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初めて新卒採用を任された『あなたに知って欲しい』基礎知識

中小企業の電子デバイスメーカーに勤務するHさん、今回の辞令で営業部から人事部へ異動になりました。しかも会社として初めて取り組む新卒採用を担当することになっています。

営業からまったく畑違いの部署への異動に、実はHさん内心かなり不安を抱えています。「新卒採用の仕事ってどんなことをするのだろう?」「会社にとっても初めての新卒採用を成功させなくてはならない。どうしたらいい?」そんな気持ちを払しょくし、新卒採用の基本知識を教えていただこうと、Hさんはゼミの先輩であるKさんに相談してみることにしました。Kさんはいま、中堅食品メーカーの総務・人事部に勤務しています。

本稿では、初めての職務に不安でいっぱいのHさんと人事畑の中堅社員として活躍中のKさんとの会話を通して、新卒採用の意味・目的や採用担当者の仕事の概要を紹介していきます。
 

|そもそも会社が新卒採用する目的や効果ってなんだろう?

Hさん― 今日はお忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます。
今回人事部に異動になって、経験も自信もない、でも成功させなくてはというプレッシャーで自分を見失いかけていたんです。そこでKさんに何かアドバイスいただけたらと思い伺いました。

Kさん― それは無理もないよね。私も3年前に営業から総務・人事部に異動になったんだ。それはもう不安でいっぱいだったし、営業現場で何かやっちゃったのか?と自信喪失していたよ。

Hさん― えっ、Kさんがですか?

Kさん― そうだよ。でも、新卒採用の仕事をやり始めて、その意味や意義を理解して、こんなに重要な仕事を任せてくれたのかと、いまは会社に感謝しているくらいだよ。それでだ、そもそも会社が新卒を採用する目的は何だと思う?
 

◇1-1.新卒採用を行う会社の目的とは

Hさん― 中途採用のようにすぐに現場の即戦力になるわけではないので、そうですね、新卒を採用して、教育や研修、実務を通して会社の理念や企業風土、技術を習得させて将来会社の中核を担う人材に育てるため・・・ですか?それに、新卒という新しい風を入れて、組織を活性化させるというのはどうでしょう。

Kさん― いいね。ほかにも考えられるかな?

Hさん― そうですね・・・、毎年定期的に一定数採用することで、年齢構成の適正なピラミッドがつくれる、ということも考えられます。

Kさん― その通り。新卒採用の目的はいま君が言ったことに集約できるね。一つは、企業の将来の核となる経営幹部候補の採用。二つ目は組織の活性化。ここには企業文化の継承という意味も含まれるね。三つ目は一定数の定期採用という条件付きだが、安定した人口ピラミッドを形成するためだ。

Hさん― いかにも日本的な終身雇用が前提となっている目的ですね。経営幹部の採用とか組織の活性化は、中途採用でもいいのでは?と思いますが。

Kさん― もちろん、そういった見方も間違っていないよ。でも、新卒ならではのメリットがあるんだ。企業文化や蓄積されてきた技術・ノウハウといったものは、教育などによって先輩から後輩に受け継がれるだろ。新卒の学生を「まっさらなキャンバス」だとすると、その文化、技術・ノウハウといった絵の具が、そのままの色でキャンパスに描かれる。企業にとっては、それが育成のしやすさにつながるんだ。
 

|新卒採用は営業活動と似ている? 新卒採用担当としてスタンスを理解する

 

◇2-1.新卒採用担当って、どんな人が適任なの?

Hさん― 新卒採用の目的や効果はよくわかりました。会社にとって長期的な視点で重要な役割を持つものだったのですね。少しプレッシャーを感じてきました。

Kさん― おいおい、君だったらという期待で白羽の矢が立ったんじゃないかな。新卒に限らず、採用担当に向いている人というのは、私の所属する部署にいる人たちの特徴と私の経験則から言うと、「調整を得意とする人」「変化を恐れない・拒まない人」「自分の言葉で語れる人」「周りを巻き込んでいける人」だと思うよ。

Hさん― そうなんですね。自分があてはまるのかどうか・・・

Kさん― 具体的に説明すると、「調整を得意とする人」というのは、採用担当者は学生などの応募者だけでなく、人材エージェントや社内他部署の人たちとか社内外問わずさまざまな立場の人と会うよね。そしてさまざまな調整や交渉が発生する。イレギュラー対応にもその都度判断と調整が必要となるわけだ。だから、相手の立場や状況を理解、判断して最適な状態をつくれる人という意味だ。

「変化を恐れない・拒まない人」は、現在行っているフローや手法、従っているルールがベストであると固執せずに、柔軟に変化を受け入れて理解し業務に生かせる人。常によくするにはどうしたらよいかを考えていける人だね。新卒採用ルールも年々変化してきているから、柔軟に対応できるほうがいいね。

「自分の言葉で語れる人」は、志望度を高めるように、入社したいと思われるように会社の魅力を伝えるとき、相手に納得感を与えるのは「自分の言葉で語ること」なんだよ。

最後に「周りを巻き込んでいける人」は、採用活動では会社説明会や面接、先輩社員との懇談会など他部署の協力を仰ぐ場面が多々ある。つまり採用は人事部だけ、もっといえば一人ではできないもので、積極的に他部署と接点を持って、何かあったらすぐに協力を得られるような円滑なコミュニケーションをとっている人が向いているということだ。

Hさん― まるでスーパーマンですね。私に全部備わっているとは思えないですよ。
 

◇2-2.新卒採用も営業も、仕事の基本原理は共通している

Kさん― そんなことはないと思うよ。社会人として普通に仕事をやってきた人ならどんな部署にいても多かれ少なかれ実践してきたことだし、全部完璧に備わっていなくても大丈夫だよ。

そういえば、君は異動前は営業職だったね。お客さま相手に営業活動するとき、製品を説明するのにその製品の特長・メリットつまり魅力を誠心誠意、自分の言葉でプレゼンしただろ?それにお客さまのタイプもいろいろだから、一つのやり方に固執せずにアプローチの方法をさまざま変えてみなかったかい?

さらにメーカーだから製品について製造部やマーケティング部と折衝したり、協力を仰いだりしていたんじゃない?

Hさん― なるほどそうですね。そう考えると採用活動は営業活動とよく似ている。製品が会社自体に置き換えられただけなんですね。

Kさん― その通り。採用担当でも営業担当でも、基本的な素養は共通している。私だって営業職から採用担当への異動だったからね。採用担当は、採用一筋の人よりも多職種を経験して担当になる人が多いともいえるよ。だから、自信をもって臨めばいいと思うよ。

Hさん― そうですね。お話を聞いて少し安心できました。頑張ってみよう、やってやろうじゃないかっていう意欲がわいてきました。
 

|新卒採用活動で採用担当者はどんなことをするの?

Kさん― よかった。じゃあ気持ちの整理がついたところで、ここからは実務的な話をしていこう。まず新卒採用の仕事にはどんなことがあるのか、そこで採用担当者は何をするのかをおおまかに説明しよう。会社によって手法も手順も違うから細かい話はなしにして、ごく一般論として説明するからね。
 

①採用計画の立案

まず新卒採用活動の一丁目一番地。どの部署にどのような人材が何人くらい必要なのか、その目的・目標を達成するために、いくらの予算で、どんな手法やメディアを使って、いつまでに何を準備・実行するかスケジュールを立てることから採用活動が始まる。

一般的に採用計画は経営・管理サイドが作成するけれど、求める人物像の設定で、具体的な人物像を採用担当者が設定したり、経営陣に提案することはあるよ。
 

②自社の情報を発信し、学生と接点を持ち、志望度の高い学生を集める

最近は、サマーインターンシップから学生との接点を持ち始める企業が多いね。そして秋・冬のインターンシップを行い、3月の企業情報解禁で一斉に会社説明会(合同・単独)などが行われる。

この時点での母集団形成が一連の採用活動のなかの大きな肝ともいえるね。いかに志望度の高い学生を集められるかが重要なんだよ。

採用担当者はこの辺から例年大忙しだよ。就活支援サイトの選定と掲載記事作成。インターンシップの告知、受け入れ準備、実施。会社説明会(合同、単独)の会場設定、準備、実施。自社㏋の採用ページの更新、会社説明会で学生に配る入社案内や、会場で説明するための資料作成。それらに加えて、インターンシップの受け入れ部署との調整や会社説明会運営に協力してもらう他部署社員の選定やスケジュール調整などなど。挙げているだけで疲れてきた。

さっきも言ったように、ここのフローはとても一人二人ではできないから、他部署の協力を要請せざるを得ないことは分かるよね。この辺で周りを巻き込む力と調整力が必要となるんだ。

Hさん― よく分かります。

Kさん― さて、次は選考段階に入る。
 

③選考、内々定・内定出し

一般的には6月1日が選考解禁日となっているけれど、経団連加入の大手でもない限りそこまで待っていられる会社は少ない。とりあえず、3月からの会社説明会などで母集団形成ができたら、あまり間を置かず面接をセッティングして、遅くともGW前後には内々定・内定出しをする企業が多いね。この辺は議論があるけれど今日のところはあまり突っ込まないで聞いておいてくれ。

採用担当者がこの時期に行うことは、説明会などで集めたエントリーシートをチェックして次の選考ステップ・面接(グループ・一次・二次・役員など)に進む学生を選定し、面接のセッティング(会場、面接官のスケジュール調整、学生への連絡)をするといったところだ。

このフローになると、君が面接官にでもならない限り実際の選考にはかかわらないと思うよ。主にスケジュール調整や学生のリマインドといった作業的な仕事が多いだろうね。
 

④内定出し後のフォロー

10月1日が内定解禁日だけど、この日までにはほぼ内定は出し終わっていると思っていていい。当日は内定式を行う会社が多いね。内定承諾書も当日までには送っているだろう。とにかく時期の問題は置いておき、内定出し後のフォローは採用担当者にとってすごく大切な仕事だよ。

手法として多いのは、定期的な先輩社員との懇談会、内定者同士の懇親会といったイベントを開催すること。あとはホームページに特設ページを設けて定期的にライブ情報発信するとか、SNSでコミュニケーションを取り続けるとか、とにかく、学生の入社へのモチベーション維持、つなぎ止めを必ずやること。放置は絶対にNGだから、内定出したから安心なんて思わないように。これは4月の入社日を迎えるまで続くから最後まで気を引き締めておかなくてはだめだよ。

Hさん― もうおなかいっぱいですよ。いまお聞きしたことを初年度からちゃんとできるでしょうか。

Kさん― 最初の1クールで完璧にできるなんて思わないほうがいい。私だって2クールを通しでやって、やっと全貌が理解できたというところだからさ。そして一人でやろうと思わないこと。新卒採用は会社全体の重要なミッションであることを共有して協力体制を整えておくことが大切だよ。
 

|採用の難しさを理解しておく

Kさん- さて、最後にアドバイスとして、採用活動を進めるにあたって、壁になると思われることを話しておこう。
 

◇4-1.社外の壁

Kさん― 日本特有の新卒一括採用の慣習下では、何千何万という会社が一斉に採用活動を始めるんだ。最近は夏のインターンシップを実施する企業も増えて、活動の早期化・長期化現象が現れている。学生の大手志向も手伝って、BtoBで認知度の低い中小企業は苦戦を強いられることを覚悟しておかないといけないよ。製品営業のように競合は数社なんてことはなく、業種だけではなく職種や規模でも競合があると思っていい。

だから全部と戦おうなんて思わずに、自社が求める人物像に自社の魅力を的確に伝えて、精度の高い、志望度の高い母集団形成を心がけるといいよ。
 

◇4-2.社内の壁

Hさん- なるほど、全方向で散漫になるより、フォーカスして確度の高い採用を心がけるということですね。社内にも障壁ってあるんですか?

Kさん― まあ、壁というか、先にも行ったけれど、採用は周囲を巻き込むことが大切なんだ。ただ、みんなそれぞれの仕事があるから、協力に後ろ向きなケースが多々ある。事前に新卒採用について周知・理解してもらう必要があるよね。

説明会運営に来てもらったのはいいが、学生に対して横柄な態度を取ったり、見えるところでスマホを見ていたり、マズイと思うこともあった。学生は企業の対応や説明会、面接での社員の態度・雰囲気などもしっかり見ているからね。会社全体で採用活動を行うという姿勢の醸成、説明会スタッフや先輩社員面談の人選と教育が必要になってくるね。
 

◇4-3.学生は人生で一度きりの新卒就活

Kさん― これまで、企業や採用担当者の話しばかりしたけれど、最後にもう一方の当事者、学生についても話しておこうか。

君は今年初めての新卒採用担当だけれど、仕事として次の年もチャレンジできる。でも学生は最初で最後の新卒就活になるよね。学生も君と同じように不安でいっぱいなんだよ。だから学生と接するときに君に心がけてほしいことは、まずは学生の目線で不安を払拭するお手伝いをしてあげることだね。

志望度を高める段階でも、内定者のつなぎ止め段階でも、学生の目線で情報発信して安心感を与えることと信頼関係を構築することが何より大切だよ。

Hさん- たくさんのことを教えていただき、今日はありがとうございました。採用担当の仕事の内容がよくわかりました。
 

|まとめ

本稿では、新卒採用を任されて初めての仕事に不安いっぱいのHさんと、他社の新卒採用を任されている大学の先輩Kさんとの会話を通して、新卒採用の目的や会社に及ぼす効果、採用担当者の適性、新卒採用活動実務の概略などを紹介してきました。本稿を読まれた新任採用担当者の業務理解の一助になれば幸いです。


2021年3月8日公開