「種類が多すぎてどれを読めばいいのか分からない」
就活を進めるなかで、このような悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
業界や企業を知るうえで役立つ業界研究本ですが、種類が多すぎるせいでどれを読めばいいのかも、どうやって使えばいいのかも分かりづらいですよね。
そこで今回は、業界研究本を就活で使うメリットや、その選び方を解説していきます。それぞれの本の特徴についても紹介するので、どれを読めばいいのか分からず悩んでいる人はぜひ記事を参考にして選んでみてください。
目次
業界研究の目的
業界研究には主に2つの目的があります。
- 全体像や仕事内容をイメージして業界を絞り込む
- 業界内の企業を比較して企業を絞り込む
まず、業界・企業についての理解を深め、どの環境が自分に最も適しているかを見極めるために業界研究が必要になります。
また、業界研究は企業研究のベースにもなります。業界の全体像を理解していることで、各社の立ち位置や強みが理解しやすくなるためです。
業界研究の目的についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
【就活の業界研究の目的ややり方】よくある質問にも回答
業界研究に本を使うメリット
では、業界研究本の活用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。Webでの業界研究と比較しながら紹介します。
Webよりまとまった情報が多く得られる
メリットの1つは情報をまとめて得やすいことです。
本は情報量が非常に多いため、全体像を把握したり、網羅的に知識を得たりするのに向いています。
Webからも情報は得られますが、断片的な情報が多かったり、情報源が分からなかったりするのがデメリットです。矛盾した情報が掲載されていることも多くあります。
また、情報の信頼性の面でも、本はWebよりも優れています。誰が書いたか分からないような記事があふれているWebに対し、本は就活のプロが執筆・監修していることが多いので、間違った知識を得るリスクが低いです。
図解がきれいで全体像が分かりやすい
全体像が分かりやすいのも本を使う大きなメリットです。
業界研究本のなかには図解に力を入れているものも多く、文章だけでは理解しづらい難しい内容でも直感的に理解できます。
例えば、文章だけではイメージしづらい収益のような数字でも、図解によってビジュアル化してあれば視覚的に理解可能です。
Webの場合、スクロールで行ったり来たりしないと全体像が分からないことが多いです。
本であれば見開きで全体像を見渡せるので、情報を比較しながら業界・企業研究を進められます。
直接メモを取ることができる
直接メモを取れるのも、Webにはない本ならではのメリットです。
Webで情報を集めてノートや手帳にメモを取る方法もありますが、その場合はメモした場所を忘れてしまったり、そもそも何のメモだったかを忘れたりするリスクがあります。
その点、本であれば情報のすぐ近くにメモできるため、場所を忘れたり何のメモだったかを忘れたりする心配がありません。考えたことをすぐにメモしておけば、記憶への定着や考えの整理もしやすいでしょう。
本を使った業界研究のやり方
業界研究に役立つとはいえ、ただなんとなく選んで読むだけではあまり意味がありません。
本を使った業界研究の正しい方法を知り、きちんとした目的を持って就活に活かしましょう。効率的に業界研究を進めるためには、以下の手順がおすすめです。
- STEP1. 業界地図を一通り読む
- STEP2. 興味を持った業界の図解を見る
- STEP3. 興味を持った企業と競合の就職四季報を見る
STEP1. 業界地図を一通り読む
業界地図を読むときは、ビジネスの成り立ちを理解するため、まずは全業界についてザッと目を通してみます。
そのうえで、気になる業界があれば付せんなどでマーキングしておき、最後まで読み終えてから見返してみましょう。
STEP2. 興味を持った業界の図解を見る
それぞれの業界ページを具体的に見るときは、業界全体の動向や今後の展望について書かれた箇所をチェックします。そのうえで主要企業はどのようなビジネス展開をしているのか、個別に見ていきましょう。
もし志望企業が具体的に決まっている場合は、業界内での位置づけやどのような企業と関係を持っているかを確認します。関係性を見ていく中で、今まで知らなかった有望企業が見つかることもあるかもしれません。
文章だけだと理解しづらい場合は、図解本に載っている詳細な図解でイメージを膨らませ、興味の持てる業界と企業を絞っていきましょう。
STEP3. 興味を持った企業と競合の就職四季報を見る
図解イメージで興味を持った企業があれば、次は各企業の研究を進めていきましょう。
待遇や働きがい、企業の特色、将来性などを見ていけば、自分の特徴に合った企業を見つけられるはずです。
具体的な方法としては、興味を持った企業と競合他社の情報を、就職四季報で集めるのがおすすめです。1つの企業だけを見てもその魅力を完全には理解できませんが、複数の企業を比較検討することで各社の強みや弱みが見えてきます。
業界研究・企業研究では、「他と比べて何が魅力なのか」「より自分の特徴に合うのはどちらか」などの視点で考えることが大切です。
業界研究におすすめの本4選【全体像把握】
業界研究本は多数出版されています。
ビジネスの成り立ちを俯瞰して見られる内容や、特定の業界に特化したものなどが多数出版されており、企業選びや選考に活用できること間違いありません。
ここでは、業界の全体像を把握したいときに役立つ本を4つご紹介します。
業界地図 (東洋経済新報社)
『業界地図』は12年連続で売上げNo.1を誇る東洋経済新報社の書籍シリーズです。
182業界・4240社の情報が広く載せられており、業界の基本情報から最新動向まで知るのに最適な1冊です。
業界地図の特徴の1つは、各業界の景況感を大雨から快晴までの6段階で評価する「天気予想」。カラフルなお天気マークで業績の動向を示しているので、勢いのある業界が一目で分かります。
「業界のことがまだよく分かっていない」「志望業界が決まっていない」といった人にうってつけの業界研究本といえるでしょう。
日経業界地図 (日本経済新聞社)
『日経業界地図』は日本経済新聞社から発売されています。
掲載されている情報は177業界、4400企業・団体に及ぶなど、東洋経済新報社の『業界地図』を超える数の企業の情報を得られるのが魅力です。
その特徴は、情報の精度が高いベテラン記者による特集です。平成30年間の企業のトピックスを振り返った特集や、働きやすい会社トップ200など、短時間で多くの情報を集められる特集がたびたび掲載されています。
「手っ取り早く業界について知りたい」「業界の裏情報を知りたい」といった人に向いている業界研究本といえるでしょう。
図解! 業界地図 (ビジネスリサーチ・ジャパン)
『図解! 業界地図』はビジネスリサーチ・ジャパン著、プレジデント社出版の業界研究本です。
業界の裏情報を知れる特集のほか、業界ごとの情報が幅広く掲載されており、各業界・企業を深掘りする前にあらゆる情報を網羅しておきたいときに最適な1冊です。
また、業界研究本としては珍しく、手に取りやすいB6判サイズ(単行本などと同じ)になっているのが大きな特徴です。
デスクに向かってじっくり読むというよりは、寝っ転がって読んだり、スキマ時間を活用して読んだりしやすい業界研究本といえます。
ひとめでわかる産業図鑑&業界地図 (技術評論社)
『ひとめでわかる産業図鑑&業界地図 』は技術評論社から出版されています。
各業界で活躍する企業の事業内容や最新動向に加えて、社会にはどんな産業があるのかを詳しく解説しているのが特徴です。
この本の魅力のひとつは、名前の通りひとめで理解できる画像やイラストが豊富に載せられている点です。
各業界で扱う代表的な製品とその使用法などが画像とイラストで説明されているため、視覚的に理解しやすくなっています。
「業界研究の前に産業について知っておきたい」「楽しみながら業界研究を進めたい」といった人に最適な業界研究本といえるでしょう。
業界研究におすすめの本3選【図解イメージ】
ある程度業界について理解が深まってきたら、次は詳細な図解でイメージを膨らませていくのがおすすめです。
文章ばかりでは疲れてしまうため、図解が豊富な本を使って楽しみながら業界研究を進めてみてください。
図解入門業界研究シリーズ (秀和システム)
『図解入門業界研究』シリーズは秀和システムから出版されています。
「化学業界」「自動車業界」「コンサル業界」「食品業界」「アパレル業界」などの業界ごとに出版されており、全体像把握のための本より、各業界についてさらに詳細な情報を得られます。
業界の構造や従業者数などが分かりやすい図解で解説されているのも、この本のうれしいポイントです。
各冊子で1つの業界の情報に特化しているため、既に志望業界が絞り込めている人に向いている本といえます。
図解即戦力シリーズ (技術評論社)
『図解即戦力』シリーズは技術評論社から発売されています。
秀和システムの『図解入門業界研究』シリーズと同様に、1つの業界の情報に特化した業界研究本です。
分かりやすいイラストと、堅苦しくない色使いが特徴的です。カラフルでイラストが豊富なため読みやすく、各業界の仕組みを知るための入門書として最適です。
基本から易しく理解したい人や、読みやすい本で業界研究を進めたい人に向いています。
業界大研究シリーズ (産学社)
産学社の『業界大研究』シリーズもおすすめです。
こちらも1つの業界の情報に特化した業界研究本で、その成り立ちから仕組み、具体的な仕事内容まで詳しく解説されています。
上記2つの業界研究本と比べると、イラストや色使いは控えめで、より網羅的な説明に重点を置いているという印象です。
業界そのものの解説に始まり、各企業の取り組みや求める人物像などの細かな情報も載せられているため、その業界を志望する人は選考に臨む前にぜひ読んでおきたい一冊です。
業界研究におすすめの本3選【企業選び】
業界について理解できたら、次は企業研究です。業界研究を通じて興味を持った業界にはどんな企業があるのかを調べ、具体的な志望先を決定していきましょう。
企業研究の際は1つの企業だけでなく、複数の企業を比較検討しながら進めるのがポイントです。
就職四季報 (東洋経済新報社)
『就職四季報』は東洋経済新報社から毎年出版されています。
5,000社もの客観的な情報が載せられている、企業研究には欠かせない一冊です。
就職四季報の特徴は、企業があまり出したがらない「新卒3年後離職率」「有休取得状況」「残業時間」などの情報も掲載されている点です。あくまでも中立的な立場から制作されているので、企業の実態を知るのに最適です。
選考プロセスや応募倍率、ES・GD・論作文の出題テーマといったデータも載っているため、選考対策にも役立ちます。
四季報で就職活動を有利に進める方法はこちらの記事で紹介しています。
「四季報」で就活を有利に!簡単&分かりやすい使い方【徹底的な企業研究で内定獲得】
就職四季報 優良・中堅企業版 (東洋経済新報社)
同じく東洋経済新報社から毎年出版されている『就職四季報 優良・中堅企業版』もおすすめです。
総合版の『就職四季報』に載りきらなかった、隠れ優良企業を紹介する業界研究本です。特徴は、非上場企業や地方の優良企業の情報が豊富に載っている点です。
就活情報サイトには載っていないような企業の情報が多く載っているため、地方の就職を考えている人はぜひ読んでおきたい一冊です。
就職四季報女子版 (東洋経済新報社)
『就職四季報女子版』も東洋経済新報社から毎年出版されている業界研究本です。
男女別の新卒3年後離職率や男女別の従業員数など、人事に直接聞きづらいような情報が豊富に載っています。
また、産休・育休の期間や子を持つ女性人数、女性の役職者数といった、女性に優しい企業が一目で分かる情報も多数掲載されています。
大手から中小まで網羅しているので、女学生にはぴったりの一冊です。
女性に優しい企業は、年齢や性別にかかわらず社員を正当に評価しているとも言えるので、男子学生が優良企業を探すうえでもこの本が役立つでしょう。
業界研究本を読んで得た知識を元に行動してみよう
以上、業界研究本を就活で使うメリットや、それぞれの本の特徴について紹介しました。
業界研究本を就活で使う際は、全体像把握→図解イメージ→企業選びという手順で進めていくのが効率的です。
いきなり企業を探し始めては、自分の特徴に合う企業を見つけづらいため、まずは社会に存在する業界とその仕組みについての理解を深めていきましょう。
業界研究本を読んで得た知識を元に就活を進めていけば、企業選びはもちろん、選考対策も進めやすくなるはずです。活用して効率的に就職活動を進めてくださいね。