
企業の採用試験では、面接などのほかに「適性検査」が実施されることがあります。
適性検査とは、文字通り、「どういった仕事に適性があるか、どのような行動を取る傾向があるかなどを測るテスト」のことです。
適性検査として有名なのが、リクルートマネジメントソリューションズが販売するSPIや、日本エス・エイチ・エルが販売する玉手箱です。
非常に多くの企業で使われています。しかし、適性検査はSPIや玉手箱以外にもあります。
数ある適性検査の中で難解とされているのが「TG-WEB」です。近年、幅広い業界で実施企業が増えています。
実施企業はSPIや玉手箱に比べると多くありませんが、日系の大手金融や外資系企業などの有名難関企業で出題されることもあります。
Webテストの「TG-WEB」って何?どんなテスト?
ヒューマネージという人事コンサルティング会社が、企業向けに販売しているもので、SPIや玉手箱と同様に「知的能力」と「性格適性」を測定します。自宅のPCで受けるタイプのWebテストですが、テストセンターで実施するタイプのものもあります。
難易度が比較的高く、高校や大学で習うのとは違う、なじみのない問題も出題されるため、「初めて見たときは戸惑った」という感想が多く聞かれます。しかし、一度解き方を知っておけばその心配はありません。あらかじめ対策しておくことが重要です。
TG-WEBにはどんな問題が出る?【出題内容】
では、具体的にTG-WEBがどんなテストかを見ていきましょう。
TG-WEBの出題内容
TG-WEBは、大きく3つのジャンルで構成されています。
【1】 言語問題
【2】 非言語問題
【3】 性格適性検査
言語問題では長文読解や空欄補充などが出題されます。非言語問題は、特殊な問題が多く、展開図や推論、またこの後紹介する暗号を読解する問題などで構成されています。
言語問題、非言語問題ともに、難易度が高いですが、問題数はあまり多くはありません。
なお、テストセンターでは、英語適性検査が行われることもあります。
TG-WEBはこんな問題が出る【非言語問題のイメージ】
非言語問題の例として、「暗号」のイメージ問題を見てみましょう。

TG-WEBの暗号問題では、言葉を「ローマ字で表す」「数字で表す」「英語で言い換えて、さらに暗号化する」といったパターンがよく出題されます。
この問題は「ローマ字で表す」パターンの例になります。
解法としては、どのパターンでも、
- 例示されているものから法則性を見出す
- 解くべき暗号を解読する
というステップになります。
実際に解いていきましょう。
暗号を解くためのヒント
- 文字数を確認する
- 繰り返し出てくる文字に注目する
- 母音・子音がどう表現されているかを整理する
まず文字数を確認すると、「ぶつり」は6文字、「せかいし」は8文字の暗号となっていることから、この例では英字の小文字と大文字を組み合わせて、1つの音を表す暗号となっていると推測できます。
また、「ぶつり」では「X」が2度、出てきます。「ぶ」「つ」いずれも母音が「ウ」で終わるものがXで表されているようです。
同様に考えて、「ぶつり」「せかいし」で「Y」が3度、出てきます。「り」「い」「し」いずれも母音が「イ」のものです。
これをヒントに考えると、「せ」は「W」、「か」は「Z」で終わっていることから、母音は
ア→Z イ→Y ウ→X エ→W
と表されていると想像できます。
ここでははっきりとは分かりませんが、「オ」は「V」かもしれませんね。
では、与えられた設問を考えてみましょう。
「かがく」は「か」「が」がア段、「く」がウ段ですので、「Z」が2度、「X」が1度出てくることになります。
選択肢を見てみると、その条件を満たすのは、「2 dZeZnX」「4 nZeZnX」「5 oZlZgX」です。
3つに絞られました。
ここで、最初の例文を見てみると「せかいし」に「か」が出てきます。2文字目ですから「か」は「nZ」と推測できます。3つの選択肢のなかで「4」のみ、「nZ」が出てきます。したがって、正解は
「4 nZeZnX」
です。
この暗号の場合、アルファベットと五十音の関係は下記のようになっています。
ですが、すべての暗号を読み解かずとも、正解を導き出すことができます。
問題文や選択肢を、注意深く見るようにしましょう。

なお、他の選択肢は以下のようになります。
1 oWoYeV えいご
2 dZeZnX ざがく
3 lYeZnX ちがく
5 oZlZgX あたる
「暗号」はSPIや玉手箱では出題されないジャンルです。
TG-WEBでは「暗号」のほかにも、「立体の展開図」や「図形の軌跡」などが、難しいレベルで出題されます。
初めて目にすると戸惑いが大きいかもしれません。市販の問題集などで、しっかり解法をおさえておきましょう。
「難解な問題が出題されるタイプ」が主流だが、新傾向問題が出題されるケースも
以上のようにTG-WEBについて解説してきましたが、ここで紹介したものは難解な問題が出題されるタイプです。これがTG-WEBの主流となります。
しかし、最近では、難易度はそれほど高くないですが、短い時間で多数の問題が出されるケースもあるようです。
問題の出題内容も傾向が異なり、言語では同義語やことわざなど語彙に関する問題、非言語では四則演算と図表の読み取り等が出題されます。
実施する企業はまだあまり多くありませんが、主流タイプと問題数や出題内容が大きく異なりますので注意しましょう。
TG-WEB攻略のノウハウ【攻略のポイント】
どの適性検査にも共通して言えることですが、押さえておきたいポイントを紹介します。
【1】志望企業がTG-WEBを使っているか、情報収集をする
自分が受ける企業が、TG-WEBを使っているのかどうか、インターネットで調べたり、先輩に聞くなどして、情報収集をしましょう。
TG-WEBは難解で対策が必要なテストですが、SPIや玉手箱ほど使用企業は多くありません。やみくもに勉強するのではなく、きちんと調べてから対策を始めるようにしてください。
【2】 問題集で、解法パターンを覚える
自分が受ける企業でTG-WEBが課される可能性があると分かったら、TG-WEBが掲載されている問題集で練習しておきましょう。
問題集は、最新の情報に更新された本を使用すべきです。
できれば、先輩から譲られたものや、古本は避けたほうがよいでしょう。
TG-WEBの出題ジャンルはSPIや玉手箱に比べてそれほど多くないため、逆に対策がしやすいです。
何度も解いて解法パターンを覚えれば対応できるでしょう。
【3】 問題を記録しておく
受検したら問題をメモに残すなど、記録に残しておきましょう。
ややグレーゾーンに入る行為ですが、友達とどんな問題が出たかを共有するという方法もあります。
なお、スクリーンショットとして画像が保存できないようになっています。
【4】とにかく回答しておく
SPIの一部では「誤謬率(ごびゅうりつ)」といって、間違えの割合がはじき出されます。
そのため、でたらめに回答することは避けるべきです。
しかし、TG-WEBでは、誤謬率は測っていません。答えられない問題が出てきた場合や、回答時間が足りない場合でも、とにかく回答しておいたほうがよいでしょう。
【5】自宅受検は電卓、テストセンターは筆算に慣れておく
自宅で受けるTG-WEBの場合、計算に電卓を使うことができます。メモ用紙も用意して、スピーディーに解けるよう、電卓の使い方に慣れておくとよいでしょう。
逆にテストセンターで受けるタイプのTG-WEBでは、電卓を使うことができません。あらかじめ筆算で解く練習をして慣れておくとよいでしょう。
適性検査の重要性はますますアップ
適性検査は、選考過程にいる大人数の学生を、一定数に絞るのに有効な手段のひとつです。
以前は「本選考の前に勉強すればいいや」という学生さんもいましたが、インターンシップの選考で筆記試験を実施するケースが増えています。
というのも、学生の皆さんも就活におけるインターンシップ参加の重要性を認識している今、人気企業には応募が殺到し、参加者を絞り込むために筆記試験を課す企業が増えているからです。
それだけ、適性検査の重要性は高まっているといえます。
企業からオファーが届いた場合であっても、適性検査が実施されるケースもあります。
自分が志望する企業で実施される可能性が高い試験の種類を調べ、きちんと対策しておくようにしましょう。
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