【2020年卒市場動向】活況のインターンシップ、勝敗を分けるのはどこか!?
[シリーズ]どうなる?2020年卒新卒採用動向・変化予測 #3
2018年6月1日、各社ナビサイトの2020年卒向けインターンシップサイトが一斉に公開となりました。採用アナリストの谷出正直氏の調査によれば、主要なインターンシップサイトへの6月1日時点の掲載件数の合計は2019年卒の約1.2倍となっており、インターンシップの活況ぶりが伺えます。下図をご覧いただくと、2019年卒では3月の広報解禁と面接解禁との一体化が進んだことは明らかであり、2020年卒において2月以前の活動の重要度は増すでしょう。特に、学生の自由な時間がもっとも多い夏のインターンシップの強化に踏み込む企業は多くなることが想定されています。一方、ここ数年インターンシップに取り組んできた企業からは、「インターンシップをやっても採用につながらない」「インターンシップへの応募がこない」といった悩みの声も多く聞こえてきており、単に実施するだけでは成果に結びつきづらくなってきているのも実態としてあります。活況のインターンシップを実りのあるものするにはどう取り組めばいいのでしょうか?
2社に1社はターゲット学生のエントリーに課題を感じている
インターンシップ市場が活況な背景には、各社のターゲット学生の変化があります。例えば自動車メーカーの場合、「Mobility as a Service」と言って自動車を作るだけでなく、それを用いたビジネスの創造に競争のポイントがシフトしてきており、それに伴って情報系の人材やビジネスを創造できるような人材の採用が求められはじめています。他にも某メガバンクの「らしくない人材求める」といった求人広告が話題になりましたが、これは自動車メーカーや金融だけの話ではなく、ありとあらゆる業界において同様の課題が表面化してきています。希少性の高いそういった人材の採用のために大手企業もインターンシップ導入に乗り出そうとしている動きが見られます。
ただ、そういったターゲットにしている学生の多くは自分がまさかその企業で活躍できるとは思っておらず、無策ではエントリーしてくることはありません。弊社で行った調査の結果が下図となりますが、ターゲット学生の採用上の課題を「エントリー」と回答している企業は実に2社に1社となっています。
課題解決の注力施策としては、インターンシップが1位、2位にダイレクトリクルーティング
そういったターゲット学生の課題解決策としては、やはりインターンシップが第1位となっており、次いで直接ターゲット学生にアプローチし認知を促すことができるダイレクトリクルーティングが2位という結果となっています。
インターンシップの応募受付開始については6月に集中していることがわかります。2019年卒では秋冬での実施に注目が集まりましたが、さらなる選考の早期化を懸念してか、夏への注目度が再燃しているように思われます。
学生の狭まるエントリー枠の争奪戦。会うだけではダメ
一方で、学生がエントリーをした企業を認知した時期の5割は就活以前での認知によることがディスコの調査で明らかになっています。インターンシップや業界研究といった早期の活動の割合は年々は増加しており、一定の効果があることは確かですが各社の力の入れようから考えると3割弱の影響度というのはまだまだ少ないように感じます。現行のインターンシップについてまだまだ改善すべき点があると考えます。
まず、エントリーしたインターンシップを学生はどこで認知したのかを見てみましょう。
以下は19年卒向けに弊社で実施した調査の結果となります。やはり事前の認知の影響は大きそうで、指名検索と思われる「企業名で検索」「企業の採用サイト」「ナビサイトや就活関連サイト」といった項目の割合が高くなっています。
学生の本選好へのエントリー社数は「売り手市場」の影響か右肩下がりとなっています。企業は、この学生の選択肢にいかにして入るかを考える必要があります。つまり、インターンシップで会うだけではダメだということです。
実際にエントリーした企業を選んだ基準を見ると、興味の有無に次いで2位にインターンシップの内容が入っています。企業規模や知名度を大きく上回っており、インターンシップの内容がいかに重要かがわかります。
まとめ
それでは以上のポイントを整理しておきましょう。
○2020年卒採用におけるインターンシップ市場は活況となる。
○希少性の高い人材の獲得のため、大手企業もインターンシップに乗り出してくる。
○選考の早期化から、学生の自由な時間の多い夏のインターンシップへの注目度が高まっている。
○学生は就活開始前の認知に基づきエントリーするのが5割。ナビ掲載など単にインターンシップをやるだけでは実は得にくい。
○いかにターゲット学生にアプローチするか、いかにインターンシップの内容を磨くかが勝敗の分かれ目となる。
ターゲット学生へのアプローチにおいてはダイレクトリクルーティングも有効と考えられます。ご興味ありましたらご連絡ください。
次回は、ターゲット学生へのアプローチ、そして本選考へのエントリーの動機形成につながるようなインターンシップの内容を考える上で、今の学生の実態について詳しく見ていきたいと思います。