
年間約500名の学生と面談をしている筆者が、就職活動を始めた、もしくは始めようとしている文系の方とお話をしていると「文系だから就職先がないのではないか」「文系の就職活動が不安だ」という悩みをよく聞きます。一部の学生からは、「偏差値が低い私立大学の文系は就職先がないと思う」という悩みもいただくことがあります。
実は、学歴も関係なく、文系の就職先はあります!
とはいえ、そんなこと言われても信じられないよという声もいただきます。そのため、今回は実際に就職活動を終えた、文系の先輩方の就職活動体験記も盛り込みました。
この記事では文系の就職事情から実際の体験記、そしてアピールの仕方までを徹底解説します!
目次
文系の就職先がないのは嘘!
先ほど学歴も関係なく、文系の就職先はあるとお伝えしました。
文系と理系で比べても就職率はほとんど変わらないですし、文系の大学の学部や学歴をみても、就職率の有利・不利はありません。この章ではなぜそう言えるのかをご紹介します。
文系の就職率は理系とほとんど変わらない
まずは文系と理系で就職率の差を見てみましょう。
実は就職率においてほとんど違いはありません。文部科学省の就職活動状況データによると、令和2年度の文系の就職率は96.0%、理系の就職率は95.9%となっています。
文部科学省:令和2年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)より
企業が求めているスキルはポテンシャルスキル
なぜ文系と理系でほとんど就職率に差がないのでしょうか。
それは、企業が学生に求めているスキルが、一部の専門的なスキルを除きポテンシャルスキルだからです。ポテンシャルスキルとは、学生が企業に入社した後活躍することができる潜在的なスキルのことです。もう少し具体的に判断軸をお伝えすると、以下のような項目から判断されます。
-
- つまずいた時、失敗した時に乗り越えられそうか
- 社内外を問わず、問題なくコミュニケーションがとれそうか
- 活かせそうな能力と応募している職種がマッチしているか
- 社風に合うか
下記記事には企業がポテンシャルを見極めるために質問するさらに具体的な例が載っているのでよろしければ参考にしてみてください。
【例文付き】面接でよく聞かれる質問と具体的な解答例
それでも理系の方が有利?
上記でお伝えしたように、企業はポテンシャルスキルをみているため、文系だから理系より不利なんてことはありません。もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
理系に比べて不利は間違い!文系の就職事情から就活の仕方まで徹底解説!
文系の中でも、学部の有利・不利はある?
学生からは、文系の学部ごとに有利・不利があるのではないかという相談もいただくこともあります。ただ、上述したように企業が学生に求めているものはポテンシャルスキルなため、文系の中で学部の有利・不利はありません。
どの学部で学んだかより、どんな学生生活を送ったか、それをどうアピールしていくかが重要なのです。
文系の中でも、大学レベルは就職率に関係ある?
学部の有利・不利と同じく、企業が学生に求めているものはポテンシャルスキルですので、大学レベルによる就職率の違いはありません。
大学名を選考通過の判断材料にする企業が存在することは事実です。しかし、大学レベルではっきりと足切りをする企業はごく一部です。なぜなら、繰り返しになりますが、企業が見ているのは学生のポテンシャルスキルであり、大学名だけで学生を判断することで、優れたポテンシャルを持っている学生を逃すのは惜しいと、大半の企業は考えているからです。
その結果として、大学レベルと就職率が比例するということは起きていません。
ちなみに、寄稿しているOfferBoxでも、大学レベルによるオファーの偏りはありません。
詳しくは以下のページをご覧ください。
(DATA.06:学歴によるオファー受信の偏りなし)
大学レベルよりも、学生の興味関心や強みが、自社とマッチする学生を見つけるために利用している企業が多いことがわかります。
実際にどんな大学レベルでも大差なく、皆さん就職活動を終えられていることを納得いただきたいため、次の章では実際の就職活動を終えた先輩の就職活動体験記を、大学レベル別にご紹介します。
大学レベル関係なく、文系の先輩は就職活動を成功させている!

旧帝大出身の文系就職活動体験記
【製造業 / 東北大学出身 / 男性Tさん】
僕は正直就職活動において文系が不利だと考えたことはありませんでした。
しかし、どの業界に進みたいのかは全く分かりませんでした。そのため、しっかりと自己分析をしたうえで幅広く業界を受けてみることにしました。そうしたら、自分の得意なことを活かしつつ目指したい未来に向かっていけそうな企業が、全く予想もしていなかった製造業の企業でした!
就職活動に不安な人がいれば、理想の企業に出会うためにもまずはしっかりと自己分析をし、幅広く業界や企業を受けてみることをおすすめします。
地方国公立の文系就職活動体験記
【金融業 / 香川大学 / 女性Cさん】
私は大学受験に失敗してしまったため、いわゆる学歴コンプレックスを持っていました。
そのため就職活動を始める時から上手くいくのか不安な日々を過ごしていました。先輩からも話をたくさん聞き、エントリーシートの添削もしっかりしてもらったことでアピールも上手く伝えることができました。その結果、なんと第一志望だった金融業の企業に内定をいただきました!
実際に就職活動を終えた先輩たちのお話も聞いてみると参考になるかもしれないです!
早慶上智の文系就職活動体験記
【商社 / 早稲田大学 / 男性Iさん】
僕は就職活動で絶対に入りたい企業があったため、不利・有利かなどは考えず、ひたすらにどうやったら入れるかを考えていました。できる可能性があることはやりきりたいと考えたため、知り合いのOBにひたすらお願いをしてOB訪問をさせてもらい、インターンにもいきました。業界研究も抜かりなかったと思います。面接では自分の貢献できるポイントを余すことなく伝えました。
ここまでやらないといけなかったかと言われるとそうでもないと思いますが、後悔のないようにやりとげられたのでよかったなと思ってます。
実際に就職活動をしている人は、後悔のないように考えられる方法は全部試してみるのはいい手だと思いますよ。
G-MARCH / 関関同立の文系就職活動体験記
【人材 / 中央大学 / 女性Mさん】
私は先輩で就職活動が上手くいっている人もいれば、苦戦している人も見てきたので、早めから対策をしようと思って就職活動をしておりました。
就職活動を早めから始めていると、早めに就職活動を終える人ももちろんいたので焦りました。しかし、就職活動を早めに終える人は、いきたい企業が早めに選考が終わる企業なだけだと途中で気付き、それからは自分のペースで就職活動も進められるようになりました。
周りの人で就職活動を早めに終える人が出てくると焦ると思いますが、ありのままを受け入れてくれる企業と出会うことの方が大事だと思うので、納得いくまで頑張ってみてください!
私立大学の文系就職活動体験記
【IT系 / 東洋大学 / 男性Oさん】
僕は高校の友人に理系が多く、就職活動を早めに終えていたため内心とても焦っていました。
しかし、キャリアアドバイザーやまわりの同じような業界を受けている友人の話を聞き、再度自己PRを磨き上げしっかりと一つ一つの選考を進めていくことで無事数社から内定をいただくことができました。
選考を受けていく際にうけたフィードバックをもとに自分の長所や短所に気がつけたのも大きかったです。
選考を次に活かすことは、していない人もいると思いますが、とても大事なことだと思っています!
短期大学 / 専門学校の文系就職活動体験記
【メーカー / 共立女子短期大学 / 女性Sさん】
私はあまり就職先がないと思っていました。
しかし、就職をしないと生活もできないので頑張って自己分析もし、多くの企業を受けました。有難いことに内定までいただくことができて無事に就職活動を終えることができました。就職活動を終えて内定者懇親会で一番最初に驚いたことは、大学レベルは関係ないというのを体現していたほど、レベルが異なる大学の人までいたことでした。皆さんの共通点としては、持っている想いが似ている人たちが集まっていることでした。
実は大学レベルで不安になっている人たちはもったいないのかも。同じような企業を受けている人たちを見てみるとと多種多様な人と会え、不安が和らぐかもしれません。
文系のアピールポイントをしっかりと理解しよう!

確かに、面接やエントリーシートで自己PRをしっかりしていくことはとても大事です。この章では自己PRについて詳しく解説します。
自己PRを磨き、企業へ貢献できることを伝えるのが一番大切!
文系の強みとして、個性豊かで印象に残りやすい経験・アピールができる点があります。大学生活を過ごす中、学業以外の時間で、人によってはサークル活動に注力したり、アルバイトに注力したり、はたまた起業をしてみたり。経験してきたことによって種類は変わるものの、アピールできることがあるはずです。
そんなアピールできることを探しながら、どのように企業へ貢献できるかを伝えることが一番重要になってきます。
この項ではアピールできる内容を具体例を挙げながらご紹介します。
サークル活動
サークル活動では主に協調性をアピールできます。なぜなら、サークル活動の多くが仲間の協力を得て行ってきたものだからです。
また、幹事長や何かの役職に就いていた人であれば、リーダーシップなどもアピールできます。
ただし、サークル活動は多く学生が経験し、またアピールポイントとして活用する学生が多いため、印象が残らない内容にならないよう注意する必要があります。どういったサークルでどういったことを達成したかを具体的に伝え、印象に残るようにアピールしましょう。
アルバイト
アルバイトでは主に企業貢献意欲をアピールできます。アルバイトでは企業や個人事業主に雇ってもらい、求められる成果を上げる必要があります。アルバイトであっても、雇ってもらったら組織の一員です。売り上げを上げるため、生産性を高めるために取り組んだことがあればアピールしてみましょう。
就職をしても企業のことを考えて行動してくれると感じてもらえるでしょう。
ただし、サークル活動と同様、アピールポイントとして活用している学生が多いため、具体性を持たせて印象に残すことが大事になってきます。
具体的な例文が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
アルバイト経験から考える「学生時代に最も打ち込んだこと」ー例文あり
留学
留学では主に成長意欲をアピールすることができます。まったく異なった環境に行くことはとても勇気が必要ですよね。そのため、留学を決断したきっかけなども含めてアピールできるといいでしょう。
また、何を学びたくて留学を決意し、留学をした結果どうだったのかまでアピールできると、再現性のある成長をアピールすることができるでしょう。
長期インターンシップ
長期インターンシップでは、実務経験を通して得た経験や知見をアピールすることができます。
実務を経験していると、仕事というものの認識がある程度できている段階です。そのため、貢献できることは何か、できないことはどうやって力を伸ばしていくかを、具体的な長期インターンシップの経験を用いて伝えられるといいでしょう。
現時点での自分の「具体的に業務で活かせる力」がわかっていることは強みの一つです。
起業
起業では主に、新しいことを切り開く能力をアピールすることができます。なにもない状態から立ち上げているのですから、困難はたくさんあったはずです。どのように乗り越えて、どのような実績をつくりあげたかアピールできるといいでしょう。
ただし、起業している人を採用する場合、すぐに離職してしまうのではないかという心配が伴います。そのため、就職をする理由をしっかりと考えて伝えましょう。
趣味
趣味では一つのことに対して突き詰められることをアピールすることができます。突き詰めるということは案外難しいものです。これまで継続し続けてきた理由をきちんと説明できると職種への適性も企業が判断してくれるのでいいでしょう。
ただし、趣味は実績ベースでアピールがしにくいものです。そのため、継続している年数など具体的にアピールできる数字や出来事があれば積極的に記載していきましょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」の記事では趣味にも使えそうな具体的な50個の例をご紹介していますので、趣味のアピールの方法が思いつかない人は参考にしてみてください。
【50例から探せる】「学生時代に最も打ち込んだこと」の就活面接・ESでの回答方法【ない場合も】
人に短所はつきもの。できないことは認め、対策を考えよう。
上記で自己PRの種類やアピールの際の注意点をご紹介しました。しかし、一部のエントリーシートや面接では、長所だけでなく、短所も伝えなければならないことがあります。
そのため、短所もしっかりと自分の中で認識をし、伝えられるようにしましょう。
短所を伝える際もコツが必要になってきます。
まずは短所はないと伝えるのはやめましょう。確かに弱みをさらけ出すのは怖いですし、弱みを書くことでマイナスの印象を持たれてしまうと不安に思うこともあるでしょう。
しかし、誰しも短所があるのは当然です。。短所をしっかりと自覚し、就職した後でそれをどう改善していこうか考えられていることこそが、企業にポテンシャルを感じてもらう際に必要になってきます。
そして、上述した内容と似る部分もありますが、短所はそれをどう改善するかという点と必ず一緒に伝えましょう。改善の意思を伝えないと、マイナスの印象を持たれてしまう可能性もあります。
短所の伝え方については、こちらの記事も参考にしてみてください。
「短所」が好印象に!就活面接で聞かれる「短所」の見つけ方と伝え方。
文系におすすめ!普段の自分の良さをアピールしてオファーをもらおう
この記事では文系が就職先がないということが嘘だということ、そして文系の自己PRの書き方についてもご紹介をしました。
普段の自分をアピールして、就職活動を進めていくにはOfferBoxがおすすめです。
OfferBoxなら普段の自分を思う存分アピールできる
OfferBoxなら、ありのままの自分をアピールすることができます。文章だけではなく、サークル活動や趣味の写真も載せることができるので、履歴書やES(エントリーシート)では出せない普段の自分をアピールすることが可能です。
是非ありのままの自分をアピールしてみてください。
OfferBoxはしっかりとアピールポイントを見てオファーしてくれる企業が多い
また、OfferBoxの利用企業には、一人一人の自己PRをしっかりみて学生に声をかけてくれる企業が多いです。無理に取り繕っていない、普段の自分の姿にオファーをしてくれた企業であれば、実際に入社した時も、ありのままの自分で働けそうですよね。
自分のどういった部分に興味を持ってくれたかを面談や面接で聞いてみることで、実際にマッチしているポイントを探してみることもできます。
今回の記事では文系でも就職先はあることを、実際の就職活動を終えた先輩方の就職活動体験記を交えながら紹介しました。自分が就職活動を終えた際には是非、後輩にも同じように体験記を伝えてあげてくださいね。
その前に、まずはしっかりと自己PRを磨いて自分をアピールし、ありのままの自分で輝ける企業を探していきましょう!
(書いた人)
森瑞貴
Twitter:https://twitter.com/mooleesan
新卒採用イベントを運営している株式会社ジースタイラスで年間500人ほどの学生と面談をしつつ、企業支援も経験。現在は株式会社AppBrewでアカウントプランナーとして働いている。