仕事の人間関係の新たなストレスを緩和するために企業側ができること

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働き方改革やテレワークの導入が増え、多くの企業では従業員が「辛い」「疲れた」と感じる内容に変化が生じています。

企業が取り組む今までの社内ストレス対策では、時代の急速な変化に対応しきれず従業員の精神的負担を見過ごす結果にもなりかねません。

このことから、人事部としては労働環境の変化に対応した新たなストレス対策に取り組むことが必要と言えるでしょう。

今回は、新たに問題視されている社内ストレスの原因を整理し、人事が取り組むべき新たな従業員ストレス対策を紹介していきます。

【フロア勤務】仕事の人間関係で「辛い」「疲れた」と感じる瞬間

コロナ禍になった今でも、テレワークの導入が難しくフロア勤務の従業員を抱える企業が多いです。

リクルートマネジメントソリューションズが実施した「職場におけるソーシャル·サポート実態調査(2019)」では、人間関係の希薄化に関するアンケートの中で、新たなストレスの要因となる項目がいくつか紹介されています。(引用:職場におけるソーシャル·サポート実態調査(2019)(図9))

ここでは、自由にコミュニケーションが取れない仕事上における新たな人間関係の課題について整理していきましょう。

ハラスメントを気にし過ぎてストレスを感じる

定期的に社内でハラスメント研修を受けている中間管理者が、自分の行動にハラスメント要素が含まれていないかを意識し過ぎて、ストレスになっていることも考えられます。

ハラスメント事案では、本人に自覚がなくても受け手の認識が重要視される為、部下への対応にも最新の注意を払っていると言えるでしょう。

日常的に社内フロアで、管理者が部下に対して気を使うことが常態化すれば、部下へのコミュニケーションが消極的になる傾向は強くなります。

管理者からすれば、今まで行っていたコミュニケーションが出来なくなり「疲れた」と感じることもあるでしょう。

残業0化によってシビアな時間効率を求められる

昨今の企業においては、従業員が業務の時間効率を今まで以上に上げる努力が求められています。

働き方改革によって残業0化を目指す企業が増えたことに準じて、自社内でも業務体制や作業工程の見直しが必要な状況になっていると言えるでしょう。

従業員からすれば、残業0化を目指す為に「非効率な作業工程がないか?」等の業務フローの見直しを常に求められることが、新たなストレスの原因になっています。

残業出来ない環境下でありながら仕事量が以前と変わっていない為、常に時間に追われているのが実情です。

2019年4月にチューリッヒ生命が実施した「ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査」では、社会人(20~50代男女)の半数近くが「働き方改革によってストレスを感じた」と回答しています。

(引用:2019年ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査(Q6))

作業効率を上げる為の業務管理が厳しくなり、仕事を早く終わらせることを常に求められるのが「辛い」と感じる従業員が多くなっているのも、要因の1つとして考えられるでしょう。

必要最低限なコミュニケーションのみで不安になる

近年、企業の従業員においては、社内コミュニケーションが必要最低限になったことで不安になっているケースが考えられます。

業務効率を上げながら仕事をしている中で、必然的に事務的なコミュニケーションが増え、ストレスを受けやすい環境になっていると言えるでしょう。

日常的に社内でストレスと向き合っている従業員が、業務外の事で誰に相談すれば良いか分からず、仕事に疲れたと感じる場面が増えています。

これは必要最低限のコミュニケーションが常態化し、精神的ケアをする為の相談がしにくい環境になっていることが原因です。

【テレワーク】仕事の人間関係で「辛い」「疲れた」と感じる瞬間

コロナ禍の影響で急激に増えた企業のテレワーク導入によって、多くの従業員が労働環境の変化に新たなストレスを感じています。

対面コミュニケーションがなくなったことで、仕事上の人間関係に不安定さを感じている従業員も多いでしょう。

ここでは、テレワークによって生じる従業員ストレスの原因について整理します。

そもそも人間関係がなくなり孤独感が増した

コロナ禍になった現在では、テレワーク勤務の従業員が仕事仲間との人間関係がなくなり孤独感が増したと感じる事象が多くなっています。

今まで同じフロアにいた職場の人間がいなくなったことで、1人だけの労働環境が孤独で辛いと感じているケースが考えられるでしょう。

毎日、自宅で従業員が1人きりで業務をすることで、業務上の悩みがあっても自己解決せざるを得ない状況が増えます。

精神的ストレスを緩和させる為の周囲との感覚の共有が不可能になり、孤独な従業員が「疲れた」と感じる場面も想定しなければなりません。

相手の感情が読み取れないので不安感がある

テレワーク勤務の従業員は、社内の人間とコミュニケーションを取る際に相手の感情が読み取れず不安になるケースがあります。

テレワークでは、チャットやメール等の文章によるやり取りが主なコミュニケーションになる為、対面に比べて相手からの情報が少なく不安に陥るケースが多いです。

2020年6月にパーソル総合研究所が実施した「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」の結果では、4割近くもコミュニケーション不足を感じていることが分かりました。(引用:テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査(10頁))

その理由として「相手の気持ちが察しにくく不安だ」と感じる人が多いことから、慣れないコミュニケーション方法がストレスの要因になっていると考えられます。

仕事とプライベートのメリハリがなくて辛い

日々のテレワーク勤務では、従業員が仕事とプライベートの区別を付けにくくなったことで、新たなストレスを生む引き金になっています。

自宅が職場になるテレワーク勤務だと、物理的に24時間仕事が出来る状態になってしまう為、プライベートでも仕事のことを考えてしまいがちです。

休日の自宅でも従業員は職場にいる感覚になり、メリハリがなくなって辛いと感じることも多くなるでしょう。

どうしてもプライベートで仕事が気になってしまい、気が休まることなくストレスを溜めてしまうケースが考えられます。

仕事中における新たな人間関係の課題

前述の内容から、フロア勤務とテレワークによって従業員ストレスの種類が違うことが分かってきました。

しかし、物理的なコミュニケーション不足を課題とするフロア勤務や、オフラインの人間関係自体がなくなってしまうテレワークには、それぞれに共通する人間関係の課題が眠っていると言えます。

ここでは、企業の人事担当として把握するべき多様な働き方に対する新たな人間関係の課題を3つにまとめてみました。

人間関係の希薄化が進んでいる

コロナ禍が進んだ現在では、テレワーク勤務によって従業員の人間関係が希薄化し、新たなストレスを生む根本原因になっていると言えます。

テレワークの環境下では、職場の人間と気軽に話すことが少なくなり、細かな問題を1人で抱え込みすぎる傾向が強いです。

日常的にフロア勤務をしている従業員の場合でも、同じように人間関係の希薄化でストレスを生んでいるケースがあります。

例えば、自分以外の人間がテレワーク勤務だとフロア内での人間が物理的にいなくなる為、結局は人間関係が希薄化して仕事を抱え込んでしまう可能性が考えられるでしょう。

それ以外にも、残業0化を目指して果てしなく業務効率を上げる取り組みや、ハラスメントを気にすることで起こるコミュニケーションの消極化も結果的に希薄化を生んでいる要因と言えます。

不安感と孤独感が出やすい環境

急遽コロナ禍によってフロア勤務からテレワークへ移行した従業員は、不安感と孤独感が出やすい環境に身を置いていると言えます。

企業や上司の意向が伝わりにいと同時に、自分の仕事を評価されている実感が湧かない為、認められていないのではと不安になるケースも多いでしょう。

コロナ禍以前から変わらずフロア勤務している従業員も、不安感や孤独感とは決して無縁ではありません。

業務効率の為の便利なツールが導入され、PC上だけで完結する作業工程が多いことから、対面コミュニケーションが減って孤独感が強くなる傾向にあります。

業務外の会話が物理的にできなくなる環境

常に企業で働く従業員は、時間効率の向上とハラスメントに注意を払った言動を気にするあまり、業務外の会話が出来なくなる環境にあると言えます。

無駄がなく誤解を招かないタイトなやり取りが必要とされ、社内が切迫した雰囲気になってしまうケースは少なくありません。

特に連日テレワークで働く従業員においては、物理的に業務外の会話が出来ない環境にあります。

業務中の対面コミュニケーションが無くなったことで、従業員が「疲れた」「辛い」と感じる瞬間が増えて新たなストレスの要因になっていると言えるでしょう。

仕事の人間関係改善で取り組むべき内容

社内で起こっている新たな人間関係の課題に対して、企業の人事担当としては何をどのように対策すれば良いのか分からなくなるかもしれません。

主軸として考えるべきことは、やはり従業員が有意義に感じるコミュニケーションを促せる体制構築でしょう。

ここでは、従業員ストレスを緩和させる為の人間関係改善で、人事が新たに取り組むべき内容について紹介します。

オンラインのチームランチ制度を導入してみる

月に1~2回同じチーム内で、従業員同士がランチを通じてコミュニケーションを図る制度を導入すれば、職場ストレスの軽減に繋がります。

業務外で顔を合わせて会話することで、お互いに感情を共有して普段感じている不安感や孤独感から開放され従業員の精神的負担が緩和されるでしょう。

月例として社内で従業員がオフラインでランチに参加するのが難しい場合には、オンラインによるチームランチ制度を導入するのも得策です。

テレワーク環境でもチーム内で時間を合わせておけば、グループチャットを活用してオンラインによるランチタイムでコミュニケーションを図れます。

状況が大きく変化している今の時期においては、社内で従業員が有意義なコミュニケーションを取る為の重要な制度です。

業務外のコミュニケーションを増やせば、従業員がリラックスし結果的に生産性を上げることにも繋がる為、積極的な制度構築の検討が必要になります。

雑談チャットルームを活用してストレスを緩和

業務中にチャット内で、従業員が雑談出来る専用ルームを会社公認で設けておく方法も、仕事上の人間関係には重要です。

フランクな言葉遣いによる会話によって、従業員の不安感や孤独感の軽減が期待出来る為、カジュアルな雑談を良しとする交流の場を作っておくと良いでしょう。

雑談チャットルームの設定後は、チーム内で従業員が書き込む内容について、ある程度裁量に任せて運用させておくことがポイントです。

管理部や上司が細かく指摘をすると萎縮してしまい、制度自体が破綻する恐れがある為、ガイドラインを決めた上で運用するようにしましょう。

今こそ定例のオンライン個別面談が必要

仕事上の人間関係が希薄化している今の時期においては、所属チーム内で従業員が上司と面談をする時間が非常に大切です。

コロナ禍によってテレワークを余儀なくされた従業員であれば、精神的に不安定になっている可能性がある為、オンラインによる上司との個別面談が必要不可欠であると言えます。

普段からチーム内で部下の仕事を管理している上司が、従業員との対面コミュニケーションを実施することで、孤独から来る疲労感や不安感が緩和されるケースも少なくありません。

従業員にとっては、人間関係の部分や自分の感情面についても相談できる場になる為、定期的なセルフケアにも繋がります。

まとめ

今回の記事では、フロア勤務とテレワークそれぞれの課題を洗い出して、新たな従業員ストレスや人間関係における課題があることを紹介しました。

そして、それぞれの課題に対して人事が把握すべき3つの課題を認識してもらい、コミュニケーションを主軸とした対策が重要であることを認識してもらえたと思います。

現代の働き方は、企業から従業員の状況がリアルタイムで把握しにくい環境にあり、従業員ストレスが以前にも増して見えにくくなっていると言えるでしょう。

こうした水面下で起こっている問題を放置すれば、企業が認識しないまま職場環境が悪化して離職率増加の原因にもなりかねません。

企業が変化を認識して、人事を中心として新たな社内ストレスへの対策を講じることが、今後の発展へと繋がるのではないでしょうか。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部

人事・採用担当者の悩みに寄り添うメディア「人事ZINE」の編集部です。 人事・採用に関する役に立つ情報や手法を発信します。 就活生の3人に1人が利用する新卒採用オファー型サイト「OfferBox(オファーボックス)」を提供する株式会社i-plugが運営しています。