就活でよく耳にする「学歴フィルター」 そんな学歴フィルターをどう捉え、就活生側はどう動けばよいのかを紹介する。
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存在する学歴フィルター
採用基準の一つに「大学名」があるのは事実だろう。あからさまに学歴差別された時代が、70〜80年代の日本にはあった。学歴で線引きをされるのは、学生側にすればたまったものではない。しかし、企業側も、消費者認知が高い(消費者にとって身近な商品やサービスを行っている)企業は就活生からの人気も高くなる。つまり、互いに「知っている名前」というのは、一つのボーターラインとしてどうしてもある意識だ。
80年代以降は学歴差別をなくすために、大学名を無記名にしたり、大学によって受付をしないということはなくなった。一見学歴差別はなくなったように見えるが、ここ数年は「学歴フィルター」としてネットを中心に再び言われるようになってきた。会社説明会の予約が取れなかったり、応募自体が出来なかったり、あからさまな対応はなくなったものの、学歴フィルターは就活生も社会人も薄々と感じ、存在し続けてきた。
学歴がなければ、就職活動、ひいては就職後もずっと影響を受け続けるのだろうか。
「そうか、やっぱり学歴か……」と思う方もいるだろう。そうだ、学歴だ。いや、もちろん大卒でも、しかも有名な大学を出ていても、そもそも就職できない人、仕事をする能力が低い人がいることも事実だし、大学を卒業していなくても活躍している人がいるのもまた事実だ。しかし、その一部の例をもとに、「学歴なんて関係ない」と結論づけるのも乱暴である。
実際、タテの学歴、つまり中卒、高卒、大卒別で見ると、最終学歴による賃金の差は明らかになっている。一方で、大卒の間でも差がついてきているのも事実だ。だから、「学歴なんて関係ない」と言い切るのも乱暴だし、確かに学歴だけで何もかも約束される時代でもないこともまた、事実である。
ただ、もうひとつ考えたいのは、別に学歴というのは偏差値の高さだけではないということである。
例えば、私が気になっているのは「日本大学出身者は、なぜ楽しそうなのか?」という問題である。日大は有名大学であり、伝統校である。しかし、早稲田大学や慶應義塾大学はもちろん、MARCHほど偏差値は高くない。ただ、日大の卒業生たちはよく「卒業してから、日大でよかったと思う」と話す。なにせ、マンモス大学で人数が多く、どこにでもOB・OGがいる。スポーツが強く、愛校心も持ち続けることができる。単純な偏差値だけでなく、このような社会的資本の違いがあるのである。
大学については、「日本の大学は遅れている」「米ハーバード大学には絶対に勝てない」「日本の大学なんて行くだけ損」などという言説もよく見かけるが、これも大変に乱暴で、確かに日本の大学の問題は多々あるが、とはいえ行くことにはそれなりに意味があるということだ。
「『学歴は関係ない』は暴論? 公平を謳う企業の採用に潜む、隠れた学歴差別の罠」(2014.07.07 ビジネスジャーナル)
学歴だけを主眼に置く企業ばかりではない
学歴フィルターは確かにある。しかし、名門大学だからといって良い授業を行っているとは限らない。また「就職に力を入れている大学」などと謳っている大学もある。偏差値や知名度は低くても、講義を充実させるなど就職率が高いという大学はある。
大学を「自分が持つ社会的資本」の一つとして考えるならば、ネームバリューだけではなく、複数の視点から見直す必要があるだろう。
また、有名大学でも就職出来ない学生もいる。企業側も学歴だけを主眼におく企業ばかりではないし、年々「良い人材が欲しい=学歴以外の視点を持って採用している」という企業も多くなっている。学歴ばかり良くても、入社後期待はずれだったという話もある。企業がどんな人物を求めているか、採用担当者や経営者とコンタクトを取りつつ、事業内容を研究し、自分なりにやってみたいことをアピールする就活生には、企業側は学歴ではなく魅力ある人物として着目するだろう。
学歴「以外」を再確認しよう
学歴のことだけでなく、何を活かすのか今一度振り返ろう。大学名ということではなく、「何を学んだのか」「何を考え、やってきたのか」「興味があること」など、自分自身で考えたことを整理するという作業になる。
学歴フィルターや就活に関するニュースは、基本的にチェックすべきだが、あまりにもあおられる必要はない。自分の考えていること、興味のあることをもう一度整理し、見直すことの方が、より自分とマッチする企業と出会う確率を高めることになるだろう。「自信がない」という気持ちを持つ人もいるかもしれないが、とりあえず振り返ることは重要だ。
自分を分析したい、という人に役立つのが、OfferBoxの「適性診断360度」である。適性検査のサービスだが、自己分析だけでなく友人に診断してもらうことにより、他者から見た自分を知ることが出来る。OfferBox利用学生へのインタビューでも、「いろんな年代の人に、いろんな確度から指摘がもらえて良かったです。自分では見えていない部分を知ることができました。プロフィールや自己分析の改善に役立てられたし、面接で長所短所を言うときに、他の人からもらったフィードバックを活用できました。」「就活では自己分析は大事」とのコメントがある。これを機に、まだやっていない人はやってみてはどうだろう。
実績作りにインターンシップを経験してみる
まだ興味があることが分からない、経験が不足していて自信がない。そんな人は、インターンに積極的に参加してみるのも手だ。実際にインターンを経験すると、想像していた「働く」とは違うことに気づく。企業によって仕事はそれぞれ違うだろうし、そこで自分の肌感覚を持つことが出来る。また、やりたいことがはっきりしなかった人も、経験することによって「これならいけそう」「これはいやだ」「今まで興味はなかったけど、この仕事はやりたい」という自分なりの基準が出来てくるだろう。
学歴に自信がなくても、自己分析することでアピールすることは出来るし、経験を通して更に自己を研鑽することは可能だ。OfferBoxでも、企業からインターン参加のオファーがある。
企業側は「自分たちの仲間になってくれる人」を探している
OfferBoxを利用している企業側が着目している一番の特徴は、「プロフィールから熱心さが伝わる」学生だ。有名大学、留学経験の有無、という学生ばかりに注目している訳ではない。企業側は「自分たちの仲間になってくれる人」を探している。
OfferBoxは様々な企業が利用している。有名企業もある。消費者の認知度が低くとも業界では名の知れた企業もあるが、こういった企業は学生には無名企業に思うだろう。これは学歴フィルターによく似ているのではないだろうか。隠れた名企業は、たくさんある。
有名無名に限らず、どの企業でも「学生の人柄」や「熱意」に関して、採用基準から外す企業はないだろう。またその「人柄」も「熱意」も、各企業でそれぞれ求めているものが微妙に違っている。違っていて当たり前、それが企業の特徴になるからだ。
もし「学歴も何もない」「どうせ学歴フィルターで振り落とされるから頑張ったところで無駄」と感じているならば、そう思う前に少し考えてほしい。これだけ企業があっても、求めているものが少しずつ違うと言うことは、自分にも合う企業があるかもしれない、ということを。「自分にとっていい企業」と巡り会い、就職できることが一番いいことじゃないだろうか。