就活の面接に限らず、初めてで分からないことは、緊張したり不安を感じたりするのは当然です。ただ、全体像が見えて対策が取れるようになれば、少しは緊張もほぐれるはずです。
就活の面接にはいくつか種類があり、種類によって面接の流れや必要な準備は異なります。
この記事では、就活面接の種類とそれぞれの流れ、押さえるべきポイントを紹介します。マナーや準備すべきことなど、面接の準備に必要なことを一通り解説するので参考にしてください。
目次
就活面接の種類と押さえるべきポイント
就活面接は、一般的に3つの形式があります。
- 個人面接・集団面接
- プレゼンテーション形式
- GD(グループディスカッション)
ここでは、それぞれの面接の流れやマナー、質問傾向と評価ポイント、準備すべきことなどを解説します。
就活面接の形式①個人面接・集団面接
個人面接は学生が1人で面接を受ける形式、集団面接は複数人の学生が同時に面接を受ける形式です。どちらのケースでも、面接官は1人の場合もあれば複数人のこともあります。
2つの面接は、質問される内容や評価ポイントなどに大きな違いはありません。ここでは個人面接の解説をしたうえで、集団面接の場合の相違点を解説します。
個人面接の基本的な流れ・マナー
個人面接の基本的な流れは以下の通りです。それぞれの段階におけるマナーを確認しましょう。
- 受付、待機
- 入室
- 面接
- 逆質問
- 退室
【受付、待機】
受付では、学校名と名前、担当者を告げて面接を受けにきたことを伝えます。当然ですが遅刻は避けるべきなので、時間に余裕を持って行動しましょう。しかし、早すぎる受付も担当者を急かすことになるので、受付は約束の時間10分前くらいに済ませるのがベストです。
待機場所に案内されたら、指示された場所に姿勢を正して待機します。当然ですが、待機場所では大声でしゃべらないようにしましょう。
また、スマートフォンはあらかじめマナーモードにしておきましょう。バイブレーションの音も面接の際は響きやすいので、バイブレーションも停止しておきましょう。
【入室】
自分の順番になると呼ばれるので、ドアをゆっくりノックします。「お入りください。」と聞こえてからドアを開き、入室するのがポイントです。最初からドアが空いている場合は、無理にノックする必要はありませんので、そのまま声をかけて入室しましょう。
入室後はドアの方に体を向け、静かドアに閉めます。ドアの前で面接官に体を向け「失礼いたします。」と一礼し、イスの後方か左側に立ち「〇〇大学の〇〇 〇〇です。よろしくお願いいたします。」と告げ、一礼しましょう。
面接官から「おかけください。」といわれたのを確認してから「はい、失礼いたします。」と着席します。
【面接】
面接は着席した状態でおこなうので、カバンは足下に置きましょう。背中を丸めたり椅子に浅く腰掛けたりすると体が動いてしまうので、背もたれに背中を預けない程度に深く腰掛けます。背筋を伸ばし、体の正面が面接官に向かうように座るのもポイントです。
手足は動かさないようにしましょう。手は男性の場合、膝に置き軽く握った状態し、女性は重ねた状態がおすすめです。足は男性なら両膝の間にこぶし1つ分の間隔で固定し、女性は両膝に隙間を作らないように固定すると、礼儀正しい印象になります。
質問を受けるときも答えるときも、しっかりと面接官の目を見ます。緊張した場面では無表情になりがちですが、自然な笑顔で受け答えするようにしましょう。身振り手振りを混じえたほうが分かりやすい場合は、身振り手振りも加えて問題ありません。
また質問を受けているときも、適度に「はい」と相槌を打つことも「しっかりと聞いている」と印象を与えられます。
【逆質問】
面接の最後に「何か質問はありますか。」と面接官から逆質問を受けるケースがほとんどです。逆質問は、企業について理解を深める絶好のチャンスです。積極的に質問しましょう。
【退室】
立ち上がりイスの横で「本日は、ありがとうございました」と一礼しましょう。出口に移動した後、ドアの手前で面接官に体を向け「失礼いたします」と一礼して退出します。
個人面接で頻出の質問と評価ポイント
個人面接でよくある質問は以下の通りです。質問それぞれの評価ポイントも確認しましょう。
- 自己紹介
- 自己PR
- 学生時代力を入れたこと
- 志望動機
- 逆質問
【自己紹介】
面接の最初は「自己紹介をお願いします。」と言われ、自己紹介するのが一般的です。自己紹介は自己PRではなく、あくまでも自分の簡単な紹介です。
内容は、「大学、学部、学科名、名前」「普段時間を割いている活動や特技」「応募したきっかけや今日の意気込み」などで構成します。
【自己PR】
自己PRで企業が評価するポイントは「自社にマッチする人材なのか」です。効果的にアピールするなら、自分が企業に合っている理由や強みなどを伝える必要があります。具体的なエピソードをもとに、「企業に合った人材」であることをアピールしましょう。
【学生時代力を入れたこと(ガクチカ)】
いわゆるガクチカの評価ポイントは、能力や人柄、コミュニケーション力など、多岐に渡ります。何に取り組みどのような行動を取ってきたのかで、能力だけでなく困難に直面したときの行動特性や性格、受け答えからコミュニケーション力を評価されます。
ガクチカでは、エピソードの大きさでなく自分がどのように物事に取り組んできたか、が問われます。例えば今までの人生で起きたイベントに対し、どう行動を取ったのかなど具体的なエピソードを添えてあなたの魅力を伝えましょう。
【志望動機】
志望動機の評価ポイントは、「他でもなくその企業を選ぶ理由が明確か」です。自分の強みが企業にとって、どのように活かせるのかを説明する必要があります。
まずは、自分が今の企業や業界に興味をもったきっかけや理由を伝えましょう。きっかけや理由が今までの人生経験と紐付いていると、面接官も客観的に理解がしやすくなります。
志望動機については、こちらの記事も参考にしてみてください。
【逆質問】
逆質問には、志望度や自社との相性、コミュニケーション力を評価する目的があります。疑問がすべて解消されていれば質問する必要はありませんが、すべての疑問や不安が払拭されることは基本的にあまりないでしょう。
面接官も、あなたの疑問や不安を払拭したいと考えているので、気兼ねなく質問しましょう。ただ、現場の作業内容については一次面接で現場社員に聞く、今後の経営戦略については最終面接で役員に聞くなど、相手に適切な質問を投げかけるようにしましょう。
逆質問については、こちらの記事も参考にしてみてください。
個人面接前に準備すべきこと
個人面接前には、よくある質問に対する回答をざっくりでいいので準備しましょう。重要なのはアピール内容に対する、理由・根拠・エピソードをイメージすることです。
そして、よくある質問への回答を考えるにあたって、面接官が「何を知りたくてこの質問しているのか」を理解することが重要です。
例えば、自己PRや志望動機など、自分のことを答えるときは熱意を伝える必要があります。自己PRなら「自分が企業に合う人材」といえる理由や根拠、強みなどを準備しましょう。
志望動機も同じように、その業界や企業を目指すようになったきっかけを伝えるのがポイントです。それぞれに具体的なエピソードを盛り込むことで、面接官に熱意や根拠が伝わりやすくなります。
集団面接の場合の違い
集団面接と個人面接の違い、集団面接のポイントは以下の通りです。
- ほかの人の発言もしっかり聞く
- 内容がかぶっても焦らない
- ほかの人はライバルではない
面接やマナーなどの評価ポイントは大きく変わりません。
集団面接ではほかの学生と相対比較されているように感じるかもしれませんが、採用したい学生が複数いれば複数人を選考通過させることがほとんどです。
ただ、回答する順番の関係で、自分が発言しようとした内容がほかの学生とかぶってしまうケースもあります。二番煎じのように感じられて、焦ってしまうかもしれません。
そんなときも自信をもって、準備してきた内容をしっかりと伝えましょう。企業の採用担当はたくさんの学生を見ていますから、内容がかぶるのはよくあることです。あなたが経験したことやエピソードは唯一無二のものですから、かぶるのが怖い場合はなるべく具体的に伝えるのがポイントです。
集団面接については、こちらの記事も参考にしてみてください。
就活面接の形式②プレゼンテーション形式
プレゼンテーション形式は、企業側から出されたテーマに沿って面接官の前でプレゼンテーションをおこなうスタイルです。
ここでは、プレゼンテーション面接の流れやマナー評価ポイントなどを解説します。
プレゼンテーション面接の基本的な流れ・マナー
プレゼンテーション面接の基本的な流れは以下の通りです。項目それぞれのマナーを確認しましょう。
- 受付、待機
- 入室
- プレゼンテーション
- 質疑応答
- 退室
【受付、待機】
受付や待機は、集団や個人など一般的な面接と変わりません。受付は10分前くらいがベストなタイミングです。待機中は姿勢を正し、大きな声で話さないようにしましょう。
【入室】
入室も集団や個人など一般的な面接と変わりません。
【プレゼンテーション】
企業から事前に出されたテーマに沿ってプレゼンテーションをおこないます。テーマは企業によって異なります。自己PRや志望動機など一般的な面接で質問される内容、企業の商品やサービスを紹介する内容などさまざまです。
プロジェクターに投影する場合は、事前に資料を送付する必要がある場合もあります。
マナーとしては、面接官の目を見て聞き取れる声で話すことです。プレゼンテーションをすると、無意識にスライドの方を見てしまい、声が届かなくなりやすいです。意識的に面接官の方をみるようにしましょう。
そのほか、敬語の使い方や身だしなみ、振る舞いなどは、一般的な面接と同様のマナーが求められます。
【質疑応答】
プレゼンテーション後に質疑応答がおこなわれるケースもあります。プレゼンテーションの内容だけでなく、志望動機や逆質問など通常の面接と同じ内容の質問も受けるので、しっかりと準備して望みましょう。
【退室】
退室は集団や個人など一般的な面接と変わりません。
プレゼンテーション面接の評価ポイント
プレゼンテーション面接の評価ポイントは以下の通りです。
- プレゼンテーション力
- コミュニケーション力(主に質疑応答)
- 準備力
プレゼンテーション面接では、聞いている人が理解できるように表現しているかが重要です。入社後は上司や同僚など社内だけでなく、顧客や関連会社とも会話する機会も少なくありません。自分の考えを伝えたり商品やサービスを説明したりする、コミュニケーション力を含めた能力を見らます。
また事前準備や時間通りにまとめられるかなど、準備する能力も評価の対象です。
プレゼンテーション面接前に準備すべきこと
プレゼンテーション面接の準備におけるポイントは、以下の通りです。
- 文字を詰め込みすぎない
- 画像を活用して見やすく
- 話すことは覚えてハキハキと
プレゼンテーションの流れは、PREP法に沿って説明するのがポイントです。以下のように、最初に結論を説明してから理由や根拠を説明し、具体的なエピソードを加えて最後に結論で締めるのがPREP法です。
- P:Point = 結論
- R:Reason = 理由や根拠
- E:Example = 具体例やエピソード
- P:Point = 結論
資料は文字だらけにすると見づらくなるので、画像を多く取り入れるのがポイントです。あくまでも言葉メインで説明できるように、話すことはしっかり覚えて面接に臨みましょう。
就活面接の形式③グループディスカッション(GD)形式
グループディスカッション(GD)形式とは、ほかの選考を受けている学生と与えられたテーマに沿って議論をおこなうスタイルです。ここでは、グループディスカッション形式の流れやマナー評価ポイントなどを解説します。
グループディスカッションの基本的な流れ・マナー
グループディスカッションの基本的な流れは以下の通りです。
- 受付
- 入室、待機
- テーマ共有
- グループディスカッション
- 発表
- 退室
【受付、入室、待機】
受付や入室、待機は、集団や個人など一般的な面接と変わりません。
【テーマの共有】
採用担当者からテーマが共有され、時間やルールなどが伝えられます。テーマは企業によってさまざまですが、業界に関連する内容が多い傾向にあるようです。
テーマが共有されたら、まずは自己紹介をします。自己紹介では、自分の人となりが分かるように、日頃どんな活動をしているかを伝えましょう。
【グループディスカッション】
グループディスカッションは多くの場合、以下の流れで進みます。
- 役割分担
- タイムスケジュールの設定と前提のすり合わせ
- アイディア出し
- 精査・結論まとめ
役割分担では、進行役や書記、タイムキーパー、発表者などを決めます。アイディア出しでは、ほかの人のアイディアは基本的に否定せず、なるべく多くのアイディアを出すのが重要です。
それぞれ得意不得意がありますので、自分が得意とする場所で力を発揮できるように積極的に発言しましょう。
グループディスカッションの後、話し合った内容を発表するケースがほとんどです。タイムキーパーを中心に、発表できるようにまとめる時間まで考えて議論を進めることが重要です。
【発表】
ないケースもありますが、多くの場合は、発表者が話し合った内容を発表します。ここでも時間が決められているので、時間内に発表できるようにまとめましょう。
ほかのグループが発表している間は、自分のグループで議論する時間ではありません。ほかのグループはしっかり聞くようにしましょう。聞く姿勢も面接官に見られています。
【退室】
退室は集団や個人など一般的な面接と変わりません。
GDのより詳細な流れはこちらの記事で紹介しています。
グループディスカッションの評価ポイント
グループディスカッションで評価しているポイントは、以下の通りです。
- コミュニケーション能力
- 課題解決能力
- リーダーシップ
面接官に見られているのは、発表だけではありません。ディスカッションの最中の自己紹介から、発表までのすべてが評価の対象です。
【コミュニケーション能力】
積極性や協調性など、コミュニケーション能力を見られています。グループディスカッションでは自分の意見を発言するのは当然ですが、ほかの学生の意見に耳を傾けることや、発言を促せるかなども重要です。
【課題解決能力】
グループディスカッションでは課題解決型のテーマが出されるケースがあります。例えば「売上を倍にするにはどうすべきか」「お問い合わせ件数を増やすにはどうするか」などです。これらのテーマに対し、具体的なアイデアを発案したうえで、まとめられるかを評価されます。発表を踏まえて、まとめることが重要です。
【リーダーシップ】
リーダーシップがあるのかも評価されます。ここでいうリーダーシップは、グループ全体で成果を出せるように行動できる人です。早く終わらせようとして、発言させなかったり発言しない人を無視して進めたりするのはリーダーシップではありません。
グループディスカッション前に準備すべきこと
グループディスカッションは場数を踏んで経験を積むのがもっとも効果的です。しかし、実生活でグループディスカッションをおこなう場面は限られています。
以下などのポイントを参考にして、グループディスカッションの事前準備しておきましょう。
- 自分の意見やアイデアを考える習慣をつける
- 日常会話でも意見をいったり聞いたりする癖をつける
- 業界のニュースなどを日々チェックする
グループディスカッションで特に重要なのは、積極性と協調性です。日頃の会話から積極的に意見を言ったり聞いたりすれば、本番で活かされます。
オンライン面接の場合のマナー
新型コロナウイルスの影響により、面接をオンラインでおこなう企業も増えています。オンライン面接にはオンライン面接ならではのマナーがあります。WEB面接で注意すべきことはこちらの記事にまとめています。
ここでは、オンライン面接の3つのマナーを解説します。
- 画面が揺れないように固定
- マイクとイヤホン(スピーカー)を確認
- 顔がはっきり映るように明るさを調整
画面が揺れないように固定
画面が揺れないようにカメラはしっかりと固定しましょう。Webカメラ付きのパソコンで面接を受けるなら問題はありませんが、外付けのWebカメラやスマートフォンを使用する場合は注意が必要です。
カメラが揺れてしまうと相手側の視線がブレてしまうので、スタンドなどでしっかりと固定するなど準備しましょう。
マイクとイヤホン(スピーカー)を確認
マイクやイヤホンは事前にチェックしておきましょう。面接が始まる時間ギリギリに確認するのはおすすめしません。トラブルがあっても対応できるように、時間には余裕を持って確認してください。
また、使用するデバイスの充電は満タンにしておきましょう。画面通知や音声通知などもすべてOFFにしておきましょう。
顔がはっきり映るように明るさを調整
明るさを調整したり照明を使ったりして、顔がはっきり映るように準備しましょう。暗く映ってしまうと、顔色が悪く見えたり表情が伝わらなかったりするので、やる気がないように見られてしまう可能性もあります。
事前に調整機能や照明を準備して、顔が見やすくなるように設定しておくことが必要です。また明るさだけでなくカメラの角度によっても映り方は変わるので、ベストな位置で面接に臨みましょう。
【まとめ】就活面接の種類と流れ、押さえるべきポイント
就活面接の種類別の「流れとマナー」「評価ポイント」「準備すべきこと」を中心に解説しました。
就活面接は種類によってまったく方法が違うので、それぞれでの準備も異なります。しかし、面接官との受け答えや表情、振る舞いなど基本的なマナーは変わりません。
新型コロナウイルスの影響でオンライン面接も増えています。就活面接は、それぞれの種類による流れや評価ポイントの違いを理解して準備しましょう。