一緒に働きたいと思う魅力ある学生は多くいるが、出会う機会が少なくなってきた。
−−まずはじめに、OfferBox導入前の採用状況について教えてください。
a.新卒採用体制
2名が主体となって業務を行っています。
b.採用規模
例年、100名程度の学生さんにご入社いただいています。
c.導入以前の採用ツール・サービス
ナビサイトを中心に母集団形成を行っていました。
−−どのような採用課題があったのでしょうか。
以下の3点です。
①十分な母集団形成ができなくなっている
②母集団の減少により一緒に働きたいと思える学生に出会いづらくなってきた
③採用活動の早期化や手法の変化に対して対応できていなかった
これまではナビサイトから複数のエントリーがあったのですが、ここ5年ほどでナビサイトを経由したエントリー数が減りました。人口減少で学生にとって売り手市場になり、学生の活動量が激減したことが一つの原因だと考えます。
また、コロナの影響で人との関わりが希薄になったこともあり、自分が取り組んできたことについて、WhyやHowを明確に答えられない方が以前に比べて多くなった印象です。コロナなどで大変な状況の中、学生生活を過ごされたと思いますが、主体的に意志を持って活動された学生の皆さんに出会いたいと考えています。
−−−−ナビサイトを経由したエントリー数が減っている要因はどのような点にあるとお考えでしょうか。
当行は東北の銀行ですので、以下の3つの要素が大きく影響していると思います。
①「東北に残りたい、戻りたい」という学生さんが減ってきている
②マイナス金利の影響もあり、金融業に対してマイナスイメージがある
③学生が銀行の具体的な仕事内容を理解できていない
「時間対効果」を期待して導入を決意。大学院生・Uターン学生にターゲットを絞ってアプローチ。
−−どのような理由でOfferBoxを導入されたのでしょうか。
直接学生にアプローチできるダイレクトリクルーティングは、最も「時間対効果」の高いアプローチができる手法だと考えたからです。
ナビサイトに頼らない手法として、採用広報やSNS運用なども検討したのですが、効果が分かりにくい点や、ノウハウがないことから導入を断念しました。
一方、ダイレクトリクルーティングなら、直接学生にアプローチできるという点で、志望度が低い学生でも面談を通して学生の企業理解を深めることができ、志望度の向上やエントリーに繋げられると考えました。また、効率よく学生にアプローチできる上、承認・承諾率から逆算して、必要工数と採用可能人数の見込みを立てられると思ったのが大きな決め手です。
なかでもOfferBoxは最も主流だという安心感があったので、導入を決めました。
−−導入に際し、OfferBoxにどのようなことを期待されていましたか。
自社の求める学生さんのピンポイントな採用の実現を期待していました。これまでのナビサイト中心の手法では出会うことが難しかったので。
また、「PDCAを回しやすくなるのではないか」という期待もありました。
合同説明会や大学説明会、インターンシップなどでは、同じくらい工数をかけていても、結果それがどれだけエントリー数や内定数に繋がったかが見えづらい部分があります。一方、スカウト型であれば、結果の数字(要した時間と各フェーズの参加人数)を見える化しやすく、やるべきことに集中できるようになると考えました。
−−OfferBoxの活用方法について教えてください。
a.Targeting:自社に合った採用ターゲットの設定
具体的に設定していたターゲット層は以下の2つです。
①東北に残っている大学院生
②首都圏の大学に進学した東北出身の学生
最近弊行は人事制度を大きく変更し、採用や配置、評価にジョブ型的な要素を加えました。早い段階から専門人材として育成していく企業風土があるなかで、専門人材となりうるような素養のある学生さんを採用したいと考え、「大学院生」をターゲットに設定しました。
そこから「志望企業が金融」「希望勤務地域が東北」という軸でさらに条件を絞り込みました。
b.Messaging:ターゲットに対して打ち出す内容の作成
最初のオファーでは、「興味があればまずはカジュアル面談でお話ししましょう」とお伝えしていました。
c.Processing:採用プロセスの設計
初回のカジュアル面談内では、仕事内容などをお伝えした上で、学生さんのやってみたいことを聞き出していました。30人程度の学生さんに対して、1対1のカジュアル面談を行いました。
「専門的な分野の仕事をしてみたい」という学生さんに対しては、その現場の行員との面談を別途セッティングし、リアルな仕事内容を知っていただいた上で2月のインターンシップや選考に進んでもらう流れにしていました。
−−OfferBox経由で出会った学生さん限定のフローは用意していましたか。
早期選考のご案内をしていました。また、通常は3回の面接にしているのですが、OfferBox経由で出会った学生さんのなかには、既に何度かお会いし、人柄や当行の業務内容について、よく理解しあっている方が多くいましたので、面接2回で内定をお出しした方もいらっしゃいました。
−−学生とコミュニケーションをとる際に意識した点はありますか。
「銀行には多様な仕事がある」ということを理解してもらう機会を作ることです。それぞれの仕事を通じて、どんな社会貢献を成し遂げることができるのかについて、学生さん一人ひとりが明確にしていただけるようにと意識して動いていました。
面談では、定型の会社説明よりも学生さん個人の興味を聞き出すことに重きを置き、合致する仕事内容をお伝えするようにしていました。今回内定を出した学生さんも、銀行の職種の幅広さを知ったことがきっかけで内定を承諾したと言っていました。
−−面接・面談で学生の何を見ていますか。
「なぜ七十七銀行に入りたいのか」という問いに対して、明確に答えられるかどうかです。
確固たる志望理由を持っていない学生さんも意外と多いもの。入行後に実現したいことを語れる人は、自分をビジネス分解できる力があると評価します。
また、どの職種でも周りの人と協力しながら進めていく仕事なので、コミュニケーションも重要視しています。目を合わせながら話せる、身だしなみがきちんとしている、といった最低限のラインをクリアしているかも判断材料にしています。
−−実際にオファーした学生の印象はどうでしたか。
みんな採用したいと思えるほど素晴らしい方ばかりでした。行員には、実際の仕事の中で代替案を瞬時に提案する力が求められますが、その素養を感じられるような論理性や頭の回転の速さ、自分で情報を掴みに行く主体性を備えた方が多かったです。
−−OfferBoxではそのような理想的な学生と出会いやすいと感じられる要因として、何が挙げられますか。
早期から企業と出会いたいと積極的に動いている学生が使っているので、必然的に就職への意欲や好奇心、情報感度が高い方に出会いやすいのではないかと思います。
−−弊社のカスタマーサクセスが行ったフォロー内容について教えてください。
ターゲット学生の検索軸の提案や、オファー送信後の歩留まりの確認、オファー文面の添削などをサポートしていただきました。定例ミーティングでは、一緒に進捗確認や振り返りをしてくださいました。
歩留まりの見える化で圧倒的な工数削減を実現しつつ、大学院生2名の採用に成功。
−−OfferBoxの効果について教えてください。
大学院卒2名を採用できました。
OfferBoxでオファーを送信したのは、実質3ヶ月と短期間でした。他にも採用業務があるなかで、大きな工数をかけずにターゲット学生2名を採用できたのは、非常に助かりました。オファー送信や面談でかかった約70時間で2名を採用できたことを考えると、他経路と比べて圧倒的に工数がかからなかったと言えます。
−−OfferBoxを導入してみて、採用活動に変化はありましたか。
通常の採用業務では、イベントの準備や資料作成など、学生に見えない部分の細かい作業が非常に多いものです。しかし、ダイレクトリクルーティングを使って、学生検索やオファー送信といった「直接学生と接する」機会を必然的に確保できるようになりました。
採用を「お見合い」に例えるのであれば、ずっと自分磨きを続けているより、結婚相談所に行った方がすぐ良い相手と出会える可能性が上がりますよね。ナビサイトも併用しながら、特に採用したいターゲット層には、OfferBoxでアプローチするという切り分けに活路を見出せたことは大きな成果です。
また、歩留まりの見える化によって、PDCAを回しやすくなりました。
−−OfferBox導入前と現在で、印象に違いはありますか。
コストが低い割に、効果が想像以上に高かったというのが率直な感想です。正直、ここまで優秀な学生さんを採用できるとは思っていませんでした。
今回採用に至った大学院生はプレゼン能力が非常に高く、長く人事に携わっている社員も驚いていたほどです。それも、OfferBoxでターゲットを大学院生に絞ってアプローチできたためだと思います。
−−最後に、今後採用において力を入れていきたいポイントを教えてください。
理系採用と女性採用、東北に大きく貢献できる人材獲得を強化したいです。デジタルソリューションに対応できる基盤と、女性も当たり前のように産育休を取得しながらキャリアを構築できる風土を作っていきたいという思いからです。
業界全体として、女性活躍の推進が進んでいるとは言いがたいなかで業界の風土を変えるべく、今後はOfferBoxを活用しながらターゲットの幅を広げていきます。
また、若手の営業社員を集めたプロジェクトチームで、採用のイメージ戦略に関する抜本的な見直しを進め、母集団形成の立て直しに繋げていく予定です。