新入社員研修の資料の効果的な作り方とテンプレートの活用方法

新入社員研修では教材に資料を用いますが、「どうすればわかりやすい資料を作にはどのようなポイントに意識すればよいのか」「扱うテーマや分量も多いなか、効率的にテンプレートを活用する方法を知りたい」と考える担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、新入社員研修資料を作る目的から、作り方、作成時のポイントなどを解説しています。新入社員が研修後に読み返して復習できるような、わかりやすい資料作りの参考にしてください。
人事ZINEでは「活躍する若手が育つ!新入社員研修のつくり方」という資料をご用意しております。研修を設計するポイントをはじめ、フレームワークやコンテンツ例も紹介しており、研修資料のテンプレートとしてもご活用いただけます。新入社員研修の資料を作る際はぜひご活用ください。

新入社員研修資料を作る目的

新入社員研修用の資料を作る際は、まず資料を作る目的を整理しておくと、その後の資料作りがスムーズです。ここでは主な目的を紹介します。
口頭では伝わりにくい内容をわかりやすくするため
新入社員研修資料を作る1つ目の目的は、「口頭で伝わりにくい内容をわかりやすくするため」です。
新入社員研修でレクチャーする内容は、ビジネスマンとしての心構えやビジネスマナー、マニュアル、実務的なものまで多岐にわたります。研修を受けている新入社員にとって、話を聞くだけでは理解しにくいものが少なくありません。
カリキュラムを視覚的にわかりやすくまとめた「新入社員研修資料」があることで、新入社員の理解を促進させやすくなるでしょう。
進捗確認・評価に活用するため
2つ目の目的は「進捗確認や評価に活用するため」です。
新人社員研修では多くの内容を扱うことが多く、新人社員側は「現在扱っているテーマが全体のどのような位置にあたるのか」を見失ってしまうことがあります。そういった場合に資料があれば、テーマの位置付けや研修の全体像を一目で把握することが可能です。また、資料でテーマごとのつながりが視覚化されていれば、知識を体系的に理解しやすくなります。
さらに資料中に理解度テスト欄やレポート欄を設ければ、新人社員自身や講師が習得度を評価しやすく、「研修に補足が必要か?」「研修に改善の余地があるか?」といった分析にも役立つでしょう。
研修後の復習用資料にするため
3つ目の目的は「研修後の復習用資料にするため」です。新入社員は研修後にそれぞれの部署に配属され、働きはじめます。仕事の途中で「こういうときはどう対応するのだろう」と判断に迷うこともあるはずです。そのたびに対応マニュアルを探して確認したり、現場の社員に聞いたりしていたら、双方の負担になりかねません。
仕事をするうえでの重要情報をまとめた新入社員研修資料があると、復習用資料として活用できます。
新入社員研修資料の作り方

「新入社員研修資料」の作り方で意識したいことは、以下の5つです。
- 研修スケジュールを考える
- 身につけさせたいスキルをピックアップする
- 配属予定の役職者や若手の意見も聞く
- 研修の流れに沿った構成を考える
- 必要に応じてテンプレートを利用する
それぞれ詳しく解説します。
研修スケジュールを考える
新入社員研修資料を作るためにはまず、研修スケジュールと研修期間を明確にします。研修期間は何日あるのか、いつまでにどのようなことを教えたらよいかを設定していきます。
新入社員研修で社外講師や自社社員などに登壇してもらう予定なら、各人の予定も確認してスケジュールを立てましょう。スケジュール表のテンプレートは、エクセルやスプレッドシートでダウンロードできます。テンプレートを活用すると、研修スケジュールを一から作成する必要がありません。
身につけさせたいスキルをピックアップする
次に、新入社員に身につけさせたいスキルをピックアップします。例えば、ビジネスマナー、パソコンスキル、論理的思考力、コミュニケーションスキルなどです。それらのスキルを具体化させていきます。
ただし、身につけさせたいスキルは業種や職種によって異なるものです。ここでは、どの業種でも求められるビジネスマナーの一例を紹介します。
スキルの種類 | 内容 |
---|---|
お辞儀の仕方 | ・会釈 |
言葉遣い | ・敬語 |
メールマナー | ・件名を入れる |
名刺交換 | ・渡し方 |
電話対応 | ・電話の受け方 |
来客対応 | ・事前準備 |
身につけさせたいスキルは日常的に使うものから、イレギュラー対応で必要になってくるものまで紹介するようにしましょう。
配属予定の役職者や若手の意見も聞く
新入社員研修資料を作成するときは、配属する予定の部署の役職者や、昨年度に入社した若手社員の意見も参考にしましょう。
ヒアリングした内容を資料に盛り込むことで、より実践的なカリキュラムに仕上げられます。役職者からの「こんなことを教えておいてほしい」や若手社員の「これを教えておいてほしかった」などを下調べすることが大切です。
研修の流れに沿った構成を考える
研修で教える流れに沿って新入社員研修資料の構成を考えましょう。流れに沿っていると、新入社員は物事を順序立てて理解しやすくなるからです。
構成を考えずに資料作成に取り掛かると、情報の抜けがあったときや順番を入れ替えたいときに、修正に時間が取られます。ピックアップしておいた「研修で身につけさせたいスキル」を精査し、教える順番を整理してから構成を組み立てましょう。
必要に応じてテンプレートを利用する
新入社員研修資料は、テンプレートを利用すると見やすい資料になるでしょう。なぜなら、テンプレートは基本情報がすでに記載されているので漏れがなく、体裁も見やすいよう整えられているからです。
部署によって教える内容が異なるので、テンプレートをもとに部署ごとにアレンジを加えてもよいでしょう。ビジネスマナーは各部署で使えるので、一度作成すると、しばらくは使いまわすことも可能です。
新入社員研修の資料作りでテンプレートを活用するコツ
新入社員研修の資料を作成する際は、PowerPointといったスライド作成ツールを活用するのが一般的ですが、魅力的な資料を効率的に作成するならテンプレートを用いるのがおすすめです。以下では、新入社員研修の資料作成時にテンプレートを活用するコツを紹介します。
研修目的に合うテンプレートを選ぶ
まず、研修のコンセプトやテーマ、目的を明確にしたうえで、それに最適なテンプレートを選びましょう。
例えば、研修テーマが業務ルールや業界情報といった知識系の内容なら、文字情報を整理できるドキュメント型テンプレートが適しています。インデントがあり、文字が多い場合でも視覚的に整理しやすいのが特徴です。一方で、財務諸表の読み方やデータ分析の方法といった数値・データ系のテーマの場合は、チャートを多く含むテンプレートがよい可能性があります。
インターネットで探すと研修に使えるテンプレートが数多く公開されています。こういったテンプレートのなかから、目的に合うものを探してみましょう。例えば以下のサイトでは多くのテンプレートが掲載されています。
こういったサイトでは、ある程度研修の内容まで記載されているテンプレートも公開されており、資料のフォーマットを整えたい場合はもちろん、資料のネタ集めにも役立ちます。
最適な形にカスタマイズする
テンプレートを用いる際は、そのまま使うのではなく、自社の研修の目的・テーマに合うようカスタマイズすることがポイントです。
研修内容は、企業の状況やその時の環境によって異なります。一部には、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルのように「どの業種や業態でも、また時代が変わっても普遍的」というトピックも存在しますが、多くの研修内容は、その時の状況に応じて変える必要があります。例えば、「IT知識」というテーマでは、従来セキュリティの内容は必須でしたが、近年はマルウェアやランサムウェアといったリスクへの対策も追加する必要があり、生成AIが次々に登場している時代にはAI領域の内容も必須でしょう。
このように、社内・社外のテンプレートいずれでも、資料を作成する時は「いま必要な研修内容になっているか?」をチェックしたうえで最適な形に調整することが欠かせません。
人事ZINEでは、「活躍する若手が育つ!新入社員研修のつくり方」をご用意しています。研修を設計・企画する際のポイントに加えて、そのまま活用いただけるフレームワークやコンテンツ例も紹介。研修資料を作成する際に、ぜひお役立てください。

効果的な新入社員研修の資料を作成するためのポイント

新入社員研修において効果的な資料を作成するためにはいくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは特に重要なポイントを紹介します。
事例・具体例も充実させる
新入社員が実際の業務で学びを活かせるように実践的なヒントや具体例も資料に盛り込むことが重要です。
研修のテーマによっては、抽象的な内容を扱う場合もありますが、実務経験がない新入社員には理解しにくい可能性があります。また、モラルやコンプライアンスといった心構え・行動指針に関する内容は、人によって解釈が分かれやすいものです。
そこで研修の資料にはできるだけ具体的な例を盛り込むのがおすすめです。具体例があると理解が進むだけでなく、実際の業務にも応用しやすくなります。例えば、営業活動の流れを教える際、「顧客との信頼関係を築くことが重要」と説明するだけではなく、顧客訪問時の挨拶から提案内容のプレゼン、クロージングに至るまでの具体的なステップやコツを資料に盛り込むのが効果的です。
メモや作業スペースを用意する
座学ばかりでは、新入社員の集中力は低下しかねません。また、メモや作業スペースのない資料は、文字がぎっしりと詰め込まれた印象になってしまうこともあります。
そのため、研修中に新入社員がメモできるようなスペースを新入社員研修資料に用意することが大切です。学んだことを箇条書きでまとめるコーナーがあれば、振り返りにも役立ちます。あらかじめ重要箇所を空白にしたテキストを用意し、講義を聞きながら新入社員が書き入れていく形式にするのもよいでしょう。また、お辞儀の仕方や名刺交換などのマニュアルを記載し、ロールプレイする時間を設けることもおすすめです。
目次は冒頭につける
新入社員研修資料の冒頭には、目次をつけましょう。目次がないと、振り返り資料として使うときに、どこに何が書いてあるのかわからなくなってしまいます。
新入社員はOJTを含め、さまざまな研修を受けます。新入社員研修資料の目次で内容を整理しておくと、復習するときも便利です。各ページには番号をふっておきましょう。
進捗度・理解度確認用の項目を設ける
新入社員が、振り返りや記憶の定着につなげられる仕掛けとして、進捗状況や理解度確認の項目を設けるのも有効です。
前半で新入社員研修で資料を作成する目的の1つに「進捗確認・評価に活用する」というものがあると紹介しましたが、進捗確認・評価を実施するためには研修資料のなかにそういったアクションを促す項目があればより効果的と言えます。
例えば「新入社員が自身の受講姿勢を自己採点し、反省点や課題を記入する欄を設ける」「簡易的な理解度テストの項目を設ける」「重要な知識を振り返りやすいように、重要なポイントをまとめたチェックリストを設ける」といった方法が考えられます。
まとめ

新入社員研修において資料を用意すると、「視覚的にわかりやすくなる」「進捗確認や評価に活用できる」「振り返りに役立つ」といったメリットがあります。新入社員研修では資料を用いるのが普通ですが、効果的な資料にするためには研修スケジュールや身につけてもらいたい知識・スキルなどを練るのはもちろん、上記のような「わかりやすさ」「振り返りやすさ」といったポイントにも意識すると効果的です。
資料作りの際は既存のテンプレートを確認するとスムーズです。その際は自社の研修テーマや新入社員の状況に応じて最適な形にカスタマイズしましょう。
人事ZINEでは「活躍する若手が育つ!新入社員研修のつくり方」という資料をご用意しております。資料作りのコツだけでなく、目的から逆算した効果的な研修を設計するためのポイントにも触れており、研修そのものの質を見直したい場合にも活用いただけます。もちろん、フレームワークやコンテンツ例も用意しており、資料作りにもお役立ていただけます。新入社員研修で効果的な資料を作る際はぜひご活用ください。
