従業員エンゲージメントとは?なぜ重要?測定方法と向上のポイント3つ

【無料ダウンロード】24卒の市場動向から学ぶZ世代×新卒採用のポイントを解説

組織力を高めるための、最適な人材確保に悩んでいる経営者や人事担当は数多くいます。

特に近年においては、企業に対する帰属意識の低下や離職率増加が問題視され、企業の人事部門での課題は尽きません。

人材不足のループから脱却するには、盤石な信頼関係を企業と従業員の間に構築することが重要です。

今回紹介する従業員エンゲージメントは、従業員が自発的に企業へ貢献するモチベーションを測る指標として注目されています。

企業が長年抱える最適な人事制度の構築に向けて、有意義な情報として扱っていただければ幸いです。

そもそも従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントは、企業に対する信頼や愛着のバロメーターとして注目されています。所属している企業の理念やビジョンへの共感力や、企業が成長するプロセスに自ら積極的に関わろうとするマインドそのものが従業員エンゲージメントです。

従業員エンゲージメントが人事において注目されてきた背景には、従業員満足度と企業の業績が連動し合う関係にあることが挙げられます。

従業員エンゲージメントが向上すれば、社員の能力が最大限発揮できる環境も実現可能となり、優れた業績が残せる企業に成長することが期待できるでしょう。

従業員エンゲージメントを重要視する理由

離職率が低下し優秀な人材の流出を防ぐ

企業にとって、優秀な人材の流出は何にも変えがたい損失です。離職率の高さを改善できず、現場が頭を抱えているケースも多いでしょう。優秀な人材ほど市場価値も高いので、たちまち他の企業に引き抜かれることも少なくありません。

従業員エンゲージメントが高ければ、優秀な人材が高いモチベーションで企業活動に専念できるので、企業にとって貴重な人材の流出を防ぎます。

従業員エンゲージメントの向上が利益率のUPに繋がる理由

従業員エンゲージメントの向上と比例して、実際に営業利益率が上がったデータも存在します(モチベーションエンジニアリングの結果より:https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14)。営業利益は販売実績と人件費が大きく関わってくるので、社内の明確な指標として扱われることが多いです。

従業員エンゲージメントが向上すれば、各人で高いパフォーマンスが発揮されチーム全体の士気が高くなります。その結果、顧客サービスの質が向上し業績や売り上げにも良い影響を与えるでしょう。企業全体として費用対効果が高くなり、営業利益率が必然的に向上していきます。

従業員エンゲージメントが低いと労務トラブルの可能性が出てくる

労働環境が悪く従業員の心身負担が大きくなると、たちまち従業員エンゲージメントは低くなります。慢性的な業務過多や残業超過が身体的負荷を大きくし、管理機能の低下から将来的な不安感が精神的負荷を増幅させていくでしょう。

従業員エンゲージメントを低いままにしておくと、多方面からの環境悪化が精神疾患や過労死の可能性を引き寄せて、労務トラブルに発展する恐れがあります。

従業員エンゲージメントの測定方法

1番単純で多く取られている手段はアンケート

従業員エンゲージメントを測定する方法として、1番現実的なのがアンケート調査です。古い方法と感じるかもしれませんが、従業員の声を拾う手法としては確実で設備投資も必要ありません。

ただし、アンケートにはいくつかのポイントがあるので注意しながら進めることが大切です。

【ポイント①】アンケートの趣旨を理解してもらうための説明は怠らない

アンケート調査では、冒頭でしっかりと趣旨を伝えることが非常に重要になってきます。従業員の立場になれば、アンケートの回答次第で自分の評価に影響しないかを考えてしまうものです。

抽象的な表現ではなく、明確な目的と「評価には一切影響しない」旨をしっかり記載しておくことがアンケート調査の趣旨では重要になります。

【ポイント②】従業員の主観で回答させる質問内容にする

アンケートとはいえ、社会人として一般的な回答をしなければならないと思い込んでしまう従業員は少なくありません。従業員エンゲージメントの測定では、本人の主観による回答が有意義なデータとなります。

主観で回答させるポイントは、「あなた」を主語とした質問内容に設定することです。「あなたの性格」や「あなたの感覚で」等の文言を質問に加えることで、従業員が主観で回答する方向へ誘導することができます。

【ポイント③】アンケートには氏名入力欄を設けておく

意外に思うかもしれませんが、アンケートは匿名ではなく氏名入力欄を必ず設けるようにします。従業員エンゲージメントの測定は、人材育成や人材管理にも必要なデータになるため、個人との紐付けができなければ意味をなしません。

アンケートの趣旨説明の中に、氏名入力の必要性をしっかり伝える内容が盛り込まれていれば心強いでしょう。

パルスサーベイで測定する従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントを測定するもう1つの方法として、パルスサーベイと呼ばれる手法があります。直訳のとおり、脈拍を測るように細かい調査を継続的に行うのが特徴です。

通常のアンケート調査とは違い、1分程度で終わる簡単な質問を毎週もしくは毎月のルーティーンにします。短期的な定点観測を行うことで、リアルタイムな従業員エンゲージメントの測定が可能です。

導入する際には、業務的な負担を考えて従業員が無理せず継続できるような工夫が必要になります。

従業員エンゲージメントを向上させる方法

【ポイント①】マネージメント力が従業員エンゲージメント向上の鍵

企業の人事担当としては、従業員エンゲージメントを何とかして向上させたいと思うのが本音でしょう。しかし、人事部の力だけでエンゲージメントを上げることは簡単ではありません。従業員エンゲージメントを向上させるには、やはり上司のマネージメント力が必要不可欠です。ここでは、具体的なマネージメントについて紹介していきます。

従業員の話を聞くのではなく訊く姿勢

個人面談等で、上司が部下である従業員の話を聞く場面が年に何度かあると思います。この時に、従業員の話を「聞く」のではなく「訊く」姿勢になっているかが非常に重要です。

言葉だけでなく、感情や背景を読み取る能力として知られる「訊く能力」は、従業員にとって精神面における強いサポートになります。言葉の裏側が汲み取れるマネージメントを行うことで、上司への信頼感も増し従業員エンゲージメントが向上するきっかけにもなるでしょう。

従業員の日常的な小さな変化に意識を向ける

従業員の日常的な活動に対して、小さな変化に気付けるかもエンゲージメント向上の鍵といえるでしょう。近年では、テレワーク化が進みチャット上だけのやりとりも増えているかもしれません。

それでも返信のスピードや誤字脱字の多さ等から、変化を感じ取ることは可能です。少しでも「変だな」と感じれば、対面や音声でのコミュニケーションを取ることが重要になってきます。

上司へ本音を言いやすい関係性を作る

部下から上司へ本音を言える関係性を作っておくのも、マネージメント力の中で重要な部分です。本音を引き出すには信頼が必要なので、定期的な面談意外でも日常的なコミュニケーションが大切になってきます。

本人が「見て欲しい」と感じている部分を的確に評価することが、本音の言いやすい環境を作ると言えるでしょう。

【ポイント②】明確な人事評価制度で従業員エンゲージメントを向上させる

従業員が1番気になるのは、給与に大きく影響する人事評価制度でしょう。「自分の給与はどうやって決まっているのか?」「なぜ自分の給与があの人より安いのか?」などの疑問点を解消させるには、明確な人事評価制度が必要です。ここでは、従業員エンゲージメントを向上させる人事評価制度のポイントを紹介します。

企業のビジョンや目標設定が明確になっている

エンゲージメントを向上させる人事評価制度には、企業の明確なビジョンや目標設定が重要になります。抽象的な表現ではなく、誰が見ても明確でイメージしやすい企業ビジョンであることがポイントです。ビジョンに沿った目標設定が各部署で確立していれば、従業員にとっても納得しやすい制度になります。

努力して達成できる目標を設定する

個人の目標設定は、必ず企業ビジョンや各部署の目標設定に沿ったものであることが重要です。それと同時に、目標の難易度を極端に低く設定したり、逆に高く設定したりすることがあってはなりません。本人が努力して達成できるほどの目標設定に導くことが、マネージメント力として大切になってきます。

目標達成から報酬獲得までのプロセスが明確になっている

目標を設定しても、そこからのプロセスが見えなければ従業員エンゲージメント向上には繋がりません。給与に納得していない理由の多くは「どのような経緯で給与が決まるのか?」がブラックボックス化していることにあります。従業員エンゲージメントを向上させるには、プロセスを明確にして企業への信頼を高めることが必要です。

【ポイント③】働きやすい制度や福利厚生も従業員エンゲージメントをアップさせるコツ

従業員エンゲージメントの向上を維持させる役割が、働きやすい制度や福利厚生の構築です。離職や労務トラブルの防止にも繋がるので、従業員満足度を向上させる取り組みとしても注目されています。働きやすい制度や福利厚生の構築にはどのようなものがあるのか整理していきましょう。

就業規則を見直して明確にする

従業員自身の自己管理や意識改革を進めるために、古い考えの就業規則を見直すのも有意義な取り組みの1つです。

多くの企業では法改正に伴う見直ししか行わず、従業員にとって有意義な独自の規程を設けることがありません。

例えばカジュアルオフィスな服装を推奨するなど、自己に委ねた新しい制度を設定するのも従業員んエンゲージメントを向上させる手助けになります。

仕事と家庭のバランスを保ちやすい制度を構築

ワークライフバランスは、従業員エンゲージメントを維持させる必須条件です。仕事と家庭の両立がしやすい制度を構築することで、離職を防ぎ労務トラブルの発生率を下げます。こうした制度の構築は、企業への信頼や愛着を高める上でも必要でしょう。

リラックスできるオフィスで仕事に集中できる工夫をする

従業員にとってリラックスできるオフィス環境は、仕事に集中するための必要な空間です。従業員エンゲージメントを向上させると作業効率は上がりますが、それを維持させるにはオフィス環境の良さが重要になります。継続的に高いパフォーマンスを保つためには、環境を整える工夫が必要です。

従業員エンゲージメントの根幹は経営層の意識にかかっている

今回は、従業員エンゲージメントの重要性と測定方法にフォーカスして紹介しました。

離職率の低下や業績の向上など、企業にとって大きな影響を与える指標であることも理解いただけたかと思います。

従業員エンゲージメントを向上させるには、マネージメントや人事制度、そして従業員への待遇面の強化を紹介しましたが、その根幹には経営層の意識が存在していることを忘れてはなりません。

経営層が明確なビジョンを持ち、従業員を牽引するリーダーシップを持つことが従業員エンゲージメントを向上させる大前提です。

従業員エンゲージメントを向上させる今こそ、企業ビジョンを明確にして強いリーダーシップを作っていきましょう。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。