第二新卒のメリット・デメリットとは?背景から考える採用のポイント

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働き方が多様化し、転職を前提とした就職が一般的になりつつある現在、「第二新卒」という枠組みで採用活動を行なう企業も増えてきました。

とはいえ、依然として新卒一括採用のスタイルをとっている企業が多いのも事実です。

「どのような選考フローで第二新卒を採用すればよいかわからない」
「第二新卒を採用するリスクや注意すべき点はあるのか」
と気になっている人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、第二新卒を採用するメリットと注意点をお伝えします。第二新卒の採用に成功するために押さえておくべきポイントもあわせて解説しますので、参考にしていただければ幸いです。

そもそも「第二新卒」とは?

第二新卒という言葉を最近よく耳にするようになりました。第二新卒とは一般的に「新卒者と同様に大学を卒業して入社したものの、数年(1〜3年程度)で転職を目指す、または実際に転職する人々のこと」を指します。

まだまだ聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、企業によっては、第二新卒だけを募集する採用枠を設けていたりもします。

第二新卒が生まれる原因と現状

そもそも「第二新卒とは」?卒業後いつまでを指す?

①第二新卒が生まれる原因

第二新卒が生まれる原因は、採用のミスマッチが最も多いと考えられます。

採用のミスマッチとは企業と学生が相思相愛でない状況を指します。理由としていくつか挙げられます。

例えば、ブラック企業や様々なハラスメントによる「劣悪な職場環境」、当初の見込み通り「成長が期待できない環境」、新卒社員にとって「やりがいや納得のいく評価を得られない環境」などが挙げられます。

②第二新卒市場の現状

企業における最たる課題として人手不足があります。そこで注目されているのが、第二新卒です。

マイナビジョブ20’sによれば、第二新卒を積極的に採用していきたいと考えている企業は6割以上にのぼります。売り手市場が続く中で、これからも第二新卒に注目が集まるものと考えられています。

転職市場における第二新卒者の特徴

第二新卒者には新卒者や中途転職者とは異なる特徴があります。第二新卒者が転職を希望する理由や、持っている転職へのイメージについて見ていきましょう。また、応募から内定までの平均的な期間についても紹介します。

第二新卒者が転職を希望する理由

第二新卒者が転職したいと考える理由は、主に3種類あります。「もっとキャリアアップをしたい」「入社したものの期待した仕事内容ではなかった」「職場に不満を感じた」です。

「キャリアアップしたい」という人は、現職または前職では得られなかった経験を積んで、もっと自分を高めたいと考えています。「期待した仕事内容ではなかった」という人はより活躍できる場を求めていると同時に、仕事内容・条件面で不満を持った可能性があるでしょう。「職場に不満を感じた」という場合には、人間関係や残業の多さなどが理由として考えられます。

第二新卒者の転職に対するイメージ

20代の場合、転職に対してさほど悪いイメージを持っていません。「マイナビ 転職動向調査2021年版(2020年実績)」によると、「転職は前向きな行動である」と回答した人は男性20代65.2%、女性20代79.5%と高い割合になっています。

20代は終身雇用を見直す企業が増えてから就職をしていることもあり、転職に対してネガティブなイメージを持っていないようです。むしろ、不満があるまま年を重ねて転職が難しくなるよりも、求人の多い20代前半のうちに、やり直したいと思う人が多いのかもしれません。

応募から内定までの期間の相場         

同「マイナビ 転職動向調査2021年版(2020年実績)」によると、応募してから内定までの期間は、2ヶ月未満という人が多数です。2週間から1ヶ月未満と答えた割合は男性27.8%、女性21.9%。1週間から2週間未満は男性17.7%、女性22.9%、1週間未満は男性17.1%、女性25.7%となっています。

新卒の就職活動と異なり、インターンや会社説明会などを経ることなく採用となるため、転職活動にかける期間がかなり短くなっています。

企業が第二新卒者を採用するメリット

メリット①:新卒よりも社会人経験がある

第二新卒を採用するメリットとはなんでしょうか?

メリット1つ目は、社会人経験のない学生よりも社会人マナーがあり、組織で働くことを理解していることです。

そのため、企業は第二新卒を採用すると4月入社の通常の新卒を採用した場合と異なり、入社してから社会人基礎の研修や教育にかける時間を減らすことができます。

新卒採用のような社会人基礎の研修や教育が必要なく、入社してからすぐに業務にあたってもらうことが可能なのは、第二新卒を採用するメリットの一つです。

また、転職先が前職と同業種の場合はすでにある程度業界のことを知っていたり、その業界で使えるスキルや経験を備えている場合もあり、即戦力は難しいものの、新卒社員よりも早く業務に慣れることができます。

メリット②:新卒よりも内定承諾から入社までの期間が短い

第二新卒の大きな特徴とも言えるのが、採用時期です。新卒採用と異なり内定承諾から約半年もしくはそれ以上かけて入社を待つ必要はありません。

基本的に採用が決定してから、長い時間を空けることなく入社してもらうことが可能です。

また、新卒採用における一括採用とも異なりますので、企業の任意のタイミングで募集をかけることができます。

特別に採用の期間を設けない通年採用が一般的ですので、応募者としてもタイミングに縛られることなく応募することが可能になります。

メリット③:中途よりも柔軟性が高い   

第二新卒は中途転職者に比べると経験やスキルは不足しがちですが、柔軟性が高いという魅力があります。年齢が若く吸収力も高いであろうことから、新卒者に近い感覚で自社に合わせた人材育成が可能です。

前職でも採用に至っているため、ポテンシャルはあると考えられますが、持っている強みや能力を自社に合ったやり方で業務に生かしてもらえそうです。

企業が第二新卒者を採用するデメリットと注意点

第二新卒を採用するメリットについてお伝えしてきましたが、いくつかのメリットがある反面、採用する上で気をつけたい点もいくつかあります。

デメリット①:再度離職される可能性

第二新卒は、一度離職している経験を持っています。ポイントは、離職するまでの早さです。

第二新卒は1〜3年以内という短い期間内で離職を経験し、企業側は自社にとっても「また短期間で離職されるのではないか」という疑問を持って採用選考を行う方がいいでしょう。採用選考時に「なぜ前職をやめたのか」「何が原因だと考えているか」としっかり向き合うことが大切です。

デメリット②:中途採用よりも戦力化に時間がかかる可能性

第二新卒は社会人を経験している反面、一般的な中途転職者の採用とは状況が異なります。

基本は新卒に近い区別をされるので、キャリア採用(中途採用)ほどの能力や経験を期待はできません。第二新卒に対する期待値が高すぎると、過度なプレッシャーになりかねません。

採用選考の際は「その人物にどのような能力や経験があるか」という視点ではなく、新卒採用により近いポテンシャル採用的観点、つまりこれからの成長に繋がる潜在能力を見極めるスタンスで行うとよいでしょう。

キャリア採用のような即戦力とはならない可能性があることも忘れないようにしなければいけません。

デメリット③:前職の慣習が抜けない可能性

第二新卒は、一定期間は社会人として働いてきたために、前の会社での働き方や考え方が基準として残っている場合があります。こうやって働く「べき」という固定概念は、新たに採用しようとする企業にとって注意すべきポイントとなる場合があります。

新卒社員と異なり、良くも悪くも比較対象があります。前職との比較を通して、自社に対する不満が現れる可能性も否めません。そして、不満が溜まるにつれて離職される可能性も高くなります。

お互いが不幸にならないためにも、面接時に自社の事業内容や経営理念などが第二新卒の方の求めているものと乖離がないかどうかを見極める必要があります。

企業が第二新卒者の採用で成功するためのポイント

第二新卒者を採用する場合、募集の段階から新卒者や中途転職者とは違ったアプローチが必要です。募集ターゲットの絞り方や、面接時にチェックすべき点、求人を出す媒体選び、採用計画について解説します。

ターゲットを明確化する

第二新卒者の場合、新卒者や中途転職者の採用以上に「どのような人材が欲しいのか」を明確にする必要があります。「なぜ、新卒者や中途転職者ではなく第二新卒者を求めるのか」という点に立ち返り、ターゲットを考えてみてください。

第二新卒者は新卒者と同じようなポテンシャルでの採用となるものの、社会人としての基礎を身に付けている人もいます。人により「できること」と「できないこと」の幅は異なるため、「基本的なビジネスマナーができる人が欲しい」「ビジネスマナーはさほど理解していなくてもポテンシャル重視で採用したい」など、求める人材を絞って採用活動をするのが肝心です。

人物像を見極める

面接では人物像の見極めを、丁寧に行わなくてはいけません。

特に採用担当者が気になるのは、「長く働いてくれる人物かどうか」という点ではないでしょうか。就職をしてすぐに転職を考える人は、自社でもすぐに離職してしまうかもしれないので確認をしたいところです。

選考過程において、前職の退職理由や、転職を望んだ理由、今後の目標を聞きながら、仕事への姿勢、意欲を見極め、会社に定着しそうな人物か判断してください。

適した媒体を複数使う

人材を募集できる媒体は様々ありますが、その中でも第二新卒に強いものを複数選んで活用したいところです。

一般的な就職サイトでも第二新卒の募集はもちろん可能ですが、ユーザーの年齢層が幅広いため、効率のよい採用活動が難しい場合があります。

その点「Re就活」のようなサイトは20代・第二新卒の求人を専門的に取り扱っているので期待している相手が読んでくれる可能性が高いでしょう。「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」も第二新卒者向けの特集を組んでいることがあります。

教育・配属も見据えた採用計画を立てる

第二新卒者の場合、人によってできることのレベルがまちまちなため、採用・配属・教育を一貫して考えることが大切です。

育成のための教育プランについては「まったく社会人経験がない」「前職で基本的な研修は受けている」「スキルが身についているのですぐに働ける」などのレベルによって、採用の段階から入社後の教育体制、OJT計画を立てましょう。

また、第二新卒者が持っているスキルによって配属ができるタイミングが変わってくるため、現場とすり合わせておかなければなりません。

まとめ

第二新卒のメリットと気をつけるポイント

今回は「第二新卒」のメリットと気をつけるポイントについて紹介しました。以下、まとめになります。

  • 第二新卒とは一般的に「通常の新卒者と同様に大学を卒業して入社したものの、数年(1〜3年)で転職を目指す、または実際に転職する人々のこと」を指す。
  • 毎年約30%の新卒者が早期離職しており、約3人に1人は第二新卒者となっている。
  • 第二新卒を採用するメリットは、新卒よりも社会人経験があり通年で採用可能。 
  • 第二新卒を採用する際に気をつけたいことは、再度離職の可能性があり、キャリア採用よりも戦力化に時間がかかる。
人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。