【対談】経産省能村氏『人生100年時代における新卒採用の役割と学生の見極め方』
一人ひとりに向き合って見極める企業。 新卒採用はマッチング重視の時代へ
中野 智哉(以下、中野):能村さんは経済産業省で人材政策を担当されていて、同省が提唱する「社会人基礎力」の立ち上げから携わっていらっしゃいます。人生100年時代と言われる中で、個人に必要とされる能力やキャリアの作り方はどのように変化しているのでしょうか?
能村 幸輝(以下、能村):人生100年時代では健康寿命が伸び、働く期間が今よりも長くなります。その中で、自分の考え方やスキルをアップデートする必要性がより高まっていくでしょう。
以前の「社会人基礎力」では、3つの能力とそれに含まれる12の能力要素を定義していたのですが、時代の変化に
合わせて今回新たに「どう活躍するか(目的)」「どのように学ぶか(統合)」「何を学ぶか(学び)」の「3つの視点」を追加し、社会人基礎力をアップデートしています。
長く働く中で自分なりにキャリアを積み重ねていくためには、リフレクション(振り返り、内省)を通して自分を見つめ直し、社会人基礎力を鍛え、新たなスキルを獲得していく必要があるからです。
転職だけでなくセカンドキャリアを選択していくときにも、自分の職場を超えて自分の役割を足していかなければならない。
新卒からシニアまで、自分自身で気付きを得ながら常に主体的に変化・スキルアップしていく必要が強く認識されるようになったのが、この10年での大きな変化かと思います。
中野:もともと社会人基礎力は、社会に出る前の学生や若手社会人向けのキャリア教育を想定して作られたそうですが、より長期的に使えるものにアップデートされたわけですね。
能村:そうですね。社会人基礎力はあくまでベースになるもので、その内訳が大きく変化することはあまりありません。しかし、基礎の上に積み上げていくスキルは常に変化させる必要があります。
キャリア構築にあたって社会人基礎力をOS(オペレーティングシステム)、個別の業界知識や専門スキルをアプリと
表現しています。「これはOSだね、こっちはアプリだね」と認識することで、自分に必要な学びを明確にできるでしょう。