インターンシップの志望動機|例文や書き方・注意点

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事前選考があるインターンシップでは、書類選考や適性検査、面接などが実施されるため、本選考に臨むときと同様にしっかりとした対策が必要です。

対策の中で特に重要となるのが志望動機です。曖昧な目的でインターンシップに参加しようとする学生に、企業は魅力を感じないため、まずは志望動機を明確にしておくことが重要になります。

この記事では、企業がインターンシップの選考で志望動機を聞く理由や、志望動機の書き方を解説します。業界別に志望動機の例文も紹介するので、インターンシップへの参加を考えている方はぜひ参考にしてください。

インターンシップで志望動機を聞く理由

どんな意図をもって、企業はインターンシップの選考で志望動機を聞くのでしょうか。企業が評価しているポイントに沿った志望動機に仕上げるため、企業視点での考えを理解しておきましょう。

企業と学生がマッチするか確認したいから

企業と学生がマッチするかどうかを図る判断材料として、志望動機を使って見極めています。よく考えられた志望動機であっても、インターンシップの内容と、学生の目的が一致しているとは限りません。

一致していなければ学生は時間を無駄にしてしまい、企業はよりマッチする学生と出会うチャンスを逃すことになってしまいます。

このように、インターンシップの内容と学生の目的がマッチしていないと双方にデメリットがあります。そのため、企業は志望動機から相性を確かめているのです。

学生の意欲を確かめたいから

学生の意欲を確かめるのも、志望動機を聞く理由の一つです。志望動機からインターンシップや企業に対する熱意を読み取り、学生の意欲を確かめています。

意欲を確かめるのは、なるべく意欲の高い学生に参加してもらったほうが採用につながる可能性が高いからです。企業にとってインターンシップは、自社の認知度向上以外に採用につなげる目的があり、意欲の高さを選考での評価ポイントにしています。

優秀な学生とつながりたいから

志望動機は、優秀な学生を見極める判断材料の役割も果たしています。優秀な学生に自社の魅力を知ってもらい、志望度を高めてもらうためです。

志望動機で見られるポイントは、論理的思考力やコミュニケーション能力などです。実際の業務に役立つさまざまな能力から総合的に評価し、なるべく多くの優秀な学生とつながりを持とうと考えています。

インターンシップで志望動機を書く前の準備

志望動機の大切さについて理解できても、何の準備もなしに志望動機を書き始めるのは難しいと思います。どう考えていけばいいか分からない方は、以下に紹介する3つのステップで志望動機を考えてみましょう。

そもそもインターンシップがどういうものかよく分からない方は、こちらの記事で理解を深めましょう。
就活インターンシップ大全|2025卒2026卒の選考時期など紹介

インターンシップに参加する理由・目的を明確にする

まずは、インターンシップに参加する理由・目的を明確にしましょう。「なぜインターンシップに参加しようと思ったのか?」を深掘りしておくことで、選考で伝える志望動機に説得力が生まれ、企業を納得させやすくなります。

また、参加目的に加えて、参加後にどんな状態になっていたいかを明確にしておくとより効果的です。

例えば、「インターンシップによって業界・企業理解を深めたい」「入社後にミスマッチがないように、インターンシップで就業体験したい」など、参加後のビジョンを持っておくと、経験をその後の就職活動に活かしやすくなります。

インターンシップの参加目的については、こちらの記事で解説しています。
インターンシップの目的とは?目的の決め方や重要性を解説

業界研究・企業研究する

志望動機を書くには、業界研究・企業研究が不可欠です。企業に意欲をアピールできるように、自分が志望する企業はもちろん、志望企業が属する業界や競合他社についても分析しておきましょう。

業界研究・企業研究は非常に時間のかかる作業ですが、インターンシップの段階でしっかりとしておけば、本選考に向けた準備にも役立ちます。後々の自分を助ける作業だと捉え、面倒がらずに進めておきましょう。

こちらの記事で業界研究・企業研究のやり方を解説しています。
就活における企業研究のやり方を徹底解説!まずは何から始めるべき?
【就活の業界研究の目的ややり方】よくある質問にも回答

自分が関心をもっている業界や企業、職種を整理する

現時点で、興味をもっている業界や企業、職種を整理しておきましょう。あらかじめ紙に書き出したり、スマートフォンのメモに残したりして整理しておけば、インターンシップの参加理由を考えやすくなります。

この段階では、実際に本選考に進むかを考える必要はないため、興味・関心を基準に整理していきましょう。志望動機の作成に向けて、「◯◯の業界に興味があって、インターンシップに参加した」と答えられる状態を作ることがポイントです。

インターンシップの志望動機の書き方・基本構成

志望動機を書く準備ができたら、構成に気を付けながら書いてみましょう。インターンシップの参加理由が明確な志望動機でも、伝え方によってはうまく意欲が伝わらない場合があります。分かりやすい志望動機にするためには、以下の3段階の構成がおすすめです。

①結論(志望した理由)

まずは、その企業のインターンシップを志望した理由を書きましょう。志望動機に限らず、エントリーシートや面接での回答は常に結論ファーストを心がけることが大切です。

【志望した理由の例】

  • 貴社のインターンシップで、地方銀行と地元企業の関係性について理解を深めたいと思い志望しました。
  • マーケティングの細かな業務について学びたいと思い、貴社のインターンシップを志望しました。
  • 商品企画の仕事に興味があり、実際に商品企画に携われる貴社のインターンシップを志望しました。

②理由(志望した背景にあるエピソードや経験)

結論を裏付ける理由は、志望動機で最も重要と言える部分です。なぜその企業を志望するに至ったのか、それを根拠づけるエピソードを書きましょう。

【志望した背景にあるエピソードや経験の例】

  • 貴社のインターンシップを志望したのは、小売店の店舗経営に興味があるからです。将来は、私の好きな生活雑貨の販売に携わりたいと考えており、店舗での実務を経験できるインターンシップを選びました。
  • パン屋のアルバイトを通じて、売上を伸ばすために工夫しながら商品を売る仕事の楽しさを知り、マーケティングの実務を体験できる貴社のインターンシップを志望しました。

③具体例の提示・結論の再提示(インターンシップで成し遂げたいこと)

最後に、結論を再提示して志望動機を締めくくります。インターンシップで成し遂げたいことを述べると、参加に向けた意欲がうかがえて好印象です。

【インターンシップで成し遂げたいことの例】

  • 貴社の実践的なインターンシップに参加することで、より業界や貴社への理解を深めたいと考えています。
  • 具体的な業務内容を学ぶとともに、自分から積極的に質問して貴社や業務への疑問を解消したいと思います。

履歴書の志望動機の基本ルール

履歴書に志望動機を記入する際は、基本ルールを守らないと「ビジネスマナーが備わっていない学生」と印象が悪くなってしまいます。内容以外の部分で評価を下げないため、以下の4つのポイントに注意しましょう。

面接では「御社」履歴書では「貴社」

誤用している学生が少なからず見られますが、「御社」は話し言葉、「貴社」は書き言葉です。そのため、面接では「御社」を用い、履歴書では「貴社」を用いましょう。

また、原則「御行」「貴行」を用いる銀行のように、特殊な呼び方をするケースも一部見られます。用法を間違えただけで選考に落とされる可能性は低めですが、印象は良くないため、企業ごとの正しい呼び方を覚えておきましょう。

履歴書と面接マナーについては、こちらの記事でも解説しています。
【新卒向け】履歴書の志望動機の書き方や例文を紹介
新卒の就活面接マナー|入退室から服装や持ち物、言葉遣いまで紹介

8割以上は埋める

志望動機は記入欄の8割以上を目安にして埋めるようにしましょう。5割程度しか記入していない志望動機では、意欲がないと捉えられかねません。

例えば、志望動機の文字数が300文字と指定されているなら、240文字以上が目安です。そのほか、自己PRや学生時代に頑張ったことなどの記入が必要な場合も、記入欄の8割以上を目安にして埋めるように心がけてください。

手書きの場合は”丁寧に”書く

手書きで志望動機を出す場合は、なるべく丁寧に書きましょう。もちろんきれいな字で書くことも大切ですが、それ以上に、丁寧に書いたことが相手に伝わるかが重要です。

雑に書いた志望動機や、誤字脱字の多い志望動機はそれだけで印象が悪くなってしまうため、企業の採用担当に読んでもらうことを意識しながら丁寧に書きましょう。いきなりボールペンで書くのが不安な場合は、鉛筆で薄く下書きしてから書くのがおすすめです。

Web上で例文をコピペしない

言うまでもありませんが、インターネットにあふれている例文(もちろん本記事で紹介している例文も)をそのままコピペするのはやめましょう。自身で深掘りをしていない志望動機は、面接で深掘りされた時に十中八九バレます。

インターネットに載せられている例文は、あくまで文章の構成を例示したものであって、最適な回答ではありません。そのまま使っても選考は突破できないため、参考程度にとどめ、きちんと自分で考えましょう。

インターンシップの志望動機の例文

ここでは、インターンシップの志望動機の例文を業界別に紹介します。例文を参考に、自分ならではの志望動機を考えてみてください。

上記でも述べた通り、例文をコピペした志望動機は、面接で深掘りされた時に簡単にバレます。楽をして志望動機を作っても結局は自分の首を絞めることになるため、以下に紹介する例文はあくまで参考程度に使ってください。

①食品メーカー

【例文】

食を通じて人々の生活を支える仕事に魅力を感じ、貴社のインターンシップを志望しました。

飲料メーカーに興味をもったのは、お酒好きな父と一緒に過ごすうちに、お酒が人の心の支えになっていることを知ったからです。お酒の販売する仕事を通じ、日々のちょっとした幸せを人々に与えられる点に魅力を感じています。

今回のインターンシップでは、長年愛され続けている貴社のビール事業について詳しく学びたいです。

【ポイント】
「企業の商品が好きだから」というエピソードだけでは意欲が伝わりません。食品メーカーに興味をもったきっかけを、具体的な経験をもとに伝えましょう。

②化学メーカー

【例文】

貴社で働くイメージを膨らませたいと思い志望しました。

化学メーカーに興味をもったのは、プラントの導入に向けた研究を大学でしているためです。そのなかで、プラントの開発設計に強みをもつ貴社に惹かれました。

インターンシップではプロセスエンジニアの業務を体験し、現在自分が学んでいることが、どのような形で仕事や社会に活かせるのかを知りたいと考えています。

【ポイント】
化学メーカーの志望動機は、特に学びたい分野を挙げると効果的です。自分が大学で学んでいる内容を交えつつ、インターンシップで知りたいことについて述べましょう。

③総合商社

【例文】

業務理解と働くイメージの明確化が志望理由です。

私は裁量の大きい仕事で社会に影響を与えたい気持ちがあり、新サービス・商品を社会に流通させる総合商社に興味をもっています。そのなかでも、幅広い分野のビジネスを0から生み出す貴社の社風に惹かれ、参加を志望しました。

インターンシップを通じ、総合商社や貴社に対し正しい認識を持ちたいと考えています。

【ポイント】
総合商社は企業によって得意分野が異なります。複数の総合商社の中で、なぜその企業のインターンシップを選んだのかを伝えましょう。

④金融業界(銀行)

【例文】

地域社会での銀行の役割について理解を深めたいと思い、貴行のインターンシップを志望しました。

私は◯◯市で生まれ育ち、小さい頃は賑わっていた駅周辺の活気が少しずつなくなっていくのを目の当たりにしました。この経験から、まちづくりの仕事に興味をもち、地元企業を財務・経営の両面からサポートできる地方銀行に惹かれています。

インターンシップでは地方銀行の細かな業務内容を理解し、地域社会での銀行の役割を学びたいと考えています。

【ポイント】
銀行の志望動機を作成する際は、銀行の種類ごとの特徴を把握することが大切です。メガバンクと地方銀行の違いなどを知っておくと、インターンシップの参加目的を明確にできます。

⑤金融業界(保険)

【例文】

貴社の業務内容について深く知りたいと思い志望しました。

私は「保険会社=生命保険」というイメージを持っていたのですが、業界・企業研究を通じ、貴社ではそれ以外に銀行事業や介護事業も手がけていることを知りました。保険会社がどんな会社で、どんな事業を展開しているのか知りたいと思ったのが志望理由です。

就業体験のなかで、保険会社に求められる能力や自分との相性を把握し、今後志望先を決めるための参考にしたいと考えています。

【ポイント】
生命保険会社と損害保険会社の違いは最低限理解しておきたいところです。志望動機作成にあたって、業界研究・企業研究を進めておきましょう。

⑥不動産業界

【例文】

不動産事業と並行してベンチャー事業に力を入れる貴社の方針に興味があるからです。

不動産業界に興味をもって企業研究を進めるなかで、ベンチャー投資によって新ビジネスを拡大させている貴社が特に印象に残りました。

インターンシップで実際に働く人たちから話を聞き、ベンチャー事業に力を入れている理由や、他社にはない魅力がどこにあるのかを知りたいです。

【ポイント】
不動産業界には、賃貸業者やデベロッパーなどの業種があります。各業種の役割と仕事内容を理解しておきましょう。

⑦コンサルティング業界

【例文】

貴社が戦略設計と実行支援をどのように連動させているのか、より深く理解したいと考えインターンシップへの参加を志望しています。

私はアメフト部での活動を通して、どれだけ計画・戦略を細かく練っても実行することができなければ意味がないことを学びました。そのため、コンサルティング業界のなかでも、実行支援に特に力を入れている貴社に興味を持ちました。

顧客の利益最大化に向けて、どのように実行までサポートしているのか、インターンシップを通して学びたいです。また、私のアメフトで培ってきた戦術を練る力がどれだけ通用するのかも試したいと考えています。

【ポイント】
コンサルティング業界は顧客の課題解決を支援していますが、そのアプローチは企業によって様々です。

「顧客の課題解決をしたい」というのは抽象的になりやすいので、企業研究をしっかり行って、具体的にどんな点に興味を持っているのかが伝えられるようにしましょう。

⑧IT業界

【例文】

貴社のインターンシップを志望したのは、コミュニケーションアプリの開発に興味があるからです。

数あるコミュニケーションアプリの中でも貴社のアプリは幅広い世代に支持されており、開発現場の雰囲気や、開発におけるこだわりを実際に確かめたいと思うようになりました。

就業体験を通じて貴社のノウハウを学び、今後自分が新しいアプリを開発する際の参考にしたいと考えています。

【ポイント】
専門的な知識や経験はアピール材料になります。IT業界に関連する知識や経験がある場合は、志望動機で伝えるエピソードに盛り込みましょう。

⑨インフラ業界

【例文】

さまざまな角度から社会を支える、貴社への理解を深めたいと思い志望しました。

私は将来、環境に優しいビジネスや技術の開発によって、環境問題の解決に貢献したいと考えています。そこで、エネルギーや化学製品など、さまざまな角度から環境問題の解決に取り組んでいる貴社に興味をもちました。

ワークショップや実際に働く人との交流を通じ、社風や事業内容、貴社ならではの強みを詳しく学びたいです。

【ポイント】
インフラ業界は、エネルギー系企業や通信系企業など、いくつかの業種に分類されます。志望動機を作る際は、特定のインフラ企業を志望する理由を説明できるようにしておきましょう。

⑩人材業界

【例文】

貴社のメイン事業である法人向けの人材育成ビジネスについて理解を深めたいと思い志望しました。

私は大学で教育社会学の研究をしています。研究するなかで、学校教育で育まれる能力とビジネスにおいて必要とされる能力に乖離を感じています。

そのため、企業の人材育成の現場ではビジネスでどのような能力が必要と定義しているのか、そして必要な能力をどのように育んでいるのか理解し、自分自身の成長にも活かしたいと考えています。

【ポイント】
人材業界のなかでも、採用や組織設計、人材育成など様々な領域があります。人材業界の中でも、自分がなぜその領域に興味を持ったのかを伝えられるようにしましょう。

インターンシップで志望動機を伝える時の注意点

最後に、インターンシップで志望動機を伝える時の注意点を紹介します。意欲をアピールするはずがかえって印象を悪くしないよう、以下の点に注意してください。

ありきたりな志望動機にしない

「他の企業にも使い回せる志望動機」「自分以外でも言えてしまう志望動機」など、ありきたりな志望動機はやめましょう。企業にとって魅力的に映らないうえ、ありふれた内容ではガッカリされてしまう恐れがあります。

ありきたりな志望動機にしないためには、その企業でならなければいけない理由を分析する「企業分析」と、自分だからこそ参加したい理由を分析する「自己分析」が必須です。

他の企業もインターンシップを開催しているなかで、なぜその企業のインターンシップでないとダメだったのかを、自分の言葉で説明できるよう準備しておきましょう。

そもそも志望動機が思いつかない方は、こちらの記事を参考に探してみましょう。
志望動機がない…|探し方や対処法、NG例などご紹介

福利厚生や給与を志望動機にしない

内心は福利厚生や給与が目的でインターンシップに参加するとしても、それを志望動機として語るのは不適切です。報酬に魅了されたことを志望動機にしてしまっては、企業やインターンシップへの意欲が伝わりません。

意欲の伝わる志望動機にするには、「なぜインターンシップに参加したいのか」を中心に伝えるのが適切です。企業の特徴やインターンシップの内容など、報酬以外の部分で魅力に感じた点を語りましょう。

まとめ

以上、企業がインターンシップの選考で志望動機を聞く理由や、志望動機の書き方を解説しました。

志望動機は「結論→理由→具体例の提示・結論の再提示」の3段構成で伝えるのがポイントです。ありきたりな志望動機にならないよう注意しつつ、意欲が伝わるようにインターンシップの参加目的を詳しく書きましょう。

インターンシップの志望動機を考えることは、参加の目的を具体化し学びを最大化することにも繋がります。1つ1つのインターンシップに対して、きちんと志望動機を整理して臨むようにしましょう。