【就活生の声】増える留学生と進まぬ留学生採用

グローバル戦略で増える外国人留学生。そのポテンシャルに期待する企業も増える一方、なかなか採用数が増えない現状も。留学生の就活について、学生に話を聞いた。

2008年7月、日本政府はグローバル戦略の一環で「留学生30万人計画」を策定し、2020年までに日本国内の外国人留学生を30万人に増やす計画を進めています(2008年当時は約12万人)。日本で学ぶ外国人留学生は増加の一途を辿り、2014年には20万人を突破しました(※)。一方で、外国人留学生の日本国内就職率は34.5%に留まっています(全卒業者中の就職決定率。日本全体の大卒就職決定率は66.8%)。

日本で就職を考えている外国人留学生が、日本の大学生活をどのように過ごしていて、日本の就活をどのように感じているのか、インタビューしました。


 

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台湾から大阪経済大学に交換留学中の唐さん(左)、朱さん(右)

 

日本に留学しようと思ったのは、どんな理由でしたか?

 

唐さん:
私たちは、1年間だけの交換留学生です。台湾の大学で日本語学科を専攻して、せっかく日本語を学んだので、現地で日本語を使いたいと思いました。

朱さん:
1年間、日本で学べるというのは少ないチャンスです。台湾の大学で筆記試験と面接があり、日本語学科の学生30人くらいが応募して10名ほどしか選ばれません。

 

なぜ日本語学科に?

 

唐さん:
はじめは、兄おすすめの日本のアニメを見ていた時、兄から「日本語勉強して!」と言われて、じゃあ勉強しよう、と。母語以外の言語を学びたいと思って日本語学科に入りました。

朱さん:
もともと言語が好きで。英語も得意です。他の言語を話せることがかっこいいと思っていました。台湾は親日な国なので、日本に関するものがたくさんあります。それで、日本に興味を持ちました。

 

日本での就職も考えて留学を?

 

唐さん:
はい。私は、ずっと日本で就職したかったです。私は台湾人なので、中国語を活かしたかった。観光地やサービス業をやりたいと思っていて、日本語ができない中国や台湾から来る観光客を助けたいなと思っていました。

朱さん:
私は、こちらに来てから就職を考えました。半年くらい前に日本に来て、3ヶ月くらい経ったあたりから、自分の勉強不足な点をとても感じました。普段の勉強や生活で使う日本語と、仕事の時の日本語が全然違う。自分の能力を上げたい、もっとここにいて実際に仕事を日本でしてみたいと思いました。

 

日本での大学生活はどうですか?

 

唐さん:
せっかく日本の大学に来たので、部活に参加したいなと思って、アーチェリー部に入りました。朱さんも一緒です。

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朱さん:
台湾では、アーチェリー部がある大学は少ないですね。日本に来て初めて、アーチェリーをやりました。アーチェリーは難しいですが、楽しいですよ!

唐さん:
先日まで部活の合宿で、長野に行っていました。コンビニまで行くのに20分かかるような山の中です。スーツケース開けたら、虫がいっぱい入っていてびっくりしました!

朱さん:
午前中は練習をして、午後はみんなと仲良くなるためのイベントがありました。先輩たちがいろいろ企画してくださって、楽しかったです。

 

交換留学生は忙しいと聞きます。
部活もやりながら就職活動というのは、結構忙しいですよね。

 

朱さん:
そうですね。特に日本の就活は、企業研究とか自己分析とか準備がたくさんあります。説明会に行って、面接も2〜3回はありますし、時間はかかります。

唐さん:
確かに忙しいですが、毎日充実もしています。ただ、日本はやはり台湾よりも企業に行く回数は多いと思います。台湾はまず説明会がないですし、選考は多くても2回くらいですね。

朱さん:
何度も選考があるのは大変ですが、その分その会社をよく知ることができるのはいいことだと思います。自分自身、日本の企業に対しての理解がまだ浅いです。日本の方なら、会社の名前を聞けばどんな業種か、どんな仕事をするのかイメージが湧くと思いますが、私たちは名前だけではどんな会社かわからない。説明会に行くことで、何をやっている会社か、どんな人を求めているのかわかりやすいので、安心します。

 

就活をやっていて、難しいと感じることはありますか?

 

朱さん:
やっぱり、選考に落ちたときは厳しいなと感じます。

唐さん:
落ちたときは、自分のどこが足りなかったのか悩んで、本当にわからなくなることもあります。面接を思い出して、自分は完璧だったと思ったのですが落ちてしまいました。理由はわかりません。

朱さん:
不合格のときは、何かコメントをいただきたいですね。選考に進んで2〜3回その会社に行っていたのに、最終面接で落ちてしまったときは悔しいなと思いました。そこで働くイメージも持っていたので、落ち込みます。

唐さん:
不合格の理由がわからなければ、次の選考でも同じことをしてしまうかもしれません。何度か会っているうちに、その会社と人事の方を好きになってしまっていて、でも最終面接で落ちてしまって…。この気持ちは、大好きな彼氏にふられた気持ちと一緒です。大好きなのに急に振られて、しかも彼氏からコメントが来ない…。

朱さん:
不合格の時にメールが来ましたが、形式的な感じで、みんなに同じ内容のメールを送っているのだろうなと思いました。

 

実際には、何社くらい受けましたか?面接はどうでしたか?

 

朱さん:
私も唐さんも15社くらい受けています。人事担当者とコミュニケーションをうまくとれて、自分が言いたいこともちゃんと伝えられた感触があり、相手のリアクションも良かったと思うのですが、落ちてしまいました。面接の場を録画して自分で見て振り返ったりしてみたいです。

唐さん:
ある企業の人事で、就活のアドバイスをくださる方がいらっしゃるのですが、その方に練習していただくこともあります。優しい方で、本当にありがたいです。

 

面接ではどんなことを聞かれますか?

 

朱さん:
志望動機と自己PR、自分の強みと弱みは必ず聞かれます。

唐さん:
私たち留学生に対する質問もあります。なぜ日本を選んだのか。なぜ日本で就職したいのか。あとは、日本で何年くらい働きたいのか、など。

 

それは留学生ならではですね。実際はどれくらい日本で働きたいのですか?

 

唐さん:
私は、ずっと日本にいたいと思っています。

朱さん:
私もできればずっといたいと思っています。こっちに来て、本当に生活しやすいと思いました。

 

どんなところで、生活しやすいと感じていますか?

 

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唐さん:
日本の物価は高いイメージがありましたが、実際にこちらに来てスーパーで買い物したりすると、物価は若干台湾より高いくらいで、思ったよりも高くないなと思いました。給料は、私たちの国より高いです。

 

朱さん:
給料の差は1.5倍くらいありますね。それは大きいです。また、日本の交通はとても便利。地下鉄で行ける場所も多いし、とても生活し易いです。

 

人の印象はどうですか?

 

唐さん:
日本人というよりも、関西の人が優しいと思います。

朱さん:
話していても面白くて、親切な人が多いです。バス停でおばさんに話しかけられて盛り上がったりとか。そういうことが結構あるので、楽しいです。

唐さん:
知らないおばさんと一時間話したこともあります(笑)

 

そこに住む人との相性も、働いていく上で大事ですね。
ところで、就活の今の状況はいかがですか?

 

唐さん:

部活の合宿で中断していましたが、再開しました。最近は靴下の専門店を運営している会社とか、ゲストハウスの仕事もやってみたいなと思って興味を持っています。靴下の会社は販売の仕事で、店舗も大阪の梅田や心斎橋などの観光地にあって、観光地で働けたら中国語を活かせるかなと思っています。

 

朱さん:

今進んでいるのは飲食店の会社で、他にも真珠とかアクセサリーの会社も受けようと思っています。就活を始めた頃はいろんな会社に行ってみましたが、最近はどんな仕事がしたいのか、自分のやりたいことを考え始めていて、これから絞っていきたいと思っています。

 

日本の就職活動について思うこと、企業に対して思うことはありますか?

 

唐さん:

日本の就活って、日本らしくていいなと思うこともたくさんあります。例えば3回の面接は、会社とマッチする人を探すためにやっていると思いますし、いいことだと思います。

朱さん:
履歴書も手書きですが、これも日本らしいですね。字でその人のやる気を見ることができたり。全部変えてしまったら日本らしさがなくなってしまうので、それはもったいないと思います。

また自分の立場で言うのならば「日本人であろうが外国人であろうが、同じ目線で見てもらいたい」と思いますが、それを言ってしまうと自分勝手な意見になってしまいます。企業の立場に立って考えていない。自分が留学生だから、言語能力的に難しいところもあると思います。でも企業の立場から見ると、言語能力も求めないといけないと思うので、なんとも言えないですね。

 

言語以外のところでも、能力を公平に見てもらえるといいですよね。

 

唐さん:
日本の企業が、外国人の労働力をどう思っているのかは知りたいです。企業の求人ページを見て、日本人の初任給は書いてあるのに、外国人の初任給は「能力と経験による」と書かれていることがたまにあります。私たちは、安い労働力と見られているのかなと感じますし、これには傷つきました。

朱さん:
同じ仕事をするのに、なぜ給料が違うのか、と疑問に思ってしまいます。実際そういう会社は少ないですがありますね。

 

お二人が受けた会社はそういう会社ではないですよね。

 

唐さん:
そうです。いい会社もありました。私たち外国人を“労働力”として見るのではなくて、「外国人の知識、考え、アイデアが欲しい」と言われて、とても感動しました。

朱さん:
そういう考えを聞くと私も感動します。単なる労働者であれば、母国に帰ればいい。帰って自分の国に貢献すればいい。外国人である自分だからできる仕事こそ、自分の存在する価値を感じます。

 

唐さん、朱さん、率直な意見をありがとうございました。

 

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唐さん、朱さんは、コミュニケーションもスムーズで、国籍の壁を感じないお二人でした。インタビューの通り、留学生の皆さんは、単なる労働力ではなく自分だからこそできる仕事、任せてもらえる仕事を求めていました。外国人留学生は努力家な方が多いといいます。期待に応えるためならば、力を尽くして仕事に取り組むであろうポテンシャルが、インタビューを通して伝わってきました。

 

10月21日(金)11:00より、留学生支援コンソーシアム【CARES-Osaka】(関西大学・大阪大学・大阪府立大学・大阪市立大学他が参加)主催の産学連携「留学生採用支援セミナー」を開催しました。外国人留学生との交流会やワークショップ、留学生を単なる労働力ではなく重要な人的資源として採用活動に取り組まれている、株式会社吉野家様、株式会社はなまる様の人事責任者をお招きし、パネルディスカッションを行いました。

【セミナーレポート】CARES-Osaka主催「外国人留学生採用促進セミナー」

留学生採用に興味はあるけれど、どう取り組んでよいかわからない、という企業の方はぜひごらんください。


2016年10月7日公開