よく聞く「ナントカ利益」って何? ~ 企業の儲けをカンタンに解説 

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基礎的な経済用語を理解しよう

ニュースなどで「今期の〇〇利益は〇〇億円で、前年比〇〇%減でした」などといったフレーズを耳にしたことがありませんか。
ただ、経済用語(財務情報)って難しいですし、大きな数字が出てくるので、よくわかりませんよね。
例えば「収益」と「利益」の関係を聞かれたら、すぐに説明できますか?

企業選びでは、業務内容や働き方なども重要ですが、財務的に健全であるかどうかは重要な要素です。そもそも企業はお金を稼ぐ組織です。
志望企業が無理な経営をしていないか、またどのように利益を上げているのかを具体的につかむために、財務情報もしっかり確認したほうがよいでしょう。

ここでは、よく登場する経済用語(財務情報)の意味について説明します。
消費者としてではなく、ビジネスの視点で企業を見ることに慣れていきましょう。
基礎的な知識は、就活だけでなく、就職してからも役に立ちます。

 

「収益」と「利益」の違い

企業の活動は、お金の流れを追わないことには明確に見えてきません。
まず、全く意味が違うものなのに混同しがちなのが「収益」と「利益」です。
「収益」とは、企業に入ってくるお金のこと。ここからさまざまな「費用」を引いていくと「利益」が算出されます。

これをビジュアルで示したのが上の図です。
商品やサービスを顧客に提供することによって生み出した「売上高」から、原材料の仕入れ値など「売上原価」を引いたものが「売上総利益」
ビジネスシーンでは、よく「粗利(粗利益)」と呼ばれます。
なお、サービスなど形のないものを提供したことによって得られたお金は「売上高」ではなく「営業収益」と表現されることもあります。

 

稼ぐ力を見る「営業利益」「経常利益」

「売上総利益」から、さらに広告費や人件費、運送費などを差し引いたのが「営業利益」
本業のみから稼いだ利益、という意味です。

営業利益に本業以外の損益を加味したのが「経常利益」で、企業が経常的に(臨時ではなくいつも)稼ぎ出す力を見ることができます。
「本業以外の損益」というと少しわかりにくいですが、典型的な例では有価証券の売却、借入など、企業の財務活動を通して生まれる利益や損失を指します。

不動産などを所有している企業も多数あります。
本業が厳しい状況でも、不動産を活用すれば定期的に一定の収益を得られます。
本業が赤字続きでも、所有するビルを貸し出すことで、経営を成立させているというのは、よく聞く話です。

なお、子会社や所有する不動産などを臨時で売却した場合などは「特別利益」や「特別損失(特別損益)」として計上する必要があります。
さらにそこから法人税などを差し引いたものを「当期純利益」といいます。

 

レストラン経営を例に利益をイメージしてみよう

これまで解説した内容を、レストラン経営を例に、よりかみ砕いて解説します。
仮に、自分がレストランの経営者であるとイメージしてください。

まず1年で1000万円を売り上げた(売上高)とします。ただ、食材を仕入れるのに600万円掛かりました。
売り上げ(売上高)から材料費(売上原価)などを引き、ザックリと計算した売上総利益(粗利)は400万円となります。

しかし、費用は他にもあります。店員などを雇った人件費、広告宣伝費、店舗の賃料などです。
事業を運営していくときに必ず掛かるこうしたお金が販売管理費(販売費および一般管理費)です。
このレストランの販売管理費が150万円掛かったとすると、400万円-150万円で、250万円が営業利益です。

次に、経常利益。前述のように営業利益に、本業以外で発生した儲け(営業外収益)を加え、費用(営業外費用)を引いたものです。
営業外収益・費用の例は企業の事情によりさまざまですが、例えばレストランを始めるにあたりお金を借りていた場合、支払う利息は営業外費用となります。

一方、営業外収益には、定期預金の利息、株式投資で得た配当金などが含まれます。
このレストランでは、20万円を借りていましたが、15万円を株式の配当金で得ていました。
そのため、マイナス5万円が営業外損益となります。つまり、250万円から5万円を引いた245万円が、経常利益となります。
本業では稼いでいても、こうしたところで損失を出し、経常利益がマイナスの企業もあります。

 

過去5年(5期)の財務データをチェックする

さて、用語の意味が理解できたでしょうか。
実際に企業のウェブサイトなどには、こうした財務情報が公開されていますので、チェックしてみてください。
財務情報は、5期(5年)くらいを見て、上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかをチェックするとよいでしょう。
単年で赤字であったとしても、特殊な事情に基づく場合があります。

この場合、複数の同業他社を比較して、志望企業だけが売上高も営業利益も下がっているなら注意すべきですが、業界全体として赤字続きなら社会環境の影響などが要因と考えられます。
もちろん、業界自体が縮小している可能性があるので、楽観はできません。

 

数字の背景の説明にも目を通そう

企業の決算資料には、業績とともに「そのような結果となった理由」も書き込まれています。
探し出してザッと目を通しておけば、業界・企業研究の有力な手掛かりになります。

例えば「有価証券報告書」なら、冒頭で主な経営指標の推移が報告された後、事業内容、従業員の状況などの情報に続いて「事業の状況」というコーナーがあります。
ここに業績の背景や重点課題が記されています。

ちなみに「従業員の状況」コーナーには、平均勤続年数や年間給与額も公表されていますので、あわせてチェックするとよいでしょう。