農学部生に人気の就職先|役立つ資格や就職活動のポイント

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「なぜ農学部は就職に不利と言われるのだろう」
「農学部ならではの強みを活かせる資格を取っておきたい」

農学部からの就職を目指している人のなかには、このような悩みを抱えている人が多いと思います。

就職が厳しいと言われることもある農学部ですが、実際には就職先の選択肢は多く存在します。思い込みや噂ではない実態を把握し、自分の希望に合った就職先を探していきましょう。

この記事では、農学部の就職が厳しいと言われる理由や人気の就職先、就職に役立つ資格を紹介します。記事の最後では農学部の就職活動のポイントも解説するので、ぜひ進め方の参考にしてください。

農学部の就職事情・就職率

大学通信ONLINEによると、2020年の農学系の平均実就職率は91.5%でした。ここ数年で見ても90%以上の実就職率を維持しており、安定した就職を誇っていることが分かります。

20年3月卒の平均実就職率は88.8%でしたから、農学部の就職率は平均より高めです。一般的に就職が厳しいと言われているものの、実際には比較的就職しやすい学部といえます。

高い就職率を維持している要因の一つとして挙げられるのが、農学系の学部全般で学びの幅が広がっていることです。農業関連の学びだけでなく、応用生物科学や生命科学、食品製造・加工など、幅広い分野を学んでいることが高い就職率に繋がっています。

※実就職率=就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100

農学部は就職先がないって本当?

データ的には就職率が著しく低いわけではないにもかかわらず、なぜ農学部は就職先がないと言われるのでしょうか。その理由と、農学部で身につけた強みを活かせる就職先について考えてみましょう。

農学部の就職先がない・就職が厳しいと言われる理由

理由の一つは、農学部で学んだことをそのまま活かせる企業が少ないと思われているためです。せっかく農学部で農業について深く学んでも、実際に活かせる企業が少ないから就職は厳しい、という固定観念があります。

また、農業系の就職先しかないと思われていることも、農学部は就職先がないと言われる理由です。就職先の選択肢が少ないと思い込まれているために、他の学部に比べて就職が厳しいと言われています。

農学部で身につけた強みを活かせる企業は多い

「農学部」という学部名から学びの幅が狭いと考えられがちですが、実際には農学部の学びは非常に広範囲です。農業以外にも、食品の製造・加工やバイオテクノロジーなどを多様な角度から学んでいるため、その知識を活かせる就職先は多く存在します。

専門的な知識のほか、学びのなかで培った能力を活かせるのも農学部の強みです。例えば、理系科目を扱うことが多い農学部では、事実ベースで考える力や論理的思考力を強みとしてアピールできるでしょう。

自分の強みが分からない場合は適性診断もおすすめ

身につけた強みを活かせる就職先は多く存在するものの、農学部は学びの幅が広いだけに、自分の強みを把握しづらい面があります。

自分なりに考えてみても、農学部で学んだことや強みが見つからない場合は、適性診断がおすすめです。適性診断とは、性格や価値観を明らかにできるツールのことで、自己分析のサポートとして活用できます。

客観的かつ詳細なデータをもとに自分の強みを裏付けられるため、ぜひ自己分析に活用してみてください。例えば、OfferBoxで無料で利用できる適性診断「AnalyzeU+」は、社会人基礎力11項目+次世代リーダー力14項目など、計28項目で診断結果が出ます。

自分の強みが細分化された項目で可視化されるため、自分の強みを知るのに有効です。

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農学部の人気就職先一覧

身につけた強みを活かせる就職先が多い農学部で、特に人気の就職先10選を紹介します。就職先ごとの特徴と代表的な職種を参考に、自分の志望先を考えてみましょう。

①食品メーカー

農学部で特に人気の高い就職先が食品メーカーです。食品メーカーは原材料から食品を製造して消費者に提供する企業で、お菓子や飲料、冷凍食品、レトルト食品など幅広い商品を取り扱っています。

代表的な職種は、研究開発や商品開発、生産管理、商品企画、営業・販売です。農学部では食べ物について学ぶ機会が多いため、食との関連性が高い食品メーカーに興味を持ちやすいと考えられます。

②製薬会社

製薬会社は、医療施設で取り扱う医薬品や、薬局・ドラッグストアなどで販売される医薬品を開発する企業です。バイオサイエンスや生物について学ぶ農学部が、知識を活かしやすい業界といえます。

専門的な知識を活かせることから研究職の人気が特に高めですが、営業職(MR)も研究職に劣らぬ人気があります。医薬品の開発に直接関わる職種ではありませんが、消費者の反応を間近に感じられる点が営業職の大きな魅力です。

③化粧品メーカー

農学部で身につけたバイオサイエンスや生物に関する知識は、化粧品メーカーにも活かせます。化粧品メーカーはスキンケア商品やメイクアップ商品、トイレタリー商品などの製造・販売を手がける企業です。

製薬業界と同様、農学部に特に人気がある職種は研究職です。一昔前までは女性が活躍する業界というイメージが強かった化粧品メーカーですが、近年は男性の美意識の高まりやメンズコスメ市場の拡大により、男性の活躍機会が増えています。

④農業協同組合(JA)

地域ごとに形成されている農業協同組合は、農学部に人気の就職先の1つです。組合員や地域経済の安定を目的に、農畜産物の加工・販売、農業技術の指導、営農に必要な資材の購入などを担当します。

農業関連の一般企業との違いは、農業協同組合では金融業や共済事業なども手がけている点です。農業以外にも、地域の発展に寄与できるような事業に関われることが、農業協同組合に就職する魅力です。

⑤種苗メーカー

種苗(しゅびょう)メーカーは、バイオテクノロジーや交配技術を用い、花や野菜などの種子を開発・販売する企業です。バイオサイエンスを学ぶ学生が知識を活かしやすいことから、農学部の就職先として人気が集まっています。

特に人気がある職種はやはり、専門知識を活かしやすい研究職です。種まきから収穫における作物の特性調査や、産地の気候風土に適した品種の比較試験などが研究職の仕事内容となります。

⑥肥料・農薬メーカー

農業には欠かせない肥料や農薬を研究・販売する肥料・農薬メーカーも人気の就職先です。安全性の高い肥料や農薬を販売することによって、化学分野の面から農業の安定と発展に貢献しています。

肥料・農薬メーカーの仕事と特に関連性の高い学問は農芸化学です。化学的な研究アプローチで土壌改良や農産物の品質向上、肥料・農薬を用いた生産量の向上などを学んできた人であれば、その知識を活かしやすいでしょう。

⑦畜産企業

畜産学や動物生態学を学んでいる学生のなかには、畜産企業を就職先として選ぶ人が多く見られます。畜産業は牛、豚、鶏、羊などを育てて食用の肉や毛皮に加工し、消費者のもとに届ける仕事です。

生き物を扱う仕事なため予想通りにいかない事態は日常茶飯事ですが、日本の食を支える一次産業に関われるのは畜産企業ならではのやりがいです。生産現場を実際に経験できることが、大きなモチベーションに繋がるでしょう。

⑧水産・漁業関連企業

水産関連の学問を学んでいる学生には、水産業・漁業関連の企業も人気です。例えば、マルハニチロや日本水産のように、水産事業から加工事業、食品事業まで幅広く手がける企業に人気が集まっています。

そのほか、水産増養殖関連会社や水族館・博物館、環境コンサルティング会社で活躍するケースが見られます。ひとまとめに水産・漁業関連企業といっても、活躍する場は多岐にわたっているのが特徴です。

⑨建築・土木関連企業

農学部で測量や土木について学んでいれば、土木系の建築業界も就職先として有力です。測量・設計などの技術職はもちろん、営業職や事務職でも農学部での学びと経験が活かせるでしょう。

ただし建築業界は、農業協同組合や肥料・農薬メーカーなどの農業特化の業界と異なり、農学部ならではの優位性を保ちづらい点に注意が必要です。他の学部にも人気の業界なうえ、大手ゼネコンともなれば倍率はかなり高いため、就職は難しい傾向にあります。

⑩公務員

「公共のために仕事ができる」「労働環境が整っている」などの魅力から、公務員は農学部でも人気の高い就職先です。特に、農林水産省や環境省など、特定の分野のスペシャリストとして活躍する国家公務員に人気が集まっています。

また、地方自治体が設けている農学区分を受験し、技術系職員を目指すのもルートの1つです。試験に合格できれば、都道府県や市町村の農政部、農業技術センター、農業開発総合センターなどで働くことになります。

農学部生の就職に役立つ資格

就職活動をする際、業務と関連性の高い資格を持っていると有利に進められるケースがあります。アピールポイントを増やすためにも、時間に余裕があればぜひ資格取得にチャレンジしてみましょう。

①管理栄養士・栄養士

管理栄養士・栄養士は、個人の事情に合わせて栄養指導や栄養管理、給食管理をおこなう国家資格です。

都道府県知事が認定する栄養士は主に健康な人を対象にしている一方、厚生労働大臣が認定する管理栄養士はあらゆる人物を対象にしており、業務範囲が広い傾向にあります。

食と栄養の観点から人々の健康をサポートするプロフェッショナルであることから、食品メーカーへの就職に役立ちます。

②HACCP管理者

HACCP(ハサップ)管理者は一般社団法人日本食品保蔵科学会による資格です。食品の衛生管理システムである、HACCPに関する知識と技術の向上を目的にしています。

管理栄養士・栄養士ほど実践的な資格ではありませんが、取得していれば、HACCPに基づく衛生管理の知識を持っていることの証明になるでしょう。食品メーカーへの就職、特に生産管理の職種で優位に働く可能性があります。

③食品衛生管理者

食品衛生管理者もHACCP管理者と同じく、食品メーカーの生産管理で役立つ国家資格です。食品や添加物を加工・販売する事業所において、それらの衛生管理を監督する業務に従事できます。

資格を取得するにはいずれかの要件を満たす必要がありますが、高校卒業後に所定の事業所で3年以上従事し、講習会の課程を修了すれば受検資格を得られるルートもあります。

農学や医学、薬学関連などの大学出身者でなくても、食品衛生管理者を目指せるルートが用意されているのが特徴です。

④家畜人工授精師

家畜人工授精師は、家畜(牛、馬、豚、ヤギなど)の人工授精や受精卵移植を取り扱うための国家資格です。資格取得にあたっては、家畜の身体的な構造に加え、授精や管理方法についての知識が必要になります。

知識とスキルを特に活かしやすい就職先は畜産業界です。牧場や家畜診療所、農業共済組合、農業協同組合などで活躍するケースが多く見られます。

⑤測量士補

測量士補は、測量の仕事に携わりたい人がステップアップとして取得する国家資格です。測量士の下位資格に位置づけられ、測量士が作製した計画に従って業務をサポートするのが主な役割となります。

建物を新築する際や土地の高低差を測る際、土地の評価をする際など、街やインフラづくりの始めの業務にあたるのが測量です。農学部から土木系の建築業界に進む人におすすめの資格といえます。

⑥大型特殊自動車免許(農耕車限定)

大型特殊自動車免許(農耕車限定)は、トラクターやコンバインなどの農耕車に乗るための運転資格です。畑や田んぼでの農作業では免許は必要ありませんが、公道を走る場合には免許が必要になります。

取得条件は満18歳以上、両眼視力0.7以上、片眼視力0.3以上などです。大型特殊自動車免許の取得には少なくない時間をコストがかかる一方、農耕車限定であれば比較的取得ハードルが低い点が魅力となっています。

農学部の就職活動のポイント

最後に、農学部の就職活動のポイントを紹介します。早めの就職活動開始が大切なのは他の学部と変わりませんが、なかでも特に早めに取りかかるべき準備があります。農学部ならではの注意点を正しく理解し、後悔のない就職活動にしましょう。

早めに就職活動を始める

自己分析や業界・企業研究、ES作成、面接対策など、就職活動ではすべきことが山積みです。後回しにすればするほど準備がおろそかになってしまうため、早めのスタートを心がけましょう。

特に理系学部は、「卒業に必要な単位数が多い」「研究が忙しい」などの理由から、文系学部よりも就職活動の動き出しが遅い傾向にあります。

動き出しが遅れると他の学部との間に情報格差が生まれ、就職が不利になりやすいため、大学1・2年次の早期から就職活動を始めるのがおすすめです。

以下の方法を参考にしながら早期内定を目指しましょう。
早期内定を獲得する方法を解説!早期選考を受けるメリットなども紹介

業界研究に早期から着手する

早めに就職活動を始めるなかで、特に重視したいのが業界研究です。

学部で身に付けた強みを生かせる業界が多いので、就職先の選択肢が幅広いのは農学部のメリットですが、そのぶん業界研究には時間がかかります。。業界について深く理解するためには複数の業界を比較して研究する必要があるうえ、場合によってはその業界ならではの対策が必要なケースもあります。

そのため、早めに業界研究に取りかかり、自分の志望業界を絞ることが重要です。就職活動の早い段階で志望業界を絞っておけば、目標が曖昧なまま準備を進めてしまう失敗を避けられます。

業界研究の目的と方法については、以下の記事を参考にしてください。
【就活の業界研究の目的ややり方】よくある質問にも回答

インターンシップに積極的に参加する

仕事への理解を深める方法としては、インターンシップへの参加が効果的です。実際の職場や業務を自分の目で確かめることで、技術職・総合職を問わず正確な情報を得られます。

情報は企業のホームページやOB・OG訪問などでも入手できますが、人から得た情報と自分で確かめた情報とでは、どうしても信頼性に差が生まれてしまいます。

「職場の雰囲気に馴染めそうなのか」「本当に自分がやりたい仕事なのか」など、実際に見ないと分からないことを確かめるため、ぜひインターンシップに積極的に参加してみてください。

授業や研究に支障が出ないよう、スケジュール設計も気をつけましょう。
以下の記事を参考に、自分の目的に合うインターンシップを探しましょう。
就活インターンシップ大全|2025卒2026卒の選考時期など紹介

まとめ

今回は農学部の就職が厳しいと言われる理由や人気の就職先、就職に役立つ資格などを紹介しました。

学んだことをそのまま活かしづらいという偏見から、就職に不利とされる農学部ですが、実際には就職先の選択肢が数多く存在します。適性診断を活用して強みを明らかにし、自分に合った就職先を探していきましょう。

必須の資格はありませんが、管理栄養士・栄養士や食品衛生管理者など、取得していれば就職が有利になる資格はあります。早めの就職活動開始を心がけ、できる仕事の幅を広げるためにぜひ資格取得にもチャレンジしてみてください。