就職活動をしていると、仲間内で集まったときや先輩からのアドバイスの中に「構造的把握力検査があった」という言葉が出てくることがあります。
多くの人が初めて触れる言葉なので、「構造的把握力検査って何だろう」と思われる方も多いのではないでしょうか。
難しい名称なので、この言葉を聞いて「難しそう」と委縮してしまう学生も少なくありません。
本記事では、構造的把握力検査とは何なのか、例題も併せて紹介いたします。
構造的把握力検査への理解を深め、今後の対策に役立ててください。
目次
構造的把握力検査とはSPIテストの一部のこと
「構造的把握力検査」はSPIテストの一部です。
テストセンターで行われる場合においてのみ、構造的把握力検査が行われます。
自宅のPC上で試験を実施する企業も増えてきており、それ故に「対策は必要ない」と考えている方も居るでしょう。
しかし、テストセンターで試験を実施している企業はまだまだ多く、それに備えて対策をしておく必要があるのが実情です。
では、実際にどのような問題が出題されるのでしょうか。
詳しく紹介していきます。
構造的把握力検査ではどんな問題が出る?
構造的把握力検査はロジカルシンキング能力の検査をする目的で行なわれています。
すなわち「物事の大きな枠組みを読み解く能力を測ること」が検査の大きな目的です。
その目的を果たすため、構造的把握力検査の問題形式には以下の2通りがあります。
- 文章計算問題をグループ分けする問題
- 題材を元に文章をグループ分けする問題
この2通りの問題形式には、文章の意図を読み解き仕分ける能力が必要なことから、単純に点数を測るだけでなくロジカルシンキング能力を測るための検査であると言えるでしょう。
具体的にどのような問題が出題されるのか、例題を紹介しながら解説していきます。
【1】文章計算問題をグループ分けする非言語系問題
計算問題を題材としている問題形式なので、非言語系とも言われます。
問いに対して数通りの選択肢が用意されており、計算の目的が似た問題文をグループ分けするといった問題です。
例えば、以下のような問題が出題されます。
問)次のア~エのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを選びなさい。
ア)兄は姉より3歳年上で、二人の年齢を足すと53歳である。この時、姉は何歳か。
イ)ミカン2個とリンゴ5個を520円で購入しました。ミカンが1つ60円だとするとリンゴは何円か。
ウ)SPI対策本が先週と今週で合計170冊売れた。しかし、今週の売り上げ数は先週に比べると48冊少なかった。今週は何冊売れたか。
エ)犬と猫が合計62匹いる。そのうち、猫は21匹である。この時、犬は何匹いるか。
この問題の答えは「アとウ」になります。
その理由は「2つの数字の合計から、2つの差の数値を引いて2で割った数が答えとなる」というところにあります。
計算式に直すと、“(2つの合計-2つの差)÷2=答え”となります。
計算式ではイも同じものになるのですが、問題の意図が「比較」ではないことから同じグループには属さないという判断となります。
このように計算能力だけでなく、文章の意図を読み取る能力も必要とされるのが構造的把握力検査の特徴です。
【2】題材を元に文章を仕分ける言語系問題
文章内容を適切に理解し、指定された題材に沿って仕分ける能力を測定する問題形式です。
言語系とも呼ばれます。
言語系と非言語系との大きな違いは「計算の有無」です。
例えば、以下のような問題が出題されます。
問)ア~オの会話において、Yさんの言っていることは論理的に間違いがある。その「間違い方」をAグループとBグループに分けるとき、Bグループに分類されるものはどれか。
ア)Xさん「Aさんは英検1級を目指しているらしい。」
Yさん「Aさんはきっと英語がペラペラに違いない。」
イ)Xさん「Bさんの通う学校は、甲子園の優勝候補らしい。」
Yさん「Bさんはきっと野球が上手なんだろうね。」
ウ)Xさん「Cさんは数学が得意なようだ。」
Yさん「それならCさんは円周率100桁言えるはずだ。」
エ)Xさん「Dさんの家族は兄弟全員がバイク事故にあっている。」
Yさん「将来的にDさんもバイク事故に遭うだろう。」
オ)Xさん「Eさんは有名なお笑い番組を作った会社で働いている。」
Yさん「Eさんにはきっと笑いのセンスがある。」
この問いの解答は「アとウ」になります。
アとウは「個人の能力に対する評価」に間違いがあり、イとエとオでは「個人が所属する集団の能力評価」に間違いがあります。
Aグループにおいて、Xさんはその人が属している大きな集団の能力や傾向を評価しているにも関わらず、Yさんは個人に焦点を当てて話を展開させています。
例えば選択肢「イ」の場合、甲子園の優勝候補である学校に通っているからと言って、そこに属する全員が野球が上手いとは限りません。
なので、同系統の会話であるエ、オはイと同グループであると考えることができます。
一方Bグループでは、個人の能力へのXさんの評価に対して、Yさんは飛躍した論理を展開させています。
例えば、選択肢「ウ」の場合、数学が得意なことと円周率の暗記には関連性はありません。
グループ分けの問題は、ただ正解を考えるだけでなく全ての選択肢がどのような意図を持っているのかを考える必要があるので、解答にも時間がかかるでしょう。
早いうちから対策をし、文章の読み解きに慣れておくようにすることが大切です。
構造的把握力検査が重視される業界が存在する
先程、構造的把握力とは、言い換えるとロジカルシンキングであると説明いたしました。
ロジカルシンキングと聞くと、システムエンジニアやプログラミングといった専門職のイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、ロジカルシンキングが仕事に必要な業界もあります。
その代表的な例が「コンサルティング業」です。
コンサルティング業では、適切に問題解決を図り、相手を納得させる能力が問われます。
つまり、より相手に効果的なプレゼンテーションを行うためにロジカルシンキングは必要とされているのです。
なので、コンサルティング業の選考では、構造的把握力検査の基準点が高く設定されています。
このほか、金融業などでもロジカルシンキングが必要とされていることがあるので、身につけておいて損はないスキルとも言えます。
構造的把握力検査を早く解くには多くの問題パターンにあたっておくこと
上記で紹介した例題からも分かる通り、これらのような問題が何問か出題される構造的把握力検査では、1問1問に掛けられる時間が限られています。
なので、対策として出来ることは「多くの問題パターンにあたっておくこと」です。
そうすることで解答にかける時間を短くし、より正答率を高めることが出来ます。
全く同じ問題が出ることはほとんどないにしても、問題形式や文章の読み解き方には一定のパターンがあります。
それを身につけておくことで、不安無く問題に臨むことが出来るでしょう。
まとめ:早期対策が一番のカギ
今回は、構造的把握力検査について紹介いたしました。
実際、問題のレベルはそこまで高くないのですが、複雑な言い回しの問題が多く、解答に時間がかかってしまいます。
なので、多くの問題形式をあらかじめ知っておくことが大切です。
具体的な対策方法として、自分の買った本だけをやるのではなく、友人や先輩に本を貸してもらったりすることで、多くの問題形式にあたり、見たことのない問題がないと思えるレベルまで問題集をやりこむことが何より大切です。
また、今回紹介したように、業界によってはロジカルシンキング能力を必要としていることがあるので、業界知識なども事前に調べて勉強しておき、どの程度必要とされているのかを把握しておけば、計画も組みやすいでしょう。
SPI対策本にもいくつか問題例がありますので、SPIの対策の開始時期と同じタイミングで初めておくことがオススメです。
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