日産の理系出身社員に”総合職の働き方”を聞いてみた

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理系学生だからと言って研究職が全てではない!

人生において、キャリア選択はとても重要です。その時々の経験がその後の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。

では、日々研究に打ち込む理系学生のキャリアはどんな選択肢があるのでしょうか?今回は、大学では鉄鋼のリサイクル性の向上について研究をされていた、株式会社日産自動車の小川隼平さんにインタビューをしてきました。小川さんは開発部署に所属後、現在はイギリスでセールスを担当されております。

そんな小川さんに理系→文系職というキャリアについてお話をお伺いしてきました!

きっかけは、もっと会社に貢献したいという気持ちから

 

Q.理系出身であるにもかかわらず、なぜ文系職を選ばれたのでしょうか?

新卒での配属はエンジン用金属材料の開発部署で、6年程技術開発を行っていました。
そんな中、オープンエントリーという制度を使って、技術広報に異動したことがマネジメント職に足を踏み入れるきっかけでした。オープンエントリーとは、希望する職種があれば自分だけの意思でチャレンジすることができる仕組みです。一般的な日本企業では、ずっとお世話になっていた部署との関係を断ち切って他の部署に異動することはなかなか踏み出しにくいことかもしれませんが、日産では積極的にこの制度が活用されており、異動後も活躍している人が多く見受けられます。
技術者からセールス&マーケティングや商品企画、収益マネジメントのような、よりバリューチェーンの主活動に自らの軸足を移す人も多いです。

 

Q.小川さんは社会人大学院にも行かれていたのですよね?

はい。技術経営大学院(MOT)に2009年から2011年まで2年間、会社に通いながら勉強していました。
そこでは、技術経営マネジメントから財務会計まで幅広く勉強しました。大学院ということもあり研究テーマ持っていたのですが、私は電気自動車(EV)のような不確実性の高い経営戦略を評価する方法論を研究しました。

 

Q.なぜ、大学院に通おうと思われたのですか?

会社経営に携わりたいという想いが強かったことが一番の動機でした。入社当初はそのようなイメージを持ってはいませんでしたが、企業の様々な課題に直面していくことで、経営に関わっていきたいと思うようになりました。大学院に行くことで更に多忙になることが想定されたため長年躊躇していましたが、リーマンショックをきっかけに自分をより個として強くしたいという想いが勝り、一歩を踏み出しました。

そしてイギリスへ

 

Q.その後はどのようなキャリアを進まれたのですか?

技術広報で4年間働いた後、小型商用車部門のトップをサポートする立場で1年間働きました。大きな会社のトップのマネジメントを見ることができるいい機会でした。そのトップの人はとにかく経営者としての仕事の仕方が素晴らしい人でした。
イギリスの開発拠点の社長も経験された方だったのですが、経営判断の基準が明確で意思決定が早く、自らの手で社内のサポートを獲得していき、しっかりと実行に落とし込める人でした。

 

そんな恵まれた環境でしたが、自分を振り返るとバリューチェーンの主活動の経験が無いこともあり、自身の経営判断のよりどころが無いことが非常に問題だと感じ、その後2年間の国内マーケティングを担当させてもらいました。

 

Q.バリューチェーンの主活動の経験が無いとまずい思ったきっかけは何だったのでしょうか?

役員をサポートする仕事のひとつとして、部門の活動を情報収集して資料化する役割もあったのですが、プロジェクトマネジメントやマーケティングなど主活動の領域で経験値の高い人と話す際には、その内容に感心してばかりでした。学校で学んだだけの上っ面の知識では経営はできないと痛感していました。

私は、ビジネスとは

  • 技術をつかって長いスパンで競争力を高めていく
  • 人とお金をつかって短いスパンで競争に打ち勝っていく

という2つの要因が噛み合って成功するものと考えています。

 

私は短いスパンで結果の出る仕事の方が向いていると感じたので、後者の立場で会社に貢献したいと考えました。仕事のスパンが短い2年間の国内マーケティングの経験は自分の向き不向きを確かめる良い機会でした。その後、更に仕事のサイクルが短いセールスの領域に、英国で踏み出すことになりました。

 

Q.イギリスでお仕事されてみてどうですか?

自動車ディーラーやリース会社、お客さまなど、ネイティブスピーカーと直接対面する仕事なので、求められる英語力が非常に高く、オンオフとことん英語漬けの日々を過ごしています。
日本では独学で勉強していて、ある程度のコミュニケーションは取れると思いイギリスにきましたが、会話のスピードや英国各地の多種多様なアクセントになかなかなれる事が難しく、部内のミーティングについていくことさえ非常に難しいです。今はとにかく、可能な限り英語力を上げる努力を続けるのみです。

 

「理系だから」「文系だから」は関係ない!

 

Q.お仕事をされる上で、理系であることのアドバンテージを感じたことはありますか?

経営者として数字に強いということは必須条件だと思いますが、文系の人でも数字に強い人はいくらでもいます。社会人になって勉強したりキャリアチェンジする機会はいくらでもあります。やりたいと思ったことに対して必要な能力を身につけていくためのPDCAサイクルをいかに早く回していけるかが大切なのではないでしょうか。そこには、理系も文系も関係無いと思います。
一方、一般的な理系のアドバンテージを考えると、文系にはなかなか携わることが難しい、技術者としての道が選べるということでしょうね。

 

【最後に、理系学生に向けて一言お願いします】

就職活動をする上では、理系であることを忘れるのがいいのではないでしょうか。理系であることに誇りを持つことは良いと思いますが、理系だからといって技術者にならないといけないというわけではないはずです。
私の周りにも、商社やコンサルティングファームで活躍している理系の友人はたくさんいます。自らレッテルを貼らず、理系だからこその幅広いキャリアの選択肢を有効に使って、自分に合ったキャリアを自ら作りあげてほしいと思います。

 

まとめ:目標からの逆算力

自分がやりたいことは何か、そのために必要な力は何か、と自分に問い続けて実践してきた小川さんだからこそのキャリアだと感じました。理系の就活生の方は、技術職以外にも様々な選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

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