【完全版】新卒採用のデータ分析方法と活用のポイント|ツールも紹介!
採用競争が激化する中で、採用データを管理・分析するシステムが増えてきました。採用データを活用し、戦略的に新卒採用に活かす必要性は理解しているものの、どのようなデータをどう分析すればいいか分からない方も多いでしょう。
採用の目標人数や母集団数、面接数、採用数など、さまざまな採用データを用いて何が分かるのか、目的に応じたデータ分析方法について解説します。
目次
新卒採用のデータ分析の必要性
新卒採用を進めるとき、母集団の数、応募者数、面接実施数、各歩留まり率などさまざまなデータを取得できます。これらのデータは正しく集計・分析すれば、自社の課題の適切な把握や、次年度の採用活動に活かすことができます。
データ分析で得た数値は、効果の高い求人広告の選別や、効率の良い採用手法などを決める際に必要不可欠です。継続的にデータを取得・分析していけば、自社独自のノウハウが蓄積され、採用業務の効率化やコスト削減にも役立ちます。
分析すべきデータ項目
新卒採用で集まった応募者の数や利用した求人広告の効果、行った選考の回数や選考通過率、かかった費用は企業にとって重要なデータです。自社に合った人材がもっとも多く集まりやすい求人広告を絞り込んだり、選考プロセスを分析して辞退率を調べたりと、採用活動を進めるためにデータ分析は欠かせません。
新卒採用の活動で分析すべき項目は、大きく4つに分けられます。
- 応募数・応募経路
- 選考プロセス
- 採用コスト
- 人件費・対応時間
項目ごとにどのようなデータを取得できるのか、以下で詳しく確認していきましょう。
応募数・応募経路
応募者数と応募経路の分析を通して、支払った経費や使った時間に対し、費用対効果が高かった経路や、自社に合った人材を確保しやすい経路を割り出すことができます。
集まった応募者がどの経路から選考に参加したのか、経路ごとの応募者数を確認して応募率を算出しましょう。どの人材がどのルートで応募してきたのか、どの応募経路の人材の採用率が高かったかなどを数値で割りだせば、ミスマッチの少ない応募者経路が分かります。分析する項目は以下の通りです。
- 応募数、媒体ごとの応募数(応募経路)に関するデータ
- 総PV数(求人広告、自社採用サイトなど)
- 総応募数
- 職種別応募数
応募経路は、求人広告、就職課(大学)、リクルーター、エージェント、ハローワーク、自社サイトなどが挙げられます。また会社説明会の実施数、会社説明会からのエントリー数、オンライン・オフラインイベント各種からの応募数、合同説明会からの応募数も洗い出しましょう。
選考プロセス
選考フェーズでの進捗、歩留まり率を割り出しましょう。歩留まりとは、選考通過者の割合のことで、計算式は「選考通過数÷選考対象数×100」を用います。 例えば、書類選考通過者が5人で書類選考の応募者数が10人とします。書類選考の歩留まり率は50%です。
分析を行う選考フェーズや分析すべき数値、選考データの例として次のものが一般的です。
選考プロセス
- 会社説明会
- 書類選考
- 筆記試験
- 一次選考
- 二次選考
- 最終面接
数値を分析すべき項目
- エントリー数
- 辞退数
- 合否数
- 音信不通者数
- 内定承諾数
- 内定後辞退率
- 内定式や内定者向けイベント実施数と参加率
職種、地域、面接官ごとの選考データ
- 職種ごとの歩留まり数
- 面接官ごとの採用決定率
- 辞退数
- 地域ごとの一次選考~最終選考の推移など
採用コスト
次に採用にかかった費用のデータを算出しましょう。採用費用には次のようなものがあります。
- 求人広告の掲載費用
- ダイレクトリクルーティングサービス利用料
- 就活エージェントの決定費用
- 採用イベントの設営費、出展費用
- 採用関連のネット広告など出稿費用など
採用手法ごとに、かかった採用コストを算出して、コストパフォーマンスの悪いものを洗い出し改善につなげます。
応募者との面接時間や、求人サービス会社との商談時間などの人件費も、本来は採用コストに含まれますが、本記事では次の見出しで取り上げます。
人件費・対応時間
採用業務の大きなコストとして人件費・対応時間が挙げれられます。メールの作成や返信、面接日程の調整など、面接対応の時間だけでなく、事前準備に費やす対応時間も分析に含めましょう。
- 採用にかかわった社員の人件費、対応時間
- 人事担当の数、OBOG訪問やリクルーターとして参加した社員数と対応時間
- 求人サイトの営業や採用コンサルなどとの商談時間、スカウト配信の時間工数
上記の人件費や対応時間もすべてコストとして把握し、データを分析することが採用活動の作業をスムーズにしていく上で重要です。
目的別のデータ分析方法と活用方法
新卒採用でデータ分析すべき項目をカテゴリ別にご紹介しました。次に目的ごとのデータの出し方、活用方法を説明します。
カテゴリは大まかに以下の5つに分けられます。
- 全体の歩留まり率
- 採用単価・応募単価
- 求人広告の費用対効果
- 選考辞退率・内定辞退率を確認
- 効果の良かった採用経路の把握
データ分析すべき項目を、以下で詳しく解説します。
全体の歩留まり率を見る
最初に全体を俯瞰して見るために、大枠の歩留まり率を求めましょう。各選考プロセスの数値を出して、どこで歩留まりが起きているか分析します。2つ例を挙げて、以下で確認していきます。
- 選考プロセスの歩留まり
説明会からの応募率50%、一次面接から二次面接の合否率1割、二次面接から最終面接の合否率50%。つまり一次選考と二次選考の間に、歩留まりが発生しています。
- 担当者別での歩留まり
A面接官の決定率、B面接官の決定率を比較し、歩留まりがどこにあるのかを突き止めます。
歩留まりの場所をデータ分析で解析することで、課題が「どこにあるのか」を発見する手がかりになるのです。
採用単価・応募単価を出す
次に、採用単価と応募単価の計算式を以下にまとめました。
- トータルの採用コスト÷採用人数=1人当たりの採用単価
新卒採用に1000万円を使い、採用人数が10人だった場合、1人当たりの採用単価は100万円という計算になります。
- 各媒体の出稿費用÷応募数=応募単価
A社の求人サイトを利用し費用が100万円かかり、応募数が20人のときは応募単価が5万円です。
応募経路ごとや職種別に採用単価、応募単価を出していくと採用課題の発見につながります。採用単価や応募単価を算出すれば、どの経路が自社に適しているのか、自社が欲しい人材との相性がいい経路が何かなどを知るのに役立ちます。
求人広告の費用対効果を知る
求人広告の費用対効果は、応募単価、採用単価で考えましょう。求人広告の費用対効果は、かかったコストと採用できた人数の割り合いを算出することで把握できます。
- 1人当たりの費用対効果
A社の費用が60万円÷採用人数は2人=1人当たりの採用単価は30万円。
B社の費用が200万円÷採用人数10人=1人当たりの採用単価は20万円。
トータルの支出で判断するとB社のコスト負担が大きく見えるものの、1人当たりの費用対効果が高いのもB社となります。
費用が安い媒体だと「担当者があまりフォローしてくれず、原稿作成や画像の選定などに時間をかなり費やした」など、むしろ工数がかかってしまうケースもあります。求人媒体社との商談時間数なども計算しておくと、より正しい費用対効果がわかるでしょう。
選考辞退率・内定辞退率を確認する
各採用プロセスでの辞退率を出しましょう。会社説明会の辞退率は次の計算式で求めます。
「会社説明会から選考に進まなかった人数÷説明会参加数=辞退した率」
この辞退率を各選考プロセスごとに計算することで、自社の採用課題を推測できます。
算出した数値にもとづいた仮説を立てて検証をし改善策を練って翌年度に実行しましょう。そして翌年度も同じように選考辞退率や内定辞退率を数値化し、仮説が正しかったのかどうかを再び確認し改善を繰り返していきます。
また各数値を、他社のデータと比較すると、より客観的に課題の特定ができるはずです。リクルートやキャリタスが出してる内定数データなどと比較してみると良いでしょう。
効果の良かった採用経路を知る
費用対効果の高い経路を把握し、翌年度の採用活動で利用するものを選ぶ基準にします。データ分析を行って自社サイト、ハローワーク、大学、社員の紹介など、どの経路から応募があったかを調べましょう。その分析結果からコストパフォーマンスが良いものとそうでないものの仕分けをします。
このときに応募者数の比較だけではなく、決定率もあわせて確認してください。経路ごとに、「応募数は多いけど決定までいかない」「応募数は少ないが二次面接までは進みやすい」など傾向があるはずです。新卒採用で入社した人材が自社にフィットしている応募経路が何かも、データ分析で知ることができます。
例えば、自社サイトからの応募者数が20人で採用したのが5人だとしましょう。このとき自社サイトの応募から採用までの歩留まり率は25%ということです。それぞれの経路ごとに計算をして比較することで効果の良かった採用経路がわかります。
採用のデータ分析におすすめのツール
データ分析すべき項目やデータ分析のやり方を説明しました。データ分析は膨大の数値を扱うため、手動(マンパワー)でやるのはあまり得策とは言えません。
求人広告やダイレクトリクルーティングサイトにも、簡易的な分析機能はついています。しかしあくまでも簡易であり、高度な分析を行うには専用のシステムの利用や分析ツールを活用することがおすすめです。
次にご紹介する2つを使いこなして、データの管理を行い作業の効率化を図っていきましょう。
採用管理システム(ATS)
採用管理システム(ATS)とは、採用活動の業務を1つのシステムで一元管理できるソフトウェアのことです。Applicant Tracking Systemの頭文字をとって、ATSとも呼ばれています。求人広告や就活エージェントなど応募経路ごとに行っていた採用業務を、システムで一括管理し、煩雑な作業の効率化を図るものです。
採用管理システムを導入すれば、応募経路、応募者の性別、連絡手段、選考の通過率などグラフやレポートをシステム上で確認することができます。複数の求人広告や自社サイト、エージェント経由の応募データもすべて1つのシステム上で分析ができて、ワンクリックでレポートを出せる点がメリットです。
ExcelやGoogle スプレッドシートなどを利用して、マンパワーで採用データを分析するには限界があります。採用に特化した便利なシステムを導入して、採用業務の効率化を図りましょう。
代表的な採用管理システムとしては以下の3つがあります。
- i-web(株式会社ヒューマネージ)
https://www.humanage.co.jp/service/lp/i-web/
- Talentio(株式会社タレンティオ)
https://www.talentio.co.jp/
- sonar ATS(Thinkings株式会社)
https://sonar-ats.jp/
Googleアナリティクス
分析でおすすめのツールの2つ目はGoogleアナリティクスです。Googleアナリティクスとは、Googleが提供しているアクセス解析ツールで、原則無料で利用できます。Googleアナリティクスにサイトを登録しておくと、サイトの訪問者数や訪問の経路、アクセスに使用したデバイス(スマホ、パソコン)などのデータが簡単に分析できます。
昨今の採用活動は頻繫にWebサービスを利用するケースが多いため、Webサイト分析に特化したGoogleアナリティクスを使いこなせると理想的でしょう。
特に自社の採用サイトや採用オウンドメディアを運営していたり、Webの採用ツールを多数活用している場合は、Googleアナリティクスでデータ分析してみることをおすすめします。
Googleアナリティクス
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/
まとめ
新卒採用のデータ分析は、採用活動において重要な業務です。自社の課題や採用の歩留まり率が客観的にわかるので、主要なデータの分析はできるようにしておくと良いでしょう。採用業務が忙しく、なかなかデータ分析まで手が回らないときは、採用管理ツールなどのデータ分析機能を利用することをおすすめします。
データ分析の目的を理解し、適切なデータを継続的に集計・分析しながら採用活動をデータドリブンで進めていきましょう。