【2027年卒】新卒採用の全体スケジュールや市場の動向を解説
採用戦略の立案や全体的なスケジュールの設計のためには、採用市場の動向を掴んでおくことが重要です。しかし、常に変化する新卒採用市場の全体像を正しく捉えるのは難しく、スケジュール設計に悩む人事・採用担当者の方も多いかもしれません。
例えばよくある疑問として、「他の企業はいつごろから採用活動をスタートさせているのか?」「学生側はオンライン就活に対して、実際どのように感じているのか?」などが挙げられます。
本記事では、こういった疑問の解消に役立つよう、さまざまなデータをもとに2027年卒採用の市場動向を解説します。
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目次
【2027年卒】新卒採用の全体スケジュール

新卒採用は、時期によってやるべきことが異なります。本記事では、2027年卒の新卒採用のスケジュールとして、以下の5つに区切りました。
- 2025年6月~9月
- 2025年9月~12月
- 2025年12月~2026年3月
- 2026年3月~6月
- 2026年6月以降
それぞれの時期で実施されることを解説します。
2025年6月~9月
2027年卒新卒採用の「2025年6月〜9月」は、主に夏インターンシップと広報活動の準備を行います。夏インターンシップでは、学生に実際の業務を体験してもらいます。自社に合った学生を早期に発見して接触を図り、ブランディングや関係構築につなげるのが主な目的です。
2025年6月〜9月には、広報活動の準備も行います。例えば企業説明会の準備では、パンフレットや説明資料の作成、コンテンツの制作、Webサイト・採用ページの更新といった作業をします。SNSアカウントの運用計画などを行うのもこの時期です。
2025年9月~12月
「2025年9月〜12月」は、主に秋・冬インターンシップを実施します。学生のカリキュラムとしては後期に該当するため、長期休みの際のような長期間(数週間)での実施は基本的に難しいでしょう。短期間(1日〜1週間程度)のプログラムを中心に、インターンシップや座談会などのイベントを開催するのが定番です。
2027年卒の採用とは直接関係ありませんが、この頃から2028年卒の採用要件を考える企業が多いとされています。長期的な視点で人材確保戦略を策定し、効果的な採用活動を展開するための基礎を作りましょう。
2025年12月~2026年3月
「2025年12月〜2026年3月」は、主に秋・冬インターンシップの実施と、採用体制の整備を行います。学生は春休みに入るため、比較的長期間のプログラムでも開催しやすいでしょう。ただし春休み前(後期試験のタイミング)は多忙になりがちなので、そうした状態に配慮しつつアプローチするのが推奨されます。
本格的な採用活動開始に向けて、採用体制を整備するのもこの時期です。採用ページやSNSの更新、最新情報の発信など広報活動を強化しつつ、選考プロセスを確立しましょう。インターンシップから採用を目指す場合、この時期に選考を行い、内々定を出す企業もあります。
2026年3月~6月
「2026年3月〜6月」は、企業説明会や選考を実施し、内々定を出す時期です。3月は説明会のピーク時期で、多くの企業が集中的に実施します。学生に企業の魅力や事業内容を伝え、選考への参加を促しましょう。
企業説明会のピークが過ぎると、各企業で選考が実施されます。エントリーシートの受付開始から、一次選考(書類選考)、二次選考(グループディスカッションや適性検査)、最終選考(個別面接)と進んでいくのが一般的です。
自社に合った学生が見つかったら、内々定を出します。2027年卒新卒採用のスケジュールにおいて、多忙な時期です。
2026年6月以降
「2026年6月以降」は、内定者フォローや内定者研修を行う時期です。人事・採用担当者が注意しなければならないのは、せっかく採用した人材に内定を辞退されることです。内定者交流会や懇親会の実施といった基本的なフォローを実施し、入社の意欲を高めてもらう必要があります。
内定者フォローと同様に、内定者研修も重要です。学生が抱えている不安を解消し、モチベーションを高める効果が期待できます。ビジネスマナー研修などの基本的な研修のほか、実務経験を積むための短期プロジェクトやワークショップを開催するのもよいでしょう。
新卒採用市場の変化要因と注目トレンド

2026年卒の新卒採用市場は、全体として堅調に推移していますが、企業間の採用競争は一層激化しています。キャリタスの調査によれば、採用予定数を「前年並み」とする企業が57.9%、「増加」とする企業も18.7%にのぼり、依然として採用意欲は高い状況です。
一方で、求人倍率は1.66倍(参考:リクルートワークス研究所)とやや低下し、売り手市場のバランスがわずかに揺れ始めています。学生の安定志向や早期化傾向も強まっており、インターンやオープンカンパニーの設計力が企業の母集団形成を左右する重要な要素となっています。
採用意欲と市場規模の見通し
2026年卒の採用意欲は高水準を維持しています。キャリタスの調査では「前年並み」と回答した企業が57.9%、「増加予定」が18.7%と、景気不透明感の中でも採用に積極的な姿勢が目立ちます。
特にDXや専門職の人材確保ニーズが強く、理系学生やIT人材の採用枠は前年よりも拡大傾向にありました。一方で、採用予定数を「減らす」とする企業も6.4%存在しており、業種による二極化が進行しています。人材の質と数をバランスよく確保する難しさが増す中で、採用戦略の見直しが求められています。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 採用予定「前年並み」 | 57.9% |
| 採用予定「増加」 | 18.7% |
| 採用予定「減少」 | 6.4% |
インターン・早期接触の重要性と企業の対応
2026年卒においても、採用活動の早期化が顕著です。学情の調査によると、夏〜秋にかけてのインターンシップやオープンカンパニーを実施する企業が増えており、早期接点での印象形成が内定承諾率を左右する重要な要素となっています。
また、採用直結型インターンの導入も拡大し、学生との関係構築を重視する傾向が強まっています。企業にとっては、単なる母集団形成ではなく「接点の質」が問われる時代に入っており、体験型・双方向型の企画が差別化の鍵となっています。
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| オープンカンパニー実施企業 | 約7割以上(参考:学情の調査) |
| 接点の目的 | 印象形成/関係構築 |
| 重視される点 | インターンの「質と体験価値」 |
初任給引き上げ・待遇見直しの動き
2026年卒採用において、初任給の引き上げは企業側の競争戦略として広く浸透しています。マイナビの調査では、54.1%の企業が初任給の引き上げを検討していると回答しておりました。
また、福利厚生や働き方の柔軟性を訴求する動きも強まっており、給与単体ではなく「総合的な雇用魅力度」が問われる局面にあります。一方で、待遇強化による中小企業との格差拡大も見られ、採用格差の要因にもなりつつあります。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 初任給引き上げ実施企業 | 54.1%(マイナビ調査) |
| 平均初任給 | 約22万〜24万円(業界差あり) |
| 傾向 | 処遇×働き方のセット訴求が主流化 |
求人倍率と採用難易度の状況
リクルートワークス研究所の調査によれば、2026年卒の大卒求人倍率は1.66倍となり、前年(1.75倍)よりやや減少しました。これは企業の採用数は堅調ながら、学生側の慎重志向が強まり、動き出しが早まった一方で企業とのマッチングに時間がかかっていることが一因です。
特に人気業界や大手志向が集中する中、中小企業は母集団確保に苦戦を強いられています。結果として、一部では「採用難の二極化」が加速しており、企業ごとのブランド力や初期接点がより重要になっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 大卒求人倍率(2026卒) | 1.66倍(前年1.75倍) |
| 採用難感の強まり | 特に中小・地方案件で顕著 |
| 要因予測 | 企業間競争/学生の慎重化 |
【2027年卒】25卒の新卒採用から見る学生の動向予測

2027年卒新卒採用のスケジュールを考える際は、過去の新卒採用に関するデータから、将来の学生の動向を予測するのが重要です。以下、就職活動開始時期と、オンライン・対面形式の採用に対する反応にまつわるデータを紹介します。
就職活動開始時期

出典:HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月) 結果報告 第1報
HR総研×就活会議:2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)によれば、就職活動開始時期は、3年生4月から6月が大半を占めています。理系のほうが若干早く始める傾向にありますが、それほど大きな差はありません。
志望業界・企業が明確になっている場合、今後の就職活動を有利に進めるため、やはり夏のインターンシップに参加したいと考える人が多いようです。2027年卒でも同様の傾向が見られると予測できます。
オンライン・対面形式の採用に対する反応

出典:ONE CAREER「2026年卒 就活の実態調査」
合同企業説明会・会社説明会ではオンラインを希望する学生が多いようです(ワンキャリア調べ)。具体的には、合同企業説明会をオンラインで実施してほしいと回答した人は 72.9%、会社説明会は66.5%となっています。
一方でインターンシップやOB・OG訪問、本選考、最終面接では対面派が優勢となっています。上記のように、オンラインで利便性を追求しつつ、重要な場面はオフラインで臨みたいと考える人が多いようです。
人事ZINEでは、人事・採用担当者の方に向けて、「2025年卒の市場を分析!これからの新卒採用戦術」をご用意しております。2025年卒の採用市場がどうなっているのかを理解できるので、ぜひご活用ください。

【2027年卒】25卒の新卒採用から見る企業の動向予測

2027年卒新卒採用の企業の動向を予測するため、以下のデータを参照しながら読み解いていきます。
- 採用活動開始時期
- オープンカンパニーおよびインターンシップの実施
- オンラインを活用した企業の採用状況
採用活動開始時期


出典:株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」
株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」によれば、2025年卒の採用活動開始時期は、24年3月が最多(24.0%)です。2023年10月~2024年2月など、比較的早期に採用活動を始める企業も多く見られます。
2026年卒の採用活動開始時期は、未定を除くと2025年3月(13.2%)が最多という結果になりました。昨今では採用活動の早期化が顕著になっていますが、今後もこの傾向が続くと予想されます。
オープンカンパニーおよびインターンシップの実施

出典:株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」
株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」によれば、25卒のオープンカンパニーの実施率は58.0%でした。26卒では実施予定と実施検討中を合わせて74.9%となり、単純計算で16.9ポイント増加すると想定されます。

出典:株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」
25卒ではインターンシップ(5日以上)の実施率が低く、夏のインターンシップが12.0%、秋冬のインターンシップが6.0%です。一方、26卒ではインターンシップ実施予定が増加し、夏のインターンシップが15.0%、秋冬のインターンシップが6.5%、合計21.5%となっています。
オンラインを活用した企業の採用状況

出典:株式会社ベネッセ i-キャリア「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」
前掲の「企業の新卒(25卒・26卒)採用計画実態調査」によれば、26年卒の採用計画において具体的に検討・実施予定の施策で最も多かったのは「会社説明会(オンライン)」(20.9%)でした。その他にもワークショップ型の仕事体験(オンライン)(6.6%)や「社員との交流会(オンライン)」(6.3%)なども挙げられており、各企業ともオンラインを積極的に活用していく方針であることが見てとれます。
なお、会社説明会はオンライン形式に積極的な企業が多い一方、仕事体験や社員との交流会は対面形式の方が多いという結果です。引き続き初期は手軽に多くの学生に情報を伝えられるオンライン形式を、後半は熱意を伝えやすい対面形式を利用するハイブリッド型での採用が継続されることが予測されます。
【2027年卒】新卒採用に関する現在の課題

以下、2027年卒新卒採用に関する現在の課題として、学生側と企業側に分けて解説します。
学生が抱えている課題

出典:株式会社i-plug「就職活動の選考過程に関する調査」
当社i-plugが実施した「就職活動の選考過程に関する調査」(25卒の学生を対象)では、「就職活動において最も課題に感じている点」について、「面接対策」(31.0%)、「自分に合った企業の見つけ方」(24.1%)、「適性検査・筆記試験の対策」(12.6%)などが上位に挙がりました。
また「就職活動を行う上で、不安に思っていること・悩んでいること」については、「内定がもらえるか不安」(54.2%)が最多の項目であり、売り手市場と言われるなかであっても就職先を確保できるかについては自信が持てない学生が多いことが読み取れます。
就職活動での追加の取り組みについては、「自己分析や業界研究の実施・見直し」(60.6%)や「企業、業界、職種の幅を広げて活動」(31.9%)といった回答が多く、必要なリサーチ・情報の整理をしながら就職活動に着実に向き合う姿勢の学生が多いことが見てとれる状況です。
企業が抱えている課題

出典:株式会社キャリタス「2025年卒採用活動の感触等に関する緊急企業調査」
調査結果によると、課題として多く挙げられたのは「プレ期の活動の強化」(63.0%)であり、「インターンシップ等のプログラムの実施・強化」(61.7%)も高い割合でした。
「採用広報の強化・多様化」(53.1%)、「大学との関係強化」(42.0%)、「内定辞退の防止」(38.4%)も注力すべき項目とされています。規模別に見ると、大手企業(1,000人以上)では早期対策に加え、「内定辞退の防止」や「選考中辞退の防止(応募者のつなぎとめ)」の回答率の高さが目立ちました。
「ホームページやパンフレットの作成・改訂」(33.0%)や、「社内協力体制の整備」(22.4%)も重要視されています。2024卒より採用直結型インターンシップの実施が可能となったため、今後もプレ期での取り組みが重視されるでしょう。
まとめ

2027年卒新卒採用の動向を予測するには、2026年卒や2025年卒など、直近のデータを参照するのがおすすめです。全体として採用活動の早期化が見られるようになり、実際の選考活動の取り組み内容はもちろん、「選考に至るまでに何をすべきか」を計画的に考える必要があります。
自社に合った人材を採用するためには、本記事で紹介したような採用スケジュールの目安や企業側・学生側の直近の傾向をもとに戦略を立てるのが有効です。また、オンラインの特性を理解し、フェーズごとに対面とオンラインを使い分けることも求められます。
人事ZINEでは、人事・採用担当者の方に向けて、「最新の市場動向を分析!これからの新卒採用戦術」をご用意しております。近年の採用市場がどうなっているのかを理解できるので、ぜひご活用ください。

