「ありきたりなテーマと思われないか心配」
自己PRでコミュニケーション能力をアピールしようとしている人の中には、このような不安があるかもしれません。
コミュニケーション能力は多くの学生に選ばれやすいテーマではありますが、伝え方次第ではオリジナリティのある自己PRになります。効果的なアピール方法と注意点を正しく理解し、ありきたりではない自己PRを仕上げていきましょう。
この記事では、コミュニケーション能力を自己PRでアピールする方法を解説していきます。アピールする時の注意点や具体的な例文も合わせて紹介するので、記事を参考にしながら自己PRを考えてみてください。
目次
「コミュニケーション能力」とは
コミュニケーション能力というと「社交的で誰とでもすぐに打ち解けられる能力」をイメージする人が多いと思いますが、就活では「社交的=コミュニケーション能力が高い」とはなりません。
就活で求められるコミュニケーション能力とは、話し手・聞き手どちらかに徹する能力ではなく、双方向のコミュニケーションに長けた能力です。意見を分かりやすく伝える能力と、相手の意図を汲み取る能力がバランスよく備わっているかが評価されています。
就活にコミュニケーション能力を求められる理由
なぜ就活ではコミュニケーション能力が求められるのでしょうか。企業の質問意図に沿った自己PRを作るため、どんな理由からコミュニケーション能力が求められているのか知っておきましょう。
他者との協力が不可欠だから
業界や職種によって仕事で人と関わる頻度は異なりますが、どんな仕事でも他者との協力は欠かせません。社内外問わず他者との協力なしに仕事は進められないため、人間関係に大きく影響するコミュニケーション能力が求められるのです。
特に近年は、少子高齢化などの影響で多くの業界が人手不足の状態にあります。個々が勝手に動くだけでは最大の成果を出しにくくなっていることから、コミュニケーション能力が求められています。
仕事の円滑な進行につながるから
コミュニケーションが円滑に取れる人ほど、スムーズに仕事を進められます。他者との齟齬が生まれにくいおかげで、指示内容の理解不足や誤解のリスクが少ないためです。
例えば上司から指示を与えられた場合、コミュニケーション能力が高い人はその意図を正しく理解し、すばやく行動に移すことができます。理解が早いほど仕事の取りかかりが早いため、業務効率化にもつながるのがコミュニケーション能力が高い人の特徴です。
対面が減ったからこそ高度なコミュニケーション能力が必要だから
対面の機会が減ればコミュニケーション能力の重要性が低下するように思えるかもしれませんが、むしろより高度なコミュニケーション能力が必要になります。
対面では相手の表情やジェスチャーなどの細かな情報がコミュニケーションに役立ちますが、リモートワークや在宅勤務となれば得られる情報は限られます。対面だからこそ読み取れる情報に頼らずとも、言いたいことを正確に伝えられる能力が求められているのです。
コミュニケーション能力を構成する4つの要素
コミュニケーション能力は4つの要素に大きく分けられます。コミュニケーション能力の中でも自分がどの要素に強みを持っているのか把握し、選考で重点的にアピールするポイントを考えてみましょう。
①伝える力
コミュニケーション能力と聞いて最もイメージしやすいのが「伝える力」ではないでしょうか。伝える力は自分の意見を相手に理解してもらえるように、正確に伝える能力のことです。
伝える力には、言葉で分かりやすく伝える言語化能力に加え、言葉以外で表現する非言語化能力が含まれます。表情や目線、身振り手振りなどをうまく組み合わせ、より自分の意見を分かりやすく説明することも高度なテクニックです。
②聞く力
コミュニケーション能力は自分の意見を「伝える力」だけでなく、相手の話を正確に聞き取れる「傾聴力」も求められます。コミュニケーションとは双方向の対話であって、どちらか一方が話し手・聞き手に徹するものではないからです。
ここでいう傾聴力とは、相手の話をただ黙って静かに聞く能力ではありません。相手の発する言葉の意味を正確に理解し、その裏に隠された感情を読み取ったり、話しやすい雰囲気を作ったりする能力こそが求められています。
コミュニケーション能力のなかでも、特に「傾聴力」をアピールしたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
傾聴力を自己PRでアピールする方法|例文や傾聴力をアピールする注意点も
③交渉する力
自分の意見と相手の意見を調整し、お互いが納得できるところに落とし込む能力もコミュニケーション能力の一種です。顧客のニーズや課題の解決に応える営業職で特に、交渉する力が求められやすい傾向にあります。
交渉がうまくいかないと相手との関係性が悪化してしまうのはもちろん、顧客が相手であれば会社の業績に直接悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、会社の最大成果に貢献できるように、相手と交渉する能力が欠かせません。
④信頼関係を構築する力
信頼関係を構築する力は相手に興味関心を持ち、相手の立場に立って物事を考えることで信頼を得る能力です。周囲の人と信頼関係を構築することで、仕事面でのサポートを期待できるほか、人間関係上のストレスを軽減できます。
周囲の人にとっても、信頼できる人物と一緒に働きたいと考えるのはごく自然のことなので、信頼関係を構築する力は働くうえで欠かせない能力といえます。
コミュニケーション能力をアピールした自己PRの例
ここでは、コミュニケーション能力をアピールした自己PRの例を5つ紹介します。「コミュニケーション能力」は抽象的な表現なため、「相手の気持ちを察する能力」「相反する意見を調整する能力」など、言い換え表現をうまく使いながら自己PRを考えてみましょう。①学生生活
【例文】
この強みが最も発揮されたのは、大学で専攻していた減災に関する授業です。この授業では毎週簡単なレポートを提出し発表するのですが、その際「内容がまどろっこしすぎる」と毎回教授に怒られる友人がいました。
実際に読んでみると確かに専門用語が多く、同じ内容の重複が見られたので、試しに私が添削してみることにしました。すると、以前より読みやすくなったと教授に褒めてもらえ、自分はかみ砕いて説明するのが得意なのだと気づきました。
仕事を進める際は、顧客や同僚が自分と同じ知識を持っているとは限りません。難しいことをかみ砕いて説明する能力は、知識を持たない人に対して説明する時に役立つと思います。
【ポイント】
コミュニケーション能力を「難しいことをかみ砕いて説明する力」に言い換えた例文です。そのままコミュニケーション能力をアピールすると抽象的な内容になるため、具体的な言葉に言い換えて伝えましょう。
②アルバイト
【例文】
大学入学当初から続けているカフェのアルバイトでは、一歩先のサービスを提供することを心がけました。
具体的には、階段でベビーカーを持ち上げるのに苦労しているお客様を手伝ったり、手の汚れやすい食べ物を提供する時には通常よりお手拭きを多めにしたりするサービスです。
当たり前のサービスだけでは他店との差別化点にはならないため、相手の表情や行動を見ながら一歩先のサービスを提供することが、顧客満足度の向上につながるのだと学びました。
このように私は、カフェのアルバイトで気持ちを察する能力を身につけました。この力は社内外問わず、あらゆる人と信頼関係を築くうえで活きると考えています。
【ポイント】
直接会話しなくとも、相手の表情や行動から意図を察するのもコミュニケーション能力の一種です。例文からは、指示だけに従い続けるのではなく、自分で考えて行動できる人間性が読み取れます。
③ゼミ
【例文】
所属するゼミでは頻繁にディベートがあり、時に口喧嘩のように白熱する場合があります。意見を尊重しあうなら良いのですが、否定しあう状況が見られたため、私は複数の意見の落としどころを探るよう心がけました。
例えば、アンケート方法を決める際にWeb調査とインタビューで意見が分かれたら、実施しやすいWeb調査を7割、インタビューを3割でアンケートを実施するという感じです。
複数の意見をうまく取り入れたことで、多数決のように少数派の不満を募らせることなく、スムーズにディベートを進められるようになりました。仕事で意見が対立した時も、お互いが納得できる折衷案を提案したいです。
【ポイント】
相反する意見をうまく調整したエピソードが、具体的で分かりやすい内容になっています。ただ意見の衝突を止めるだけでなく、双方が納得するような提案をしている点が好印象です。
④ボランティア
【例文】
大学3年生の頃に災害ボランティアに参加し、場の空気を読むことの大切さを学びました。土砂災害による被害を受けた地域で土砂のかき出しを手伝ったのですが、被害を受けたからといってすべての人が支援を求めているわけではありません。
被害者の中には「家の中に他人を入れたくない」「自分の物を触ってほしくない」という人もおり、支援を求めていない人を無理に手伝おうとして不快に思われた経験がありました。
空気を読む能力は持っていて当たり前なのかもしれませんが、コミュニケーションの基本であり、最も大事なことだと思います。仕事をスムーズに進めるうえでも、相手の表情や言動から察することを大切にしたいです。
【ポイント】
非言語情報を正確に読み取る能力は、コミュニケーションにおいて非常に重要です。相手の表情や言動から気持ちを読み取ろうとするエピソードから、コミュニケーション能力の高さが伝わります。
⑤サークル
【例文】
所属する弓道サークルでは、矢拭きや雑巾洗いなどの誰もやりたがらない仕事を、自分の働きかけによって当番制にした経験があります。嫌な仕事をやってもらうために私がとった行動は、メリットを示しながら依頼するというものです。
例えば矢拭きを率先してやる人が増えると、全員がバランスよく練習時間を確保できるようになり、サークル全体のレベルアップにつながるといった提案です。ただお願いするだけでなく、組織や個人のメリットを示すことで多くの人に納得してもらえました。
営業職として顧客と接する際も、こちらの要望を一方的に伝えるのではなく、相手企業や担当者にとってのメリットを具体的に示したいと考えています。
【ポイント】
コミュニケーション能力によって、組織に好影響を及ぼしたエピソードが印象的です。入社後も会社や顧客の課題に対し、適切な解決策を提案してくれそうな期待ができます。
自己PRで効果的に伝える方法
自己PRでコミュニケーション能力を効果的に伝えるには、PREP法で組み立てるのがおすすめです。PREP法とは、「最初に結論を伝えてから根拠を示し、次に具体的な事例と再度結論を伝える」フレームワークのことを指します。
構成に気を配らない自己PRはまとまりのない内容になってしまうため、PREP法に当てはめながら考えていきましょう。特に重要なのは、以下の3つのポイントです。
結論を先に書く
自己PRは結論を先に書きましょう。「私の強みは◯◯です」「私は◯◯の能力に長けています」などと冒頭で伝えることで、その後に続くエピソードを理解してもらいやすくなる利点があります。
多くの学生の書類に目を通す多忙な採用担当は、「要するに何が言いたいのか」を求めています。的を得ないダラダラとした文章はそれだけで印象が悪くなってしまうため、エピソードを書く前に、コミュニケーション能力の高さに関する結論を提示しましょう。
具体的なエピソードを添える
「コミュニケーション能力が高い」と結論を書いただけでは採用担当を納得させられません。強みが客観的な根拠によって裏付けられるものだと証明するために、コミュニケーション能力の高さを発揮したエピソードを付け加えましょう。
自分だけのエピソードでも悪くはありませんが、コミュニケーションは相手の存在があってこそ成り立つものです。自分の強みによって周りに好影響を及ぼしたエピソードであれば、自分だけのエピソードよりも納得感が生まれます。
数字を使って具体的にアピールする
コミュニケーション能力によって得られた成果を数字で表せると、さらに納得感のある自己PRができます。例えば、「サークルメンバー5人と密にコミュニケーションを取りながら作業に取り組んだことで、例年よりも◯%改善した」といった具合です。
数字を用いる時のコツは、比較対象を提示することです。「◯%改善した」だけでは成果の良し悪しを読み取れませんが、「例年よりも」という比較対象を提示することで、通常時より優れた成果を得られたのだと分かります。
自己PRでコミュニケーション能力を伝える時の注意点
話の構成を守った自己PRを書けていたとしても、伝え方次第ではうまく評価してもらえない可能性があります。自分の一番の強みであるコミュニケーション能力を評価してもらうため、以下の3つのポイントに注意しましょう。多くの学生がアピールするのでインパクトに欠ける
コミュニケーション能力は多くの学生がアピールするため、インパクトに欠けると理解しておきましょう。ありきたりなテーマでエピソードもありきたりだった場合、採用企業の印象に残りにくい点に注意が必要です。
対策方法としては、数字を使って具体性をあげることや、深掘りした自己分析によるエピソードなどが考えられます。なお、エピソードにおいて重視されるのは「経験の過程」であり、「派手さ」ではありません。経験や考えを深く掘り下げていれば、十分オリジナリティのある内容になります。
採用担当が自己PRで見ているポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
人事の本音ランキング発表!ガクチカや自己PRの「エピソード」で見ているポイント
「伝える」だけがコミュニケーション能力ではない
多くの人が勘違いしがちですが、伝える力だけがコミュニケーション能力を表すのではありません。コミュニケーション能力には非常に多くの意味があり、伝える力はその中の一つに過ぎません。
むしろ、傾聴力の高い人ほど相手の意図を汲み取りやすいことから、コミュニケーション能力が高いとも言えます。このように「聞く力」も含まれるため、自己PRで「伝える力」ばかりにフォーカスしないよう注意してください。
面接で高度なコミュニケーション能力を求められる
自己PRでコミュニケーション能力をアピールした以上、面接でも高度なコミュニケーション能力を求められる可能性が高めです。自己PRの説得力を自ら乏しめるはめにならないよう、面接対策にはしっかりと力を入れましょう。
面接でコミュニケーション能力を発揮できた場合は自己PRの説得力がさらに増しますが、反対に発揮できなかった場合は不信感を持たれてしまいます。
コミュニケーション能力の高さを活かせる仕事の例
最後に、コミュニケーション能力の高さを活かせる仕事を紹介します。どの業界でもコミュニケーション能力の高さは求められますが、以下の3つはその中でも特に発揮しやすい仕事です。
コミュニケーション能力を活かしやすい仕事に関わりたい人は、ぜひ志望先の候補として考えてみてください。
①営業職
信頼関係や人柄が成果に結びつきやすい営業職は、コミュニケーション能力の高さが必須の職業といえます。顧客に対して提案やプレゼンテーションをおこなう場面で、特にコミュニケーション能力が求められるでしょう。
営業職ではトークの上手さも重要ですが、求められるコミュニケーション能力はそれだけではありません。需要のない相手ではいくら分かりやすく説明しても成果に結びつきづらいため、相手のニーズを正確に汲み取る傾聴力が大切です。
②販売職
同じく対人職種の一つである販売職も、コミュニケーション能力の高さによって顧客から信頼を得やすい仕事です。アパレルや電化製品など、取り扱う商品に関係なくコミュニケーション能力の高さを活かせるでしょう。
質の高いサービスによってお客さんから好印象を得られれば、リピートにつながる可能性が高くなります。その場で商品を購入してもらうという短期的な目線だけでなく、長期的な目線でもコミュニケーション能力が欠かせません。
③人材紹介
相手が抱える悩みを引き出し、解決に向けたサポートをする仕事でもコミュニケーション能力の高さを活かせます。例えば転職などの人材紹介業は、企業から求める人材を正確に聞き出し、求職者に対しては悩み・不安に寄り添ってサポートしていく仕事です。
企業と求職者それぞれの要望を聞き取り、両者が納得する提案をする必要があるため、非常に高度なコミュニケーション能力が求められるでしょう。分かりやすく説明する力はもちろん、悩みを正確に理解する能力が必須です。
「コミュニケーション能力」の自己PRが完成したらOfferBoxに登録しよう
コミュニケーション能力の自己PRが完成したら、ぜひOfferBoxに登録してみましょう。OfferBoxのプロフィールに自己PRを載せておけば、コミュニケーション能力を重視する企業からオファーをもらえるチャンスがあります。
より多くの企業に見てもらいたい場合は、文章と一緒に写真をプロフィールに載せるのがおすすめです。アルバイトでお客さんと接している場面や、サークル仲間と会話している場面など、コミュニケーション能力の高さをイメージできるような写真を載せてみてください。
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まとめ
今回は、自己PRでコミュニケーション能力をアピールする方法と注意点を紹介しました。
コミュニケーション能力というと「伝える力」をイメージしがちですが、「聞く力」や「交渉する力」なども含まれます。一方的に伝えるだけがコミュニケーション能力ではないため、自分がどんな能力に長けているのか分かるよう、具体的な説明を心がけましょう。
また、コミュニケーション能力は自己PRのテーマに選ばれやすい強みです。そのままアピールするだけでは採用企業の印象に残りにくいため、オリジナリティのあるエピソードを付け加えましょう。