食品業界とは?動向や将来性、職種や向いている人などを解説

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「食品業界の将来性を知っておきたい」
「ビジネスモデルがよく分からない」

食品業界に興味をもって業界研究を進めている学生のなかには、このような悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか。

私たちの生活と密接な関係をもつ食品業界ですが、多くの企業が関わる業界なだけに、全体像を把握するのは大変ですよね。イメージしやすい食品メーカーや小売業のほかに、どんな分野があるのか分からない人も多いはずです。

この記事では、食品業界の仕組みから最新の動向、将来性まで詳しく解説していきます。主な職種と向いている人の特徴も紹介するので、食品業界に興味がある人はぜひ参考にしてください。

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食品業界とは?

食品業界は、加工食品や調味料、清涼飲料水、アルコールなどを製造し、消費者に販売する業界です。人間が生きるために必要不可欠な「食」を提供することで、人々の生活を支えています。

食品にはさまざまな種類があることから、活躍する企業の幅も広いのが食品業界の特徴です。調味料や、アルコールの製造販売を強みにしているメーカーなど、同じ食品業界でも企業によって得意分野は異なります。

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食品業界の主な分野

メディアで目にする機会の多い食品メーカーと、スーパーや飲食店で食品を提供する小売業以外にも、食品業界で活躍する分野があります。業界の全体像を把握するため、まずは消費者のもとに製品が届けられるまでの流れを確認しましょう。

第一次産業

食品業界におけるビジネスモデルを川にたとえると、川上に位置するのが第一次産業です。第一次産業は農業や漁業などによって、製品のもとになる原料を生み出したり、自然環境から調達したりする役割を担っています。

例えば漁業であれば、海や河川から魚介類を調達することや人工的に増やす養殖が主な仕事内容です。経済の発展によって第二次産業・第三次産業が著しい成長を遂げていますが、それらを支える第一次産業も変わらず重要な役割を担っています。

食品メーカー

食品メーカーはビジネスモデルの川中に位置する分野です。第一次産業で調達された原料を消費者が利用しやすい形に加工し、小売業を通じて販売しています。

ビジネスモデルの中心的役割を担う分野であるため、大企業から規模の小さな企業まで幅広く存在するのが食品メーカーの特徴です。誰もが一度は聞いたことのある大企業や、隠れ優良企業など、自分の求める基準に合った企業を見つけやすい分野といえます。

小売業

小売業はビジネスモデルの川下に位置する分野です。スーパーやコンビニ、飲食店などにおいて、実際に商品を消費者に販売する役割を担っています。

消費者と関わる機会が少ない第一次産業と食品メーカーに対し、業務のほとんどで直接消費者と関わることになるのが小売業の特徴です。食品に関する幅広い知識を現場レベルで活かしたい人や、社会への貢献を実感したい人に最適な環境といえるでしょう。

商社

商社はビジネスモデルの川上に位置する分野です。第一次産業と食品メーカーの間、もしくは食品メーカーと小売業の間に入り、それぞれを繋ぐ橋渡し役を果たしています。

例えば食品メーカーと小売業の間に入る場合は、メーカーから飲食料を仕入れて小売業に卸すのが役目です。食品メーカーと違って、自社で原料を加工したり飲食料を生産したりすることはなく、取引をサポートして流通をよくすることに特化しています。

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食品業界の市場規模

農林水産省の「農業・食料関連産業の経済計算」によると、2020年の農業・食料関連産業の国内生産額は約109兆円でした。これは全経済活動の11.1%にあたり、食品業界が非常に規模の大きい市場であることが分かります。

なかでも大部分を占めているのが食品製造業と関連流通業です。食品製造業に関わる食品メーカーと、開運流通業に関わる商社が食品業界に大きな利益を生み出しています。

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食品業界の動向・トレンド

業界研究を深めるためにはビジネスモデルだけでなく、最新の動向を把握することが大切です。現在の食品業界にはどんな課題があり、どんな動きが見られるのかを知っておきましょう。

インターネット販売への動きが進む

日本政策金融公庫が2021年1月に実施した「食品産業動向調査」によると、食品業界全体でインターネット販売強化の動きが活発化していると判明しました。

特にその動きが顕著に見られるのは飲食業です。人気チェーン店がこぞってお持ち帰りキャンペーンや、デリバリーサービスに力を入れるなど、従来とは異なる飲食品の販売方法を取り入れるケースが増えています。

飲食業以外にも製造業や小売業、卸売業などでインターネット販売強化の動きが見られており、今後ますますこの流れが加速していきそうです。

記録的値上げが続く

現在の食品業界で大きな課題となっているのが、飲食品の記録的な値上げです。2022年4 月頃から値上げラッシュが続いており、企業のコスト増加や家計への負担増加などの懸念材料が生まれています。

記録的値上げの主な要因として挙げられるのは、原料高・原油高・円安の3つです。複数の不安要素が重なったことで影響が広範囲に及んでおり、2023年以降も値上げラッシュが続くと見込まれています。

付加価値のある食品が求められている

安定性の高い食品業界で、成長傾向にあるのが付加価値を持つ食品です。高品質や安全、健康など、ただ食べられるだけでなくプラスアルファの魅力を持った食品が消費者に求められています。

こうした背景にあるのは消費者の意識の変化です。食品を選択する際に安全性を重視する人や、健康に気を配る人が増えたことで、飲食業界のニーズにも変化が生まれています。

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食品業界の将来性

食は人々の生活に欠かせないため、食品業界が急激に衰退する可能性はありませんが、いくつかの懸念点はあります。描いているキャリアプランを実現できるよう、業界の将来性についてもきちんと確認しておきましょう。

業界規模は縮小する可能性がある

近いうちに食品業界がなくなる心配はありませんが、規模が縮小する可能性はあります。先進国である日本では人口減少が課題となっており、食品業界の顧客とも言うべき消費者の数が減っていくためです。

ただし、人口減少による業界規模縮小の問題は食品業界に限った話ではありません。何もしなければ規模が縮小する可能性が高いため、人口減少に向けて対策を講じていく必要がある、ということを理解しておきましょう。

海外進出が加速する

人口減少対策の一つとして進められているのが事業の海外展開です。国内市場以外に安定した収益源を確保するため、今後ますます食品メーカーや小売業による海外展開の動きが加速すると考えられます。

なかでも注目を集めているのは、ASEAN10ヵ国にインドを加えた地域です。この地域は成長著しい巨大市場なうえ、味の好みが日本人に近いおかげで日本食を受け入れられやすく、海外展開に最適だと目されています。

機能性の高い食品が増える

先ほどお伝えしたとおり、付加価値のある食品のニーズが高まっていることから、今後の食品業界では機能性の高い食品が増えていくと予想されます。

代表的な例として挙げられるのが健康食品です。高齢化社会において、体脂肪を減らしたり食後の血糖値を減らしたりなど、機能性の高い健康食品の需要が増えると見込まれます。

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食品業界の主な職種

食品業界には以下のような職種があります。それぞれの仕事内容ややりがいを参考に、どんな職種で自分の強みを活かせそうか考えてみましょう。

研究開発・生産技術

研究開発は原料や添加物から、商品の開発・改良、技術開発などをおこなう職種です。高い専門性が求められるため、工学部や農学部のような理系学部出身の学生に特に人気があります。

一方の生産技術は商品そのものではなく、商品を製造するための技術開発に関わる仕事です。自分が関わった技術やプランによって、安全かつ効率的な生産工程を実現できる点がやりがいとなります。

生産管理・品質管理

生産管理は生産計画の立案や実行に関わる職種です。生産工程の司令塔的存在として全体を管理する必要があるため、視野の広い人や、トラブルにも冷静に対処できる人が向いています。

生産管理に含まれる職種が品質管理です。品質管理では、不良品やトラブルの発生を未然に防ぐために検査したり、従業員の衛生管理をしたりすることが仕事になります。

食の安全と健康意識の高まりから、生産管理・品質管理の仕事はこれまで以上に重要視されています。

商品開発(マーケティング)

商品開発は、市場分析や商品の開発を担当する職種です。市場の変化とニーズをふまえ、ニーズに合いそうな新商品を提案したり、より魅力的になるよう既存商品を改良したりしていきます。

商品開発のやりがいは、企画を通じて市場にトレンドを生み出せることです。SNSで話題になるような商品を提案できたときや、自分が企画に携わった商品が店頭に並べられているのを見かけたときなどに、大きな満足感を得られるでしょう。

営業・販売促進

食品メーカーや小売店などに対して営業をおこなう職種です。例えば食品メーカーの営業であれば、小売店で自社の商品を取り扱ってもらうよう、双方の利益をうまく調整して契約に結び付けることが主な仕事になります。

また、契約の獲得や継続だけでなく、広告計画の立案や実行も営業・販売促進の大切な役割です。会社への貢献を実感しやすい点や、インセンティブ制度が多くの企業で取り入れられている点などがやりがいといえます。

コーポレート職

コーポレート職とは、従業員の業務をさまざまな側面から支える職種の総称です。例えば、経理や人事、総務などの本社管理部門が代表的な職場として挙げられます。

業務の幅は非常に広く、人事に関わる業務やお金を管理する業務、会社の法律に関する業務など、経営に関わる業務全般を担います。縁の下の力持ちとして会社を支えられる点や、多様な業務を経験できる点がコーポレート職ならではのやりがいです。

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食品業界に向いている人

食品業界で活躍できるか不安な人は、向いている人の特徴から自分との相性を確かめてみましょう。当てはまらないと絶対に活躍できないというわけではありませんが、以下のような特徴があると食品業界で活躍しやすくなります。

食への関心が強い人

食に興味があるか否かは食品業界で活躍するための大切な要素です。食への関心が強い人は、消費者のニーズに応えやすいでしょう。

例えば、商品開発・マーケティングの仕事では市場の変化とニーズを敏感に察知し、臨機応変に新商品を開発していく必要があります。食と消費者の関係性への深い理解が求められるため、食に関心をもって情報収集できる人は活躍しやすいといえます。

ほかにも、営業職では、市場のニーズにどのような変化があるかをいち早く捉え、クライアントに対して商品ラインアップの変更を提案することで、顧客にとってメリットのある自社商品を採用してもらう可能性が上がります。

味覚や嗅覚が鋭い人

味覚や嗅覚の鋭さも、食品業界で活躍する人の特徴の一つです。食品業界の仕事は消費者の嗜好を正しく理解する必要があるため、企画の際に味覚や嗅覚を使って美味しさを評価できるかが重要になります。

実際、開発職や研究職では「官能試験」と呼ばれる業務があります。これは人間の五感に頼って商品を評価する業務のことです。品質を調査したり、食品の賞味期限を設定したりするために味覚や嗅覚が重視されています。

コツコツと継続できる人

一定の成果が出るまでコツコツと継続できる人は、食品業界に向いています。たとえ失敗が続いてしまっても簡単に諦めるのではなく、前向きに業務に取り組んでいけるためです。

粘り強さを特に活かしやすいのは商品開発です。「商品開発はヒット商品を次々と生み出す華やかな仕事」という印象があるかもしれませんが、実際には1つのヒット商品を生み出すまでに多くの失敗を経験することになります。

そのため、1度や2度失敗したからといって下を向くのではなく、切り替えて努力を継続できる人が食品業界で活躍できるでしょう。

チャレンジ精神がある

常に新しい商品が求められる食品業界では、チャレンジ精神の高さも重要です。新しいことに勇気をもって取り組める人は、これからの世の中に求められる商品を生み出す可能性が高いでしょう。

特に食品業界は、イベントや季節ごとの商品に代表されるように、常に新しい商品が求められる業界です。例えば、正月商品が毎年同じでは消費者に飽きられてしまうため、既存の価値観だけにとらわれず、新しい価値をもつ商品を生み出すことが求められます。

チームワークを大事にできる人

食品業界はチームで動くことが多いため、チームワークを大事にできる人が活躍しやすいです。

食品は人々の口に運ばれ、健康に直接的に影響を与えるものであるため、企業としての責任も大きなものとなります。この責任を果たすために、研究開発職や生産管理職、商品開発職、さらには法務職などさまざまな職種の人がチームを組むことで商品が届けられます。

また、営業職もクライアントの利益に貢献できるように、営業・提案する必要があります。クライアントの立場に立って一体のチームであるように考える点では、営業職もチームワークが求められるといえます。

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食品業界の売上高ランキング

最後に、食品業界の売上高トップ3の企業を紹介します。それぞれの特徴から興味のある企業が見つかったら、企業研究で各社の強みと社風を明らかにしていきましょう。

1位:アサヒグループホールディングス株式会社

アサヒグループホールディングスは、アサヒビールやアサヒ飲料、アサヒグループ食品などを傘下に置く持ち株会社です。酒類事業・飲料事業・食品事業の3つを収益の柱としています。

なかでも強みとしているのが酒類事業です。国内外で広く愛されるアサヒスーパードライを筆頭に、ノンアルコール商品やローアルコール商品の開発・販売にも力を入れています。

2位:キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングスは、麒麟麦酒やキリンビバレッジ、協和発酵バイオなどを傘下に置く持ち株会社です。食領域・ヘルスサイエンス領域・医領域の3つの事業領域を収益の柱としています。

キリングループの強みは、食品事業だけでなく、食を通じた疾病の発病予防やバイオテクノロジーによる創薬など、医療関連の事業にも力を入れている点です。食品事業で培った技術とノウハウを医療関連の事業に活かし、機能性の高い商品を提供しています。

3位:サントリー食品インターナショナル株式会社

サントリー食品インターナショナルは、食品・飲料、酒類、健康食品、外食など幅広く食料品関連のサービスを提供する持株会社です。国内・海外に拠点を持ち、サービスを提供しています。

同社は高い開発力を武器に、海外市場で成長を続けています。M&Aや共同開発をしながら、海外の各地にローカライズしながら展開に成功しているのが特徴です。

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まとめ

今回は、食品業界の仕組みから売上高トップ3の企業まで紹介しました。

食品業界は全経済活動の約1割の国内生産額を誇る、市場規模の大きな業界なため、活躍する企業と職種は多岐にわたります。
同じ食品業界でも第一次産業と小売業では仕事内容がまったく異なるため、入念な業界研究によって自分の強みを活かせるフィールドを探していきましょう。

また、食品業界には文系理系問わず活躍できる職種が多く存在します。そのため、「文系だから活躍できそうにない」などと最初から決めつけず、広い視野をもって企業や職種について調べてみてください。

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