文学部の就職先|不利と言われる理由や就職に役立つ資格

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「文学部の就職は不利?」
「文学部ならではのアピールポイントが見つからない」

就職活動中の文学部生、もしくはこれから臨む文学部生のなかには、このような悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか。

文学部での学びは実務に活かしづらそうに感じますが、文学部だからこそ就活で有利に働くポイントも少なからず存在します。偏見ではない実態を正しく把握したうえで、強みを活かして就活を進めましょう。

この記事では、文学部が就職に不利と言われる理由や人気の就職先、役立つ資格を紹介します。記事の最後では文学部の就職活動のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

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文学部の就職率

大学通信ONLINE「2020年の学部系統別平均実就職率」によると、文学部(文・人文・外国語系)の就職率は、86.7%でした。法学系が87.6%、経済径が89.2%、商・経営系が90.2%であるのに対し、やや低めの数値となっています。

ただし、就職率が低いとはいっても他の学部の数字に明確に劣っているわけではなく、ほんの数%の差がある程度です。有意に「文学部が不利」と言える情報はありません。

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文学部は就職に有利?不利?

他の学部と比べて就職率がそれほど低いわけではないにもかかわらず、なぜ「文学部は就職に不利」という声が一部であがっているのでしょうか。文学部の特徴と照らし合わせて、その要因について考えてみましょう。

実務に繋がらないため不利と言われることも

一部では、文学部は「教養」を学ぶ機会が多いためにビジネスの実務に繋がりづらく、不利と言われることがあります。

教養とは例えば思想や歴史、言葉の成り立ちなどのことです。教養は自身の見識を深めるためには大いに役立ちますが、実際に社会に存在する仕事とは直接結び付けづらい面があります。

特定の分野に深い知識を有していても、実務に活かせなければ意味を見出しにくいため、文学部は就職に不利と一部で言われているのです。

専門職を除き、他学部も実務に直結することは少ない

一方で、文学部に限らず、他学部での学びが実務に直結するケースも稀です。理系専門職や法務職などの専門職は例外として、ほとんどの学部はビジネスの実務に繋がらないと言えます。

実際、学部ごとの平均実就職率を参考にしても、すべての学部系統の中で最も低い「薬学系」ですら85.0%と、平均実就職率が高い学部と比較してそれほど大きな差はありません。

学部によって就職に有利不利という話は少なからず耳にする機会がありますが、実際には学部が就職に影響を与えることは少ないと理解しておきましょう。

文学部だから不利になることは少ない

上記の理由から、文学部だからといって不利になることはほとんどありません。学部による有利不利を気にするよりも、どうすれば文学部での経験をうまくアピールできるかを考えるのが得策です。

例えば、文学部の勉強に励んできたことをアピールしたいのであれば、その過程で得たパーソナルスキルがアピール材料になります。

文学部で身につけた教養自体ではなく、パーソナルスキルに主眼を置いてアピールすれば、ビジネスの実務と関連性をもたせられるでしょう。

アピールすることが見つからない場合は、適性診断もおすすめ

専門分野が明確な理系の学部とは異なり、文学部は身につけた強み・アピールポイントを見つけづらいデメリットがあります。文学部では専門スキルというより、教養を中心に学んでいくためです。

自分なりに考えてみてもアピールすることが見つからない場合は、適性診断の利用をおすすめします。適性診断は自分の性格や価値観、強みを明らかにするツールのことで、詳細なデータをもとに客観的に分析できるのが特徴です。

適性診断の一つであるAnalyzeU+では、28項目の診断結果で自分を分析できるので、ぜひ自己分析に活用してみてください。

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文学部生に人気の就職先一覧

理系専門職や法務職などの専門職のように特定のスキルをもたないことは、裏を返せば就職先の選択肢を自由に考えやすいとも言えます。活躍のフィールドが多岐にわたる文学部生に人気の就職先を知り、志望業界を決める参考にしましょう。

出版業界

文学部生のなかには、「読書が好きだから」「文章を書くのが好きだから」といった理由で学部を選ぶ学生が多く見られます。そのため、書籍・雑誌・コミックスなど、さまざまな出版物の制作に携わる出版業界は非常に人気です。

出版業界の職種は、編集・制作系、営業系、事務系の3つに大きく分けられます。出版業界というと出版物の編集や校正の仕事をイメージする人が多いと思いますが、効果的な販売方法を考えたり、資材を調達したりするのも重要な役割です。

マスコミ

出版業界や広告業界、放送業界、新聞業界などを包括する立ち位置にマスコミがあります。社会的影響が大きいうえに、華やかなイメージがあることから、文学部生に人気の就職先となっています。

マスコミの仕事は、テレビやラジオ、新聞、インターネットなどのメディアを通じて人々に情報を届けることです。広告スペースや時間枠の販売による広告費を主な収益源としており、出版社、広告代理店などと深い関連性をもっています。

教育業界

文学部では教養を中心に学ぶため、教養に関わること全般を扱う教育業界が就職先として人気です。教育施設の教員や塾講師をはじめ、運営スタッフや学校事務など、組織の事務・運営に携わる仕事にも人気が集まっています。

教育業界ならではのやりがいは、多感な時期の子どもたちの成長を間近で見られることです。自分の教えや行動が子どもたちに大きな影響を及ぼす点は大変なところですが、人の成長をサポートできるのは他の業界にはないやりがいといえるでしょう。

広告業界

広告業界は「自分が関わったものが広く発信される」「多様な業界と人に関われる」といった魅力があることから、文学部生からの人気が高い就職先です。マスコミや出版業界などと連携を図りながら、さまざまな広告を人々に伝えていきます。

【広告業界の代表的な職種】

  • アカウントプランナー
  • クリエイティブ
  • マーケティング
  • エンジニア
  • 一般事務職

メーカー

モノづくりに関わる仕事なため、一見すると理系の活躍フィールドのように感じるかもしれませんが、実はメーカーは文系学部全般で人気のある就職先です。食品メーカーや化学メーカー、医薬品メーカーなどに就職するケースが多く見られます。

設計や研究開発のような専門職では高度な専門知識・スキルが必要になりますが、そのほかにも文学部生が活躍しやすい職種が多く存在します。例えば、生産管理や営業、商品企画、経理などの職種では、文学部生ならではの強みを活かしやすいでしょう。

公務員(国家・地方)

業界ではありませんが、文学部生のなかには公務員を目指す人が多く見られます。「国や地域の発展に繋がる大きな仕事をしたい」「民間企業ではできない業務に携わりたい」などが主な志望動機です。

【公務員の種類】

  • 行政系:国家総合職・一般職、地方公務員など
  • 心理・福祉系:法務省専門職員、地方上級心理職・福祉職など
  • 専門職系:国税専門官、外務省専門職員など
  • 技術系:土木、建築、機械、電気・電子など
  • 公安系:警察官、消防官、刑務官など
  • 資格免許職:教員、保育士、保健師など

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文学部生の就職に役立つ資格

文学部だから不利になることはほとんどありませんが、分かりやすい強みがあると有利になりやすいのは確かです。アピールポイントを作る方法の一つとして、資格の取得を考えてみましょう。

TOEIC600点以上

【試験概要】

  • 主催団体:一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
  • 資格種類:民間資格
  • 受験資格:なし
  • 試験日:ほぼ毎月
  • 試験形式:マークシート
  • 試験種類: Listening & Reading Test、Speaking & Writing Test、Speaking Test、Writing Test、Bridge Test

TOEICは実践的な英語コミュニケーションの能力を測定する検定です。計5種類のテストがあり、なかでも「聞く力」と「読む力」を測るListening & Reading Test(TOEIC L&R)が最も多くの人に受検されています。

TOEIC L&Rはスコア範囲10点~990点で算出されるのが特徴で、2021年度の平均スコアは611点でした。

そのため、平均以上の英語力が備わっていることをアピールするなら、600点以上は必要です。英語力を武器にグローバルに働きたい場合は、800点以上が目安になるでしょう。

日商簿記検定2級以上

【試験概要】

  • 主催団体:日本商工会議所
  • 資格種類:公的資格
  • 受験資格:なし
  • 試験日:年3回(2月、6月、11月)
  • 試験形式:筆記試験、ネット試験
  • 試験種類:1級、2級、3級、簿記初級、原価計算初級

日商簿記検定は、企業の経理事務に必要な会計知識や、財務諸表の読解力を測るための検定です。資格を持っていれば事務職や経理職の仕事に役立つほか、企業研究で有価証券報告書などのデータを読む際にも役立ちます。

日本商工会議所が主催する簿記の検定には5種類あり、就職に役立つのは2級以上です。2級以上では高度な商業簿記・工業簿記を学んでいると評価されるため、就職先の幅が広がります。

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文学部の就職活動のポイント

最後に、文学部の就職活動のポイントを紹介します。重要なポイントは他の業界と変わりませんが、文学部だからこそ注意すべき点もあります。就職活動が本格化してから慌てないよう、以下の内容を参考にして早めの準備を心がけてください。

なるべく早くから情報収集する

就職活動では自己分析に始まり、業界・企業研究、選考対策、インターンシップ・説明会への参加など、すべきことが膨大です。スタートが遅れれば遅れるほど十分な対策をとれなくなってしまうため、なるべく早くから情報収集をしておきましょう。

特に、文学部の就職先として人気のマスコミや広告業界では、一般的な選考開始時期よりも早い時期に選考をしている企業が多く見られます。

情報収集を後回しにしてしまえば、「志望企業の選考への応募が既に締め切られていた」という事態になりかねません。後悔をしないために、大学1・2年次の早期から就職活動を始めることを推奨します。

こちらの記事を参考にして、早期内定を目指しましょう。
早期内定を獲得する方法を解説!早期選考を受けるメリットなども紹介

インターンシップ・説明会に積極的に参加する

他の文系学部では企業のケーススタディなどで企業活動に触れる機会がありますが、文学部ではそうした機会が比較的少なめです。

知っている情報の差は就職活動において大きな不利に繋がるため、インターンシップや説明会に積極的に参加し、業界・企業への理解を深めましょう。

インターンシップには長期のものだけでなく、1日で終了するような参加のハードルが低いものもあります。学業やアルバイトなどとの兼ね合いで参加が難しい人は、まずは短期のインターンシップに参加して雰囲気やメリットを確かめるのがおすすめです。

インターンシップについて深く知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
就活インターンシップ大全|2025卒2026卒の選考時期など紹介

OB/OG訪問で生の声を聞く

業界や企業、仕事内容への理解をさらに深めるためには、OB/OG訪問が非常に効果的です。多くの人が参加するインターンシップ・説明会では踏み込んだ質問をしづらい一方で、落ち着いて会話できるOB/OG訪問であれば、自分が本当に知りたいことを質問できます。

会社の実状や人生設計など、企業のホームページには載っていないリアルな情報を得られるので、積極的に取り組んでみましょう。

身近に頼れるOB/OGがいない場合でも、大学のキャリアセンターを利用したり、逆求人サイトを利用したりと色々な探し方がありますよ。

OB/OG訪問の目的や探し方については、以下の記事を参考にしてください。
OB・OG訪問の探し方や流れを徹底解説

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まとめ

今回は文学部が就職に不利と言われる理由やその実態、人気の就職先を紹介しました。

実務に繋がらないため不利と言われることのある文学部ですが、就職率を見て分かるとおり、明確に不利といえる情報はありません。そのため、学部による有利不利を気にするのではなく、文学部での学びをアピールする方法を前向きに考えて就職活動に臨みましょう。

また、文学部生に人気の就職先には、早期選考をしている企業が多い業界があります。重要な情報を見落として後悔しないためにも、早めの就職活動を心がけてください。

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