企業の採用試験では、面接などのほかに「適性検査」が実施されることがあります。
適性検査とは、文字通り、「どういった仕事に適性があるか、どのような行動を取る傾向があるかなどを測るテスト」のことです。
適性検査として有名なのが、リクルートマネジメントソリューションズが販売するSPIです。非常に多くの企業で使われています。
しかし、適性検査はSPI以外にも多数あります。
数ある適性検査の中でも、SPIに次いで実施企業が多いのが「玉手箱」です。
目次
Webテストの「玉手箱」って何?どんなテスト?
日本エス・エイチ・エルという人事コンサルティング会社が、企業向けに販売するもので、SPIと同様に「知的能力」と「性格適性」を測定するWebテストです。
SPIは対策問題集などが多数出回っていることから、企業によってはSPIの使用を避け、玉手箱を使うというケースもあります。
高確率で受検する可能性があるテストです。SPI対策だけでなく、玉手箱にも備えておくようにしましょう。
テストセンター型の玉手箱【Webテスト型とテストセンター型】
玉手箱ですが、従来は自宅のパソコンなどで受検するWebテスト型が主流でした。
しかし、近年は、SPIと同様に、テストセンターと呼ばれる試験会場で受検するケースも見られます。
「C-GAB」という名称で実施されているのがそれです。
テストセンターで実施されるのは、不正を防ぐことが主な狙いです。
替え玉受検があったり、先輩(就活生)からカンニングペーパー(ファイル)が受け継がれたりしているということがあります。
そういった現状を踏まえてのことです。
出題される問題形式は、Webテスト型とほぼ同じです。
ただし、実施方法でWebテスト型と2つ異なる点があります。
1つは、性格適性検査は各自のスマホなどで実施するということ。
もう1つは、電卓などを使用できない点です。テストセンターでの計算は、筆算で行う必要があります。
SPIや他のwebテストとの違い
筆記試験には、様々な種類のテストがあります。例えば、玉手箱、SPI、TG-WEB、などです。これらの主な違いは試験の内容です。玉手箱の言語問題では、長文の読解がメイン、非言語問題では、四則演算、図表の読み取り、表の空欄推測が出題されます。
SPIでは、言語の問題に長文読解の他に、二語の関係や語句の意味、非言語問題では、推論や集合、速度など様々な問題が出題されます。さらに、TG-WEBの非言語問題では、暗号や図形など難しい問題も出されます。
玉手箱の特徴
玉手箱の筆記試験の特徴としては、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、玉手箱の特徴について以下の通り紹介します。この機会に、玉手箱の特徴について知っておきましょう。
問題の順番はランダムに出題されるが、出題ジャンルは一種類のみ
玉手箱の特徴の1つとして、問題の順番はランダムに出題されるが、出題ジャンルは一種類ということです。玉手箱の試験では、言語、計数、英語の問題で構成され、各分野ごとに問題が出題されます。
例えば、言語の試験では言語の問題しか出題されず、計数の試験では計数問題しか出題されません。一方で、問題の順番はランダムに出題されます。最初に図形問題、次に計算問題、その次にまた、図形問題、最後に表の空欄補充問題などです。
問題を解く時間が短い
問題を解く時間が短いことも玉手箱の特徴です。入試問題などのように、「じっくり考えて答えを導き出す」ということではなく、比較的平易な問題を、素早く正確に回答することが求められます。
例えば、玉手箱の言語問題の論理的読解では、15分で32問、計数の四則演算では、9分で50問処理しなければなりません。
一方で、SPI形式の言語の問題では30分で40問、非言語問題は40分で30問と比較的解答時間が玉手箱よりも長くなっています。
それぞれの問題の難易度は高くない
玉手箱では、それぞれの問題の難易度は高くないことも特徴です。SPIやTG-WEBの試験の言語問題は抽象的な問題が多く、非言語問題では推論や、仕事算、図形など少し難しい問題も出題されます。
しかし、玉手箱では言語問題が比較的読みやすい文章で、非言語問題では、四則演算や図表の読み取りが出題されます。そのため、問題のレベルは比較的簡単に解答できることがほとんどです。
玉手箱の分野別攻略法
玉手箱の問題をどのように攻略したら良いか悩んでしまう学生もいるでしょう。ここでは、玉手箱の分野別の攻略方法を紹介します。この機会に玉手箱の分野別の攻略方法を学びましょう。
玉手箱は、大きく4つのジャンルで構成されています。
【1】 言語問題
【2】 計数問題
【3】 英語問題
【4】 性格適性検査
言語問題
言語問題の攻略方法としては、質問を先に読むことや、長文をすべて読まないことが大切です。なぜなら、玉手箱の言語問題では、どの問題でも短時間で多くの問題を処理する必要があるからです。玉手箱の言語問題は、論理的読解(GAB形式)や趣旨判定(IMAGES形式)、趣旨把握の3種類に分類することができます。
他の試験と異なり、玉手箱では語句に関する問題は出題されず、長文読解がメインです。そのため、質問を先に読み、どのようなことを求められるのかを判断したり、長文を全て読まず、必要な段落や文章だけを読んだりして効率的に解くことがポイントです。
計数問題
計算問題の攻略方法は、電卓を使いこなすこと、練習問題を繰り返すこと、わからない問題は飛ばして次に進むことです。玉手箱の計数問題は、四則逆算、図や表の読み取り、表の空欄推測の3種類に分けられます。計数の問題は計算問題が多く、短時間で大量の問題を処理する必要性があります。そのため、電卓を使い計算を省略化することが肝心です。
これらの問題を攻略するためには、問題に慣れることです。参考書を繰り返し、問題をたくさん解くことで、問題の特徴や時間配分を見極めることができます。最後に分からない問題でも、解答して次に進むことです。玉手箱の問題では、誤謬率を測定していないため、難しく自分の分からない問題に時間を割かず、迷わず進み1つでも多く正解をすることです。
計数問題のイメージ
計数問題のイメージ問題を紹介します。与えられた図表から、設問に答える形式の問題です。問題内容は、SPIとは全く異なりますので、対策が必要です。
モデル問題
実際は、もっと複雑な図表が出題されています。
実際のビジネスの現場で使用されるような資料が使われていることもあります。
この問題ですが、選択肢ごとに、前年に対する現状の割合を求めるだけです(表中の数字をすべて計算する必要はありません)。
選択肢のAならば、甲市1990年の人口を、1980年の人口で割ればよいです。
A:635,123÷626,547=1.0136……
同じように、
B:106,446÷99,606=1.0686……、
C:662,592÷649,513=1.0201……、
D:69,416÷68,746=1.0097……、
E:236,449÷226,496=1.0439…
と計算します。
よって、Dが最も増加率が低いことがわかります。
なお、「増加率」なので、単純に10年前との人数の差だけを見ないように注意してください。
このように比較的シンプルな問題ですが、実際の検査では、もっと複雑な図表が大量に登場します。
設問文から図表の何を読み取り、どう計算するかを素早く判断する必要があります。
英語問題
英語問題の攻略方法も言語問題と同じように、質問を先に読んだり、問題文を全部読まないことが攻略方法の1つです。玉手箱の英語問題は、論理的読解と長文読解の2種類から構成されています。この中で、論理的読解では、10分間で24問に解答し、
また長文読解では、10分間で24問に解答します。そのため、短時間で多くの問題を処理する必要があります。質問を先に読むことで、問題文の内容がイメージしやすくなり読みやすくなります。問題文を全部読むと、時間がかかり制限時間内に解答することは困難です。このため、質問に関連する部分だけを読むことが大切となります。
性格適性検査
性格適性検査の攻略方法は一貫性を保つことです。玉手箱の性格適性検査では、性格と意欲を見極める検査です。この検査で応募者のパーソナリティが企業や職種の求める人材像に合っているかどうかを見極めます。これらは、会社ごとに組み合わせて出題されるので、問題数や解答時間が変化します。
この性格検査は特に勉強することはありませんが、嘘をついたり、矛盾したりすると結果に整合性がなくなったり、面接で指摘されたりする可能性があります。そのため、自分の性格を正直に解答したり、企業の求める人材に合わせ答えるにしても一貫性を保つように答えることが重要になります。
玉手箱対策ステップ
玉手箱対策をどのような順序で、勉強したらよいか不安になる学生も多いはずです。ここでは、玉手箱の対策ステップを紹介します。この機会に、玉手箱の効率的な対策ステップを学びましょう。
問題集を1周して形式に慣れる
玉手箱の対策ステップの1つとしては、問題集を1周して、形式に慣れることです。これまで大学生が学生時代に受けてきたテストとは全く異なり、玉手箱やSPIなど含めて就職活動で課される筆記試験は、独特の形式です。予備知識や対策なしで本番のテストを受験してしまうと、高確率で失敗する可能性が高いです。
そのため、問題集や参考書を購入し、一通り全ての問題に触れ、どのような問題が出題されるのか、テストの制限時間がどのくらいあるかなど確認して、出題形式に慣れることが大切です。
模擬テストを受けて現状を把握する
模擬テストを受けて現状を把握することも玉手箱の対策ステップです。筆記試験をいきなり本番で受験しようとすると、出題内容や形式に慣れず、高得点を獲得できない可能性が高いです。そのために本番の試験を受験する前に模擬テストを受験することが大切です。
模擬テストを受けることで、自分の得意分野や苦手な分野、時間配分を理解し、自分の現状を把握することができます。このことによって、今後どのように玉手箱の問題を勉強していくのか効果的な戦略を練ることができます。そのため、模擬試験を受けて自分の現状を把握することは、非常に重要です。
練習するときは制限時間を意識して解く
練習するときは制限時間を意識して解くことも大切です。玉手箱を含め多くの就活の筆記試験では、学生の事務処理能力が求められます。なぜなら、社会人では、ミスをしないように短時間で大量のタスクを遂行しなければならないからです。そのため、1問あたりに対する時間配分が少ないです。
これまでの学生生活の試験でこのような、事務処理能力を意識した経験はあまりないと思われます。このようなことから、玉手箱の練習を解く際は制限時間を意識して解くことが玉手箱の対策ステップの1つになります。
本命企業の前に一度は体験しておきたい
本命企業を受ける前に、できれば何度か玉手箱を体験しておきたいものです。何度か受検すると、同じ問題がでることもあります。
玉手箱対策におすすめの参考書
玉手箱の参考書と言えばどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、一例として玉手箱のおすすめ参考書2選を紹介します。紹介した参考書で玉手箱対策の参考にしてください。
これが本当のwebテストだ
おすすめ参考書の1つは、「これが本当のWebテストだ!(1) 2024年度版 【玉手箱・C-GAB編】(本当の就職テスト)」です。この本では、どのような問題が出題されたか学生からのリアルな声を反映して作成しており、本番に近い問題が掲載されています。
また、効率的に解くことができるテクニックも紹介されています。本書では、どの企業が玉手箱を実施しているのかの貴重な情報もあります。そのため、この本は玉手箱を勉強する上で定番の参考書です。
Webテスト1【玉手箱シリーズ】完全対策 2024年度 (就活ネットワークの就職試験完全対策2)
Webテスト1【玉手箱シリーズ】完全対策 2024年度 (就活ネットワークの就職試験完全対策2)もおすすめです。この参考書も、受験した方の声を調査して作成されたものです。
本書では、カンタン攻略法という解説も掲載されていたり、筆記試験を実施している企業の情報もあります。そのため、初めての学習者におすすめの参考書です。
玉手箱の練習問題が解けるサイト
玉手箱の練習問題が解けるサイトととしておすすめサイト2選を紹介します。紹介したサイトで玉手箱対策の参考にしてください。
マイナビの「すぐできる玉手箱対策!」
おすすめのサイトの1つとして、マイナビの「すぐできる玉手箱対策!」が挙げられます。このサイトでは、問題と解説が一緒に掲載されていますので、効果的に玉手箱の対策をすることができます。玉手箱は、WEB上で実施することが大半です。
このサイトは、PCで実施するため、実際のWEB試験の雰囲気を体験することができます。書籍を購入して勉強をするとお金がかかってしまいますが、このサイトでは無料で勉強できます。
一般常識一問一答.com
一般常識一問一答.comもおすすめの玉手箱の練習問題が解けるサイトです。このサイトも、無料で玉手箱の問題を解くことができ、解説もありますので非常に便利なサイトです。このサイトでは、問題が出題されるだけでなく、その問題の補足問題や類似問題も掲載されており、より多くの問題を解きたい方におすすめです。
1番のオススメポイントは、玉手箱の問題を動画で解説されていることです。動画解説があることで、よりわかりやすく勉強をすることができます。
玉手箱の練習問題ができるアプリ
玉手箱の練習問題が解けるおすすめアプリ2選を紹介します。紹介したアプリで玉手箱対策の参考にしてください。
玉手箱 問題集解説付き
玉手箱 問題集 解説付きは無料で玉手箱で出題される分野の頻出するテーマの問題と解説が一緒になっています。画面がシンプルで問題や解説が見やすいことが特徴です。スマホを使用して勉強することができますので、自分の隙間時間を有効に活用することができます。
玉手箱対策 計数
「玉手箱対策 計数」もおすすめのアプリです。このアプリは玉手箱の計数に特化したアプリです。本アプリでは、計数問題で出題される各分野の問題を網羅し、全問題解説付きとなっています。その他に、自分の進捗状況や分野ごとの正答率を確認することができます。
玉手箱に関するまとめ
玉手箱では、長文読解、四則演算、表の読み取り、英語、性格検査などが出題されます。この試験の特徴は、解答時間は短く、問題のレベルは易しいです。この試験を対策するために問題集や、模擬試験を行い、テクニックを学ぶ必要があります。おすすめの参考書、サイト、アプリを紹介しましたので、自分が志望する企業で出題されるかを確認して対策をしましょう。