理系院生の就活 全ての根底にはものづくりへの情熱がある

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今回お話しを伺ったのは、大学院で応用生命の研究室に所属し研究を続けている西田晋さん。とにかく研究が好きだという彼の学生生活、そして就活について聞いてみました。

 

 

父親からの影響で芽生えた情熱

―西田さんは現在大学院で研究をなさっているとのことですが、六年間の学生生活で一番何に熱中していましたか?

そうですね…。軟式野球や社交ダンスのサークルに所属していたのですが、一番となるとやっぱり研究ですね。

 

―どういった事を研究されているのですか?

今は応用生命系の研究室に所属しています。学部の時には森林科学科というところにいて、森林について学ぶ学生団体にも所属して海外との交流などもあったのですが、専門を決める段階になってもっと生物の細かい部分を研究したいと思うようになって。それで今の研究室に配属になりました。

 

―そう思うようになったきっかけは何かあるのですか?

その段階でのきっかけではないのですが、もともと父親の影響もあって、何か「ものづくり」をしたい、という漠然とした夢が中学生の頃からあったんです。
で、どういった観点からものづくりをするかってなった時に、化学なのか生物 なのかと考えて、農学部に入って、そこからやりたい事が広がっていったといった感じですね。

 

―お父様からの影響というのは…?

うちの父親、建築の設計士なんですけど、自分の興味がある事にはとことん情熱を持っている人で。例えばテレビで一瞬だけ映った建物でも、ほんの一瞬なのに「あれは俺が設計したものなんだ」とすごく嬉しそうに話すんですよね。
そういう父を見て育ってきたので、小さい頃からものをつくるのって楽しそうだな、と思っていました。それが僕の進路や夢にも影響しているんだと思います。

 

―子供の頃からの影響が今やりたい事に繋がっているなんて、お父様もきっと嬉しいですよね!

 

 

苦労した研究

お話しを伺っていると、西田さんはとても冷静な方のような感じがするのですが…。実際はいかがですか?

冷静でいようと思っているけど実際そうでもないってことが結構ありますね(笑)。性格的な部分でいったら粘り強さはあると思います。

 

―何か粘り強さを実感するエピソードがあったんですか?

はい。学部の四年生の時に研究室に配属されて、初めの頃は意気揚々とやってやるぞって思ってたんです。
でもいざ実験を始めると、基本的な実験もうまくいかなかったりして、結局十二月くらいまで成功しなかったんですよね。 周りからは、別にデータがなくても卒論は書けるし、もうあきらめるだろうなと思われていたみたいなんですけど、結果が出るまで粘って最後には成功しました。最後まであきらめない性格が功を奏したんだと思います。追い込まれてからが強いんです。

 

―本当に研究熱心なんですね…!尊敬します。

 

就活はきちんと準備をするべき

―就活はいつから意識し始めたのですか?

それほど強く意識して就活するぞ、と思った事はあまりなかった気がしますね。
インターンにも行ったりしましたが、何か見てみておもしろそうな企業があれば、という軽い気持ちでした。文系就職、例えばメーカーの営業とかも考えてインターンに行った結果、 やっぱり研究したいな、と思ってそこから理系研究職に絞って考え始めました。

 

―やっぱり行きつくのは「ものづくり」なんですね。実際就活が始まっていかがでしたか?

結構バタバタだった気がします。六月前半で最終面接まで行ったところが落ちてしまったりして、どうしようかなと思ったところOfferBoxを思い出したんです。実はESを書き始めたあたりの時期にOfferBoxのチラシを大学生協でもらったのですが、その時は意識していなくて。チラシを貰ったことを思い出して、それから登録して、今の内定先にオファーを頂きました。

 

―就活に関して何かアドバイスなどありますか?

ES、面接、そういったひとつひとつをしっかり練習した方が良いと思います。
こんな事を言ってしまうのはどうかと思うんですが、就活ってはっきり言って、ちょっと茶番みたいなところがあると思うんです。実際に仕事が出来るかどうかもあるとは思うけど、自分の良さを相手にちゃんと伝えられるかどうか、という部分も少なからずあるな、と思いました。実際僕の周りでも、すごく優秀で性格も明るいのに、しっかり対策してなくて落ちてしまったりとかありましたしね。準備も含めてそこに向かって全力を出すことが必要だと思います。

 

―企業にもよると思いますが、就活に関してはそういう部分はあるかもしれないですね。

 

 

ものづくりのワクワク感を、ずっと追い求めたい

―内定先の会社ではどういった研究をされるのですか?

製薬会社で薬を生み出す研究をします。まだ詳しい配属とかは決まってないんですが、希望としては、薬をどう作るかという研究をしたいと思っています。今まで化学薬品の組み合わせで新しい薬を作るのが主流だったんですけど、生物から作ろうっていう流れに変わりつつあるんです。ただ生物から医薬品を作る技術にはまだまだ改善の余地があるみたいなので、その分野で研究をしたいと思っています。最終的に製薬業界全体にまたがるスタンダードな技術を生み出せたらうれしいですね。

 

―研究を続けていく上で、大きな野望みたいなものはありますか?

そうですね。先ほど生物から薬品を創る時代になってきていると言ったんですけど、やっぱり化学薬品は既にあるものを組み合わせるので安く出来るんですよね。
いくら良い薬とは言え、バイオ医薬品はとても高価で、近年話題になっているある薬なんかは、ひとりの患者さんが一年間使用すると数千万円かかる ぐらいなんです。だからそれを安く作る技術を開発したら、世界中で需要があるのではないかと思っています。
僕自身、新しいものを創る過程はとてもワクワクしますしね。

 

―そこまで熱中できることがあって良いですね!研究のどんなところが魅力ですか?

世界でまだ誰も見たことのない現象を一番に見られるというところですね。研究していて、例えば誰も試したことがない条件下で微生物を顕微鏡観察すると、思いがけない結果がでたりする んですけど、初めてその結果を確認する瞬間は感動してしまいます。そんな感動を追い求めて、新しいものを創っていきたいのかもしれないです。

 

―なんだか私までワクワクしてきました!難しすぎて全然分からないですけど(笑)。いつか西田さんが創った薬が世界中で有名になる日を楽しみにしています!本日はありがとうございました。

共感してくださって嬉しいです(笑)。ありがとうございます、頑張ります。

 

―幼い頃からの「ものづくり」への憧れで、ずっと研究を続けている西田さん。冷静さの中にも、研究に対する情熱が見える人でした。“新しいものを創りたい”という思いで研究と就活を行ってきた奥には、強い探究心があるようです。