学生のイメージと、会社や仕事の実情に乖離がある。応募を待つだけでは、自分たちが採用したいタイプの学生になかなか出会えない。
4年前までは、大手ナビサイトを中心にした採用活動を行っていたコクヨ株式会社(以下、コクヨ)。そこから、ナビを使わない採用手法に切り替えたそうだ。
「コクヨという会社は、会社の実情と学生が抱くイメージが乖離している企業だなと感じていました。でもそれをナビサイトのような広告ではうまく伝えられません。例えば、文具事業のBtoCのチャネル営業(店頭向け販売チャネル)を例にとると、学生さんは志望動機として“お客様の笑顔が見たいから”といわれることが多いです。しかし、当然の事ながら、実際にエンドユーザーに商品を届けるという業務はなく、実際は直接笑顔を見る機会はほとんどないのです。この営業チャネルでは、販売計画・営業企画、マーケティングなどの知識をどう活かすか、というのが面白味なんですが、なかなか広告だけだと伝わりづらいんですよね」(コクヨ株式会社 大島さん/以下、大島さん)
BtoB企業も「仕事をイメージしてもらいにくい」という課題があるところが多いが、BtoC企業も“イメージ”とのギャップに悩んでいる企業も少なくはない。
イメージで応募してもらうより、コクヨの仕事の面白さをはじめから伝えることができれば、コクヨの仕事を“面白そう!”と感じてくれる学生も多いと思います」(大島さん)
そういったことから、ナビサイトをやめ、ホームページやダイレクトリクルーティングで「ギャップなく伝える」ことを重要視して採用活動を続けてきたそうだ。
導入しやすい価格設定で且つサポート体制もしっかりしていたため、自社の採用規模、予算であっても十分活用できると考えた。また、サービスを利用する社会的意義もあると考え導入。
「ナビサイトをやめたときから、逆求人系のサービスをいろいろ調べました。正直使いづらいところが多かったです。ダイレクトリクルーティングサービスをやっている会社は、学生と親密なコミュニケーションをとっておられます。そういったサービスを活用している学生の中にはそれが当たり前に感じている学生も多いですね」(大島さん)
日系の大手企業だと、学生と距離を縮めるためにインフォーマルに学生を誘って飲みに行く、というようなコミュニケーションはとりづらい。ベンチャー企業色が強いサービスだと、学生の中で「親密なコミュニケーションが当たり前」とインプットされてしまい、仕事とは関係のない部分で「つまらない」と判断されてしまう、と大島さんは話す。
「また採用予算も、ベンチャー、メガベンチャーほど多くありません。それは当社の離職率が低いからなんですが、サービスを提供する側から見ると優良顧客にはならないと思いますね」
そんな中でOfferBoxの利用を決めた理由とは?
「学生が、自分の経験をプロフィールに落とし込むことで、内省ができるサービスですよね。一度プロフィールを書いた後に、それを修正することもできる。学生が日々限られた時間の中で、例えば留学中でも内省しながら成長していけますし、いろんな経験をしながら就活を両立できるというのが、社会的意義のあるサービスだなと感じたんです」(大島さん)
またOfferBoxは、1人採用38万円の成功報酬。1社が送れるオファーには100通という制限がある。どの企業も規模や採用人数、予算にかかわらず、同じ条件で使えるというところが、予算的ハンデがある企業にも活用されているひとつの理由になっている。
15卒採用では、採用しきれていなかった営業職の二次募集で利用。オファー約100通、承認56件(承認率56%)、そこから面談しテスト合格が5~6人⇒1名の内定。
「OfferBoxの登録学生は、良い意味で自分に自信を持っていますね。“上位校のみ、選ばれた人間のためのサービス”をうたっている就活サービスもありますが、うちは別にどこの大学でもいいですし、大学を何度か変わっていたり、休学して放浪してきたような人でも構いません。その学生が何をしてきたのか。学校名だけではない、その学生の自信の源となる経験を、OfferBoxだからこそ目いっぱいアピールできるのだと思います」
15卒採用は、後半戦に採用しきれていなかった営業職の二次募集で利用いただいた。オファー約100通、承認56件(承認率56%)から、内定、採用が1名となった。その実績から16卒採用は早期からの利用となった。
「15卒の採用のときにOfferBoxからの選考で印象的だったのが、初めて会った学生同士5~6人くらいでグループワークをしてもらったエピソードです。なかなか難しいテーマだったのでうまくいかなくて当たり前なんです。でもうまくいかなかった原因を休憩中も“なぜだったのだろう”と話し合っている風景がありました。選考に受かる、受からないではなくて、本当に悔しそうで。他社サービスからではなかなか会えない層の学生だと思いましたね」
一人ひとりへのかかわり方にこだわりを感じる。小手先の工夫のようなことではなくて、学生の人生と向き合っている、その姿勢が印象的だ。
「秋インターンや冬インターンが流行っていますよね。当社もやるかどうか悩みましたが、結局やらないことにしました。うちは、少ない採用チームでやっています。インターンもとても工数がかかるので悩んでいたのですが、インターンで集客しなくてもOfferBoxから、しっかり考えているような学生を集めることができるだろうと判断しました」(大島さん)
ただ「選考する」「採用する」ではなくて企業と学生の関わり方に、意志をもってこだわる企業が今後もっと増えてくることが考えられる。学生とのはじめの接点の持ち方ひとつとっても、その後のつながりは変わってくるだろう。
会社名 | コクヨ株式会社 |
所在地 | 【本社】大阪市東成区大今里南6丁目1番1号 |
設立日 | 1905年(明治38年)10月 |
事業内容 | 文房具、オフィス家具製造販売 |
ホームページ | http://www.kokuyo.co.jp/ |