シューカツ説明会予約を制限する「学歴フィルター」は変わるのか?
暗黙の了解であった「学歴フィルター」
学歴フィルターという言葉をご存知でしょうか?
「もうこの説明会はいっぱいになりました。受付終了です」人気企業の説明会に参加申込をしても、受け付けてもらえない。一度や二度ならまだしも、何度も同じ対応にあうー。学歴で選別しているのだろうか?
「学歴フィルター」とは、新卒大学生の採用にあって、企業側が大学別に差を付ける行動を指します。あまり語られていなかった暗黙の了解の言葉だったんですが、最近はインターネットを通じて記事が書かれる事が多くなり、関係者以外にも「ああやっぱり」といった感じで認知されているのではないでしょうか。
たとえば、昨年12月に企業Xが採用説明会への参加申し込みをネットで受け付け始めた直後のタイミングで、大学Aの学生が申し込もうとすると、全日程が「満席」表示で断られ、他方でその少し後に別の大学Bの学生が申し込もうとすると空席がある、といった現象が起きます。一般に、大学Bの方が大学Aよりも、いわゆる「偏差値」が高い入学が難しい大学です。
大量応募は大量の選考落ちも。「エントリーシートを真面目に書いた自分は落とされ、トップ校の友人は適当な内容でも通った」(立教大3年男子)。「同じ説明会やセミナーに参加した立教大の友人にはリクルーターが接触してきたのに、自分にはない(http://www.asahi.com/articles/ASG3T3CDMG3TUHBI00K.html)」(学習院大3年女子)。ふるい落とされる側には、不満と劣等感が広がります。
採用をする側される側のニーズが高い対象に、暗黙的にあった現象のようです。
「タ—ゲット校」がある事実
採用担当者側は、あらかじめ「ターゲット」となる大学を決めている事が多いようです。採用活動は1年から半年かかり、やる事が膨大にある一大イベント。企業側としては、ある程度ターゲットを絞って行なう方が効率的なのです。
他にも、大学を決める事により、
- 学生の質
- 大学の就職課と仲良くなり、採用しやすくする
といったメリットがあり、企業側も採用予定数と質を確保する為に必死だ。
どの学校・学部の学生が欲しいかはっきり明示する方が、学生・企業の双方にとって率直で効率的な反面、「オープンでフェアな会社だ」と対外的にアピールしたいならば、ターゲット校を明確にしない方がいい…。
「『自社の既存の社員のモチベーションを考えると、特定の大学の名前をはじめから外すのははばかられる』という気持ちもあるらしいので、大学名のブランド力は相当強い事をあらかじめ感じるエピソードです」
大学名以外でフィルタリングするには現実的ではない?
例えば、学力テストのような「大学生基礎学力検定」をやればいいと言う人もいる。しかし、おそらくテストをやっても同じだろう。どこにいてもヒエラルキーは出来るし、「ランキングを見て評価をする」限りは、同じ事を繰り返すのではないでしょうか。
学生も、企業も、「どんな人が自社にとって良い人か」がわからない限り、どんな採用をしても上手くいくとは思えません。
お互いに模索しながら、というには時間が短過ぎる、という意見もありますが、それなら大学1年から採用活動をすればいい、高校生から、中学生から…と、どんどん対象が長くなり、これもまたよくわからない事になります。一体採用活動ってなんなんでしょう?
お互いを多角的に見つめ直す
学歴フィルターが幅を利かせるのは、人気企業、人気大学に集中するから。それは採用の効率を考えて重視する企業と学生の気持ちが働くからです。そんな中で学歴で測れない力に注目する動きも出てきています。
http://www.asahi.com/articles/ASG3T3CDMG3TUHBI00K.html
ロート製薬は青年海外協力隊の経験者に目を向ける。「知らない国に飛び込んで、一から仕事を始めた経験とマインドはたいへん魅力的」(綾井博之人事総務部部長)。始めて3年、毎年1人ずつ入社している。3年前に採用された女性(31)はいま、アフリカ・ケニアに赴任し、責任者として現地スタッフと市場を開拓している。
日本経済が「新興国頼み」の傾向を強める中で、グローバルに活躍できる資質を持った人材に注目が集まる。国際協力機構(JICA)によると、JICAに寄せられた青年海外協力隊の経験者に対する求人は2013年度に2千件。この2年で3倍に増えた。
「一つの分野で頂に登った人は、困難に直面したとき、自分で考えて壁を乗り越えてきた経験がある。それは必ず企業活動に生きてくる」(仙田厚毅採用企画部部長)
富士通も11年入社組から、同様の採用方法「チャレンジ・アンド・イノベーション」を始めた。「以前だったら明らかに接点のなかった優秀な層が来るようになった」と人材採用センターの山本幸史センター長は話す。
ある企業の採用担当者は「留学生が欲しいと言えば、学生は興味もないのに留学してしまう。そして戻ってきても結局何も残らない。これは私達採用側の責任だと感じた」と言います。学生は企業研究していて、これが本当に自分のやりたい事か分からない、と言います。
こうみると、「山嵐のジレンマ」のようで、お互いがお互いに求めているものが分かれば、あとは探すしかない。今のエントリー型ではなかなか上手くいかないだろうと思います。また、先述の学力テストのようなものも、結局ミスマッチは無くならないでしょう。なぜなら、今の学歴フィルターを通した不満は、学歴があるから実力があるだろうという期待から外れるというよりも、「思いがかみ合ってない」からです。
働くなかでスキルは身に付く。じゃあ何が必要か?
企業アンケートやインタビューの中でよく出て来る言葉は、「企業が求めるスキルは、学生には求めていない。はじめから持っている学生はいない」という言葉です。
理系や留学生、アスリート等、特化した学生を求める場合、知識として知っている事が要件である場合はありますが、殆どは「専門特化した中で頑張れるかどうか」のポテンシャル(潜在能力)を求めているケースが多い。
いわゆる「がんばれるかどうか」。
学歴フィルターも「受験戦争を勝ち抜いた学生は頑張れそうだから」という理由が大きく、逆に言うと企業側が「頑張れそうな学生を学歴以外で見つけられるなら採用する」という事ではないでしょうか。
倫理憲章で採用期間がどんどんと短くなり、短期間で学生とコンタクトし、採用決定を出さなければならない企業と、内定をもらわなければならない企業。
「働く姿勢」というのはどちらもアピールが必要で、アピールだけではなく日々の動き方、仕事の仕方は表れるだろう。真面目にコツコツやるのが得意な人、果敢に行動していく事が得意な人、得意な事は人それぞれだ。
後は上手く表現できる、まとまってみられるサービスを使う事。
弊社のOfferBoxのようなオファー型は、学歴だけではない、もっと良い人を探したい、という企業や学生にとっては良いサービスですし、より良くなるように心がけています。また、人材採用やエントリー型にもそれぞれ良い点もあります。
大切なのは、「学歴で採用したけど、採用されたけど、なんか上手くいかない」と感じている事を、何度も繰り返しては行けないという事ではないでしょうか。