研究職とは?種類や仕事内容・やりがいや向いている人の特徴を紹介

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「研究職」といえば、理系学生にとっては憧れの職種の1つです。しかし、人気職種ではあるものの、実際にどのような仕事をしているのか、詳しく把握している人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、研究職の種類や仕事内容、やりがいや向いている人の特徴など、網羅的にご紹介します。狭き門と言われる研究職への挑戦は、早めの準備が重要です。自身の研究分野を定め、卒業後のキャリアを輝かせるための第一歩を踏み出しましょう。

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研究職とは

研究職とは、大学や公的機関、民間企業などでさまざまな研究に従事する仕事です。「基礎研究」と「応用研究」の2種類の研究段階に分かれており、新たな知識や技術の発見、実験の実施、データ解析、結果の評価など、業務内容は多岐にわたります。

また、厚生労働省の職業分類表では、研究者の種類は以下の7つに分類されています。それぞれがさらに細かな専門分野を持っており、独自の研究対象と手法を使っています。

  • 理学研究者
  • 工学研究者
  • 農学・林学・水産学研究者
  • 医学研究者
  • 人文科学研究者
  • 社会科学研究者
  • 他に分類されない研究者

研究職に興味を持つ学生は、早いうちに細かな研究分野を定めることで、自身が目指す研究者の道へ、適切なアプローチを取ることができるでしょう。

研究職の種類

研究職には、「基礎研究」と「応用研究」の2種類が存在します。どの段階の研究をおこなうかによって仕事内容が異なります。自分の興味や志向に合った研究分野を選ぶため、事前にそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

基礎研究

基礎研究とは、これまでに誰も発見していない理論やメカニズムを解明する研究のことです。

基礎研究は、仮説の検証や修正を何度も繰り返す根気のいる仕事であり、具体的な製品・サービス開発に直結しない場合も多くあります。しかし、成果を出せば、世の中に大きな影響を与えることができます。

2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏の「免疫反応にブレーキをかけるタンパク質PD‐1の発見」はその最たる事例でしょう。

基礎研究は新たな知識の開拓という点で重要であり、応用研究や技術革新の基盤となる役割を果たしています。基礎研究によって生み出された知見は、将来の科学や技術の進歩へ大いに寄与する可能性を秘めています。

応用研究

応用研究とは、基礎研究で発見された結果をもとに、新しい機器や装置、システムなどを開発し、実用化を目指す研究のことです。

応用研究は、以下のようにさまざまな分野でおこなわれます。

  • 医学:新たな治療法や薬剤の開発、疾病の診断技術の改善
  • 工学:新たな製品の設計や製造プロセスの改善、環境への負荷の低減

京都大学特別教授の本庶佑氏は、「PD‐1の発見」という基礎研究を「がん治療へ応用」したことで、2018年にノーベル生理学・医学賞の受賞に至りました。

このように、応用研究は、社会や産業に直接的な影響を与えることができます。世の中の課題やニーズを上手く汲み取る力が重要となってくるでしょう。

開発職との違い

研究職と似た職種として、開発職があります。研究職が理論や技術を生み出し活用させるのに対し、開発職はさらに手を加えて製品、サービス化を目指す仕事です。

基礎研究、応用研究に開発研究を加え、3つでひとくくりとする考え方もありますが、厳密には以下のように、研究職と開発職には違いがあります。

  • 目的と目標:開発職は実用的な製品やサービスの開発を目指し、研究職は知識や理論の発見、学問の発展を目指す
  • 成果物と評価:開発職は製品やサービスの完成と市場での受け入れを評価されるが、研究職は知見や理論の発見と学術的な評価が重視される

開発職と研究職は異なる役割を持ちながら、相互の連携や影響もあります。特に応用研究は開発研究と近しい仕事になるため、おさえておくと良いでしょう。

研究職の就職先

研究職には大学や公的機関、民間企業などさまざまな活動フィールドがあります。それぞれの就職先での特徴を理解して、自分がどの職場でどのように働きたいのか、具体的なイメージを膨らませてみましょう。

大学・大学院

学術機関である大学では、基礎研究をおこなうことが大半です。大学の研究プロジェクトに参加したり、独自の研究テーマを追求し、未知の物質や未開拓原理の発見・解明を目指します。

大学・大学院での研究職のキャリアパスは、まず博士号取得後、「講師」として教育・研究活動をおこないます。その後、研究成果と教育実績を積み重ねていくことで「助教→准教授→教授」と昇進していくことができます。

公的機関

公的機関における研究職の就職先は、主に以下の3つです。

  • 国立研究開発法人:研究開発をおこなう独立行政法人
    「理化学研究所」「産業技術総合研究所」など
  • 国立研究機関:中央省庁が設置する研究施設
    厚生労働省「国立感染症研究所」、警察庁「科学警察研究所」など
  • 公設試験研究機関:地方公共団体が設置する研究施設
    「産業技術センター」「健康安全センター」など

先進的な研究開発に取り組むことが多く、基礎研究と応用研究の両方に関わることがあります。国立研究機関では国家公務員、公設試験研究機関では地方公務員として働くことが特徴です。

民間企業

民間企業の研究職では、製品やサービスの開発や改良に向けた応用研究が中心となります。企業は競争力を維持するため、市場のニーズを把握し、革新的なアイデアや技術を実現するための研究開発に従事します。

例えば、以下のような大手企業が研究職を募集しています。

  • トヨタ自動車株式会社:自動車技術の研究・開発
    エンジン技術、電気自動車、自動運転技術などの分野
  • 三菱重工業株式会社:航空機、宇宙機、産業機械などの製品開発
    素材開発や構造解析、システム設計などの分野

研究職ならではのやりがいとは

研究職は、未知の領域を探求し、新しい発見や革新的な技術を生み出す魅力に満ちたキャリアパスです。ここでは、研究職ならではの代表的なやりがいを見ていきましょう。

社会貢献できる

自分の研究成果が広く社会で活用されるようになることは、研究職のやりがいの1つでしょう。特に、toC向けの製品を扱う民間企業では、世の中の多くが利用する製品に関わることができるため、志望する人も多いと考えられます。

自分が研究してきたことが製品やサービスとして実際に形になり、人々の生活に貢献できることは、大きな喜びと充実感を与えてくれます。このような社会的なインパクトを持つ研究に関われることは、研究職の魅力です。

自分の興味・好きなことを活かせる

研究職は、自分の興味がある分野や学問に深く関わることができます。研究が好きで、探究心や好奇心を持って学問を追求したいと考える人にとって、自分の関心や情熱が仕事に直結することは大きなやりがいとなります。

好きなことが仕事につながることで、毎日の業務に情熱や意欲を持って取り組むことができるでしょう。自らの成長や学術界への貢献に喜びを感じながら、深い専門知識を磨き、新たな発見や成果を生み出すことは、研究職ならではのやりがいです。

研究職はつらい?研究職ならではの難しさ

理系学生の憧れで人気の研究職ですが、仕事をするうえで、もちろん厳しさを感じるときもあるでしょう。ここでは、未知の領域に挑む研究職ならではの難しさを見ていきます。

成果主義

研究職では、成果が厳しく要求されます。成果が得られない場合、その研究が継続できなくなる可能性もあるため、研究者は常にプレッシャーを背負いながら挑戦しています。

また、研究は時間がかかるものであり、即座に結果が得られるわけではありません。試行錯誤や失敗も含め、成果が出るまでには多くの時間と努力を要します。研究者は失敗や挫折を乗り越え、粘り強く研究を続けながら目標に向かって進む必要があるでしょう。

転職が難しい場合がある

研究職は、1つの分野を深く掘り下げるため、ほかの職種へ転職が難しい傾向にあります。

そのため、転職を考える場合、新たなスキルや知識を獲得し、独自のキャリアパスを築く必要があります。転職には時間や努力がかかる場合があり、適応力や柔軟性が求められます。

ただし、研究職で培った深い専門知識や問題解決能力、論理的思考などのスキルは、ほかの職種でも大いに活用できるでしょう。キャリアチェンジを検討する際は、自身の強みや研究職で培った価値を明確に伝えられるよう備えておくことが重要です。

研究職に向いている人の特徴

研究職を志望する人は理系の学生が多いですが、適性は人によって異なります。ここでは、研究職に求められるスキルと特徴をピックアップして紹介します。研究職に興味がある人は、自分に向いているのかどうかチェックしていきましょう。

探求心が強い

探究心が強い人は、研究職に向いているでしょう。研究には、「なぜこうなんだろう?」「これはどうなっているんだろう?」と知的好奇心を持ち、探求し続ける力が必要です。

一方で、興味が移りやすく飽きっぽい人は研究職には向いていないかもしれません。研究には時間がかかるため、長期的な視点と使命感を持ち続けることが求められます。特定の事象について、とことん深くまで調べ続けられる人には、研究職に適しているでしょう。

粘り強く一つのことに集中できる

粘り強く1つのことに集中できる能力は、研究職の必須スキルです。

研究職では、成果を得るために長期的な取り組みが必要です。1つのテーマや課題に対して、根気強く集中して取り組むことが求められます。研究中は、初めての試みやアイデアが成功に結びつくまでには、何度も実験が必要となることがあります。

また、1つのテーマに集中して取り組むことで、深い洞察や専門知識を獲得できます。新たな発見や貢献をするためには、根気強く試行錯誤を続ける忍耐力が重要となるでしょう。

失敗をポジティブに切り替えられる

ポジティブシンキングは、研究において困難や壁にぶつかった際に求められるスキルです。

研究職では、良い結果が得られなかったり、進展が遅かったりすることもあるでしょう。しかし、粘り強く取り組むことで問題を解決し、成果を得る可能性が高まります。

何度も同じ研究をして、何度も失敗しても、それをばねに前向きに進める人は、研究職に向いていると言えるでしょう。

コミュニケーション力

意外に思われるかもしれませんが、研究職ではコミュニケーションスキルも必要不可欠です。

研究職では、ほかの研究者やチームメンバーとの協力や情報共有が重要です。自分の研究の進捗状況や結果、資料など、的確に伝えることができなければ、大きな成功を収めることは難しいでしょう。

学生のうちから自分の研究以外にも興味を持ち、周囲と適切なコミュニケーションスキルが取れるよう、聴く力と伝える力を磨いていきましょう。

研究職は狭き門?就職難易度が高い理由

研究職が狭き門となっている理由は何でしょうか?どの研究機関においても、就職の難易度は高くなっています。ここでは、研究職の就職が難しい2つの理由について解説します。

求人が少ない

研究職の募集枠は、そもそもが非常に少なく、競争率が高い傾向があります。また、自分が大学で専攻した学問分野で求人を探すと、さらに求人数は限られてしまい、就職活動が難しくなることがあるでしょう。

研究職を目指す学生は、幅広い求人情報や研究機関とのコネクションを活用し、早いうちから積極的に情報収集をおこなうことが重要です。

採用要件が厳しい

研究職では、採用要件として、エントリーの時点で高い学術水準を要求されます。

例えば、製薬会社の武田薬品では、応募資格を以下のように設定しています。

  • 薬学、工学、理学、農学、生命系の分野を専攻された方
  • 修士課程、博士課程を修了、もしくは6年制大学を卒業される方
  • 英語力:TOEIC700点以上
  • 対外発表:学会・学術論文などの発表実績(または予定)

厳しい要件の中、多くの優秀な候補者が同じポジションを目指しているため、応募ハードルは高くなります。その中で自身の能力や研究実績をいかにアピールできるかが鍵となるでしょう。

研究職を志望する学生がやるべきこと

狭き門の研究職ですが、しっかりと準備をしておけば希望のキャリアにチャレンジできる可能性は大いに広がるでしょう。ここでは、研究職を志望する学生に向けて、就職するまでに必要なことを伝えていきます。

研究分野を早めに決める

先の章で伝えた通り、研究分野を早めに決めることが重要です。自分が専攻している分野にあわせて求人を探すのが一般的なため、早めに方向性を決めておくと心の準備ができます。

さらに、早期から研究に取り組むことで経験を積み重ね、実績を築く機会も増えます。これは、将来のアピール要素となるでしょう。自分の興味や適性に基づき、充実した研究経験を積むことができます。

自己分析や業界・企業研究も怠らない

研究ばかりに明け暮れるのではなく、就活の基本も怠らないようにしましょう。自分の適性や志向性を把握し、どの研究分野や企業が合っているのかを見極めることが大切です。

こちらの就活記事を読んで、自己分析・業界研究・企業分析の手法を学びましょう

自己分析は必要ない?全くせずに面接を受けたらどうなる?【自己分析シートDLあり】
【就活の業界研究の目的ややり方】よくある質問にも回答
就活における企業研究のやり方を徹底解説!まずは何から始めるべき?

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研究職のインターンシップに参加する

忙しい理系学生ですが、インターンシップへの参加は大きなメリットがあります。志望業界の探索や視野の広がり、人脈の形成、就活での優位性、経験の積み重ねなどが期待できます。

こちらの記事で紹介している以下の工夫で、理系学生もインターンシップと研究を両立することができるでしょう。
インターンシップと研究はどちらも大切!両立するメリットや方法とは?

  • 授業や研究が忙しくないタイミングを把握する
  • まとまった時間が取れない場合は1Dayインターンシップに参加する
  • オンラインのインターンシップを検討する

また、こちらの記事では理系インターンシップの特徴、プログラム例や選び方を紹介していますので参考にしてください。
理系インターンシップの特徴とは?参加メリットやプログラム例を紹介

研究職の志望動機作成のコツと例文

倍率が高い研究職で内定を勝ち取るためには、志望動機をしっかりと作り込むことが重要です。採用担当者を納得させられる志望動機を作成するために、以下の3点を意識しましょう。

  • 研究内容を具体的に伝える
  • 企業の取り組みを調査し、興味や関心を示す
  • 入社後に携わりたいテーマやプロジェクトを明確にする

研究職の志望動機例文

私は、大学院で食品の品質や安全性に関する研究に取に取り組みました。自身の専門知識やスキルを活かし、研究の世界で貢献したいという思いが強くあります。貴社は食品の品質向上や持続可能性に取り組んでいると知り、社会的課題に対する革新的な解決策を追求していると魅力を感じました。ぜひ私も貴社の研究チームの一員として、食品開発や品質管理に携わり、社会の発展に貢献したいです。

このように、自身の専門知識や経験、将来の貢献や成長の意欲を示すことで、研究職への強い志望意欲を表現しましょう。

志望動機の作り方のポイントを知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
就活面接の志望動機の答え方|例文でポイントを解説

早めに対策をして研究職のキャリアをつかみとろう

研究職は、成果が出るまでに時間がかかる地道な仕事であり、またプレッシャーも大きくかかります。しかしその分、成果が出たときの社会貢献性は大きく、自分の興味・好きなことを活かすことができる魅力的な仕事です。

この記事を読んで研究職に興味を持った理系学生の皆さんは、ぜひ早めの対策を始めましょう。OfferBoxでは研究職の新卒採用をしている企業からオファーがもらえます。まずはOfferBoxにプロフィールを入力してみてください。