【テンプレ付】人材育成計画表とは?作り方やメリット、導入手順を解説
「人材育成計画表の作成をお願いできないか?」そう言われて困った経験はありませんか。そもそも、どのように育成すれば自社に合う優秀な人材が育つのか、そのための計画はどのように立てたらよいのかわからない方も多いでしょう。
そこで、この記事では以下のポイントを紹介し、人材育成計画表の立て方を解説します。
- 人材育成計画表とは?
- 人材育成計画表を作成するメリットと作成手順
- 人材育成計画表の運用時のポイント
人材育成計画表を作成の参考になりますので、ご一読ください。
人材育成計画表とは?
人材育成計画表とは、自社に貢献してくれる人材を育てるための計画表のことです。この計画表を作成しておくと、「人材育成」の取り組み方を見える化できます。
人材育成計画表があれば、「自社において必要とされる人材とはどのような人物か」「自社に必要な人材にはどのようなスキルが必要か」「どのように教育していけば必要なスキルを持つ人材に育つか」がわかりやすくなります。
人材育成計画表を作成する目的
人材育成計画表を作る目的は主に、それぞれのキャリアで必要な能力・知識・思考を定義し、それに沿った人材を育成することです。
何の計画や目標もなく人材育成を開始しても、いつ何を教え、どのように評価していけばよいか判断が難しくなります。また、部下との相性や関わり方によっても、人材育成の進捗に影響が出るでしょう。
しかし、誰が見てもわかるような人材育成計画表があれば、それに沿って育成や評価が行えるため、効率的かつ公平に人材を育成できます。
例えば、係長になるために必要な知識や能力を明確化し、そのスキルが身についていると判断される基準を人材育成計画表に明記しておきます。すると、昇進のためにどういった能力を伸ばしていくべきかが一目でわかるため、人材育成が進めやすくなるでしょう。
人材育成計画表を作成するメリット
人材育成計画表を作成し、それに沿って社員を育てていくことで、効率よく自社に必要な人材を育成できます。
人材育成計画表を作成するメリットは、以下のとおりです。
- PDCAの実践が容易で、人材の質を高められる
- 引継ぎがスムーズになる
- モチベーションが上がり教育効果が高まる
それぞれ詳しく解説していきます。
PDCAを実践しやすくなり、人材の質を高められる
人材育成計画表はPDCAの実践と相性がよく、PDCAと組み合わせて実施することで人材の質をより高めていけます。
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のそれぞれの頭文字をとって名付けられている、業務を改善していく手法のことです。
人材育成計画表は、計画表を作ることで計画(Plan)ができ、その計画に従って実行(Do)していきます。その後、進捗状況を確認することで、定期的に評価(Check)できるでしょう。その際に、改善(Action)することも計画表の中に書き入れていくことで、自然にPDCAサイクルができあがります。
このPDCAサイクルを回していくことで、徐々に人材育成の質が高まっていくのです。
引継ぎがスムーズになる
人材育成計画表があると、途中で人材育成の担当者が変わったとしても、スムーズに引継ぎできます。
人材育成計画表がない状態での人材育成は、方針や評価が担当者の個人的な考え方に左右されます。また、人材育成の計画は担当者の頭の中にあるため、他の人とは共有できません。
そうした状態で人材育成の担当者が変わる際、口頭やメモなどの引継ぎで済まされることもあります。その引継ぎを行う時間や手間がかかる上に、十分な引継ぎができないことも考えれられるでしょう。
しかし、人材育成計画表があると、その表に人材育成の進め方や現在の進捗状況などが書かれているため、引継ぎ内容が一目瞭然です。
モチベーションが上がり教育効果が高まる
人材育成計画表があると、人材育成を受ける社員にとってもメリットがあります。自分が今すべきことや、次のステップに進むために身につけるべきことが明確なため、モチベーションが上がりやすくなるのです。
やる気のある若手社員がいても、人材育成計画表がなければ、自社に必要とされる人材になるためにはどのようにすればよいか、努力の仕方がわかりにくいでしょう。人材育成計画表によって自社に必要とされる知識や能力が理解できれば、方針に沿ってスキルを身につけられます。
このように、人材育成表があれば社員が最短でステップアップできるため、教育効果を高められます。自社に必要な人材を育てやすくなることは、会社にとっても望ましいことなのではないでしょうか。
人材育成計画表の作成手順
人材育成計画表の作成手順としてはじめに取り組むべきことは、必要な人材像の確認です。「自社の成長のためにどのような人材が欲しいのか」というゴールの設定が重要になります。
次に、段階的な目標を設定しましょう。1ヶ月後、半年後、1年後と、期間を区切って設定し、計画に落とし込みます。
そして、育成する社員の現状のスキルを把握し、ゴールに到達するための教育手段を検討していくことになります。
以下で順に詳しく見ていきましょう。
必要な人材像を確認する
自社の戦力となる人材を育成するためには、自社の経営目標や将来のビジョンを確認する必要があります。
例えば、いくらフランス語が堪能な社員がいても、もし会社の将来のビジョンにフランス進出がなければ、その人が社内でフランス語のスキルを役立てる場面は得られません。
このように、スキルには自社にとって必要なものと、そうでないものがあります。自社の理念や目標を人材育成計画表に盛り込んでこそ、その組織が必要とする人材像がはっきりします。
さらに、必要な人材像はできる限り具体的に設定することが望ましいです。例えば英語の能力が必要な場合、「ビジネスレベルの英語の能力があること」といったあいまいな設定ではなく、「TOEIC〇〇点以上」と具体的に設定しましょう。必要な人材像が具体的であればあるほど、将来のビジョンを実現しやすくなるはずです。
段階的に目標を設定する
職種や役職などに応じた「習得すべきスキル」を、期間を区切って計画表に記載していきましょう。「1ヶ月目はこれを目標にする」「半年ではこのレベルに達する」「1年後にはここまでの習熟度が求められる」と、具体的に書いていきます。
目標のレベルは、高すぎても低すぎてもモチベーションを下げる原因になります。社員のやる気を引き出すコツは、達成できそうなところより少し上に設定することです。高い目標を掲げても達成できなければ意味がありませんので、社員一人ひとりに合わせたレベルを設定することを心がけましょう。
また、社員の持ち味を把握して計画表に盛り込むことも大切です。例えば外交的な社員の場合、コミュニケーションスキルを少し難易度の高い設定にしてもよいでしょう。得意分野であれば努力しやすく、目標をクリアしたときの達成感がさらなるモチベーションにつながります。
育成する社員の現状を評価する
目標が設定できたら、次は育成する社員の現状を把握しましょう。育成の対象者が現在持っているスキルと、これから育成が必要なスキルを確認します。そして、その現状と人材育成計画表を比べてみて、計画表の目標が期日内に達成できるかどうかを判断します。
この時点で、人材育成計画表の目標がその社員にとって難しすぎる、もしくは簡単すぎると判断できる場合は、目標を修正しましょう。
人材育成計画表は立派な目標を設定するためのものではなく、人材を育成するためのものです。そのため社員の現状を把握し、一人ひとりに適した「頑張れば達成できるレベル」の目標を立てることが大切です。そうすることで社員のやる気が引き出され、自社に必要なスキルを持った人材育成につながっていくでしょう。
教育手段を決める
目標が設定できて、個人がどのようなスキルを伸ばしていくかが明確になれば、次はそのスキルを身につけるための教育手段を検討します。
研修を受ける社員たちを1箇所に集めて行う「集合研修」や、外部講師に依頼する、または外部に出向いて学習する「外部講座」など、教育手段はさまざまです。また、インターネットを利用した「eラーニング」や「オンラインによる集合研修」などは、研修場所に行かなくてよいので手軽に研修が行えます。
社員や教育内容によっては、会社の部内でレクチャーしながら、実際の業務を通してスキルを伸ばす方法が最適な場合もあります。逆に、授業形式の研修や通信教育が適しているパターンもあるはずです。
さまざまな教育方法がありますので、目的のスキルに応じた教育方法を採用してください。
人材育成計画表の運用時のポイント
ここからは、人材育成計画表を作成して運用する際のポイントを紹介します。
ポイントは以下のとおりです。
- 育成計画表のテンプレートを利用する
- 計画表どおりに進まない場合もフォローする
- 定期的に状況を確認し、育成表をブラッシュアップする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
育成計画表のテンプレートを利用する
人事育成計画表の作成経験が浅い場合、表の作成に時間や労力を使いすぎてしまうこともあります。そのため、まずは無料でダウンロードできる人材育成計画表のテンプレートを利用することも一つの手です。
この表の項目では、以下の必要事項が網羅されています。
- 期間ごとの目標
- 必要スキル
- 現状評価
- 育成方法
- 達成率
さらに、以下の記入欄も記入したほうがよいでしょう。
- 育成計画の達成度を踏まえての課題
- 進捗評価
このように、無料で使えるテンプレートを探したり、テンプレートを基礎に自社に合わせてカスタマイズしたりすることで、手軽で使いやすい人材育成計画表を作成するのがおすすめです。
計画表どおりに進まない場合もフォローする
人材育成計画表は、作成すれば育成対象の社員本人に任せたまま、育成担当者は関与しなくてよいというものではありません。人材育成計画表を運用していくためには、社員の様子を見ながら担当者や周りの人がフォローすることが大切です。
人材育成計画表はあくまで「計画」ですので、そのとおりに進まないこともあります。社員のモチベーションが原因の場合もありますし、職場環境が整っていないことも考えられます。また、プライベートで何か悩みがあり、仕事に支障が出るパターンもあるでしょう。
計画どおりにいかないときは、原因を調べたり、計画どおりにうまく進める方法を本人と話し合ったりといった適切なフォローが必要です。
定期的に状況を確認し、育成表をブラッシュアップする
計画の進捗によらず、定期的に育成の状況を振り返りましょう。その際、現状と目標までのギャップを確認し、今後の改善点を検討したり、計画表を修正したりします。
人材育成計画表のとおりに実行していく中で、計画に無理があったことがわかれば、その時点で計画を改善する必要があります。人材育成計画表の運用においては、最初の計画を死守する必要はなく、実際に行動してみてその都度改善していく「PDCAサイクル」を回していくことが大切です。
このように定期的に育成表をブラッシュアップしていくことで、人材育成に何か問題が生じていれば速やかに解決できるでしょう。社員の成長スピードと計画表の目標が合えば、計画どおり進むようになり、目標達成がかえって容易になります。
まとめ:人材育成計画表を作成して社員のキャリアを伸ばそう
この記事では以下のことを解説しました。
- 人材育成計画表の概要
- 人材育成計画表を作成するメリット
- 人材育成計画表の作成手順
- 人材育成計画表の運用時のポイント
人材育成計画表を作成し、それに沿って社員を育成することで、自社に必要である優秀な人材を育てることが可能になります。この記事を参考にして、人材育成計画表を作成してみてはいかがでしょうか。