インフラ業界とは?分野や動向、働く魅力、向いている人など解説

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人々の生活基盤を支えるインフラ業界。

人のため、社会のために働きたいと憧れている人も多い一方、さまざまな分野があるため業界全体の様子を把握しにくかったり、具体的にどの分野を目指すべきか決めかねたりしている人も多いのではないでしょうか。

インフラ業界全体のことや各分野のことがわかれば、説明会に参加した時に話を理解しやすくなりますし、志望動機や自己PRも作りやすくなります。

この記事では、インフラ業界の主な7つの分野について解説していきます。各分野の概要、職種、動向がわかる他、インフラ業界全体の魅力や向いている人の特徴も紹介するので、業界研究に役立ててください。

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インフラ業界とは

インフラ業界は、ガスや電気、鉄道など、社会の基盤を支えるサービスを提供している業界です。インフラ業界が提供しているサービスは、人々の日常生活において欠かせないものがほとんどです。

もしインフラ業界が提供するサービスが停まってしまえば、今のような便利かつ清潔、快適な生活はできなくなるでしょう。また、多くの企業の事業運営にも支障をきたします。

現代の人々の当たり前の生活・社会活動は、インフラ業界によって成り立っていると言えるでしょう。

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インフラ業界の主な分野

インフラ業界と言っても、分野はさまざまあります。ここでは、インフラ業界の主な分野を7つ解説していきます。各分野の代表的な企業も紹介していくので、業界研究に役立ててください。

電力業界

電力業界は、家庭や企業向けに電力の発電・供給を行う業界です。電力業界には、発電を担当する発電事業、電気を送る配送電事業、電気を家庭や企業に売る小売電気事業があります。

なお、電気小売事業は、もともと各電力会社が担当地域に対してのみ行う地域密着型の体制をとっていました。しかし、2016年4月1日以降は電力の小売全面自由化により、地域に縛られない電気の販売が可能になっています。

電力業界の代表的な企業としては、東京電力、関西電力、中部電力などがあります。

ガス業界

ガス業界は、海外からガスを輸入し、家庭や企業向けに供給している業界です。

ガスには都市ガスとプロパンガスの2種類があります。都市ガスは専用の地下供給管を通じて家庭や企業に供給されるもの、プロパンガスはガスボンベによって供給されるものです。

それぞれで代表的な企業も違い、都市ガスなら東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス、プロパンガスなら岩谷産業、エネサンスホールディングス、日本瓦斯などが有名です。

なお、ガスの小売については電力より1年遅れて2017年4月から自由化されています。

水道業界

水道業界とは、給水の目的で水道管およびその他の施設を使い、個人家庭や企業に水を提供する業界です。家庭用に水を供給する上水事業、工場に工業用水を供給する工業用水道業に分けられます。

他にも、公共下水道、流域下水道、都市下水路により雨水・汚水を排除・処理する下水道業もあります。

水道事業というと「〇〇市水道局」のような各地域の公営企業が思い浮かべられがちですが、設備・システムの設計などは、日立造船や栗田工業などの民間企業が請け負っています。

石油業界

石油業界には、石油や天然ガスの開発を行う開発事業と、原油を精製・商品化して販売する元売事業があります。元売事業では、原油をLPガス、ガソリン、灯油、燃料油、軽油、重油、アスファルトなど、用途に適した形に商品化しています。

代表的な企業として有名なのは、ENEOSホールディングスや出光興産、コスモエネルギーホールディングスです。開発事業と元売事業を両方行っている企業や、石油以外のエネルギー事業も合わせて行っている企業もあります。

鉄道業界

鉄道業界は、鉄道を使って人や物を輸送するサービスを行う業界です。大きく分けて、一般の乗客を顧客とする在来線・新幹線と、物流会社を顧客とする貨物輸送の3つがあります。

なお、鉄道業界の企業の中には、不動産、ホテル、ショッピングセンター、オフィスビルのなど、鉄道以外の事業を手がけているところも多くあります。

鉄道業界の企業としては、JRや東急、東武鉄道、近鉄グループホールディングスなどが代表的です。

航空業界

航空業界は、航空機を使って人や物を国内外に輸送するサービスを提供する業界です。実際に航空機を運行する航空会社の他、空港の管理・運営や空港での物販・飲食物提供を行う空港運営会社も航空業界に含まれます。

なお、空港の中には、滑走路は国が管轄し、旅客ターミナルは民間企業が管轄する形をとっていることもあります。

航空業界では、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、日本空港ビルデングなどが代表的です。

通信業界

通信業界は、電話やインターネットの利用を可能にするため、回線や設備を整備している業界です。

通信の種類には、固定電話やパソコン向けの固定通信、携帯電話やスマートフォン、PHS向けの移動体通信、インターネット向けのIPSなどがあります。

NTTやソフトバンクグループ、KDDIなどが代表的です。

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インフラ業界の主な職種

インフラ業界にはさまざまな分野がありますが、就活の際にはさらに各分野における職種までチェックしておく必要があります。細かい職種名や仕事内容などは企業によって異なることもありますが、ここでは代表的な職種を見ていきましょう。

エネルギー業界(電気・ガス・石油)

エネルギー業界の代表的な職種としては、下記職種が挙げられます。

  • 営業:家庭や企業に向けて自社商品のプランを説明し、契約をとる。
  • 保守・メンテナンス:エネルギー供給に使う設備の点検や修理、交換などをする。
  • 製造設備管理:エネルギーの開発・製造に使う設備の点検や修理をする。
  • マーケティング:商品の企画・立案や、そのための市場調査を行う。
  • 生産管理:供給するエネルギーの質を保てるよう生産体制を管理する。
  • 在庫管理:エネルギーを十分に供給できるよう、供給ルートやエネルギーの残量を管理する。

鉄道・航空業界

鉄道・航空業界の代表的な職種としては、下記職種が挙げられます。

  • 乗務員:車掌、運転手、パイロット、客室乗務員。
  • 整備士:車両、機体の整備・点検を行う。
  • 駅・空港職員:乗客の対応や危険物の確認、乗客からの問い合わせ対応などを行う。
  • 運行管理:気象や機体、車両の情報収集、欠航や運休・遅延の判断、運行計画の作成などを行う。

なお、航空業界の場合は離着陸や走行路の指示を出す管制官、入国審査官、税関職員といった職種もありますが、これらはいずれも国家公務員です。

通信業界

通信業界の代表的な職種としては、下記職種が挙げられます。

  • 営業:企業が抱える課題に対して自社の通信サービスを使った解決策を提案し、契約をとる。販売代理店のスタッフとして、一般顧客への販売促進をすることもある。
  • 企画・マーケティング:市場調査をもとに新たな企画を立てたりブランディング戦略を立てたりする。
  • コーポレート職:経理、人事、法務など、自社の運営に関する業務を行う。
  • エンジニア:ネットワークや社内システムの設計、開発、運用、保守をする。

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インフラ業界の動向・トレンド

続いて、インフラ業界の動向・トレンドを見ていきましょう。インフラ業界は、分野によっては世界情勢や気候、景気などに左右される場合があります。

また、社会基盤を支える業界だけに、政治的な動きによる影響を受けるケースもあるので、しっかり確認しておきましょう。

エネルギー業界(電気・ガス・石油)

エネルギー業界は現在、苦しい状況に立たされています。ウクライナ情勢の悪化によりLNGの価格が高騰し、利益が出しづらい状況になっています。新電力会社のなかには倒産に追い込まれるケースも出ています。

LNGの価格高騰をうけて、各社は販売価格を上げていますが、販売価格を上げるにも限界があるため、エネルギー業界にとって厳しい状況がしばらく続くと考えられています。

水道業界

水道業界では、人口減少に伴う売上の低下、施設の老朽化による維持管理コストの増加などが喫緊の課題として挙げられます。

人口減少による売上低下への対応としては、水道事業が未発達な東南アジア地域や、経済発展が著しい中国への海外進出などが行われています。

また、事業のデジタル化により現場のデバイスやシステムの管理、水道使用量の計量、配水の最適化などを効率的に行えるようにして、時間やコストの削減に取り組んでいます。

鉄道・航空業界

鉄道業界も航空業界も、2020年は新型コロナウイルスの流行によって旅客数が低迷し、売上が大幅に減少しました。

しかし、鉄道業界の場合、2021年の旅客数は全体で2019年のコロナ前の75%まで、新幹線に限定するとコロナ前の50%まで回復しています。

航空業界も2021年には前年より旅客数が増え、ANAの場合は2022年上半期が黒字となりました。JALの2022年上半期決算は赤字でしたが、前年同時期に比べると赤字が縮小しており、2022年7月~9月の四半期決算では黒字となっています。

通信業界

通信業界の売上は、2017年〜2021年はほぼ横ばいです。携帯電話の分野では2020年に政府から携帯電話料金の引き下げ要請が出され、2021年には大手3社がそれぞれ格安プランを発表しました。

その後、携帯電話料金引き下げを目玉政策として掲げていた菅前首相が辞任したことでこの動きは当初よりも落ち着いていくと思われますが、5GやIotビジネスの展開などにより、今後も各社の競争は続くでしょう。

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インフラ業界で働く魅力は?

次に、インフラ業界で働く魅力について、以下の5つを解説していきます。

  • 業界が安定している
  • 社会への貢献感が高い
  • 待遇や福利厚生が充実している
  • 専門的な知識を身につけられる
  • 文系・理系があまり関係しない

業界が安定している

インフラ業界の魅力の1つは経営の安定性です。インフラ業界が提供するのは人々の日常生活の基盤となるサービスであるため、どのような景気・社会情勢になっても、需要がなくなってつぶれるということは基本的にないでしょう。

ただし、景気や社会情勢の影響を全く受けないというわけではなく、実際に新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響で厳しい状況に立たされている分野もあります。しかし、ライフラインを担っているためいざという時には国からの支援を受けられるでしょう。

社会への貢献感が高い

社会への貢献感が高いことも、インフラ業界の魅力です。インフラ業界では人々が普段使っている水や電気、ガス、交通手段、通信などのサービスを提供しています。よって、自分たちの働きが人々の役に立っていることをさまざまな場面で実感できるのです。

特定の層のみをターゲットとする業界もある中、インフラ業界は年齢・性別・職業に関係なくあらゆる人々の生活を支えます。こうした社会貢献性の高さは、働くやりがいにもつながるでしょう。

待遇や福利厚生が充実している

インフラ業界は先述の通り安定して需要があるため、経営状態が安定している企業が多いです。よって、その分従業員の待遇や福利厚生が他の業界より充実している傾向にあります。

住宅手当や扶養手当といった手当の他、自社の鉄道や飛行機に無料で乗れたり、直営のホテルを格安で利用できたりと、日常生活で役立つ福利厚生が多いのです。

また、育児休暇が取りやすく、有給消化率が高い傾向にある点も魅力でしょう。

専門的な知識を身につけられる

インフラ業界では、専門的な知識を身につけられます。

その1つが、法的知識です。インフラ業界が扱うのは生活の基盤を支えるサービスなので、細かい規制が法律で決められていることが多く、仕事をする中で知識が身についていきます。

電力業界や水道業界などで技術職に就いた場合には、電気・水道の点検や管理をするための専門スキルも身につくでしょう。

専門的な知識・スキルが身につくことで自分の成長を感じられますし、市場価値も上がっていきます。

文系・理系があまり関係しない

インフラ系の業界への就職では理系が有利だと思われがちですが、実際には文系・理系はあまり関係しません。確かに特定の専門職・技術職については、理系の大学・学部である程度専門知識を学んでいる必要があることも多いです。

しかし、インフラ業界には理系の知識を活かした専門職・技術職の他にも、営業や事務、品質管理といった職種があります。これらの職に就くにあたっては、文系・理系はそれほど重視されないのです。

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インフラ業界に向いている人

次は、インフラ業界に向いている人の特徴について見ていきましょう。「向いている人」は「業界に求められる人物像」とも考えられるので、該当するものがあれば自分の強みとして、面接時にアピールすることもおすすめです。

責任感が強い人

インフラ業界に向いているのは、責任感が強い人です。インフラ業界では人々の生活を支えるサービスを提供しているため、少しのミスでも非常に多くの人々に迷惑がかかってしまう可能性があります。

病院へ電気が届かなくなったり、家庭へ届ける水の質が悪くなったり、電車や航空機の管理・運行がずさんだったりすれば、人々の命にまでかかわる問題に発展しかねません。

よって、常に責任感を持ち、慣れた簡単な業務であってもミスのないよう緊張感をもって取り組める人はインフラ業界に向いていると言えます。

マニュアル通りの正確な仕事ができる人

マニュアル通り正確に仕事ができる人も、インフラ業界に向いています。インフラ業界では、基本的にマニュアルに沿った正確な仕事が求められます。マニュアルに従わずに仕事をするとミスが発生し、多くの人々の生活に影響が出かねないからです。

いつもマニュアル通りに仕事をしていると、同じことの繰り返しでつまらないと感じる人もいるでしょう。しかし、それでもマニュアル通りに正確に仕事を続けられる人は、インフラ業界に向いていると言えます。

社会に貢献できる仕事をしたい人

社会に貢献できる仕事をしたい人も、インフラ業界に向いています。

世の中にはさまざまな仕事がありますが、社会貢献の程度・範囲が限定的であったり、社会全体というよりも目の前のクライアントのためという意識の方が強かったりするものも多いです。

一方、インフラ業界は人々が毎日当たり前のように利用しているサービスを提供しているため、社会全体に対して広く貢献しているという実感を得やすいです。

よって、社会のため、人々のために働きたいという気持ちの強い人にも、インフラ業界は向いています。

安定した仕事に就きたい人

安定した仕事に就きたい人も、インフラ業界に向いています。倒産の心配が少ないこと、育児休暇や有給休暇が取りやすく福利厚生が充実していることから、会社の経営面から見ても、働き方の面から見ても長く働きやすいでしょう。

ただし、電力・ガス業界については小売自由化などにより新規参入してくる企業も出ており、競争が激化しています。また、鉄道・航空業界もコロナ禍からの売上回復途中の段階であるため、こうした点には注目しておくべきでしょう。

忍耐力がある人

インフラ業界は寡占状態が長く続いていたこともあり、古い体質が残っている企業も多くあります。また、繁忙期には残業も多く、緊急時には突発的に出勤しなければならないこともあります。

よって、忍耐力があるということも、インフラ業界に向いている人の特徴であると言えるでしょう。

業務内容や働き方の面だけでなく、年功序列制度や人間関係など社風の面でも古い体質が残っていることがあるため、それに適応できる忍耐力も必要です。

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インフラ業界で売上高の高い企業は?

最後に、インフラ業界で売上高の高い企業を見ておきましょう。エネルギー業界、水道業界、鉄道・航空業界、通信業界に分けて紹介していきます。インフラ事業以外の事業も合わせて展開している企業もあるので、興味がある場合は事業内容を調べてみてください。

エネルギー業界(電気・ガス・石油)

エネルギー業界における売上高TOP3の企業は、次の通りです。

【電気・ガス業界】

  • 1位 東京電力ホールディングス
  • 2位 関西電力株式会社
  • 3位 中部電力株式会社

4位以降は、東京ガス、東北電力、九州電力と続いており、電気・ガスの小売自由化で新規参入企業が増えているとはいえ、伝統的な企業が売上上位を守っていることがわかります。

【石油業界】

  • 1位 ENEOSホールディングス
  • 2位 出光興産株式会社
  • 3位 コスモエネルギーホールディングス

4位以降は富士石油、日本コークス工業、ニチレキと続いています。

水道業界

水道業界の売上TOP3の企業は、次の通りです。

  • 1位 日立造船株式会社
  • 2位 栗田工業株式会社
  • 3位 株式会社タクマ

企業名だけを見ると水道事業で何をしているかわかりにくいかもしれませんが、例えば日立造船は、海水淡水化設備の建設、汚泥再生システムの提供、上水・工業用水処理システムの設計・施工などを行っています。

栗田工業は水処理施設の運転・維持管理、水処理装置の製造・販売・メンテナンスなどを行っており、タクマは水処理装置の提供などをしています。

鉄道・航空業界

鉄道業界の売上TOP3の企業は、次の通りです。

  • 1位 東日本旅客鉄道株式会社
  • 2位 西日本旅客鉄道株式会社
  • 3位 東海旅客鉄道株式会社

4位以降は東急、阪急阪神ホールディングスが続いています。なお、例えば東日本旅客鉄道はショッピングセンター、ホテル、不動産、クレジットカードなど、多様な事業を展開しています。

航空業界の売上TOP3の企業は、次の通りです。

  • 1位 全日本空輸株式会社(ANA)
  • 2位 日本航空株式会社(JAL)
  • 3位 スカイマーク株式会社

4位以降はソラシドエア、スターフライヤーと続いています。

通信業界

通信業界の売上TOP3の企業は、次の通りです。

  • 1位 日本電信電話株式会社(NTT)
  • 2位 ソフトバンクグループ
  • 3位 KDDI株式会社

4位以下は株式会社NTTドコモ、フジ・メディア・ホールディングスが続いています。なお、NTTは不動産やエネルギー事業を行う子会社を持っており、ソフトバンクグループは投資事業や不動産事業、ヘルスケア事業を行う子会社を持っています。

このように、通信事業以外の事業も展開している場合があるので、企業研究の際には合わせて確認してみましょう。

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まとめ

インフラ業界には電力・ガス・水道・石油・鉄道・航空・通信などさまざまな分野がありますが、いずれも人々の日常生活や社会活動に欠かせない基盤となるものばかりです。

それだけにやりがいが大きい一方、少しのミスで社会に大きな影響が出る可能性があるため、責任感がある人、マニュアル通りに仕事ができる人に向いています。また、業界の性質上、安定性や待遇・福利厚生を重視する人にも向いています。

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