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新卒一括採用が廃止されたとき、採用活動はどう変わるのか?

【要旨インデックス】

〇新卒一括採用と通年採用のメリット・デメリット
〇採用市場が難化するなかで企業が今後準備をすべきこととは

日本の新卒学生採用活動には、70年近い歴史を持つ「新卒一括採用ルール:以下 就活ルール」があり、企業の新卒採用はこのルールに沿った展開を求められ、大企業を中心にそれを意識した採用活動を行ってきた。

しかし、2018年9月3日に経団連会長である中西宏明氏が、2021年入社の学生に対する採用活動から当ルールを廃止すると会見で述べたことで、波紋が広がっている。

今回は、そもそも就活ルールとは何か、廃止により採用活動にどんな影響が派生するのかを考えてみる。
 

就活ルールの廃止と新卒一括採用

 

〇新卒一括採用とは

新卒一括採用とは日本独自の雇用システムであり、企業が学生に対して、限られた期間内で一括して採用を行うことである。一括採用では、決められた特定の期間に集中して採用活動を行えるため、採用や教育にかかるコストを軽減できるメリットがあり、採用制度として古くから定着してきた。

新卒一括採用の成り立ちを紐解けば、「終身雇用」と「年功序列」の2つの雇用文化に支えられてきた制度といえる。企業は、終身雇用を前提とした年功序列により、採用した新卒社員の生活を定年まで面倒見る。また、企業は安定的に均一な労働力を確保でき、労働者は給与を保証してもらうことで、ライフプランが立てやすかった。

このように、高度経済成長と人口が年々増加していた、かつての日本では「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」がうまく機能し、企業と労働者との良好な関係が成立していたのである。
 

〇近年の新卒一括採用の問題点と一括採用廃止が話題になる背景

就活ルールとは、経団連によって策定された「企業が守るべき採用活動に関するルール」である。経団連加盟企業が対象となるが、いわゆる紳士協定で罰則規定はない。そのため、一部の企業では独自のスケジュールで採用活動が行われてきた。

現在の就活ルールは、主管がこれまでの経団連から政府に移行しているが「3月1日 採用情報公開解禁、6月1日 面接などの選考解禁、10月1日 内定解禁」が維持されている。

しかし、優秀な学生を確保したいと考える企業は、他社に先を越されまいと選考の時期を早め、多くの企業が3月には実質的な選考を行い、2020年卒採用においては2019年6月1日時点で全体の約7割に内定が出ているという結果※1になっている。

就活ルールはほとんど形骸化しているのである。問題点としてもう一つ付け加えると、現就活ルールでは海外からの留学生または留学から日本に戻ってきた日本人学生の就職に不都合が生じるという点である。

こうした問題点が背景となり、新卒一括採用=就活ルール廃止という話題が持ち上がってきたのである。

※1 リクルートキャリア:2019年6月1日時点2020年卒内定率

 

一括採用と通年採用のメリット・デメリット

就活ルールが廃止になれば、企業が自社の都合に合わせて自由に採用活動を行うことになるが、「新卒一括採用」と対比して浮かぶのが「通年採用」(通年採用は、キャリア採用も含めた活動を指すが、この章では新卒にフォーカスする)である。ここでは、両者のメリット、デメリットを述べる。
 

〇一括採用のメリット・デメリット

<メリット>

『企業側』

  • 優秀な人材の囲い込みができる
  • 採用の手間とコスト削減

『学生側』

  • 経験・スキルを問われない
  • 特定の時期に就職活動をすればいい

<デメリット>

『企業側』

・特になし

『学生側』

  • 仕事とは関係ない部分で判断されているように感じる
  • 短期間で多数の企業を受けなくてはならない
  • 留学すると就職活動のタイミングに合わなくなる
  • 新卒時の就職活動に失敗すると、就職しづらくなる

 

〇通年採用のメリット・デメリット

<メリット>

『企業側』

  • 採用活動時期を自由に選択できる
  • 多様な人材と出会える可能性が高まる

『学生側』

  • 失敗リスクが減少する
  • 納得感のある就職ができる

<デメリット>

『企業側』

  • 通年で活動するため。採用コストが高くなる
  • 早期化・長期化で、採用担当の負担が増える

『学生側』

  • 就職活動が長期化する

 

採用市場が難化するなかで企業が今後準備をすべきこととは

 

〇求められる採用体制の強化

2021年卒採用に続き、2022年卒採用は現行の就活ルールで採用活動が行われると想定される。一方、インターンシップを通じた早期の接触と内定囲い込みや、通年採用を部分的に採り入れていくといった流れがある。通年採用を意識した、いつでも採用できる体制づくりなど、採用体制の強化が求められている。
 

〇対策の具体例

1.自社の新卒採用の見直し

慣例(マンネリ)化した採用手法や採用フローを見直してみよう。思い切ってブランディング、マーケティングから、自社の採用はどうあるべきか、立て直してみるのもよい。

2.自社で活躍できる人材像(ペルソナ)の明確化

自社に入社してほしい人材学生とは? 入社後どう活躍してもらうか。改めて明確化し、その人材を採用するためにどのような採用手法をとっていくか検討する。

3.変化に即応できる社内協力体制の構築

例えば、2020年コロナウイルス禍のように対面面接ができない場合に、Web面接に即切り替えられるなど、インフラを整備する。また対応できる人材育成も含めた社内の協力体制を日頃からつくっておくことが大切。

4.通年採用に向けた採用フローの構築

帰国留学生、外国人留学生のような、現行就活ルールの動きにマッチしない学生を採用するための新たなフロー構築が望まれる。上記3にも関わるが災害等アクシデントによる、一括採用フローから逸脱した場合やキャリア採用対応にもつながる。
 

まとめ

新卒一括採用を中心とした新卒採用スタイルが変化しつつある今、通年採用とメリット・デメリットを比較した上で、自社にあった、変化に対応できる採用体制の準備をしていきたい。

  • 2018年9月3日に経団連会長である中西宏明氏が、2021年入社の学生に対する採用活動から当ルールを廃止すると会見で述べたことで、波紋が広がっている。
  • 新卒一括採用では、決められた特定の期間に集中して採用活動を行えるため、採用や教育にかかるコストを軽減できるメリットがあり、採用制度として古くから定着してきた。
  • 経団連によって策定された「企業が守るべき採用活動に関するルール」就活ルールは、採用活動の早期化により形骸化している。
  • 近年、通年採用を部分的に採り入れている企業もある。通年採用を意識した、いつでも採用できる体制づくりなど、採用体制の強化が求められている

2020年12月22日公開