「事業の範囲が広すぎて全体像をつかみづらい」
「具体的な仕事内容を知りたい」
エンターテイメント業界に興味をもって研究を進めるなかで、このような悩みが生まれた人は多いのではないでしょうか。日常生活との関わりが深いエンターテイメント業界ですが、ユーザー目線でしか見たことがなければ、業界の仕組みが少し分かりづらいですよね。
そこでこの記事では、エンターテイメント業界の基本的な情報から、動向や業種・職種まで詳しく解説していきます。記事の最後では志望動機の例文とポイントも紹介するので、ぜひ選考対策に役立ててください。
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目次
エンターテイメント業界とは
エンターテイメント業界は、ゲームや音楽、アミューズメント、書籍などあらゆる娯楽コンテンツを通じてユーザーを楽しませる業界です。自分の好きなことや趣味をそのまま仕事に繋げやすいことから、就職活動でも学生人気が高い傾向にあります。
業界内で活躍する企業としては、ゲームメーカーやプロスポーツ運営企業、芸能事務所などが代表的です。目と耳で映像や音を楽しむもののほか、身体を動かして楽しむものなど、エンターテインメントには多種多様な形態があります。
エンターテイメント業界の現状、新型コロナウイルスの影響も
日本生産性本部が発表した「レジャー白書2021」によると、2020年の余暇関連市場規模は、スポーツ、趣味・創作、娯楽、観光・行楽の4部門すべてで前年比マイナスでした。
一方、プラスの結果だったのが動画・音楽配信や電子出版、公営競技、ゲームなどの部門です。外出が必要なジャンルは悪影響を受けた反面、自宅で楽しめるジャンルは堅調な伸びを見せており、新型コロナウイルスで打撃を受けたジャンルとそうでないジャンルで明暗が分かれています。
ただ、2021年の余暇関連市場規模は、スポーツ、趣味・創作、観光・行楽の3部門で前年比プラスでした。新型コロナウイルスの影響がなかった時期の水準にはほど遠いものの、エンターテイメント業界は復調傾向にあります。
エンターテイメント業界の課題
課題の1つが外部プラットフォームに依存する業界構造です。現在のエンターテイメント業界は、外部プラットフォームを通じて娯楽コンテンツをユーザーに届ける構造が一般的ですが、それによって手数料やユーザーとの接点喪失などの問題が生まれています。
例えば、開発したスマートフォン向けアプリを配信したい場合、企業はApple StoreやGoogle Playで配信してもらう代わりに手数料を払う必要があります。その手数料の負担が大きいうえ、ユーザーとの直接接点がなくなるためにデータを蓄積しづらくなるのが課題です。
また、外部プラットフォームへの依存体制は、企業内部のテクノロジー進化の妨げにもなっています。娯楽コンテンツを届ける過程を外部プラットフォームへ頼るせいで、企業内部の技術強化が遅れてしまっているためです。
こうした背景から現在のエンターテインメント業界では、自社プラットフォームの整備や、既存ビジネスモデルの変革が求められています。
エンターテイメント業界の重要トピック
新型コロナウイルスの影響や、対応していくべき課題はありますが、今後も成長が見込まれる業界であることには変わりありません。そんなエンターテイメント業界で、特に注目が集まっている5つの分野を紹介します。
【5つの注目分野】
- e-sports
- サブスクリプション型ゲーム
- キャラクタービジネス
- AR・VR技術
- 5Gと配信コンテンツ
e-sports
e-sportsは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームを使った対戦競技のことを指します。元々ユーザーが多かったゲーム業界で、気軽にオンライン対戦できるようになったことから、大規模なイベントや大会を開催する動きが活発化しています。
例えば、NPB(日本野球機構)はコナミとの提携で「eBASEBALL プロリーグ」を開催しており、FIFA(国際サッカー連盟)は「eクラブワールドカップ」を主催しています。
ゲーム業界だけに留まらず、スポーツ業界などの他の業界を巻き込んでタイアップする事例が増えており、今後もこうした動きがますます増えていきそうです。
サブスクリプション型ゲーム
音楽や映画のサブスクリプションに続き、ゲーム業界でもユーザーの囲い込み戦略が重視されています。例えば、任天堂は2021年に「Nintendo Switch Online + 追加パック」のサービスを開始し、ソニーは2022年に「PlayStation®Plus」を大幅リニューアルしました。
過去の人気タイトルを遊べるサービスや、オンラインで遊べる権利などの魅力から加入ユーザーが続々と増えており、安定した収益源の1つとなっています。
キャラクタービジネス
子どもの人口減少とエンターテインメントの多様化に対応すべく、キャラクタービジネスに変化が生まれています。その代表的な例が、放送開始から20年から30年経過した作品をリメイク放映する試みです。
「おそ松さん」「うる星やつら」などの過去の人気作品を次々とリメイクする動きから読み取れるように、幅広い年代のファンを取り込むことで、新たな需要を呼び起こすことに成功しています。
AR・VR技術
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術が、ライブ・旅行・ゲームなど幅広いジャンルで再び注目されています。AR・VRが再注目された背景にあるのは、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の拡大です。
自宅に居ながら外の景色や娯楽を味わえることから、AR・VRの市場が順調に拡大しています。また、facebook社がmetaに改名するきっかけになった「メタバース」のブームも、仮想空間関連のビジネスに注目が集まった要因の一つです。
5Gと配信コンテンツ
5Gの普及によって従来以上の高速通信・低遅延・多数同時接続が実現し、動画像コンテンツに大きな影響を及ぼすことが期待されています。具体的には、映像の変化や臨場感の変化、写真の変化などが例に挙げられます。
外出先でスポーツの試合を高画質かつ遅延なしで楽しめるようになったり、動画・写真撮影時に会話を瞬時にテキスト化したりできるようになれば、娯楽の幅がさらに広がるはずです。
エンターテイメント業界の主な業種一覧
【主な業種】
- ゲーム事業
- 芸能・スポーツ事業
- 映像・音声事業
- レジャー・アミューズメント事業
- 出版事業
- 映像・動画配信事業
- おもちゃ・グッズ事業(販売)
エンターテイメント業界には主に7つの業種があります。業種ごとの特徴や違い、代表的な企業を把握しておきましょう。
ゲーム事業
ゲーム事業は、ゲームに関連する商品・サービスを提供する事業です。ゲームハードを開発するゲームメーカー、ソフトを開発するゲームソフトメーカー、ゲームセンターに設置される筐体を開発するメーカーなどが活躍しています。
従来は家庭用ゲーム市場がメインでしたが、現在ではゲームアプリ市場が急激な成長を見せています。そのため、スマートフォン向けゲームアプリに強みをもつ企業が、知名度を上げているのがゲーム業界のトレンドです。
【代表的な企業】
- 任天堂
- ソニー
- スクウェア・エニックス
- バンダイナムコエンターテインメント
- Cygames
芸能・スポーツ事業
芸能・スポーツ事業は、芸能タレントやアスリートのマネジメントサービス、スポーツチームの運営などをおこなう事業です。芸能プロダクションを例に挙げると、映画やテレビドラマの出演交渉、コンサートの主催などを事業内容としています。
非常に市場規模が大きいことから、事業に関わる職種は様々です。芸能タレントやアスリートのように表に立って活躍する職種はもちろん、芸能マネージャーや番組制作者のように裏で活躍する職種も数多く存在します。
【代表的な企業】
- ソニー・ミュージックエンタテインメント
- 吉本興業
- ジャニーズ事務所
- オスカープロモーション
- バーニングプロダクション
映像・音声事業
映像・音声事業は、映画や音楽の制作を手がける事業です。映画の企画・製作や海外映画の日本語版制作、宣伝に使うためのプロモーション映像制作、映画の中で流れる音声の制作などを担当しています。
活躍する企業は、放送局や制作会社、配給会社、興行会社、広告代理店などです。映像・音声を制作するだけでなく、完成した作品を人々に宣伝する役割も担っています。
【代表的な企業】
- ウォルト・ディズニー・ジャパン
- KADOKAWA
- 東宝
- 東映
- 東北新社
レジャー・アミューズメント事業
レジャー・アミューズメント事業は、テーマパークや遊園地、動物園、水族館、ゲームセンター、パチンコホールなどの運営を通じて娯楽を提供する事業です。主に、自宅以外の場所で楽しむ活動のことをいいます。
この事業の特徴は、地域のイメージ向上と活性化に繋げやすいことです。2022年11月にオープンが話題になった愛知県のジブリパークのように、1つのレジャー・アミューズメント施設によって大きな経済効果を見込めます。
【代表的な企業】
- オリエンタルランド
- ラウンドワン
- バンダイナムコアミューズメント
- カプコン
- マルハン
出版事業
出版事業は書籍を通じて人々に娯楽を提供したり、情報を届けたりする事業です。文芸やライトノベル、児童書、コミック、雑誌、電子書籍など幅広いジャンルの書籍を取り扱っています。
インターネット上で無料で読めるコンテンツが増えたことや、スマートフォンで情報を得るのが当たり前になりつつあることで、紙媒体の市場規模は年々縮小傾向にあります。その一方で、堅調な伸びを見せているのがデジタル媒体です。
【代表的な企業】
- 講談社
- 小学館
- 集英社
- KADOKAWA
映像・動画配信事業
映像・動画配信事業は、インターネットやスマートフォンを通じて映像コンテンツを配信する事業です。映像コンテンツを扱う点では映像・音声事業とよく似ていますが、あちらは制作に重きを置いているのに対し、こちらは配信に重きを置いています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要や、自宅にいながらいつでも好きな動画を楽しめる便利さなどを背景に、特に動画配信サービスの市場が急速に拡大しています。
【代表的な企業】
- Netflix
- Amazon
- hulu
- NTTドコモ
- DAZN
おもちゃ・グッズ事業(販売)
おもちゃ・グッズ事業は、子どもから大人まで幅広い年代を対象とし、余暇を楽しく過ごせるようなおもちゃを作る事業です。小さい子どもが遊ぶおもちゃはもちろん、カードゲームやジグソーパズル、プラモデルなども扱っています。
子どもの人口減少に対応すべく大人向けの商品が続々と開発されるなど、年齢層を拡張しようとする動きが活発化しています。
【代表的な企業】
- タカラトミー
- バンダイナムコホールディングス
- サンリオ
- ハピネット
- セガサミーホールディングス
エンターテイメント業界の職種と仕事内容
【主な職種】
- 営業
- 制作・企画
- マーケティング
- 販売
- 宣伝・PR
- 施設管理・イベント運営
- 一般事務
エンターテイメント業界には多種多様な職種があります。それぞれの具体的な仕事内容とやりがいを知り、自分の強みや仕事に求めるものと照らし合わせてみましょう。
営業
自社の商品・サービスを顧客に売り込んだり、企業タイアップの契約に繋げたりする仕事です。ゲーム事業を手がけるゲームソフトメーカーを例に挙げると、自社のソフトを取り扱ってもらえるよう、ゲームショップや販売店に働きかけることが仕事になります。
営業のやりがいは、自分の努力が数字として表れることです。契約を獲得すればするほど結果に反映されるため、会社に貢献しているという実感を得られます。
制作・企画
映画や書籍、イベントなどの制作と企画に携わる仕事です。出版事業であれば、雑誌を作るにあたってコンセプトや構成を考えたり、作家や専門家に記事の執筆を依頼したりすることが仕事になります。
制作・企画のやりがいは、新しいアイディアを立案できる点です。エンターテインメント業界は様々な娯楽コンテンツをユーザーに届けることが最終的な目標ですが、そのスタート地点ともいえるアイデア立案に関われるのが魅力といえます。
マーケティング
市場のニーズやトレンドを調査・分析する仕事です。今後どんな商品・サービスが流行っていきそうなのか、既存商品・サービスをどう改良していくべきなのかなど、企画職がアイディアを出すために必要な情報を集める役割を担っています。
マーケティングのやりがいは、社会の最新トレンドを正確に把握できることです。現在の社会で流行っているものや、飽きられつつあるものなどを、客観的なデータに基づいて知ることができます。
販売
主に店頭において、接客やレジ打ち、商品の品出し、在庫管理などを担当する仕事です。おもちゃ・グッズ事業であれば、テナントや店舗の販売スタッフとしておもちゃを売ることが仕事になります。
販売のやりがいは、お客さんが楽しんだり喜んだりする姿を間近で見られることです。直接関わる機会が多い分、時には心ない言葉を投げかけられてしまう大変さはありますが、同様に感謝される機会も多いのが販売ならではの魅力といえます。
宣伝・PR
より多くの人に自社の商品・サービスを認知してもらい、購入や利用に繋げるための仕事です。メディアやSNSを通じて新しい商品・サービスを告知したり、PRイベントを開催したりすることが仕事になります。
宣伝・PRのやりがいは、自分が好きなものや人に使ってもらいたいと思うものを、世の中に広く発信できることです。例えば、ゲームが好きでゲーム関連の企業に入ったのであれば、自分が面白いと感じるゲームを多くの人に知ってもらえることがやりがいになります。
施設管理・イベント運営
テーマパークや遊園地などの施設管理と、イベントの運営に携わる仕事です。設計や施工、演出、清掃など様々なスタッフが関わっています。
施設管理・イベント運営のやりがいは、多くのスタッフと協力して1つの大きな娯楽コンテンツを作り上げられる点です。テーマパークに代表されるように、非日常的な空間づくりに携われることがやりがいになります。
一般事務
経理・財務や調達、人事、経営企画、カスタマーサービスなど幅広い業務を担当する仕事です。他の職種と比べると日の目が当たりづらい役回りですが、あらゆる部門・職種を支えるサポーター的存在として活躍しています。
一般事務のやりがいは、様々な部門・職種の人たちと関わりながら仕事を進められる点です。他部門とうまく連携を取りながら仕事ができたときには、大きな達成感を得られるでしょう。
エンターテイメント業界に向いている人・活躍しやすい人
ここでは、エンターテイメント業界に向いている人と活躍しやすい人を紹介します。当てはまっていないと活躍できないわけではありませんが、自分の適性を見極める判断材料の1つにはなるはずです。
感受性が強い・情報感度の高い人
他人の気持ちを敏感に察知する感受性が強い人や、幅広い情報と知識を得ようとする情報感度が高い人はエンターテイメント業界に向いています。特に、マーケティングや宣伝・PRの仕事で能力を活かしやすいでしょう。
エンターテイメント業界には、「これから流行っていくものを作り出す」という特徴があります。そのため、活躍する場所や入社歴にかかわらず、働く従業員全員に感受性と情報感度の高さが必要です。
主体性・行動力のある人
一から価値を作り上げていく業界であるため、主体性や行動力のある人が向いています。積極的に自分の意見を伝えたり、自分から行動を起こしたりしながら物事を進めていく能力が大切です。
エンターテインメント業界は、市場ニーズの変化が非常に早い業界です。受動的な考えではその変化についていけないため、主体的に行動し、新しい価値をもつ商品・サービスを生み出せる人が求められています。
イメージ・アイデアの言語化ができる人
自分の考えや想いを言語化し、分かりやすく相手に伝える力も大切です。
たとえ自分の頭の中に魅力的なアイディアがあっても、それをうまく言葉で説明できなければ形にはなりません。
クライアントのニーズを具体的な企画に落とし込んだり、商品・サービスについて消費者に対して適切なイメージな印象を与えたりするために、アイディアを言語化するアウトプット能力が求められています。
エンターテイメント業界の志望動機の例文とポイント
「人に喜びを与えられる仕事」を就活の軸にしているのは、自分が楽しむこと以上に、人が喜んでいる姿を見るのが好きだからです。誰もが一度は遊んだことがあるであろう玩具であれば、その実感を最も得られやすいと考えて玩具メーカーを選びました。
多くの玩具メーカーの中で御社を選んだのは、幼い頃によく遊んでいた玩具を振り返ったときに、そのほとんどが御社の商品だったためです。
自分が好きだった玩具を他の人に知ってもらいたい、幼い頃の自分を惹きつけた玩具にどんな魅力があるのか知りたい、という想いから御社の企画職を志望しました。
【ポイント】
エンターテイメント業界の志望動機作成のポイントは、ユーザー目線ではなく、サービスの提供者目線で語ることです。
「ゲームが好きだから」「読書が趣味だから」などをきっかけにするのは問題ありませんが、それだけで終わらず、好きだからこそ提供者として何を実現したいのかを伝えましょう。
まとめ
以上、エンターテイメント業界の基本的な情報から、志望動機の例文まで解説しました。
多くの学生が「ゲームが好き」「趣味を仕事にしたい」などの理由から、エンターテイメント業界に興味を抱いていると思いますが、そうしたユーザー目線だけでは魅力的な志望動機を書けません。
「好き」を仕事にしたいのであれば、サービスの提供者として自分に何ができるのか、どんなことを実現していきたいのかをしっかりと考えておきましょう。
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