第1弾、第2弾、 に続く第3弾として、今回は実際にグループディスカッション対策についてお伝えします。
初めてのグループディスカッション前に、この記事を読んでいただける方も、グループディスカッションを何回も経験されている方もいるかと思いますが、どちらの方にとっても、学びあるように、【人事コンサルタント】の目線でお伝えします。
この記事では、グループディスカッションで評価されているポイントから、実際の進め方や役割、注意点などを解説しています。対策におすすめの本なども紹介しているので、参考にしてみてください。
目次
グループディスカッション対策の前に|落ちる原因
グループディスカッションでは評価を得ることも大切ですが、まずは落ちないようにすることが重要です。グループディスカッションの対策を行う前に、落ちてしまう原因を押さえておきましょう。
具体的には、以下の項目が挙げられます。
- 議論に参加できていない
- 関係のない内容や的外れなことを発言してしまう
- ネガティブな意見ばかり言っている・他人を否定している
- 人の意見に耳をかさない
- 企業の求める人物像ではなかったケース
グループディスカッションが苦手だという人は、まずは自分がこれらに当てはまっていないか注意してみてください。
グループディスカッションで評価されるポイント
続いて、グループディスカッションで評価されるポイントについてご紹介します。
- コミュニケーション能力
- ロジカルシンキング能力
- 組織における立ち振る舞い
それぞれみていきましょう。
コミュニケーション能力
1つ目のポイントは「コミュニケーション能力」です。
グループディスカッションでは、基本的に初対面の相手と議論を行うことになります。その際、ただ単に発言をしたり打ち解けたりするだけでなく、自分の意見を発言して相手に聞き入れてもらえるようなコミュニケーション能力が問われます。
また、周囲と衝突を起こすことなく円滑にコミュニケーションをとることができているかも見られます。
「自分はコミュニケーション能力がある方ではない」と不安に思う人もいるかもしれませんが、ある程度までは訓練次第で身につけられます。事前の対策をしっかり行うようにしましょう。
ロジカルシンキング能力
2つ目のポイントは「ロジカルシンキング能力」です。
ディスカッションで自分の意見を述べる際、周囲の人に納得してもらうためには論理的な説明が不可欠です。
もちろん発言内容だけでなく協調性や人柄などもみられているケースが多いですが、「説得力のある説明の仕方ができているか」という点は常に意識しておくようにしましょう。
正解がないなかでも仮説を立てて、正しい方向に進められるかどうかが問われます。
組織における立ち振る舞い
3つ目のポイントは「組織における立ち振る舞い」です。
グループディスカッションでは、チームプレイで他のチームと競い合うパターンも多いです。発言内容だけでなく、組織として成果を上げるために個人がどのような立ち振る舞いをしているかもチェックされます。
企業によっては論理的思考よりも協調性を評価する場合もあるので、自分がどのような役回りをするとスムーズにことが進むか意識してみるようにしましょう。
グループディスカッションのテーマ例
グループディスカッションといっても内容や形式はさまざまです。ここでは、よくあるグループディスカッションの具体例をさまざまなテーマからご紹介します。
- 「自由に使える1,000万円があったら何に使うべきか」など、発想力が問われるテーマ
- 「成長できる企業の特徴を5つあげてください」など、ビジネスに関わるテーマ
- 「終身雇用制度に賛成か反対か」など、討論した上でチームの意見をひとつにまとめることが必要なテーマ
- 「地方における人口減少を止めるための施策を考えてください」など、課題解決力が問われるテーマ
- 「(お金)か(愛情)なら、どちらの方が大切だと考えますか?」など、二者択一型のテーマ
- 「人生における幸せとは何ですか?」など、定義付けから意見のまとめ上げまでが必要なテーマ
テーマごとに進め方は異なりますが、次の項では全般に共通する対策のポイントをご紹介します。
グループディスカッション対策のポイント
ここからは、グループディスカッションを対策する際に押さえておきたいポイントやコツについてご紹介します。
進め方について全員の合意を得る
まずは進め方について全員の合意を得て、どのタイミングで何についての議論をするのかを予め決めておくことが大切です。
基本的には、以下の順番で議論を展開していくとスムーズです。
①時間配分の決定…与えられた時間に対して1)どのような議論が必要なのか?、2)それぞれに割くべき時間はどのくらいか?を決定する
②課題/目的の定義づけや整理…与えられたテーマについて目線合わせを行う
③解決策の議論…課題を解決するためのアプローチについて話し合う
④結論…過程を整理して、結論づけを行う
発表がある場合は、発表の役割や進め方についても時間内に決めておきましょう。
①時間配分の決定
与えられた時間に対して、1)どのような議論が必要なのか?、2)それぞれに割くべき時間はどのくらいか?を話す時間になります。
②課題/目的の定義づけや整理
与えられたお題について目線合わせをする時間です。
〈定義づけの例〉
「日本の社会課題を一つ選んで、その解決策を考えろ」
▶︎「日本の社会課題を一つ」定義するので、「少子高齢化」「都市一極集中」というものが抑えられると良く、「少子高齢化によって何が課題になるのか?」「都市一極集中により何が課題になるのか?」まで定義できるとより課題が鮮明になるので、良い議論になるでしょう。
③解決策の議論
課題や定義が定まれば、あとはその課題を解決するためにどのようなアプローチがあるのかを考えるのみです。
④結論
筋の良い解決策が見えれば、②▶︎③の過程を整理して、論理的な破綻や、考える余地があるのに考えきれていないところがないかを整理するとよいでしょう。
時間があれば、より論を強められる補強をするのがベストです。
⑤発表(ないケースも)
最後に発表の準備です。選考官が議論過程をしっかり見ている場合などは、発表がないケースもあります。
必要な役割を分担する
スムーズに議論を進めるために、以下のような役割を担うメンバーがいると良いとされています。
①進行役
議論を引っ張っていく進行役。議論が筋を外れないようにするファシリテーション能力がある人が担うととても良いでしょう。
②書記
議論の過程を残しておく役割です。議論に必死になって、考えていたことをメモし忘れてしまい、大事な話を忘れてしまうこともあるので、それを防ぐために配置されることがあります。
③タイムキーパー
議論の初めで決めた時間配分を管理する役割です。
否定ではなく前向きな意見を
グループディスカッションとなると、意見をぶつけ合うことに気が向いてしまうかもしれません。しかし、グループディスカッションは勝ち負けを競うものではないので、相手を否定するのではなく、相手の発言を元にいかに議論を前進させるかに焦点を充てることがとても大切です。
意見を求められたときは、否定するよりもできるだけ前向きな意見の発言や、ポジティブな提案を行うように心がけるとよいでしょう。
グループディスカッション対策の注意点
ここからは、グループディスカッション対策の注意点についてご紹介します。
- 発言すればするほどいいわけではない
- 役割で評価は決まらない
- 多数決は使わない
- 議論を1から覆すクラッシャーにならない
それぞれみていきましょう。
発言すればするほどいいわけではない
グループディスカッションで自分の考えを伝えられることはとても大切ですが、発言すればするほどいいというわけではありません。
グループディスカッションはチームプレイの要素も強いため、他のメンバーの意見をうまく引き出し、全体で納得できる結論を導くことが重要です。
グループが結果を出すために、自分がどのような立ち回りをするのがスムーズかを意識して発言するように心がけてみてください。
役割で評価は決まらない
就活生から「どの役割だと受かりますか?」たまに聞かれることがありますが、。「役割で評価が決まることはない」と返しています。
進行役だから有利、書記だと不利だということは関係ありません。
あくまで大事なのは以下の3点です。
- 選考官にとって納得感ある答えを導き出すこと
- 参加者の納得感と合意形成を得ること
- 時間内に議論を終えること
多数決は使わない
時間が足りない場合などは、どうしても多数決で解決したくなることも多いでしょう。
しかし、グループディスカッションではチーム全員が納得できる形で議論を終えることも重要なので、できる限り多数決は行わないようにしましょう。
お互いが納得できるような打開策を出すなど、できるだけ合意形成できた状態で終了できると評価につながりやすいです。
議論を1から覆すクラッシャーにならない
議論を1から覆すクラッシャーにならないように注意しましょう。議論を進めていると、途中で「このままでよいのか?」と疑問を持つケースもあるかもしれません。
しかし、グループディスカッションの時間は限られているので、後から議論を蒸し返すのは基本的にNGです。疑問に思ったことや不明点はそのときに発言するようにし、議論が進んでから覆すことのないように注意しましょう。
どうしても後から議論を戻したいときは、他のメンバーが納得できる理由を説明すると良いでしょう。
グループディスカッションの役割は兼任も複数人で分担してもOK
役割は、最初の役割と変わっていっても問題ないですし、役割が不要なケースの方が実は多いと、たくさんの選考を見て感じています。
進行役は進めていくうちに、議論の進め方の改善が必要になり、他の人に変わることは往往にしてあります。つまり、議論を進めていけば自然と進行役は決まっていきます。
また、書記についても、進行役がメモをしながら進めることや、全員がメモをしながら進めるケースもあり、必要であるかと言われれば役割として必ずしも必要とは言えないです。
そして、タイムキーパーも、スマホでタイマーをつければ終わる話なので、あまり役割として意味がないかもしれません。
「役割」にこだわるあまり、議論が滞っては本末転倒です。その場の状況で、最適な役割分担をしましょう。
グループディスカッション対策で事前にできること
ここまでグループディスカッションの概要や背景を、人事コンサルタント目線でお伝えしてきました。その上で、グループディスカッションで自分の力を発揮するためには、準備が必要です。ここでは、おすすめの事前準備の方法をお伝えします。
①論理的思考力を鍛える
仕事においても重要な論理的思考力。特に就職活動において、「ロジックツリー」を作る力はとても役立つので作れるようにしておくのがおすすめです。
例)収益を上げる
②グループディスカッションの練習をたくさんする
友達同士やエージェントが主催しているグループディスカッション練習会に参加して、たくさん練習するのはとても効果的だと思います。
その際に、今回の記事で書いた内容をもとに振り返りをしたり、フィードバックを受けるなどすると、自分自身の強みや弱みが見えてくるでしょう。
また、練習会に出るのではなくて、実際の選考を経験するのも良いと思います。特に短期インターンの選考は、本選考への影響も少なく、良い経験になります。
練習をしてから選考を受ける余裕があまりない方は、実際の選考で力を伸ばすという方法もあります。
③オンラインツールの使い方をマスターする
オンラインツールの使い方をマスターすることも効果的です。近年では、グループディスカッションがオンラインツールで行われることも少なくありません。
たとえば共有ドキュメントで書記を取れるようになるなど、積極的にツールを駆使することができれば、グループディスカッションも有利に進められる可能性が高いでしょう。
ツールの使用はグループディスカッションだけでなく仕事をする上でのスキルにもなるので、早いうちからマスターしておいて損はありません。
グループディスカッション対策に関するよくある質問
これまでグループディスカッションのコツや対策方法についてご紹介しましたが、まだ不安が拭えないという人向けに、グループディスカッション対策に関するよくある質問をご紹介します。
対策なしでも大丈夫?
場合によっては、対策なしでグループディスカッション当日に臨もうと考えている人もいるかもしれません。
日常からディスカッションする機会がある人は対策なしでもいい場合もあるかもしれませんが、就活ならではの進め方やコツがあるのも事実です。
時間が取れるのであれば、基本的には対策しておくことをおすすめします。
対策はいつからするべき?
対策は早ければ早い方が良いですが、遅くとも選考が始まる1ヶ月前頃までには始めることをおすすめします。
ただし、選考対策が必要なのはグループディスカッションだけではないので、他の対策とのバランスも考えながら進めていきましょう。
おすすめの対策本はある?
グループディスカッションの対策には 『東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート: 「2ステージ、6ポジション」でつかむ「話し合い」の新発想!』がおすすめです。
グループディスカッションの基礎から、実際に使えるフレームワークまでわかりやすく紹介されているので、何から手をつけてよいかわからない人は参考にしてみてください。
まとめ
以上、グループディスカッションで評価されているポイントから、実際の進め方や役割、注意点などを解説しました。
グループディスカッションは面接とともに、就活生から評価軸が見えにくいため、誤った対策がされていることを目にします。
今回の記事を元にして、自分自身の力をしっかりとグループディスカッションで出し切れるようになれば幸いです。
新卒での就職活動は初めての経験であり、またほとんどの人は1度きりで終わります。だからこそ、正しい情報をしっかり集めながら、自分で考えて行動し、自分が納得できる就活の終わりを迎えていただければと思います。
書いた人:高橋 奎
Twitter:https://twitter.com/_keitakahashi_?lang=ja
人事コンサルティング会社、「STARMINE株式会社」にて、新卒採用コンサルタントとして、多くのベンチャー企業の短期インターンシップを軸とした採用を支援。
その後独立し、場創りプロデュース会社である「NO WALLs株式会社」を創業。オンライン/オフライン問わずさまざまな企業支援行いつつも、就活生への支援も引き続き行なっている