握し、今後の採用計画を練る、適材適所の戦略、手法のこと」であることはうっすらとわかったものの、何から手を付けていいのかまったく見当もつきませんでした。

そこで、人事畑一筋、大学時代のゼミの先輩、Bさんがいることを思い出し、早速コンタクトをとってビジネスランチをすることになりました。ここでは、経験は浅いものの積極的に学ぼうとするAさんと、人事のベテランであるBさんの会話を通して、「意味はなんとなくわかるけど、具体的には曖昧、難解でわかりにくい」人材ポートフォリオについて理解を深めていきましょう。
 

|先輩!「人材ポートフォリオ」について分かりやすく教えてください

 
Aさん- 今日はありがとうございます。人材ポートフォリオについて教えていただこうと思ってお時間をいただきました。よろしくお願いします。

Bさん- 人事部に異動したんだってね。これからはお互いに情報交換していこう。「人材ポートフォリオ」についてということだけど、そもそも「ポートフォリオ」という言葉の意味は知っているかな?

Aさん- はい、元々は書類ケースの意味で、そこから派生して、証券の資産管理やデザイナーの作品紹介に使われるようになったと。

Bさん- その通り。そこで人材においては、自社の戦略を理解、必要とする人材を明確化し、現状とのギャップを把握する。自社の現状を可視化すること、その上で人事戦略を練っていくことを指すんだ。

Aさん- 言葉ではわかるのですが、実際何が大事なのか、何から手を付けていいのかがさっぱりわかりません。

Bさん- A君、野球部だったよね。だったら野球に置き換えて考えてみよう。来年のドラフトどうする?投手がメインか野手がメインか、即戦力中心にするのか、5年後の世代交代を見越して高校生を育成するのか。

Aさん- あ!それは球団のポリシーや置かれている状況によっても違いますよね。

Bさん- さすが、呑み込みが早い。常勝球団と地元密着球団ではトレードや外国人による戦力補強も含め、考え方も手段も違ってくるだろ?それは君の会社にとっても同様で、まず会社にとって、どんな人材がどこに何人いることが理想なのかがあって、その理想と現状のギャップを分析し、採用計画を立てていくわけさ。
 

|現在のトレンド?なぜ最近になって人材ポートフォリオという名前を聞くようになったのか

 
Aさん- 概念はよくわかりました。でもどうして、そんなあたり前で大事なことが、最近になって言われるようになってきたのですか?

Bさん- それは昨今の日本における労働環境の変化によるものなんだ。少子化による労働人口不足やグローバル市場での競争力の強化などが日本企業の課題となっていることは知っているよね。日本旧来の働き方、年功序列であったり男性中心の雇用方針であったり、それだけでは優秀な人材を確保できなくなってきている。そこで人材の多様性に対応することが必要になってきているんだ。

出産・育児後の女性の活躍や外国人労働者の力を借りることはとても重要になってきているだろ。雇用形態にしても必ずしも正規雇用だけでなく、派遣スタッフや契約社員、フリーランスの活用も必要不可欠だ。

従来であれば、極端な話、総合職か一般職か、事務系か技術系か、くらいの区別しかなかったと思うんだけど、最近では、専門性や本人のタイプ、志向性を細分化して、「どんなタイプやどんな能力を持った人が必要なのか」、「それは今なのか数年後なのか」、「どれくらいの人数必要なのか」をロジカルに整理し、自社の人材の実態を可視化することで、限られた人材リソースを有効に活用していくことに目的がおかれているんだ。

Aさん- まさにこれからの人事戦略なんですね。
 

| 人材ポートフォリオが役に立つ会社とは?大手企業だけ?

 
Aさん- でも、ウチの会社の規模では必要ないんじゃないですか?

Bさん- いやいや、それは違うと思うな。中小企業でこそ限られた人材を有効に活用していく必要があるし、競争力という意味では、すべてに万遍なく強いことよりもどこか特徴的なことがないと生き残っていけないよね。その企業戦略の中で、必要な人材を確保し活躍させるためにこそ人材ポートフォリオは必要なんだ。

Aさん- そうはいっても、急に人材ポートフォリオで採用したからといって効果が出るものなんでしょうか?

Bさん- 実は人材ポートフォリオは採用だけに役立つわけではないんだよ。企業の目的と現状を分析することは話したけど、そこからの施策は採用に加え、部署ごとの人数の過不足を調整したり、適正な人材の配置を転換したりなど人事異動にも役に立つ。

あと、大事なことを忘れてはいけない。君は今の会社になんで採用されたか、聞いているかな?

Aさん- スポーツをやっていて元気だから…。

Bさん- それだけじゃないだろ。

Aさん- コツコツと粘り強く自分で納得するまで調べて卒論を完成させたことも評価してもらいました。

Bさん- それって今、人材ポートフォリオについて調べていることだろ。それこそが昨年、人事に配属された理由なんじゃない?

Aさん- なるほど!

Bさん- ただ元気だから採用しました、って言われるより、君の持ち味を理解してくれた方がやる気になるし、その持ち味ややりたいことをさらに磨くことができる場所を与えてもらえたら、効率的に成長、活躍できるだろ?

つまり、人材ポートフォリオに基づくということは、現有戦力のモチベーションアップや育成にもつながるんだ。

また、先ほどの多様性という意味では、例えば自分のやりたいことがあって雇用に縛られたくないから派遣スタッフでいるという人の中にも、とても高い専門性をもっていることがあったりするよね。そうした人材を活躍させる上でも人材ポートフォリオは役に立っているんだ。
 

|人材ポートフォリオの作成方法

 
Aさん- では実際に人材ポートフォリオを作成する方法を教えてください。

Bさん- まず全体の手順はこんな感じでまとめられるかな。

①自社に必要な人材をタイプごとに分類する(目的の明確化)
②自社の人材をそのタイプにあてはめ把握する(現状分析)
③各部署、場面における過不足をチェックする(理想とのギャップ=課題)
④過不足を補う(施策・手段の実行)

Aさん- 「人材をタイプごとに分類する」とはどういうことですか?

Bさん- いくつかの指標があるけれども、一般的には「業務の性質で分類」、「業務の繁閑や専門性で分類」、「雇用形態で分類」が考えられるね。業務の性質というのは、「個人⇔組織」の横軸と「創造⇔運用」の縦軸でマトリックスにして、左上から時計回りに、

個人×創造=オフィサータイプ
組織×創造=マネジメントタイプ
組織×運用=オペレーションタイプ
個人×運用=エキスパートタイプ

ということになる。

マトリクス図

参照:https://www.creia.jp/service/s-psreform/4725/

Aさん- 自分だとマネジメントとオペレーションの中間くらいですかね。

Bさん- そう、そうやって現状分析して次へつなげるんだ。他にも、「恒常的業務⇔繁閑業務」「専門性が高い⇔低い」という業務の繁閑や専門性で分類する指標に、「雇用形態で分類する」指標を組み合わせて、「繁閑業務×専門性低」であれば、こういうタイプの派遣スタッフで補おう、とか「恒常的業務×専門性高」であれば、コンサルタントに依頼しようとか判断できるようになるよね。

Aさん- なるほど、適切な時期に適切な人材が適切な人数であることが大切になってくるわけですね。

Bさん- うん、タイプ分けができれば、それを基に現状を分析して、課題を抽出し、施策を打つことになる。

Aさん- そこで先ほどの採用だけではない施策に移るわけですね。

Bさん- もう一度整理すると、企業の目的や事業戦略の遂行など、理想の人事施策を遂行していくためには、「採用」「退出・解雇」「育成」「配置転換」を駆使していくことが重要になる。

分類図

Aさん- なるほど!人材ポートフォリオとは、それ自体が目的なのではなく、その分析を基にして、どんな人事施策を打っていくかの指標としていくものなんですね。

Bさん- さすが、そこまでわかればあとは実行あるのみ。次のWebミーティングでは社長にいろいろ提案できそうかな?

Aさん- はい、がんばります。今日はありがとうございました。
 

|まとめ

 
本稿では、人事を担当して2年目のAさんと、人事のベテランのBさんの会話を通して、「人材ポートフォリオ」について、その概念、最近重要といわれるようになった背景、導入が効果的な会社、具体的な作成方法を見てきました。

一見、つかみどころのない「人材ポートフォリオ」もその位置づけと具体的な方法を理解することで、すべての人事施策のベースとなることがご理解いただけたと思います。まずは自社の事業戦略を理解し、現状を把握、分析するところから始めてみてはいかがでしょうか。


2021年3月5日公開