旅行業界とは|市場規模や売上ランキング・今後の展望など

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「旅行業界の詳しい仕事内容を知りたい」
「新型コロナウィルスの影響が気になる」

旅行業界に興味をもって就活を進めている人のなかには、このような悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか。

「旅行プランの企画や各種手配をする業界」という大まかなイメージがあったとしても、これまでにユーザーの立場で関わった経験しかなければ、ビジネスモデルを把握するのは難しいですよね。

そこでこの記事では、旅行業界の基本的な情報から、業種・職種まで分かりやすく解説していきます。記事の最後では旅行業界の関連性の高い業界も紹介するので、志望業界を探す際の参考にしてください。

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旅行業界とは

旅行業界は国内・国外への旅行を考えるユーザーを対象に、旅行プランを提案したり、宿泊施設や交通機関などの各種手配をおこなったりする業界です。ユーザーが旅行先で楽しく快適に過ごせるように、サポートする役割を担っています。

旅行業界の主な収益源は、ユーザーや宿泊施設などから得る手数料です。例えば旅行会社であれば、サービスを利用するユーザーから仲介手数料を、ユーザーが旅行先で利用する宿泊施設から販売手数料を主な収益源としています。

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旅行業界の市場規模

東京商工リサーチの調査によると、国内旅行業1110社の2021年(1月-12月期)の売上高合計は、7241億5400万円でした。2020年の売上高合計が2兆5197億4600万円ですから、前期比で約7割も売上高が減少したことが分かります。

また訪日観光客についても、2020年の約412万人から、2021年は約25万人と著しい減少が見られます。長引く移動制限や外出自粛の広がり、各地で開催されるはずだったイベントの多くが中止となってしまったことが主な要因です。

さらに海外旅行客(出国日本人数)についても、2020年の約317万人から、2021年は約51万人と大幅に減少しました。従来の旅行業界は売上高合計が2兆円を超える比較的大きな業界でしたが、新型コロナウィルスの影響による落ち込みによって苦しい状況が続いています。

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旅行業界のトレンド・ニュース

新型コロナウィルスの感染拡大によって、旅行業界が大きな打撃を受けたのは周知の事実ですが、実際にどのような影響があったのでしょうか。さまざまな制限が緩和されつつある現状と合わせて、旅行業界のトレンドを確認しておきましょう。

新型コロナウィルスの影響

先に述べたとおり、新型コロナウィルスの影響で国内旅行業1110社の売上高合計は2020年から2021年で約7割減、訪日観光客・海外旅行客も大幅減と大打撃を受けました。

これほど厳しい状況に置かれているのは、国際的な往来はもちろん、国内での往来にも制限がかけられたためです。旅行業界は外出必須という特性を持つことから、数ある業界のなかでも特に新型コロナウィルスの影響を受けています。

訪日観光客の増加・対応

2020年から2021年にかけて大打撃を受けた旅行業界ですが、新型コロナウイルスの制限緩和や円安の影響により、訪日観光客は増加傾向にあります。

日本政府観光局の発表によると、2022年1月から12月の訪日観光客は合計で約247万人と、2021年の約25万人と比較しておよそ10倍にまで回復しています。

感染拡大以前の水準まで戻るにはまだ時間がかかりそうですが、客足を戻すための対策や、外国人が観光しやすい環境整備に取り組んでいけば、訪日観光客は順調に回復していきそうです。

OTA(Online Travel Agency)の台頭

現在の旅行業界で台頭してきているのがOTAです。OTAとは「Online Travel Agency」の略称で、インターネット専門の旅行代理店のことを指します。

サービス内容は従来の代理店と変わりませんが、店舗や従業員の維持コストがかからない点や、ユーザーが24時間いつでもどこでも利用できる点など、さまざまな優位性によって旅行業界で一定の地位を確立しつつあります。

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旅行業界のビジネスモデル・商品

旅行業界のビジネスモデルは、「鉄道」「航空」「公共交通」「宿泊施設」などの旅行のサービス・手配に関わる機関と、旅行するユーザーの両面で成り立っているのが特徴です。

ユーザーに旅行プランを提案する代わりにもらう手数料のほか、航空券や宿泊施設などの販売に対する手数料によって収益を上げています。

また、旅行業界が取り扱う商品にはいくつかの種類があります。旅行会社や旅行代理店がユーザーに提供する商品は、大きく分けて以下の3種類です。

手配旅行

手配旅行は、ユーザーからの依頼に基づいて宿泊予約や交通券の手配をする契約形態です。旅行のプランや移動方法、宿泊先のホテルなどはユーザー自身が決定し、そのために必要な手配を旅行会社が担当します。

ほかの契約形態と異なるのは、旅行中にトラブルが起きても旅行会社に責任がない点です。例えば、航空便の欠航や交通事故に遭遇した場合、ユーザーの自己責任で対処する必要があります。

受注型企画旅行

受注型企画旅行は、ユーザーの要望に沿って旅行会社が旅行プランや宿泊先のホテルなどを決める契約形態です。すべてを自分で計画する手配旅行に対し、受注型企画旅行は旅行会社の主導で企画していく特徴があります。

代表的な例として挙げられるのは、企業の社員旅行や学校の修学旅行です。旅行の参加人数や目的、予算などを聞いたうえで、旅行会社はユーザーの要望に沿ったプランを提案・実施していきます。

募集型企画旅行

募集型企画旅行は、旅行会社があらかじめ旅行プランや日程を企画し、参加者を募集する形で旅行を提供する契約形態です。一般的な名称として、パッケージツアーやパック旅行とも呼ばれています。

受注型企画旅行との主な違いは、ユーザーに旅行内容を変更する権利がないことです。旅行会社が企画したプランに沿って旅行を楽しむものであるため、受注型企画旅行のように柔軟にプランを変えることはできません。

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旅行業界の業種と分類

旅行業界の業種は主に「旅行会社」「旅行代理店」「OTA」の3つです。それぞれの特徴と違いを知り、業界への理解を深めましょう。

旅行会社

旅行会社は、交通・宿泊・その他の旅行関連サービスを含む旅行商品を企画・実施する企業です。代表的な企業として、JTB、阪急交通社、近畿日本ツーリストなどが挙げられます。

業務の範囲によって、第1種旅行業者、第2種旅行業者、第3種旅行業者、地域限定旅行業者に分類され、最も範囲の広い第1種旅行業者であれば海外・国内すべての旅行を企画できます。

旅行プランの企画から実施まで幅広い業務を手がけているため、仕事内容も広範囲にわたるのが旅行会社の特徴です。ユーザーと直接関わる営業の仕事に加え、マーケティングや企画、現地で業務にあたる旅行添乗員などの仕事があります。

旅行代理店

旅行代理店は、旅行会社の旅行商品を代理でユーザーに販売する企業です。代表的な企業として、小田急トラベル、セントラル、新潟交通佐渡などが挙げられます。

旅行商品をユーザーに販売するという点では旅行会社と共通していますが、旅行代理店はあくまで旅行会社の旅行商品を代理で販売するだけです。そのため、手配旅行のように、旅行に関するユーザーの相談に対応する業務はできません。

また、自ら旅行プランを企画できないのも旅行会社との違いです。相談や企画は旅行業の登録がなければできない業務であるため、旅行代理店は旅行商品を代理で販売することだけが業務になります。

OTA

OTAはインターネット専門の旅行代理店です。代表的な企業として、じゃらんnet、楽天トラベル、一休.comなどが挙げられます。

OTAの特徴はなんといっても、実店舗を持たないことです。従来の旅行会社や旅行代理店のように実店舗でサービスを提供しないため、企業側にはコストを削減できるメリット、ユーザー側には利用しやすいメリットがあります。

また、システム投資がほとんどであることから、参入ハードルが低いのもOTAの特徴です。人材派遣サービスで知られるリクルートグループが運営する「じゃらんnet」のように、旅行業以外から参入するケースが増えています。

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旅行業界の売上(取扱額)ランキング

旅行業界では売上高ではなく、「取扱高」という言葉が主に使われます。

製造業のように形あるモノを販売しない旅行業界では、取扱高と呼ばれているだけであって、売上高と取扱高に大きな違いはありません。取扱高という言葉が出てきたときに、混乱しないよう注意しましょう。

取扱高について理解したところで、以下に旅行業界の売上ランキングTOP5を紹介します。旅行業界でどの企業が高いシェアを誇っているのか知っておきましょう。

 順位 企業名 2021年度取扱額
 1位 JTB(9社計) 6,945億円
 2位 KNT-CTホールディングス(13社計) 1,552億円
 3位 日本旅行 1,164億円
 4位 阪急交通社(3社計) 493億円
 5位 ジャルパック 492億円

出典:国土交通省観光庁「令和3年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計(速報)

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旅行業界の今後の課題・展望

深い業界研究をおこなうためには、現状だけでなく今後の課題・展望も抑えておく必要があります。旅行業界ではどんな課題が生まれているのか、今後どんな動きが活発化していきそうなのかを正しく把握しておきましょう。

ワーケーション需要への対応

リモートワークの推進によって、ワーケーション需要が高まっています。ワーケーションは仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた言葉で、普段のオフィスや自宅とは離れた場所で働く新しいスタイルのことです。

休暇型、業務型などの種類があり、休暇型であれば有給休暇を活用してリゾートや観光地で業務にあたります。

「有給休暇を取得しやすい」「働きながらリフレッシュできる」といったメリットがあることから注目度が高まっており、各自治体で助成金を出すなどの取り組みが増えています。

MICEへの対応

MICEとは、会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)を組み合わせた言葉です。

こうしたビジネスイベントを総称してMICEと呼び、旅行業界の各企業はこぞってMICEの計画・運営に取り組んでいます。

MICEが重要視されている要因の一つは、通常の観光客以上に周辺地域への経済効果が期待できるためです。世界的なビジネスカンファレンスともなれば参加者が多いうえ、滞在期間も長くなることから、安定した収益源確保のためにMICEへの対応が迫られています。

テクノロジー活用による最適化

あらゆる業界でテクノロジー活用事例が続々と増えている昨今ですが、旅行業界も例外ではありません。従来の業務に新しいテクノロジーを活用することで、最適化を進める動きが活発化しています。

例えば、ダイナミックプライシングによる価格設定や、位置情報データを活用した商品企画・マーケティングはその代表例です。

ダイナミックプライシングは、需要に応じて最適な価格を設定するマーケティング手法です。この手法を用いて、シーズンによって旅行代金を変動させるなど、旅行業界でもテクノロジー活用事例が増えています。

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旅行業界の職種と仕事内容

旅行業界の職種といえば、店頭でユーザーを相手に相談業務にあたる営業をイメージする人が多いと思いますが、営業以外にも多様な職種があります。

自分の性格と能力に合う職種を見つけるため、まずは旅行業界の代表的な職種とそれぞれの仕事内容への理解を深めましょう。

商品開発・企画

商品開発・企画は、パッケージツアーやパック旅行など、さまざまな旅行商品の企画に携わる職種です。目的地やイベントのほか、移動手段、宿泊施設などの要素を考慮して魅力的な旅行商品を企画していきます。

旅行業界では取り扱う商品の幅が広がっていることから、商品開発・企画にも幅広い商品を生み出すことが求められています。ECを活用した売上拡大に代表されるように、需要やトレンドによって臨機応変な対応が必要となるのが商品開発・企画の特徴です。

業務にあたっては旅行に関する広い知識が欠かせないため、店頭営業や旅行添乗員などで一定の経験を積んだのちに、商品の企画に携わるケースがほとんどです。

法人営業

法人営業は、企業や官公庁、学校などの大口顧客を対象に営業活動をする職種です。企業の出張や社員旅行、学校の修学旅行などが取り扱う旅行商品になります。

大口顧客を相手にするために1件ごとの契約規模が大きくなる傾向にあり、会社への売上貢献度が非常に高いのが法人営業の特徴です。個人・店頭営業よりも大きな契約に関わりたい人や、多様な顧客と関わることで見識を広めたい人に向いています。

個人・店頭営業

個人・店頭営業は、旅行会社や旅行代理店の店舗で接客にあたる職種です。大口顧客を対象にしている法人営業に対し、個人・店頭営業は個人客を中心に営業活動をしていきます。

旅行に関する最低限の知識は当然ながら必要ですが、未経験からでもチャレンジしやすいのが個人・店頭営業の魅力です。販売員やテレフォンアポインターなど、サービス業での接客経験がある人は業務に順応しやすいでしょう。

旅行添乗員

旅行添乗員は旅行に同行し、ユーザーが安全・快適に旅行を楽しめるようサポートする職種です。主にツアー旅行にて、旅行先での案内やスケジュール管理をおこないます。

旅行添乗員を目指す場合は、旅行会社以外に添乗員派遣会社に入社するルートがあります。旅行添乗員の業務をメインに働きたい場合は添乗員派遣会社、旅行業全般の経験を積みながら旅行添乗員としても働いてみたい場合は旅行会社を目指すとよいでしょう。

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旅行業界の志望動機

旅行業界の仕組みと仕事内容について把握したら、実際に志望動機を考えてみましょう。「なぜ旅行業界を選んだのか」はもちろん、「なぜこの旅行会社なのか」をしっかりと考えておくことが重要です。

志望動機の例文

多くの人にとって、かけがえのない思い出となる旅行の仕事に携わりたいと思い、旅行業界を志望しました。

国内には魅力的な旅行会社が複数あるなか、特に御社を選んだのは教育旅行に強みをもっているためです。

夢を持てない子や、生きがいを見つけられない子が増えている現代で、子どもたちの人生設計に役立つような教育旅行を企画したいと考えています。

志望動機の考え方については以下の記事を参考にしてください。
就活面接の志望動機の答え方|例文でポイントを解説

志望動機のポイント

旅行業界の志望動機を考える際のポイントは、「ただの旅行好き」に留まらないことです。旅行好きな人が活躍できる仕事ではありますが、好きだけを理由にしてしまうと現実の仕事とのギャップを感じやすくなり、仕事に不満を持ちやすくなります。

そのため、志望動機はただの旅行好きではなく、仕事として興味を持っていると伝わる内容にすることが大切です。好きな気持ちはきっかけとして、具体的に旅行業界の何に惹かれ、どんなことを実現したいのかを伝えましょう。

旅行好きであることや旅行経験を企業にアピールしたい場合は、OfferBoxを利用するのがおすすめです。OfferBoxのプロフィールでは文章だけでなく写真でもアピールできるので、視覚的に自分らしさを伝えられます。

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旅行業界の関連性の高い業界

最後に、旅行業界と関連性の高い業界を紹介します。旅行業界に自分に合いそうな職種が見当たらない人は、関連業界まで視野を広げて企業や職種を探してみましょう。

また、以下に紹介する業界以外に、旅行業界は地方自治体との強いつながりを持っています。例えば自治体の観光課や観光振興課では、地域の観光資源を国内外に発信する仕事ができるため、より範囲の広い仕事をしたい人は公務員を目指すのも一つの方法です。

航空・鉄道業界

航空機や鉄道を利用して、人やモノを国内外に運ぶサービスを提供しているのが航空・鉄道業界です。旅行をする際は必ずといっていいほど何らかの手段による移動が必要になるため、航空・鉄道業界と旅行業界は深いつながりをもっています。

関連性の高さを象徴する業務の一つに、「航空仕入れ」というものがあります。これは航空会社の担当者と協力して販売促進の方法を考えたり、座席確保に向けた交渉をしたりする業務です。

ホテル・旅館業界

泊まりがけの旅行プランとなれば、ユーザーが寝泊まりする宿泊施設を確保する必要があります。その際に、旅行業界と協力して業務を進めるのがホテル・旅館業界です。

例えば、パッケージツアーやパック旅行では、宿泊用の部屋を旅行プランに組み込みます。目的地に応じた国内外のホテル・旅館と交渉をし、価格や集客リスクを考慮しながら部屋を確保するのが旅行業界の役割です。

IT業界

航空・鉄道業界やホテル・旅館業界ほど直接的ではありませんが、旅行業界はIT業界とも深いつながりをもっています。IT業界はパソコンやスマートフォン、キャッシュレス決済などあらゆるテクノロジーを扱う業界です。

旅行業界のトレンドとして「OTAが台頭している」「テクノロジー活用による最適化が進められている」とお伝えしたとおり、続々と新技術が開発・導入されているため、IT業界との結びつきがこれまで以上に強くなっています。

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まとめ

今回は旅行業界の概要から具体的な仕事内容、関連性の高い業界まで解説しました。

新型コロナウイルス感染拡大により、2020年から2021年にかけて大打撃を受けた旅行業界ですが、制限緩和や円安の影響で少しずつ回復の兆しが見えています。

ワーケーション需要やMICEなど、新しいことにうまく対応していければ今後も安定した需要と成長を見込めるでしょう。

また、今回紹介した内容以外にも、旅行業界で活躍する企業や職種は数多く存在します。より深く業界・企業研究を進めるため、ぜひ自分でも必要な情報を集めてみてください。

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