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【セミナーレポート】曽和利光氏が語る、就活「後ろ倒し」の衝撃ー16卒採用振り返り・17卒採用戦略②

【セミナーレポート】就活「後ろ倒し」の衝撃ー16卒採用を振り返り、17卒の採用戦略を考える②
(2015年9月17日開催)

 

2016卒に比べ2017卒の学生は前倒しで動く

 

i-plug 中野:
後半は、2017年卒の採用活動ではどのようなことが起こるかをお話頂きたいと思います。

 

 

人材研究所 曽和様:
学生は、本来売り手市場のはずなんですが、結構苦しんでいます。ドリームクラッシュという言葉を使っていますが、大手は1割くらいの学生しか入れません。一部上場企業新卒採用が10万人くらいなので、全学生が60万人として、8割くらいは中小、中堅企業に入るわけです。それなのに8割の学生が大手を希望している。従来のスケジュールだったら4月にドリームクラッシュするのが、2016年卒は8月にそれが起こった。それを2017年卒の学生は見ているのです。

就活後ろ倒しと言いながら、先輩たちは大変な目に遭っている。なので、2017年卒はもう少し動き出しが早くなって、仕上がりも早くなるのではないでしょうか。学生は前倒しで動くはずなので、企業もある程度早い動き出しを考えておかなければならないのではないかと思います。

 

i-plug 中野:
前倒しが加速するということですか?

 

人材研究所 曽和様:
戻ってきている、というのが正しいですよね。2015年卒はもっと早かったわけですから。もともと大学側が言い始めた後ろ倒しなのに、いまや大学も「もっと早く推薦を出したい」と言っているそうですし、これだけ社会の意思があれば、落ち着くところに落ち着くのではないかと思います。

 

2017年卒採用を成功させるポイント

 

i-plug 中野:
では、2017年卒採用を成功させるためのポイントはどういうところでしょうか。

 

人材研究所 曽和様:
採用というのは、事業を運営するための人員を確保するものですから、入社していつの時点で評価するのかというのは難しい問題です。入社した人が活躍しているか、幸せに働けているかを見られれば一番ですが、実際採用をやっている人がそれを見られるのは、だいたい異動した後になりますから現実的な目標ではないですね。

 

自社の採用ブランドは、事業や商品など本業のほうから決まるものであると思いますが、その採用ブランドを超える、採用担当者の介在価値のある採用が実現できたかどうかが、ひとつの中間指標としてあるのではないかと思います。

 

それが一番わかりやすいのは、採用競合がどこかを確認することです。チャレンジしていない企業の採用競合はだいたい同業他社で、その業界を志望している人にしかリーチできていないという事になります。

 

学生が会社を選ぶ軸というのは、たくさんあります。成長率や風土、文化、経営者の魅力。そういった軸で学生が選ぶ企業というのは、攻めの採用が出来ている企業。そういうところは異業種のトップ企業が採用競合であることが多いです。

 

また攻めの採用をしているかどうかは、就職ナビでいう“プレエントリー”から“実際に会える率”でもわかります。平均は30%くらいですが、それよりも低い企業はファンにしか会えていない採用をしている可能性が高いですね。説明会にいきなり履歴書を持たせるとか、エントリーシートの課題が重いとか、ハードルを設けてファンしか来ないようにしておくと、後工程は楽ですよね。内定辞退率も低いです。でもそれは、マーケットにいる人材の中で、一番自社に適した人を採用しているのかというと疑問に思います。最初は志望度が低くても、それを高めていくのが採用担当者の仕事です。

 

 

i-plug 中野:
攻めている採用とそうでない採用が数字から見えると、自社の傾向がわかりやすいですね。

 

人材研究所 曽和様:
時期の問題が採用の大変さを生み出しているような話になっていますが、単純に求人倍率が高いから超売り手市場なんです。2020年の東京オリンピックまでは求人倍率の高まりというのは続いていくと、リクルートさんも予測していますが、そういうことを除いても、少子化というのは、構造的に続くわけですよね。基本的にはずっと売り手市場と考えた方が良いと思います。

 

そこで重要なのは、採用担当者が“採用戦闘力”を今すぐにでもつけるトレーニングをやっていくことです。ポテンシャルを見抜くインタビューの仕方だったり、学生に刺さる入社動機の伝え方だったり。ある意味、技能です。やり方がわかったからと言ってすぐできるものではありません。採用に関わる方々全員でブラッシュアップしていくトレーニングを今すぐにでも取り組んでいただくことをおすすめしたいですね。

 

i-plug 中野:
確かに時期の問題にしていたら解決できない問題が山積していますよね。採用担当の方に戦闘力をつけていただくというのが重要なんですね。

 

 

人材研究所 曽和様:
あとは前半でもお話した通り、効率就活が進んでいること。芸能界でもホリプロやジャニーズのオーディションをやれば履歴書がたくさん集まりますが、そうでないところは、原宿や渋谷に行ってスカウトするわけです。それを採用でもやらないといい人にリーチすらできないのです。

 

あまり攻める採用をしていない企業の方は、「最近の男子は草食系が多い」という話をされますが、本当は結構いるんですよ。攻める採用をしているところが、肉食系男子を全部採っていっているだけのことです。一朝一夕で出来ることではないですが、でも始めないといつまで経ってもできないので、大変な時期であることをきっかけに、やり始めていただけたらと思います。

 

i-plug 中野:
ありがとうございました。非常に大切なお話をしていただいたと思います。

 

採用は、営業に似ていると思います。自分の力がない状態で、どういうお客様に会いにいくべきか考えたとき、競争が激しくないところにいくべきです。絶対に採用したいターゲットがどんな人材なのか、明確化しておく必要がありますよね。そうでないと、就職活動意識高い系に引っ張られてしまう傾向になりそうです。

 

そして、労働人口は減っていきます。待ちの作戦だけでは、おそらく勝てなくなっていきます。インターンシップもブルーオーシャンの世界ではなくなりました。攻めの採用というのをひとつの手法として取り組んでいくことが必要です。

 

最後に、曽和さんがおっしゃったように採用における戦闘力が重要になってきます。OfferBoxでも、学生からの人気トップの業界でも12%の学生しか選択していません。志望業界というのは結構ばらけているのです。違う業界を志望している学生にもアプローチして、自社をどうやって好きになってもらうのか。それが戦闘力ですね。この部分を強化することが、2017年卒採用において重要事項になってくると思います。

 <End.>