結果、経団連は就活ルールの廃止を発表、一方で政府主導による議論がなされ政府からの要請という形で21年卒もこれまでと同じ3月広報解禁、6月選考開始で落ち着く形となった。
しかしながら、過去のデータを見てもすでに広報解禁の3月に選考を開始している企業が多く「形骸化」していると言ってもいいだろう。では、実際のところ2020年卒はどのように展開するのだろうか。過去のデータをもとにその動向を予測し勝負の決め手がどこにあるかを考察した。
※本記事は「【市場レポート】どうなる? 2020年新卒採用の動向・変化予測 秋冬・選考版」の一部を抜粋したものです。
インターンシップ活況、1dayの占有率が半数に
【出典元】文科省2018年度就職・採用活動に関する調査(企業、速報版) および2017年度就職・採用活動に関する調査(企業、最終版)
19年卒採用より、経団連の指針によって「1dayインターンシップ」が解禁となった。19年卒の実績を見ると、インターンシップの導入企業数の増加は顕著である。注目すべきは1dayインターンシップの構成比だ。18年卒から19年卒で1dayインターンシップの実施企業は約10%増加し、全体の半数を占める割合まで増加してきている。
1day比率は秋冬の方が圧倒的に高い
【出典元】文科省2018年度就職・採用活動に関する調査(企業、速報版) および2017年度就職・採用活動に関する調査(企業、最終版)
さらに、インターンシップの実施時期だが、「早期化」のイメージが強く、夏での開催が多いように思うが、ここ数年の動きを見ると秋冬での開催の方が顕著な伸びを見せており、むしろ9月については19年卒で減少に転じている。また、1dayインターンシップの実施割合は夏が35.2%なのに対して秋冬では58.2%と高くなっているのが実態だ。企業の注力ポイントは夏から秋冬にシフトが見られる。
秋冬インターンシップの影響から3月4月の選考の山が大きくなっている
【出典元】文科省2018年度就職・採用活動に関する調査(企業、速報版) および2017年度就職・採用活動に関する調査(企業、最終版)
面接開始時期を見てみると、3月4月の山と、6月の山の2つが存在するのが確認できる。特に、3月4月での面接開始は顕著な伸びを見せている。ディスコ社によるの学生の本選考にエントリーした企業の認知がいつの時点でなされたかという調査の結果によれば、年々インターンシップが本エントリーにつながる認知に対する影響力が大きくなっており、広報解禁やナビサイト解禁となる3月以降での認知を上回っている。そういった点からも、前述した秋冬インターンシップの増加は、3月4月の選考に向けての認知活動、母集団形成としての役割を持ち始めているといっても過言ではないだろう。