【2019年卒市場動向】土俵を変えて戦う新卒採用 -学生アプローチの時期を変える

【市場動向予測7】土俵を変えて戦う新卒採用 -時期編

2020年卒採用、2021年卒採用はすでに始まっている?!

 
3年次に限った「時期による土俵ずらし」は、すでにレッドオーシャンになりつつあるが、学年を超えての「時期」までを範囲に入れることで、新たな取り組みを進める企業が増えている。

下記は、低学年や通年採用、人材育成といった「時期」という土俵を変えたアプローチの方法だ。早期からの接触や人材育成を通じて、認知の獲得だけではなく、優秀な人材の囲い込みなどにも効果があるだろう。しかし、低学年へのアプローチは社内リソースの潤沢さやその後、採用につなげるための良質な設計が求められるため、どの企業でも容易に実施できることではない。

また、このような取り組みをする企業が目立ち始めたということは、この先、低学年向けのアプローチも「時期による土俵ずらし」の選択肢として入ってくる可能性は、十分に予測できる。

 

低学年
【出典】:【市場レポート】どうなる? 2019年新卒採用の動向・変化予測 -秋冬・本選考対策編-

 

低学年向けインターンシップ 学生や大学の考えは?

 
では、学生はこういった学年を超えた時期による土俵ずらしについてどのように考えているのだろうか。

下記は、弊社で実施した19卒学生のインターンシップ意識調査で、『大学1〜2年生当時、低学年でも参加可能な学年不問のインターンシップがあったら、参加をしたかったですか?』の問いに対する結果である。それによると、低学年からインターンシップの参加を希望する学生は、全体の7割にも上った。また、文理・大学と大学院・エリア別で見てみると、理系や大学院、関東以外のエリアでは、『参加しない』という割合がわずかに増えるものの、それでも各調査で『参加したい』と回答した学生が一定以上存在していることがわかった。

『参加したい』と回答した学生の主な理由は、「1つの業界に捕らわれず様々な業界を見るだけの時間があるから」や「今思えば相当時間があったから。今戻れるならば長期休暇にインターンに絶対参加すると思う」など、3年次の夏休みや冬休みだけ時間の余裕があるうちに、業界や業種、企業研究を進めておきたいという思いがあるようだ。
反対に『参加しない』と回答した学生は「学業面で多忙だったため」や「当時は長期休みに資格試験の勉強に勤しんでいたから」など、本来の目的である、学業優先が理由となっているようだ。
 

低学年向けインターン
【出典】:株式会社i-plug 『2019年卒インターンシップ意識調査』2017年8月実施

 

上記のような企業の動きや学生の考え方がある中、大学側としてはどうだろうか。

最近では、3年次でも学内イベントへの参加率が低下し、マス対応では学生も動かなくなってきているといった悩みに加え、低学年からの就活支援についても課題を感じているところが多い。しかし、現状では低学年向けにフォローできるようなリソースが十分ではなく、そういった動きには慎重のようだ。

その一方で、低学年へのフォロー体制が整った大学も存在しており、1、2年生のペアでインターンシップに参加させるような取り組みをしているところもある。
 

企業・学生・大学ともに、低学年から就職活動を意識するような流れができてきているが、学年をまたぐことで時期をずらしたとしても、やはり実施するだけでは効果は期待できない。学生の限りある時間を有益なものにするためにも、インターンシップ、産官学連携など、低学年向けにもアプローチできるような方法を考えていく必要がある。
 

 

 

※本記事は「【市場レポート】どうなる? 2019年新卒採用の動向・変化予測 ー秋冬・本選考対策編ー」の一部を抜粋したものです。


2017年11月14日公開