ユニークな新卒採用方法とは?4つのメリットと事例6選を厳選紹介
近年、新卒採用においてユニークな採用方法を取り入れる企業が増加しつつあります。
人事担当者の中には「採用方法を一新したい」「学生に親近感をもってもらえる求人にしたい」と考える方も多いでしょう。従来の採用フローにとらわれないオリジナリティ溢れる採用方法は、学生の興味を引き、かつ理想の人材を獲得するのに有効です。
そこで今回は、ユニークな新卒採用の事例を6つ紹介します。ユニーク採用の効果やメリットも解説していくので、新しい採用方法を検討中の人事担当者はぜひ参考にしてください。
目次
新卒採用でユニーク採用を取り入れる企業が増えている理由

2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響により、採用市場では有効求人倍率が大幅に減少しました。
多くの企業が採用数を減らしたことにより、志望の職種や業界を変えた学生は大勢います。また、コロナ禍での業績悪化や倒産の報道をきっかけに、「将来性があるかどうか」で企業選びをする学生も増加しました。
(参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響/国内統計:有効求人倍率」)
withコロナ・afterコロナでも生き残れる企業が大手と考える学生も少なくありません。また、大手企業にはネームバリューがあり、資金力もあるため採用活動に十分なコストをかけられます。
一方、中小企業やベンチャー企業は「将来性があるかどうか」で判断された場合、大手よりも不利な立場に立たされるでしょう。安定を求める学生には大手企業の求人が目に留まりやすいため、採用コストをかけられない企業は人材確保が難しくなってしまうことが予想されます。
そのような状況を打破するため、近年では学生の目に留まるような、ユニークな採用手法を取り入れる企業が登場し始めました。
ユニーク採用では、まず他社との差別化を図り、自社求人の注目度を高めることに注力します。大手と同じフィールドで勝負することを避け、独自の採用方法を進化させて理想の人材確保へとつなげていくのが大きな目的です。
新卒採用でユニーク採用を取り入れる4つのメリット

新卒採用でユニーク採用を取り入れるメリットには、以下の3つがあります。
- 学生の目に留まりやすい
- 応募者数の増加が期待できる
- 企業のブランディングに貢献できる
- 学生とのマッチ度が高まり、早期離職を防げる
ここからは、それぞれのメリットをより詳しく解説していきます。
メリット1. 学生の目に留まりやすい
従来の採用方法にとらわれないユニークな採用手法は、多くの学生の興味を惹きつけます。
ユニーク採用を取り入れた企業の中には、ネットやSNSで取り上げられ多くの反響を呼んだ事例があります。企業としての認知度が上がれば応募者数の増加にもつながるため、中小企業やベンチャー企業にぴったりの採用手法といえるでしょう。
学生の目当てではない職種でも、ユニークな求人を見たことで「この業界も面白そう」と注目してもらえます。応募者の幅が広がる点は、ユニーク採用のもっとも大きなメリットといえるでしょう。
メリット2. 応募者数の増加が期待できる
学生の目に留まりやすいことは、単純に応募者数の増加につながります。
いまや求人を出すだけでは、応募者を獲得することは困難な時代です。そのため、どのように母集団形成に取り組むかは企業にとって重要な課題となるでしょう。ユニーク採用には、自社に興味がない学生を振り向かせる効果が期待できます。
メリット3. 企業のブランディングに貢献できる
他社との差別化ができるユニーク採用は、企業のブランディング向上にも役立ちます。
企業そのものの価値を高めるには、自社商品やサービスの認知度を高めるのがもっとも有効な方法です。しかし、商品やサービスの主な届け先は消費者であるため、より広い対象へ自社の魅力をアピールするには、違った手段での興味づけが必要です。
ユニーク採用は社会的メッセージを発信することにもつながるため、うまく興味を引ければ企業ブランディングに貢献できます。その結果応募者が増加したり、企業としての好感度アップ効果が期待できたりします。
メリット4. 学生とのマッチ度が高まり、早期離職を防げる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 効果 | 入社前後のギャップを減らし、離職リスクを低減 |
| 背景 | Z世代は“共感”や“価値観の一致”を重視 |
| 実務的メリット | 採用後の定着率・育成コストの最適化につながる |
ユニークな新卒採用は、企業の“ありのまま”を体感的に伝えられるため、学生とのマッチ度を高めやすくなります。Z世代は条件よりも「自分と合うか」「共感できるか」を重視する傾向があり、選考段階で企業文化や働き方を実感できる設計は、内定後の納得度や定着意欲に直結します。
結果として、入社後のギャップによる早期離職リスクを抑え、育成投資が無駄になりにくくなるという、企業にとっての実務的なメリットも大きい施策です。
ユニークな新卒採用の始め方|設計の4ステップ

ユニークな新卒採用を実施したいと考えても、「どこから始めればいいのか」「何を基準に設計すべきか」と悩む企業は少なくありません。採用が“手法先行”になってしまうと、学生にとって魅力的に見えず、成果にもつながらないリスクがあります。
この章では、自社の強みを活かしつつ、ターゲットに響くユニーク採用を設計するための4つのステップを紹介します。目的設定から社内体制づくりまで、実務に落とし込みやすいプロセスを整理しているので、具体的な行動に直結させたい方はぜひ参考にしてください。
ステップ1|新卒採用の目的とターゲット像を明確にする
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な目的 | ユニーク採用の狙いを言語化する |
| ターゲット設定 | 自社に合う学生像(価値観・志向)を定義 |
| 重要性 | コンセプト設計や社内合意形成の土台になる |
ユニークな新卒採用を成功させるには、まず「なぜ実施するのか」と「どんな学生に来てほしいのか」を明確にする必要があります。たとえば、母集団拡大が目的なのか、カルチャーフィットする人材確保が目的なのかによって、打ち出す施策も変わってきます。
また、Z世代は価値観や働き方への感度が高いため、自社に合う人材像(ペルソナ)を明文化しておくことが極めて重要です。このステップを曖昧にすると、後の施策が「面白さ重視」になりすぎて本来の目的とズレてしまうリスクがあります。
ステップ2|自社の強みを活かしたユニークな採用コンセプトを考える
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゴール | 自社の特徴を活かした採用の切り口を設計 |
| 具体手法 | 社内ヒアリング・価値観整理など |
| 成果につながる理由 | 「企業らしさ」が伝わりミスマッチ防止にも貢献 |
ユニーク採用の本質は「目立つこと」ではなく、「自社らしさを伝えること」です。そのためには、まず自社の文化・価値観・働き方・社員の特性などを洗い出し、他社にはない特徴を採用コンセプトに落とし込む必要があります。
たとえば「自由な社風」を打ち出したいなら、動画応募や無作為選考など柔軟性のある形式が向いているでしょう。社内インタビューを通じて「うちの強みとは?」を再発見することが、ユニークさにリアリティを持たせる鍵となります。
ステップ3|新卒採用フローに体験要素を組み込む
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 学生の印象に残る“体験”設計 |
| 手法例 | グループワーク、職場体験、動画選考など |
| 成果 | 志望度向上・理解度向上・SNS拡散などに寄与 |
Z世代の学生は「情報よりも体験」を重視する傾向があります。だからこそ、説明会や選考の中に“参加型”の要素を取り入れることが、印象に残る採用につながります。
例えば、模擬プロジェクトを通じて社員と対話する場を設けたり、自社の価値観をテーマにしたワークショップを実施したりすることが効果的です。さらに、動画選考や自己紹介プレゼンなど、選考そのものをクリエイティブな体験にすることで、企業理解と志望度を高めることができます。
ステップ4|ユニーク採用を社内で推進する体制を整える
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必須要素 | 経営層・現場の理解と協力 |
| 小規模スタート | 小さな施策で成果を出し、段階拡大が理想 |
| 推進の鍵 | 社内巻き込みとフィードバックループの設計 |
ユニークな新卒採用は、人事単独では成立しません。経営層の理解や現場社員の参加があってこそ、学生に伝わる“リアルな魅力”が生まれます。
まずは小規模な施策から始め、反応や効果を見ながら段階的に広げていくスモールスタート型が有効です。定期的に社内からフィードバックを集め、施策をブラッシュアップすることで、現場にも納得感が生まれ、継続的に強いチームが築かれていきます。「一発勝負」ではなく「社内一体の文化形成」と捉えることが成功のカギです。
ユニークな新卒採用の事例6選

ここからは、実際の企業が取り入れているユニークな新卒採用を6つ紹介します。

事例1. ユナイテッド株式会社|体育会スカウト採用
体育会に所属する学生を対象に、採用担当者が実際の試合や練習の見学におもむき、プレー中の姿勢やコミュニケーションをもとに選考する「体育会スカウト採用」。
学生の個性を尊重する採用活動を意識し、個々の強みを発揮できる採用方法です。他にもユナイテッド株式会社では、チームでの登山やキャンプを通して学生の課題解決能力を測る「チームビルディング合宿」や、インターネットサービスにどれだけ没頭している人材かを測る「熱中力採用」など自社に欲しい人材にフォーカスした様々なユニーク採用を導入しています。
参考:https://united.jp/news/release/20171225_recruit.html
事例2. 株式会社カヤック|いちゲー採用
株式会社カヤックの「いちゲー採用」は、ゲームの腕だけで選考するユニークな採用方法です。
ゲーム攻略に必要な発想力や問題解決力がビジネスにも求められるとして、学生がもつゲームへの情熱を評価。この採用方法では360名以上の応募があり、9名の内定者が決定しました。
他にも株式会社カヤックは、苗字が「佐藤」の人のみ応募できる「佐藤採用」、就職活動の時間を節約して学生生活を有意義にすごしてほしいという思いから取り入れられた「節就宣言」などのユニークな採用で学生の興味を引き、メディアに取り上げられることで企業の認知度向上にも成功しています。
参考:https://www.kayac.com/recruit/campaign
事例3. 株式会社東急エージェンシー|留年採用
留年した人を「やりきった人」ととらえ、回り道をしてでも卒業を成し遂げた学生を評価する採用方法です。
海外留学や起業はもちろんのこと、浪人や休学など留年した理由は不問です。会社説明会では留年経験のある先輩社員が参加し、留年と会社について熱く語り合います。
対象年齢が29歳以下の「留年採用」は、新卒採用ながら幅広い年齢層の応募者を集めることに成功しました。
参考:http://www.tokyu-agc.co.jp/recruit/2019/ryunen-saiyo/
事例4. 株式会社サンチャレンジ|野球採用
株式会社サンチャレンジは、野球が好きかどうかで選考するユニークな採用方法を取り入れています。
「野球採用」は、野球という共通の趣味を通して仲間意識を育て、活躍の場を「仕事」「野球」の2つにすることで誰もが活躍できる会社にすることを目的としています。チームの一員として絆が深まったと判断されれば採用が決定します。
社会人野球の試合でホームランや完封をした選手にはプチボーナスが支給され、野球好きには大変魅力的な求人として注目を集めました。
参考:http://www.sun-cha.jp/yakyu/
事例5. 株式会社サーチフィールド(GIKUTAS)|絵ごころ採用
グラフィッカー職の募集を行っている株式会社サーチフィールドの「絵ごころ採用」では、履歴書の提出が必要ありません。
応募を簡単に、そして面接から採用をスピーディーに進めるのが目的で、ポートフォリオの提出のみで応募が可能です。文章作成の能力は問われず、応募者は企業に求められるデザインスキルのみで勝負できます。
企業も採用工数を大幅に削減できるので、両者にとってメリットの大きい採用方法といえます。
参考:https://www.searchfield.jp/employ/
事例6. TAKEUCHI株式会社|いつものあなた選考
「いつものあなた選考」は、応募者が面接場所と服装を自由に選べる採用方法です。
応募者の自分らしさをアピールしてもらうため、面接時はスーツの着用が禁止となっています。また、応募者はいつもの自分を表現できる場所を選び、普段着で面接に臨みます。服装により選考結果が左右されることはなく、形式よりも人柄を重視することを目的とした採用方法といえるでしょう。
TAKEUCHI株式会社では二次面接終了後、合否の結果によらず面接後に「応募者の強み・特徴」を伝える活動も行っています。学生が合否判定後の就職活動や社会人生活に活かせる特典を用意することも採用活動の工夫の1つといえるでしょう。
参考:https://takeuchi-corp.com/recruit/new-graduate/#aboutItumo
ユニークな新卒採用の成果をどう測る?KPI設計と効果測定のポイント

ユニークな新卒採用を実施しても、「手応えはあったが成果が見えない」と感じるケースは少なくありません。採用施策を一過性で終わらせず、社内の理解と継続的改善につなげるには、具体的なKPI設計と効果測定が不可欠です。
応募数や内定承諾率などの定量指標に加え、SNSでの話題化や社員の巻き込み度といった定性面も含めて、バランスよく評価することが重要です。この章では、各KPIの活用方法とチェックポイントを具体的に解説します。
応募数や説明会参加率などの初期反応を確認する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標例 | 応募者数、説明会参加率、選考通過率など |
| 評価の狙い | 興味喚起や認知効果の把握 |
| 活用法 | ユニーク施策が「刺さっているか」を初期段階で検証可能 |
ユニーク採用を導入したら、まずは「どれだけ注目を集めたか」を数値で確認しましょう。エントリー数や説明会の参加率は、学生の興味関心の強さを測る重要な指標です。
特に、施策前後の数値を比較することで、「コンセプトが刺さっているか」や「導線が機能しているか」を早期に把握できます。母集団形成が主目的の場合、この段階での成果が成否を分けることもあります。即効性があるため、導入初期の手応えを掴むのに最適です。
内定承諾率や早期離職率の変化を分析する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標例 | 内定承諾率、入社後半年以内の離職率など |
| 評価の狙い | 採用の“質”とマッチ度を測る |
| 活用法 | 施策の中長期的効果を把握し、社内報告や改善に役立てる |
ユニーク採用の真価は、採用の“質”に表れます。内定承諾率が高まれば、学生との相互理解が深まった証拠であり、離職率が下がればマッチ度が向上したと評価できます。
Z世代は「自分らしさ」との一致を重視するため、企業文化を体験的に伝えるユニーク採用との相性が良く、定着率に差が出やすいのが特徴です。こうした中長期指標は、経営層や人事部全体への施策評価としても有効で、次年度予算確保にも説得力を持たせられます。
SNSやWebメディアでの拡散・話題性を測定する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標例 | SNS投稿数・リーチ数・メディア露出件数など |
| 評価の狙い | 採用広報・ブランディング面での波及効果を把握 |
| 活用法 | 認知拡大・企業イメージ形成の一助として活用可能 |
ユニーク採用は、採用手法そのものが話題化しやすいため、SNSやWebメディアでの拡散効果もKPIとして捉えるべきです。リツイート数やインプレッション数、関連投稿の増加、採用特設ページのPVなどが、認知拡大やブランド形成に貢献しているかを測る指標になります。
特に中小企業や知名度の低い企業にとっては、限られた予算でも大きな波及効果を狙える貴重なチャネルです。SNSを“広報の延長”ではなく“採用戦略の一環”と捉えましょう。
社員の参加満足度や採用関与度もKPIに含める
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指標例 | 協力社員数・アンケートによる満足度・継続意向など |
| 評価の狙い | 社内巻き込み力・採用文化の醸成度を把握 |
| 活用法 | 組織全体での採用力向上につなげる起点に |
ユニークな採用は、人事部だけでなく社員の協力があってこそ成立します。そのため、社内参加率や関与度、協力した社員の満足度もKPIとして設定するのが理想です。
たとえば「説明会に登壇した社員の参加意欲はどうか」「次年度も協力したいか」といった声をアンケートで集めれば、施策の定着度や再現性の見極めにも役立ちます。社員が「採用活動が楽しい」と感じることで、会社全体の採用力が底上げされていきます。
ユニークな新卒採用を取り入れて学生の目に留まる求人にしましょう
オリジナリティのあるユニークな採用方法は、応募者数を増やしたり企業の認知度を上げたりするのに大変有効です。
採用担当者様の中には「求人を出しているが応募が少ない」「これ以上採用コストはかけられない」という方もいるでしょう。ユニーク採用はこのような悩みを解消するのにも一定の効果が期待できます。
今までとは違う新卒採用にチャレンジする場合は、自社の特徴や強みを活かした採用方法をおすすめします。ユニーク採用のやり方に正解はないので、理想とする人材を明確にした上で独自の採用方法を検討してください。
