パラレルキャリアの許可で起きがちなデメリットをメリットに変える3つの方法

「パラレルキャリアという言葉を最近よく聞くけど、どのようなものかわからない」
「パラレルキャリアによって従業員の生活の質の向上を図りたい」
「企業として副業の取り扱いをどうするべきか決めかねている」

人事担当者の中にはこのようなお悩みを持つ方もいるのではないのでしょうか。

コロナ禍において、働き方が見直されている今、副業の取り扱いを含めてあるべきキャリア形成の方法について、「パラレルキャリア」への知識を深めたい方もいると思います。

そこで今回は、最近注目されている新しいキャリアの形成方法「パラレルキャリア」に関して、個人のキャリアの可能性を広げるメリットと推進する企業側のメリットをあわせてご紹介いたします。

この記事をご参考に、「パラレルキャリア」導入を検討する一助となればと思います。

パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとは、経営学者P・Fドラッカーが提唱した概念です。「個人は1つの組織に依存して、1つの仕事を続けるだけではなく、別の第二のキャリア(「パラレルキャリア」)に時間と労力を費やすべきだ」というもの。

1つの組織や仕事に執着しない新しいタイプのキャリア形成の方法になります。始めるきっかけは、趣味の延長や起業の準備、NPO、ボランティア活動などさまざまです。

パラレルキャリアと副業の違い

パラレルキャリアと副業の違いは、副業が金銭的な報酬を目的としているのに対して、パラレルキャリアは、初めから金銭的な報酬を目的としていない点です。

当初は趣味の延長などから気軽に行っていた活動が、徐々に活動の幅を広げていき、スキルアップや夢の実現、社会貢献活動の目的にまで発展します。さらに、報酬も得られるようになっていく活動がパラレルキャリアです。

また、パラレルキャリアはビジネスに限定せず、将来の自分に向けた大きな投資が目的であるという点で「副業」とは異なります。

多くの女性がパラレルキャリアを望んでいる

企業で働いている女性297人を対象にリビングくらしHOW研究所が行った調査によれば、70%の女性が「パラレルキャリアに興味がある」と回答しているほどです。

※出典:サンケイリビング新聞社 リビングくらしHOW研究所 「働く女性Real Vol.5 『パラレルキャリアについて』調査レポート」

さらに、興味はあるもののまだ動き出せていない人が約9割もいることから、パラレルキャリアは広く認識されていることがわかります。

現時点ではパラレルキャリアに興味はあっても、パラレルキャリアについての具体的な情報が不足していて、いつから始めるかわからないという人の数が約6割と大多数に及ぶことも事実ですが、今後、自分に合ったパラレルキャリアを見極めて、行動に移す女性が増えることが予想されます。

また、女性がパラレルキャリアを希望している主な理由としては、「結婚・出産などライフステージの変化により働く環境が変わっても、パラレルキャリアを通じて自己実現が可能になれば、自分が納得・満足した働き方ができるようになる」ことが挙げられます。

パラレルキャリアを推進する企業のメリットとデメリット

ここではパラレルキャリアを推進する企業側には、どのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。

パラレルワークの推進で得られる企業のメリット

パラレルワークとは、パラレルキャリアを前提とした活動のことです。パラレルワークを推進する企業が得られるメリットとして、「従業員がパラレルキャリアを通じて、自社の本業以外で身につけたスキルや経験で能力アップして、その能力を自社の本業にフィードバックしてくれる」ことが挙げられます。

また、従業員が自社の本業以外で能力がアップすれば、「従業員の育成コストの削減につながる」というメリットも。

さらに、パラレルキャリアを推奨することで、優秀な人材の離職を防止し、従業員のモチベーションをアップさせる効果も期待できます。

想像以上に企業にダメージがあるデメリット

パラレルキャリアを推進する企業におけるデメリットは、次の4つです。

  1. 本業に支障をきたすリスクがある
  2. 人材流出のリスクがある
  3. 本業に身が入らず本業のチームワークを乱すリスクがある
  4. 本業の情報を漏洩するリスクがある

上記のように、パラレルワーカーの従業員が本業以外のパラレルワークに注力してしまい、本業に身が入らないこともあります。また、本業に支障をきたすだけでなく、本業以外で出会った仕事や人々に影響を受け、本業を離職する可能性も出てくるでしょう。

その結果、該当する従業員の気持ちや態度が他の従業員にも悪影響を及ぼし、本業のチームワークを乱す場合もあります。

さらに、本業に身が入らなければ、本業の情報を漏洩されてしまう可能性すら否定できません。

パラレルワーカーのメリットとデメリット

パラレルキャリアを前提として、パラレルワークをする従業員側(パラレルワーカー)にもメリット・デメリットがあります。

ここでは、パラレルワークで得られるメリット、起きる可能性のあるデメリットについて、解説していきます。

パラレルワークで得られるメリット

パラレルワーカーがパラレルワークで得られるメリットは、次の4つです。

  1. 空いた時間を有効活用することで、現在の生活を変えずに新たな生きがいや収入につなげられること
  2. 多様性に触れ視野が広がり、本業にも活かせること
  3. 営利目的でないことから、長期的視野で自分の価値観やスキルアップを優先させられること
  4. 求められているという責任感を感じられたり、本業のストレスを分散させたりする効果が期待できること

パラレルワークで起きる可能性のあるデメリット

パラレルワークは本業と同時に他の活動も行うので、自己管理能力が不可欠です。自己管理能力がなければ、以下のデメリットが起きる可能性があります。

  1. 本業以外の活動に力を入れるあまり、本業へのモチベーションがダウンする
  2. 体調を崩すなど、本業に支障をきたしてしまう
  3. 本業以外の活動に必要以上にお金がかかり、金銭的負担が大きくなる

起きがちなデメリットをメリットに変える3つの方法

パラレルキャリアを推進する企業側とパラレルキャリアを実行していく従業員側には、メリットだけでなくデメリットがあります。

ここでは、起きる可能性のあるデメリットをメリットに変える3つの方法をご紹介します。

きめ細かいルール作成と面談でトラブルを防ぐ

本業へ支障をきたすリスクに対しては、以下の対策が考えられます。

  • 就業規則を見直し、パラレルワークにともなう許容範囲(時間やワーク内容など)を示すことで、従業員に対して周知徹底を図る
  • パラレルワークを希望する従業員との面談で、本業に支障をきたさないかを就業規則にのっとり上司が判断する
  • 「本業に支障をきたすとは、どういうことか」について明示し、さらに都度面談を行うなどにより希望者の理解、認識を深める

また、情報漏洩のリスクに対しては、情報漏洩に関する内容を就業規則に盛り込んだり、必要であれば誓約書に同意してもらったり、さらには漏洩を禁止する情報の内容(範囲)などを明示してパラレルワーカーの認識を強化したりする対策が有効です。

経験が活かせる場の提供

パラレルワークを認めることで、社員のモチベーションが向上し、社員のスキルアップによる本業への還元や収入源の複数確保など企業側にもメリットがあります。

そこで優秀人材の離職リスクに対して、以下のような対策の必要性が考えられます。

  • パラレルワーカーと上司や人事担当者で十分にコミュニケーションをとり、パラレルワークによる経験を本業で活かせる機会を模索して、社員のモチベーション向上を図る。


それにより、従業員は仕事の効率化や個人の生きがいを本業に活かせるメリットと企業側のメリットの実現でwin-winの関係になれる。

  • 本業の業務がパラレルワークと関係ない場合にも、関連するレクレーショ
    ンを設ける。
  • 本業の業績や社内の活性化にパラレルワークの効果が表れるようであれば、給与に反映するなど、待遇を制度化することを検討する。

この制度の狙いは、パラレルワーカーにとって、ただ単に本業の業績が向上したから評価されたということではなく、「この会社は、パラレルワークに関連した業務で本業に対して実績を出せた場合に評価してくれるのだ」ということを強く認識してもらうことです。これにより、パラレルワーカーのモチベーションもアップし、より本業に対する帰属意識や貢献意欲が沸き上がる効果を狙う目的で行います。

円滑なコミュニケーションが鍵

パラレルワーカーと企業と両方がwin-winの関係になれるパラレルキャリアにおいて、全体的なデメリットに対する対策として、以下のようなパラレルワーカーとの円滑なコミュニケーションが特に大切です。

  • パラレルワーカーが社内で孤立しないよう上司が注意をはらい、コミュニケーションをとる
  • パラレルワークの内容やパラレルワークの経験を本業にどのように活かせるのかなどについてコミュニケーションを図ることで、従業員の意識向上につなげる
  • パラレルワーカーが相談や報告をしやすい雰囲気を上司が作り出すことで、企業がパラレルキャリアを推進している姿勢を従業員に伝わるようにする

まとめ:多用性へ柔軟に対応する企業が優秀人材を確保する時代

この記事では、パラレルキャリアやパラレルワークの概要、パラレルキャリアを導入することで企業や従業員に起こるメリット・デメリットについて、ご紹介しました。

昨今では、キャリアに関する多様性に柔軟に対応する企業が優秀人材を確保できる時代になりました。パラレルキャリアを上手く取り入れることで、従業員の生活の質を向上させて、キャリアの可能性を広げます。それにより、企業も優秀な人材からの生産力を獲得できるなどのメリットがみこめます。

パラレルキャリアのメリット・デメリットを理解した上で、パラレルキャリアの推進を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部