職種とは?就活中に知りたい代表的な職種一覧と仕事内容を紹介

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就活で職種研究をしていると、予想以上に知らない職種が多く、驚いている方もいるのではないでしょうか。自分に合った就職先を探すためには、さまざまな職種と仕事内容について理解していくことが大切です。各職種の仕事や求められるスキル、キャリアパスなどを知っていると、仕事選びの幅も広がります。

本記事では、学生にぜひ知っておいてほしい職種一覧と仕事内容を紹介します。就活準備や仕事選びの際の参考にしてみてください。

職種とは

職種という言葉を辞典で引くと、「職業・職務の種類」と出てきます。例えば、「営業職」や「技術職」など、仕事の種類が職種にあたります。

辞典の意味を見ると、「職種=職業」と解釈してしまいそうですが、両者は微妙に異なる意味を持ちます。職業は「生計を立てるために人が日常従事する仕事」のことなので、職業は何ですかと聞かれたら、「会社員」「自営業」など、自分が何をして生計を立てているのか答えるのが一般的です。

なお、就活中によく見聞きする「一般職」「総合職」は、厳密に言えば職種名ではありません。この2つの呼び方は、1986年の男女雇用機会均等法が施工された際に生まれたそうです。

その他にも、業態や業種、業界といった言葉についても知りたい方は、次の記事も参考にしてみてください。
業態

職業(職種)分類は18725種類もある

厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)での職業相談や指導をおこなう際に、共通して使用するための職業分類を定めています。2022年改定時点の職業分類は18725種類となりました。

職業分類は大きく15つのグループに分かれますが、中でも「製造・修理・塗装・製図等」の職業が最も多く、9941種類もあるそうです。次いで、「研究・技術」の職業が1442種類となっています。

職種一覧(厚生労働省編職業分類)

先ほどご紹介した職業分類以外の具体例をご紹介します。

大分類「管理的職業」は、「法人・役員団体」「法人・団体管理職員」「その他の管理的職業」の3つに分けられます。「法人・役員団体」の中に、会社会長、会社監査役、会社監事、会社工場長といった多数の職種が分類されています。

その他の例として、大分類「保育・教育」には「保育士・幼稚園教員」「学童保育等指導員、保育補助者、 家庭的保育者」「学校等教員」「習い事指導等教育関連の職業」などが分類されます。さらに、その中に一時保護保育士、こども園保育士、肢体不自由児施設保育士といった保育士系の職種や、小学校教頭、小学校教諭、英会話教師、学習塾講師などが、細かく分けられています。

ただし、学生向けの就活ナビサイトなどは、必ずしも厚生労働省の分類方法、職種の名称を使用していないため注意しましょう。

代表的な職種一覧と仕事内容

ここからは、学生に知っておいてほしい代表的な職種を9カテゴリ、56職種に分けて紹介します。新卒の就職活動の選択肢にあがりやすい職種となっています。
興味のある職種が見つかったら、さらに詳しく調べて職種研究を進めましょう。

①ビジネス・フロント職

営業、経営コンサルタント、販売・接客、店長、スーパーバイザー

②バックオフィス・ミドルオフィス

知的財産部門、経営企画、企画、マーケティング、宣伝広報、事務・秘書・受付、経理、総務人事、法務

③IT

システムエンジニア・プログラマ、カスタマーエンジニア、セールスエンジニア、Webエンジニア、セキュリティエンジニア、インフラ・データエンジニア、AIエンジニア、組み込みエンジニア、社内SE・情シス、データサイエンティスト・アナリスト

④製造・物流

研究職(製造系)、生産・製造、物流・在庫管理、品質管理、設計開発

⑤金融

為替ディーラー・トレーダー、融資・資産運用、ファイナンシャルアドバイザー、アクチュアリー、証券アナリスト

⑥クリエイティブ

Webデザイナー、デザイナー、ゲームクリエイター、記者・ライター、編集・制作、Webプロデューサー・ディレクター、ゲームプログラマ

⑦医療・介護

研究開発(医薬系)、薬剤師、福祉士・介護士・ホームヘルパー、医療技術、MR

⑧建設

建築・土木設計、施工管理

⑨その他専門職

栄養士、講師・インストラクター、専門コンサルタント、農業、林業、漁業、バイヤー

ビジネス・フロント職


営業や総合職など、顧客に近いところで働く、ビジネス職・フロント職を紹介します。

営業

企業の顔として、お客様に商品・サービスを提案し、購入を促す仕事です。営業職の種類は多様で、扱う商品・サービスの数だけ営業職が存在します。商品の特徴や、対峙する顧客の特徴ごとに営業職を分類することができ、例えば「無形商材を扱う/有形商材を扱う営業」「BtoB向けの営業/BtoC向けの営業」などが挙げられます。

経営コンサルタント

企業の経営状態、財務状況を分析して、課題解決の施策をアドバイスする職種です。

販売・接客

小売・飲食・サービス業などで、販売員として接客サービスをおこなう職種です。接客や商品の説明、レジ打ち、店内のレイアウト決めなどが主な業務です。

店長(店舗経営・運営)

小売・飲食・サービス業などで、店舗管理の責任者を担う職種です。店舗スタッフの採用や育成、商品の在庫管理、日々の売上管理など、ヒト・モノ・カネの管理をおこないます。

スーパーバイザー

小売・飲食・コールセンターや福祉関連の事業所で、複数の店舗・施設を管理する立場の職種です。一般的に、店舗責任者の次のステップとしてスーパーバイザーがあります。

バックオフィス・ミドルオフィス


会社を縁の下で支えるバックオフィスと、営業部門であるフロントオフィスとバックオフィスをつなぐ役割をもつミドルオフィスの職種を紹介します。

事務・秘書・受付

事務職は、書類の作成・整理や電話対応などをおこなう仕事です。企業の来客対応をする受付事務や、役員のスケジュール調整、連絡対応、サポート業務などを巻き取る秘書などが挙げられます。
事務も営業のように種類が多く、一般事務、営業事務や、貿易事務、法務事務のような専門的な仕事までさまざまです。

経理

企業の会計管理を担う仕事です。お金の取引記録を帳簿で管理し、日々の売上や仕入れの処理、社員への給料、社会保険料や税金の支払いをはじめ、月次・年次の決算処理をおこないます。帳簿管理や財務諸表の作成には、簿記の知識が欠かせません。また、税金や社会保険に関する専門知識や、経理ソフトに関する知識も求められます。

総務人事

総務人事は、企業のスムーズな事業活動のために幅広いサポート業務をおこなう仕事です。総務と人事が分かれている場合と、総務人事として同じ担当が置かれる場合があります。一般的な総務の仕事内容は、事務、庶務、来客や電話対応、社内の催し物の企画や手配、備品管理などが挙げられます。人事業務としては採用、労務、社員教育、人事評価などの仕事が代表的です。

法務

法律・司法関連の業務を担う職種です。例えば、会社が取引先や社員と結ぶ契約書のリーガルチェック(法的に内容が問題ないか確認すること)や、コンプライアンス推進、法律相談の対応などをおこないます。

企画

新商品・サービスの企画を立てたり、企画した商品の宣伝広告を担う職種です。会社によっては、マーケティングや宣伝・広報などの部署と一体になっている場合もあります。

企画職については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
【就活生向け】企画職の仕事内容ややりがい・必要なスキルとは?

マーケティング

企業の商品・サービスの販売状況や顧客ターゲットなどの情報を収集し分析します。売れるための仕組みづくりをおこなう職種です。

宣伝・広報

商品・サービス、企業の認知獲得のため、マスメディアやWebメディアなどとコミュニケーションをとり、商品認知の施策をおこなう職種です。宣伝活動で認知を広げた後に、実際の購買につなげるため、さまざま施策を企画・実施します。

知的財産部門

自社製品・サービスの知的財産を守る職種です。法務と連携して、製品だけでなくビジネスモデルや技術、クリエイティブなど幅広い知的財産の侵害を防ぎます。

経営企画

経営層の考える方針や、企業のミッションなどをもとに、具体的な施策に落とし込む職種です。経営状態や市場を分析し、予算やリソース、マーケティング戦略もふまえて施策を検討します。

IT


コンピューターやインターネットに関する情報処理をおこなうエンジニア系の職種を複数紹介します。エンジニアの種類は非常に多く、最新技術が生まれるたびにエンジニアに求められる知識、スキルも変わっていきます。ここでは、Webエンジニアをはじめ、近年注目されているAIエンジニアやデータサイエンティストなども含めて紹介します。

Webエンジニア

Webエンジニアは、Web系のシステムやスマホアプリの開発を担う職種です。フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニアなどの種類があります。

インフラ・データエンジニア

システムやデータ活用の基盤をつくるために、インフラやデータベースを構築するエンジニア職です。

システムエンジニア・プログラマ

ソフトウェアの設計、開発を担う職種です。顧客からどのようなシステムが必要かヒアリングをして、仕様書を作成します。プログラマは、仕様書に沿って実際のコードを書く職種です。

社内SE・情シス

社内SEは、自社システムの構築や運用を担当するシステムエンジニアです。また、企業内のIT関連の仕事を統括する部門を、情シス(情報システム部)と呼ぶことが多いです。

ネットワークエンジニア

ネットワークの構築、保守、管理を担い、快適な通信環境を整えます。パソコンを外部ウイルスなどの攻撃から守るのも仕事です。

セキュリティエンジニア

情報セキュリティを専門として、インフラの構築、運用、保守をおこなうエンジニアです。ネットワークも含めて、システム全体のセキュリティを管理する点でネットワークエンジニアと異なります。

セールスエンジニア

その名の通り、営業とエンジニアの2つを兼ね備えた職種です。IT製品や電気機器などを販売するにあたり、技術的な説明やサポートをおこないます。営業として顧客折衝をしながらも、現場に出て技術的な作業をおこなう場合もあります。

カスタマーエンジニア

ITシステムの導入や、ハードウェア機器の選定、設置などを支援する職種です。フィールドエンジニア、テクニカルサポートとも呼ばれ、顧客に近い立場で働きます。

AIエンジニア

最新技術であるAI(人工知能)を用いたITシステムを手掛けるエンジニア職です。機械学習やディープラーニング(深層学習)を活用し、AIによるさまざまなサービスを生み出します。

データサイエンティスト・アナリスト

データエンジニアが整えたデータをもとに、データ分析をおこない、活用方法を導きだすエンジニア職です。

組み込みエンジニア

家電製品や電子機器、工場機器などを動かすために組み込まれる、制御システムを開発する職種です。

製造・物流


製造業、物流業を担う職種を取り上げ、仕事内容を紹介します。メーカーの工場や研究開発、品質管理用の施設などで活躍する職種です。

研究職(製造系)

5~10年先の技術開発に取り組む基礎研究と、基礎研究をもとに、さらなる製品品質の向上を目指す応用研究をおこなう職種です。大学で工学系の学問を専攻している学生の就職先として知られています。

設計開発

自動車、船舶、飛行機のような乗物や、電化製品、工場で使われる機械などの製品図面を設計し、解析ソフトを用いて開発をおこなう職種です。設計開発エンジニアとも呼ばれます。

生産・製造

製品の設計、調達、作業など生産ラインを支えたり、製造現場で製造に関わったりする職種です。生産管理、製造管理とも呼ばれます。

品質管理

製品の品質基準を満たしているか、検査・検証をおこない管理する職種です。クオリティ・コントロール(Quality Control)の頭文字をとって、QCとも呼ばれます。

物流・在庫管理

製品や資材、部品などさまざまな物を中間管理する職種です。すでに完成した製品を消費者に運ぶ場合と、資材や原材料などを卸企業や小売店など、企業に対して運ぶ場合があります。在庫の管理からや流通全般まで幅広く管理します。

金融


銀行や生命保険、損害保険会社、投資会社といった金融業界で活躍する専門職を取り上げ、それぞれの仕事内容を解説します。

ファイナンシャルアドバイザー

ファイナンシャルアドバイザーは、個人相手に金融商品を用いた資産運用や土地活用のアドバイス、相続相談などをおこなう職種です。銀行や生命保険会社、保険代理店などに勤務するのが一般的です。

為替ディーラー・トレーダー

為替ディーラーとは、円・ドル・ユーロなどの為替差益を生み出すため、顧客に代わって売買をおこなう職種です。トレーダーは、売買注文をディーラーに取り次ぐ役割を持ちます。

証券アナリスト

企業の経営者から話を聞いたり、財務・経営情報を集めて分析をおこない、投資価値がある株式かどうか分析する職種です。

融資・資産運用(ファンドマネージャー等)

投資信託や融資などの運用をおこなう専門職です。ヘッジファンド、投資顧問会社、投資信託委託会社、保険会社、信託銀行などに勤めるのが一般的です。

アクチュアリー(保険数理士)

生命保険、損害保険、企業年金といった金融商品の保険料、保険金が健全に運用・管理されるよう数理業務を担当する専門職です。

クリエイティブ


Web・IT業界で活躍するクリエイティブ系の職種を紹介します。新卒採用でクリエイティブ職に就くケースは少ないものの、未経験からスキルを磨いて、専門性を武器に活躍できる職種が多いです。

Webプロデューサー・ディレクター

Webサイト制作の企画立案、予算管理、全体の統括をおこなう職種をWebプロデューサーと呼びます。Webプロデューサーが計画した施策の、実際の運用を担うのがWebディレクターです。Webディレクターはデザイナーやライター、エンジニアなど制作スタッフを取りまとめます。

Webデザイナー

ホームページなどのデザインを担当する職種です。PCやスマホなど、閲覧されるデバイスを想定しながら、クライアントの要望にあわせてWebページをデザインします。画像の加工、イラスト制作、コンテンツ配置などをおこないます。

デザイナー

チラシ、雑誌、ポスターなど主に「紙モノ」のデザインをおこなう職種です。グラフィックデザイナーと呼ばれることもあります。Webデザイナーとグラフィックデザイナーの両方のスキルを活かして活躍する人もいます。

ゲームクリエイター

スマホ、オンライン、家庭用ゲーム機などのゲームを制作する職種です。ゲームクリエイターは、ゲームの企画を練る担当やシナリオライターをはじめ、音楽、イラスト、プログラミングを担当する職種の総称です。

ゲームプログラマ

仕様書にもとづき、ゲームをプログラミングする職種です。ゲームクリエイターのさまざまな職種、例えばディレクターやデザイナー、サウンドクリエーターなどと協業して仕事を進めます。

記者・ライター

雑誌、新聞、書籍など、紙媒体をメインに活動する記者・ライターと、Webメディアを専門とするWebライターに大別されます。出版社や新聞社、Web制作会社に勤めるか、独立してフリーライターとなるキャリアパスが一般的です。

編集・制作

記者やライターが執筆した記事に間違いがないか、校正・校閲を担ったり、読みやすい文章に編集作業をおこなったりする職種です。どのようなコンテンツを作るべきか、企画から携わる場合も多いです。

医療・介護


医療、介護、福祉分野の代表的な職種を紹介します。社会福祉士や介護福祉士、薬剤師は国家資格で、専門学校の卒業や試験をパスすることが就職の条件となる職種が多いです。

介護士

介護士とは、介護施設や訪問介護サービスにて介護の仕事に従事する職種です。介護職員、介護スタッフと呼ばれることもあり、介護士という資格があるわけではありません。

薬剤師

医薬品に関する専門知識、国家資格を持ち、薬局などで処方箋にもとづく調剤を担当します。

栄養士

個人や集団に対し、食事に関するアドバイスをしたり、栄養状態の管理をしたりする職種です。医療施設、老人福祉施設、介護保険施設、児童福祉施設や小・中学校など、さまざまなフィールドで活躍します。

MR(医薬情報担当者)

MR(Medical Representatives)とは、製薬会社などに勤務する医療情報担当者です。医師や薬剤師のもとに通い、医療現場の情報収集をしながら医薬品販売をおこないます。

研究開発(医薬系)

医療技術や医薬品に関して研究をおこない、病気の発生原因を調べたり、治療方法や予防方法を研究したりする職種です。

医療技術

医療技術職とは、医療機関、ドラックストア、介護施設などさまざまな場所で働く、医療に関わる専門職です。医師や看護師、薬剤師をはじめ、診療放射線技師や臨床工学技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、高度な医療の専門技術や知識が必要とされる仕事です。

建設


建設業に関わる設計職や施工管理の職種を紹介します。

建築設計

建物の建築や設計に関わる職種です。建築物の外装、内装を人間工学に基づき設計する意匠設計や、建築物の中の詳細設計に関わる構造設計、電気・配管・インターネット回線などを整備する設備設計に分けられます。

土木設計

土木設計とは、トンネル、ダム、橋、河川など土木分野にて、道路や橋などの工作物を設計する職種です。

施工管理

建設工事、電気工事などの現場で、工事全体の責任者として施工や予算、スケジュールや安全面の取り組みなどに責任をもつ職種です。

その他専門職


その他、農業・林業・漁業など幅広い業界に携わる職種を取り上げます。

専門コンサルタント

特定の業界に特化したコンサルタント職です。戦略コンサルタント、人事コンサルタント、財務コンサルタント、ITコンサルタントなどが代表的です。

バイヤー

トレンドや顧客情報をリサーチして、メーカーと商品価格や個数の交渉をしながら製品を仕入れる職種です。主に流通業、小売業などで活躍します。

講師・インストラクター

学習塾や英会話スクールなどの講師や、ヨガやダンス、スポーツなどを教えるインストラクターなどの職種です。一般的に、教員免許を保有して教員採用試験に合格後に働く人を教諭と呼び、教員免許を持っているものの教員採用試験に合格していない人を講師と呼びます。

農業

農作業に従事する人をはじめ、農家向けの肥料や農器具のメーカー、ICTやロボット技術を扱うスマート農業など、幅広い仕事があります。

林業

土地を整えて苗木を植え、木を育てて収穫する職種です。

漁業

魚介類などの水産生物を収穫、または養殖する職種です。収穫方法には、遠洋漁業、沖合漁業、沿革漁業があります。

まとめ

業界、企業で関わる仕事が異なるのはもちろんですが、同じ企業に就職しても、配属先の職種によって仕事内容は大きく異なります。また、同じ営業職でも、業界や企業が変われば、仕事内容や求められるスキル、経験、キャリアパスは変わってきます。

世の中には数えきれないほどの職種があるため、全てを知ることは難しいかもしれません。ですが、ぜひ就活の機会を活かして、さまざまな職種を知って視野を広げてみてください。