【セミナーレポート】どうする?2019年卒採用ー今年やることを考えるワークショップ

本セミナーレポートは2017年11月22日に開催された「どうなる!?2019年卒・冬インターンシップ -ワークショップで考える人材の見極め方–」にて、人材研究所の曽和利光氏の講演の後にワークショップを実施し、2019年卒採用で実施することをグループごとに議論しました。

■登壇者

株式会社人材研究所 代表取締役社長
曽和 利光氏

元リクルート人事部ゼネラルマネージャー。組織人事コンサルタント。リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで人事畑を進み、株式会社人材研究所設立。

株式会社i-plug 取締役 兼 COO
直木 英訓

2004年大学卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。営業、企画、業務のマネジメント業務や、新規事業の責任者を経験。i-plugでは主に営業領域を中心に、顧客への提供価値向上に務める。2016年グロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻修了(MBA)

※モデレーター
株式会社グロービス
加藤 剛広

■講演パートサマリー

人材研究所の曽和利光氏に、採用広報解禁前の早期接触・インターンシップに取り組むポイントについて講演していただきました。

  • インターンシップの動向として、学生の就業意識を醸成するインターンシップを実施する企業の割合は年々増加。学生側もインターンシップへの興味関心は高く、就職活動前にインターンシップに参加する人数も増加中。
  •  

  • 魅力的なインターンシップのプログラム立案のポイントは次の4点。
     
    【1】集客力ある魅力的なコンテンツ作り
    自社の仕事体験等「ありふれた」コンテンツではなく、広く一般の学生に魅力を感じてもらえる工夫が必要。
     
    【2】優秀な学生の募集方法
    内定者や新入社員などのリレーションを活用した告知活動が肝心。一緒に参加して楽しめるような優秀で魅力的な学生が集まる仕掛けづくりを。
     
    【3】盛り上がる場作り、参加学生とのリレーション構築
    参加者とのリレーション構築を主眼に、学生・社員間の相互理解を深めるコミュニケーションの場を設定できるかがポイント。
     
    【4】本選考へのつなげ方
    インターンシップ後採用とは異なる“育成目的のイベント”を企画し、参加者を継続的にフォロー。

■ディスカッションテーマ

講演から得た気づきを踏まえ、2019年卒採用では何をすべきか?
「今年から新たにやるべきこと」と「それを実施する目的」についてグループごとに議論してホワイトボードにまとめる。

■グループディスカッション

【グループ1のホワイトボード】
 
今年から新たにやるべきこと
1) ネットを活用したい(スマホばかり見ている?)
2) 直接会うのも効果的

それを実施する目的
早期接触したい!
夏のインターン学生をつなぎとめたい。

20171122icon-sowa-circle曽和氏
直接会うについては、できるだけふらっと会うようにしたいですね。例えばこの時期なら学園祭シーズン。ターゲット大学の学園祭に行って、うどんか何か買うじゃないですか。働きのいい学生がいたら「何年生?」と聞いてみたり。就活に関係ない機会に直接会いに行くというのが1つオススメですね。学園祭以外にも、学生が主催するイベントに協賛してもいいし、ゲストとして呼んでもらえるならそういったものに参加してもいいですね。
とにかく、普通に就活モード学生にPRをしても反応しない学生にリーチするかが智恵の絞りどころだと思いますね。
【グループ2のホワイトボード】
 
今年から新たにやるべきこと
1,自社に興味なしの学生にアプローチ
2,幅広い層に向けて/不足している人材へ exp)女性
・選考の中で流れを作るexp)夏季→秋季→冬季→説明会
・インターンポスター作成(社員・内定者)

How・What?
・コラボレーションに乗っかる  (例)女性の人材が欲しい、化粧品メーカー?
・広報の仕方の工夫
活躍の様子を写真で豊富に見せる
・学校のキャリアセンターや個別にアプローチをかけていく

20171122icon-sowa-circle曽和氏
コラボレーションって難しいように見えますが、実はすごく簡単だと思うんですね。一番やりやすいのは、みなさんの事業の商流を活用することです。ある繊維商社のお客様が、その上流にあたるBtoBの誰も名前を聞いたことがある大企業、下流のアパレルブランドを持つBtoC企業とコラボセミナーを開催したという実際にあった例があります。
商流の真ん中にある繊維商社の仕事は、最も学生からは見えないので知られていない部分です。そうなったときに、上流の有名企業や下流の自社ブランドを持っている企業とコラボレーションできたら学生は集まりますよね。

ただ、1つだけ陥りがちな心理的な罠があります。「自社がお金を払って企画をしているのだから、集客した学生たちは自社の学生だ。他社にあげるのは…」という感情が生まれやすいんですよ。でも、それは幻想です。実際には、学生にはナビサイトからメールで様々な企業の情報が届けられていますし、スカウト型のサイトからオファーが届いているわけで、囲い込みなんて実際できていないのです。

そもそもコラボセミナーは普通、学生から特に人気がない会社の方が有利。コラボセミナーの成功に必要なのは、参加する企業みんなでイベントを広報し、運営すること。マイナスになることはないはずです。

【グループ3のホワイトボード】
 
他社に流れない優秀学生
母集団形成、自社認知向上のためのコラボレーション

近接業界志望の学生にアプローチしたい
 ↓
どうやってコラボ先と出会うのか?

コラボ ?

自社の認知↑

インターンの目的
 ↓
母集団形成なので出会えているはず…?

求める職種として?   二極化  見られているの?
     ↑         ↑      ↑
目標人数の学生に出会えているか?

20171122icon-naoki-circle.png直木
こちらのグループもコラボの案が出ていますね。曽和さんもおっしゃっていたことですが、自社よりも採用ブランドのある会社を引っ張ってくることがコラボレーションイベントを成功に導くために必要なことだと思います。
20171122icon-sowa-circle曽和氏
あと、レベル感の話だけではなくて、欲しい学生の志向が質的に同じ企業を選ぶということも必要ですね。例えば、昔リクルートは出版社と思われていたので、飛び込み営業はしたくない…という言うような出版社志望の文学少女/文学少年がいっぱい応募してきたんですね。ずれていたんですが、商社と一緒にイベントをすると欲しい層がくる、と言うことがありました。
【グループ4のホワイトボード】
 
(1)インターンシップから採用へいかにつなげるか

(2)1. いい面ばかりでなく実情を伝える
  2. 現場の人との交流→現場の意見

20171122icon-naoki-circle.png直木
どんな風に話をつなげていけば、インターンシップから採用へいかにつなげられるのかについてお話をします。

この時期、学生がどんな順番で情報収集していくかと言うと、まずは会社名で検索していきます。自分が知っている企業を受けていって、その企業の方から集めた情報から、
「自分はこういう業界に興味があるのかもしれない」と気づき、3月の広報解禁で情報が世の中に出てきたタイミングでその興味ある業界に絞り込んでいく。そんな状況です。広報解禁前にインプットされた情報が、学生のその後の行動を左右するわけです。

弊社が運営するダイレクトリクルーティングサービスを利用している人事の方が、実際どんな風に学生に接触しているのかと言うと、一番人気があるのは「一対一で雑談しましょう」です。そこで、自社の話だけじゃなくて、キャリアの話や就職活動の悩み相談などをするんですね。不安なことを言ってごらんと。そして、じゃあ、どういう会社を受けるの?という話を聞きながら、そういうところ受けるんだったら、2ヵ月後にまた会おうと仲良くなって接点を持ち続けていく。そういった取り組みをしている企業も少なくありません。

【グループ5のホワイトボード】
 
インターンシップで困っていること
→集客
  ↓   ・魅力的な社内人材をどうアサインするか
  ↓   ・戦略的な「草の根」をどう考えるか
1. 集客の企画・実行
2. プログラムの運営
「会社の魅力を内定者の視点で」
20171122icon-naoki-circle.png直木
実際話を聞いていると、ほとんどの企業がインターンシップの集客に苦戦されています。理由は簡単で、インターンシップ実施企業数が増えているからですね。19年卒は特に1dayインターンシップが解禁され、大手企業の参入が増えました。ですので、3月以降の通常選考と似たようなマーケットになっています。学生は知名度の高い大手企業から受けていきますので、3割減は当たり前、5割減という話も聞きました。

ここでよくお話するのが「インターンシップっていりますか?」ということ。インターンシップと言わないと早期接触できない企業と、インターンシップと言わないとビジネスができない採用メディア側が、建前上インターンシップと言っていますが、実際にはインターンシップは早期接触するための1つの手法です。そうすると、そもそもインターンシップをやる意味はあるのでしょうか?

最近OfferBoxで増えているのは、一対一の面談や少人数制の座談会です。1営業日につき1人に会うと目標を立てると、12月〜3月で80人に会える。80人に会えたなら内定を出すのに十分な人数です(※OfferBoxの2017年卒採用実績では、平均10人に会って1名内定出し)。インターンシップはレッドオーシャン化・マス化しつつあるので、インターンシップ自体を見直す必要があるのではないかなと思います。

【グループ6のホワイトボード】
 
今年から新たにやるべきこと
1. リファラルにチャレンジ
2. やったことないことに挑戦、母集団をつくる
20171122icon-sowa-circle曽和氏
初めてのリファラル採用を成功させるためにアドバイスするとしたら、OfferBoxを併用する、です。
一同一同
(笑)
20171122icon-sowa-circle曽和氏
何故かと言うと、リファラル採用はスキルが必要なので、やることに決めましたと言って急にできるものではありません。最初はOfferBoxのようなスカウトメディアやナビサイトでリスクヘッジをとりながら、一通りリファラル採用をやってみるのがいいと考えています。

リファラル採用は、やればやるほど、早く始めれば早いほど慣れてきて、コツがわかってくると数珠繋ぎで採用できます。メディアを使わずにやっているという企業もあるくらいですが、そのレベルにたどり着くまでにはやはり時間がかかります。

【グループ7のホワイトボード】
 
集客
・リファラル ・内定者に会う ・草の根
・メール ・チラシPDF ・個別
・学校 ・ゼミ:縦のつながり
・ゼミの教授とのつながり→キャリア教育
・新人教育をリクルーターとして
・内定や入社のお礼挨拶to教授
・社員の模擬面接
20171122icon-naoki-circle.png参加者
リファラル採用について、内定者や新入社員に地道に会っていくというのを面倒くさがらずにやっていこうと言う話になりました。
20171122icon-naoki-circle.png直木
私の担当するあるお客様は、採用人数の約半数をリファラル採用で採用しています。内定者の紹介のみだそうです。ここの会社の特徴は、その期間はそれしかしないと振り切っていらっしゃっていました。
リファラル採用は手間もかかって大変ですが、それはOfferBoxもそうですね。待っていても来ない人を自分からアプローチするわけですから、それなりに工数もかかります。会ってからの内定の確度は高いですが、なかなか会うまでを振り切れないですし、片手間ではできません。これは内定者を使ったリファラルもOfferBoxも似ていますね。
20171122icon-sowa-circle曽和氏
覚悟は必要ですね。ただ、リスクヘッジは必要。とはいえ、同じパワーで手法2つに分けると中途半端に終わってしまいます。私がおすすめしているのは、採用アウトソーシング(RPO)をどちらかに入れることです。例えば、OfferBoxのような新処方をアウトソースに任せ、良かったら本採用する。逆のパターンで、今までの手堅い手法をアウトソースして、自分たちで新しい手法にトライして、いいと思ったらシフトする。この段階を踏まえるのが良いかと思います。
【グループ8のホワイトボード】
 
課題
1、内定(内々定)辞退
 →現場(工場)を見せたら承諾率が上がった
2、企業で働くということの意味を伝えないといけない
    ↓
 本質を伝える
 ということが重要なのではないか?
20171122icon-sowa-circle曽和氏
自社の事業を説明する時、ビジネスモデルで説明するというのが一番つまらなくて、自社の事業を「社会的意義」もしくは「知的好奇心」のいずれかの側面で話さないと学生には刺さりません。

あるいは社風の話をよく学生に聞かれるかと思いますが、あまり準備や練習をしていないほとんどの会社が「風通しがいい」「若いうちからチャレンジできる」「女性が働きやすい」など言ってしまいますが、これ、どの企業も言っています。何の差別化にもなりません。その社風の象徴的な出来事や、社内で交わされている会話を通じて伝えることが必要です。人事担当者には、そういったトレーニングも求められますね。

【グループ9のホワイトボード】
 
今年から新たにやるべきこと
こちらから攻める、守りでもよい→オファー

目的
 →マスではなく、ピンポイントで狙う事で
  優秀かつ志望度が高い人にきてもらう
【課題】
・手法はあるが、何をすべきかわからない
・守りではなく攻め

20171122icon-naoki-circle.png直木
オファーを送るスカウト型の採用は、「会うまで」と「会ってから」の2つステージがあります。OfferBoxの場合、初めて会ってから内定までの内定率は高く、2割を超える企業もあります。ここは企業によってぶれることも少ないステージです。
ポイントは「会うまで」で、PDCAを回しながらノウハウを貯めていく必要があります。何件オファーを送り、そのうち何割レスポンスがあるのか、最初に会うまでにどれくらい接触できるかなど。ですので「会うまで」のノウハウができれば、使いこなせるツールとなるのかなと思います。

20171122-seminar-1

(終)


2018年1月9日公開