新卒は通年採用に変わるのか?一括・通年を徹底比較!
新卒採用と言えば「一括で採用、入社」が当たり前ですが、ここ数年で「新卒採用にも通年を導入した方がいい」、という意見が出ています。
新卒の通年採用に対する期待
「ソフトバンクの新卒通年選考を支持する」(ダイアモンドオンライン 2014年2月26日 山崎 元氏)
ソフトバンクが大学の新卒採用に関して、選考を通年で行う方針を持っているとの報道だ(『日本経済新聞』2月25日朝刊)。2016年度採用の新卒者に対して、2015年春にも内定を出すし、大手各社が内定を出し終わった期間にも選考を通った学生には内定を出すという。(略)
もともと、企業が内定を出す時期を申し合わせるという談合に意味はない。学生の就職活動が学業の邪魔になっているので、企業側で学生の選考をなるべく後送りして欲しいというのが、おおむね大学側の意向であるようにも見えるが、就職を早く決めて学業に専念できる学生もいるはずであり、選考時期に規制ないし談合を持ち込むのは余計なことだ。
その他にも、ホリエモンこと堀江貴文氏も、「新卒採用なんかぶっ壊せ」と強い口調で語っています。
俺は、新卒採用なんかさっさとぶっこわしたいんですよ。あれ、本当何なんですか?みんな新卒で就職しないとドロップアウトしちゃうって思ってる訳ですよ。でも本当は人生にレールなんかないんですよ、あるって思ってるのがおかしいんですよ。みんなが向こうの方向に向かってるからあっちがレールなのかなって思って、ただそれに付き従って歩いてるだけじゃないですか
新卒採用を「談合」と言い切ってしまうのはどうかと思いますが、両氏が言いたいことは、「学生に勉強をさせたいのであれば、企業側が採用をバラバラにし、土日などに説明会や面接を行うべきである。みんな同じじゃなくていい。」という内容であり、何となく理解は出来ます。
そもそも新卒一括採用って何?
おさらいですが、新卒一括採用とは一体なんでしょう?Wikipediaに新卒一括採用に関するページがありました。
メリット
- 採用の容易さ
- 日本の雇用システムでは企業・新卒者双方にとって、新卒一括採用を前提とした体制が取られている。この体制は、戦後の混乱期にも変化することがなかった。
- 教育コスト
- 原則的に日本の学校教育では職業訓練は行われていないため、企業が新卒者を雇用した場合は職業訓練が必須である。他にも、社員が昇進昇格するために必要な訓練や定期的な配置換えに対応するための訓練が行われるが、これらは継続雇用を前提にするならば十分に回収可能なコストである
- 企業への忠誠心と個人の組織への同化
- 毎年の新卒定期採用は、同期生意識を生み従業員間の連帯感を強める。また初めての会社に長期間勤務する事が前提であるので、企業への忠誠心が生まれやすく、企業・労働者双方によって長期的な展望に基づいた関係を構築しやすい。(略)また、相互の暗黙る業務の円る
デメリット
- 景気による採用の変動
- 新卒のみに偏った採用では、新卒時に就職できないとやり直すのが非常に難しいという問題が指摘されている。 法政大学大学院の小峰隆夫教授「(略)少なくとも採用面での新卒主義は、たまたま卒業時に景気が悪ければ就職できないという不平等があり、その時点ではじき出された年齢層がそのまま社会で滞留してしまう」
- 氷河期世代と呼ばれる世代には、新卒時に就職出来なくて、そのままずっとやり直しが出来ずに、フリーターや派遣労働者などの不安定な仕事に就かざるを得ない者が多くいる。
超氷河期を経験した年代に取って、新卒で就労できなかった後遺症は長く続いていると言えるでしょう。
- 学業への悪影響
- 就職活動の早期化が顕著になり、学生の大学での勉強が疎かになってしまう弊害が生じている。実際に、内定を出す時期が早過ぎるために、最終学年の勉学を怠る学生も多くいる。場合によっては、学生が就職活動に力を入れ過ぎて卒業に必要な科目の単位を取ることができず、そのまま留年が決まって就職の内定を取り消されるという本末転倒の事態さえ起こっている。
- 機会不均等
- 新卒一括採用は機会均等の原則に反しているという見方もある。日本では、既卒と新卒が同様には扱われない。新卒時、病気などのやむを得ない事情で就職活動が出来なかった者も既卒として扱われることにより、多くの機会を損失してしまう。
- 就職が決まらなかった学生の中には、来年度も「新卒」として就職活動するためにわざと留年する者がおり、一部の大学では卒業要件を満たしていても卒業延期を認める希望留年制度を設けている。
新卒一括採用は、戦後の終身雇用とセットで、何となく日本特有の制度のように思われます。日本だけが新卒一括採用してるの?という疑問が湧いてきますね。
新卒採用に期待しているものは基本的にはポテンシャル
不思議なものですが、ホリエモンにしてもドワンゴの川上氏にしても、起業間もない頃は新卒採用なんて出来なかったんですよね。つまり、新卒を採用するのは、ある程度会社や事業に伸びしろや安定性がある証拠。長期的に企業も成長し、将来のリーダー育成のための先取りのためで、新卒にいきなり実績を残してもらいたい!なんて期待している担当者はあまりいないでしょう。
2014/4/7日経新聞社説「『新卒一括』採用は本当に効率的か」
一括採用方式では、学生はいったん選考に漏れると就職の機会が狭まってしまう。同時に企業もこの方式にとらわれ過ぎると、人材を十分に確保できない恐れがある。既卒者採用にも力を入れるなど、企業は採用活動を柔軟に変えていくべきだ。
今後、学生の取り合いは激しさを増す可能性がある。理由のひとつは企業業績の回復だ。企業の2015年春の採用計画をみると、14年春に続き採用数を増やす企業が多い。企業の競合は強まる。
2つ目は経団連が、この4月に3年生になった学生の採用から、選考試験の解禁時期を現在の4年の4月から8月に遅らせることだ。選考の開始が繰り下がることで、解禁後、必要な人数をこれまで以上に早めに確保しようとする企業が増えそうだ。
グローバル競争の激化で、企業の採用は学生の質を重視する傾向が強まっている。経済が右肩上がりで伸び、毎年、大量採用していた時期は一括採用方式が効率的だったが、「厳選採用」時代の今はその利点が薄れているといえる。企業は戦力になる人材を見極めて採る力を一段と問われている。
一括採用でも、通年採用でも、景気回復ムード(過去記事リンク)や学歴フィルター(過去記事リンク)の影響により「厳選して採用したい」というニーズが高まっています。
一括でも通年でも、学生を一人一人よく吟味する
一括採用にせよ通年採用にせよ、いろんな人が言うのは「使える人材を採用しなければならない」ということです。エントリーシートを大量に集めて母集団を作って…という方法では、一人一人をしっかりと見極めることは出来ません。
同じ大学でも優秀な学生とそうでない学生と混ざっていますから、「学歴が質を担保してくれる」とは限らないことは、企業側もよくわかっています。
学生を見極めるポイントですが、先ずは学生プロフィールの分かるものから、どれだけ吟味するかでしょう。
学生活動で何をやっていたか?
「自分の言葉で語っている」か、どうか。いい子ちゃんすぎてもアピールがうまいケースもあるので、本音で書いているかどうかはじっくり読むこと。大学時代のことだけでなく、幼少期や中興での経験などから興味の傾向や性格、一貫性や行動力などが伺えます。
写真、動画
まじめなリクルートスーツの社員だけでなく、普段の活動や雰囲気がよく伝わる写真を添付しているかどうか。動画があれば更に良く分かりますね。
学生活動や経歴と資格や専攻研究に一貫性があるか
一貫性がない場合でも、なぜそれを選択したかの理由が分かるかどうか。
これらを見極めるだけでも、ずいぶんと厳選専攻が出来るでしょう。
手前味噌ですが、OfferBoxシリーズであればこれらの学生プロフィールは一覧表示で見ることが出来、お気に入り登録やオファーを送ることが出来ます。
一括採用でも、通年採用でも、学生を良く見極める、「数よりも質」の時代になっています。