新卒採用の採用動画の主な種類・費用相場と期待効果・活用事例を紹介
新卒採用において、学生への訴求方法として「採用動画」を活用する企業が増えています。
自社でも検討しているものの、動画制作の経験がなく「何から着手すればよいのか」「どのくらいコストが必要か」「本当に効果があるのか」といった疑問を持っている採用担当者も多いのではないでしょうか。
- 採用動画は自社ブランディングにつながる
- コストが高そう
- 制作期間にどれくらいかかるの?
など、採用動画について気になることは多々あるかと思います。
本記事では、採用動画の基本を整理するとともに、費用相場や具体的な活用場面、企業事例などを紹介します。
また、Z世代の特徴を踏まえたSNS運用戦略に関する資料もご用意しました。Z世代に訴求できるSNSの運用方法の参考になれば幸いです。
目次
採用動画とは?主な種類や費用
新卒採用において、採用動画は、まだ社会人としての就労経験がない学生が企業のイメージを膨らませ企業理解をより深めるのに役立つ手段です。ここでは採用動画の基本的なポイントとして、採用動画の基本や主な種類、トレンドや費用の相場について紹介します。
採用動画とは
採用動画とは、自社の事業内容や職場の魅力を動画化し、学生に自社の理解を深めてもらうためのコンテンツです。社員のリアルな声やオフィス内の普段の様子、経営者からのメッセージなど、テキストでは伝わりにくい自社の魅力や社内の雰囲気を視覚的に伝えられるため、学生の企業イメージを具体化したり志望度を高めたりする効果が期待できます。
作成した動画は自社の採用サイトやSNS、YouTubeなどの動画広告、企業説明会など、多くの場面で利用可能です。動画プラットフォームの普及により動画コンテンツに慣れ親しんでいる若者が増えたことから、採用動画を取り入れる企業が増えています。
採用動画の主な種類
採用動画は、学生に紹介したい内容によっていくつかの種類に分けられます。代表的な形式としては、以下が挙げられます。
企業紹介 | 企業の成り立ちや事業内容、経営理念など、企業の基本的な情報を伝える動画。採用動画として最もスタンダードであり、説明会で繰り返し活用すれば準備・運営の効率化を図れる。 |
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経営者メッセージ | 経営者が自社の経営理念やビジョン、今後の戦略を説明し、学生に対してどのような活躍を期待しているのかを伝える。企業の代表である経営者の人柄を知ってもらい、親近感を持ってもらう効果も期待できる。 |
社員インタビュー | 自社で働く社員や役員に、職種の魅力ややりがい、職場の雰囲気などを話してもらう。一緒に働く社員の顔が見えると、学生が安心感を抱きやすい。 |
仕事紹介 | 募集している職種の仕事内容や魅力、やりがいなどを説明する。同じ職種でも同業他社とどのような違いがあるのか説明すると、差別化につながる。 |
説明会・セミナー | 企業説明会やセミナーの様子を撮影して公開する。自社を訪問するのが難しい遠方の学生からの認知度を高められる可能性がある。 |
社員座談会 | 社員同士で自社のことや仕事で普段感じていることなどを語り合ってもらう。社内の普段の雰囲気や社員同士の関係性など、学生が知りたいリアルな情報を伝えられる。 |
採用動画でトレンドの内容・手法
さまざまな種類がある採用動画ですが、世間の流行や学生の志向に合わせて別の形の採用動画も登場しています。昨今は動画コンテンツを取り入れる企業が急激に増えたため、他社と差別化された動画を制作しないと学生の興味を引くのが難しいことから、趣向を凝らした動画が増えているのです。
特に、近年の採用動画のトレンドとして「インタラクティブ動画」と「ドキュメンタリー動画」の2つが挙げられます。
インタラクティブ動画 | 映像内に選択肢を表示し、視聴者のアクションを促す参加型の動画。視聴者の選択によってストーリーが変化したり、新しいシナリオが発生したりする。例えば、新人社員の1日を物語仕立てで描き、視聴者は社員の立場に立って最適な選択肢を検討する。ただ視聴するだけの動画と異なり双方向のコミュニケーションが実現するため、エンゲージメント向上などが期待できる。 |
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ドキュメンタリー動画 | 1人の社員に密着して1日を追うドキュメンタリー風の動画。社員の1日のスケジュールをテキストで紹介するよりも、台本や筋書きのないリアルな社員像を伝えられ、学生のイメージがより明確になる。また、オフィス内の様子や他の社員が働く姿も一緒に映り込むため、社内の雰囲気を伝えられる。 |
採用動画の制作費用の相場
採用動画を制作する費用は、 動画で紹介する内容や撮影期間、演出によって変動します。種類ごとのおおまかな相場は以下の通りです。
種類 | 金額目安 |
---|---|
企業紹介動画 | 30万〜100万円 |
メッセージ動画 | 30万〜50万円 |
社員インタビュー動画 | 30万〜50万円 |
職場動画 | 50万〜150万円 |
会社説明会動画 | 70万~150万円 |
ドキュメンタリー動画 | 200万円以上 |
基本的には撮影期間や編集にかかる時間が長くなるほど高額になります。例えば、インタビュー動画は数時間で撮影が終了するため比較的安価で制作でき、反対にドキュメンタリー動画は撮影が数日に渡ることもあり、編集にも時間がかかるため高額の費用がかかることが多いです。
また、インタラクティブ動画を制作する場合には、上記の費用に加えて10万~20万円程度のインタラクティブ構築費用がかかります。
採用動画が注目される背景
採用環境は学生優位の売り手市場
リクルートワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査」(2024年卒)によると、2024年卒の大卒求人倍率は1.71倍でした。2023年卒の1.58倍から0.13ポイント上昇してコロナ禍前の水準に戻っていることが伺え、依然として学生優位の「売り手市場」が続いています。
採用動画の期待できる効果や活用シーンを紹介しました。ここでは、なぜ採用動画が現在注目されているか、現在の採用環境を踏まえてもう一度整理します。
学生優位の採用環境では、就職活動における学生の動きが鈍くなる傾向があるといわれています。例えば、「エントリー数」の推移に注目してみましょう。
マイナビ「学生就職モニター調査3月」(2023年卒)によると、就職活動が本格的に始まる3年生の3月時点でのエントリー社数平均は11.2件で、これは2021年卒の14.5社よりも減少しています。企業優位の買い手市場の頃に比べると、学生優位の環境では「学生が企業を選ぶ」傾向が強まり、結果として母集団形成が難しくなっているのです。
現在の採用環境で企業が学生に選んでもらうため、学生の志向に合わせた訴求や他社との差別化の重要性が強まり、採用動画の需要も高まっています。
SNSなどデジタル媒体の活用の増加
昨今の学生は、就職活動における情報収集でTwitterやInstagramといったSNSを活用するのが当たり前となっています。加えて、YouTubeやTikTokといった動画プラットフォームを利用して企業が配信している動画を参考にするケースも増えているようです。
学生が普段から慣れ親しんでいるデジタル媒体を活用することで、学生との接触機会の創出が期待できます。
学生の興味・疑問への対応
「売り手市場」の採用環境においては「学生と向き合い、声を聞く」姿勢が重要です。
株式会社i-plugの調査によれば、学生の企業選びの基準として、上記の図のような結果になりました。そのなかでも「自分のやりたいことができるか」「社風」「成長できるか」といった、文字情報ではイメージしにくい項目が、学生が企業を選択するうえで重要な基準とされています。
このような非言語的な要素こそ、動画での訴求が向いています。仕事のリアルな流れや社内の雰囲気など、学生が本当に知りたがっている情報をそのまま届けられるのが採用動画の利点です。
印象に残り志望度を高めるコンテンツへの需要
また、採用動画を見た学生に関しては、企業志望度が上がる傾向も報告されています。
採用動画を見たことがある就活生は7割超。
「就職活動におけるスマートフォンの活用と採用動画視聴に関するアンケート調査」
(中略)
動画視聴により6割の就活生が志望度上昇、「動画があったほうが良い」と回答した就活生は7割を超える。
調査報告によると、採用動画を見たことがある就活生は7割以上とされ、さらに動画視聴することにより6割の就活生が志望度が上昇した結果になりました。
これらの定量データを踏まえて、以下のようにまとめます。
- 採用環境は学生優位であり、企業は学生から選ばれる工夫が必要。
- 企業は学生から選ばれるためには、学生と向き合い、学生を知る必要あり。
- 学生が企業を選択する上で重要な基準を見ると、文字情報などでは伝え辛い課題がある。
- 採用動画はその課題に対応する1つの手段であり、実際に学生の需要もあり志望度も上がる傾向あり。
新卒採用において採用動画で期待できる効果
採用動画で期待できる効果として「訴求の質の向上」が挙げられます。企業が伝えたいことが学生に正確に伝わると、学生の企業理解の促進につながります。
ここからは以下の4つの効果について順に紹介します。
- 言葉にしにくい情報を伝えられる
- 「分からない」不安を軽減できる
- 企業で働くイメージを具体的に持ってもらう
- 肯定的な印象を与える可能性がある
言葉にしにくい情報を伝えられる
採用動画で期待できる効果の1つ目に、言葉にしにくい情報を伝えられることが挙げられます。
理由はシンプルに、「動画」自体が情報量が多く、視覚的に分かりやすく表現できる手段であるからです。
例えば、一般的な新卒採用活動では、ナビに求人掲載、求人パンフレット、会社説明会で配布される登壇資料など、学生が行う企業理解手段として、言語化された情報 = 文字情報(ここでは画像情報も含む)を読み解くことが多いでしょう。
しかし、学生は同時期に様々な企業の文字情報を受け取りますが、文字情報だけではイメージできる分野が限定的で、印象に残らないこともあります(ド派手なインパクトが必要というわけではなく、採用したい学生の印象に残るという視点が大事です)。
その点、非言語情報 (= 動画)と組み合わせて魅力を伝えることによって、学生の理解を促進させることができ、文字情報ではわかり辛い、社内の雰囲気や実際の働き方など伝えられることが期待できるでしょう。
「分からない」不安を軽減できる
採用動画で期待できる効果の2つ目に、学生の「分からない」という不安を軽減できることが挙げられます。
理由は、実際の文字情報ではイメージし辛い、社内の雰囲気や社員の働く姿など、「実際の働くイメージ」を擦り合わせ、より企業理解を深めることができるからです。
例えば、社内環境紹介として、執務室エリアで社員の働いている姿やインタビューを動画にしたりすることもできます(特に執務室エリアでの動画は、実際の働く環境を理解する非言語の情報量が多いです。例えば、実際の現場にどんな人がいるか、PCはMACかWindowsといった業務環境を始め、観葉植物が置いてあったり冬には加湿器が稼働しているなど、詳細な点を含めて実際に働く「イメージ」の擦り合わせが一気に上がります)。
以上のことから、学生の「分からない」ことへの不安を軽減できることが期待できる効果として挙げられるでしょう。
自分が企業で働くイメージを具体的に持ってもらう
採用動画で期待できる効果の3つ目に、自分が企業で働くイメージを具体的に持ってもらうことが挙げられます。
理由は、採用したい学生に向けて動画発信することで、より企業と学生間のイメージの擦り合わせができるからです。
例えば、文字情報だけだと、どうしても学生の「自分と雰囲気が合っているか、よく分からない」といった状態が改善されにくいのです(社内の会社説明会、その中の座談会、短期長期問わずインターンなど、イメージを深める場はある一方で、その場に実際の社員がいないと成立しない課題もあります)。
採用動画の場合は、社員がいない場面でも深いレベルでイメージの共有を行うことができ、さらに分かりやすくかつターゲットを絞った伝え方(イメージの共有)することで、採用したい学生にアプローチでき、さらに選考などでもイメージの擦り合わせ不足から生じるミスマッチの対策にも活用できるでしょう。
以上のことから、自分が企業で働くイメージを具体的に持ってもらうことが期待できる効果として挙げられるでしょう。
肯定的な印象を与える可能性がある
新卒Aさん
多くはない気がします。
3つほど明確に覚えています!IT系大手ベンチャー企業が2社とスポーツ商社の3社です。
会社紹介のプレゼン資料代わりに使ってもらうのは非常に良いなと感じます。
新卒Bさん
説明会、ホームページの企業紹介で利用している企業は多く感じた。
アパレルブランドの会社が説明会で利用していた企業紹介動画。内容はともかくハイクオリティさ、煌びやかさ一点押しで視覚的に訴えかけるような効果があった。
短時間で企業について知るには丁度良いが、出先では携帯のギガ数を食うため見れる環境は限られます。企業説明会の内容をギュッと要点だけまとめたようなものだと分かりやすくて助かるかなと思います。
新卒Cさん
多かったです。
大手商社の動画はすごかったです。CMもやっている企業なんですが、CM同様打ち出し方が上手で、心に響きやすかったです。
ケースバイケースだと思います。説明会時の動画は賛成ですが、WEBサイトなどは見る気が起こりません。(時間的な問題と学生は特に通信量の問題)
新卒Dさん
東京の方では多かった印象です。というのも、大手企業と学生認知度の高い企業を中心に探していたので「会社紹介、社員紹介、ビジョン紹介」のいずれかの動画はあったと思います。一方、中国・四国の中小企業は動画を目にした覚えがありません。(動画がある=必ず見る、ではありません)
情報システム企業の動画です。障害者の生活をテクノロジーの力で変えていく、取り組みに気持ちが湧き上がったのを鮮明に覚えています。
活用して欲しいです!「スライドショー」や「ナレーションのみ」の動画など、会社の採用意欲やレベル感が伝わってくるので、会社選定しやすいです。何より会社の雰囲気が分かりやすいので。
上記の定性データから、採用動画については会社規模や地域性があるものの取り組んでいく企業は多い印象であり、活用シーンが適切であれば学生からの肯定的な反応がある印象です。
採用動画の主な活用場面
ここから、採用動画の活用シーンについて紹介します。
採用動画は採用したい人物像の学生に対して、自社の魅力をより伝えることができます。また、自社の魅力付けができることに加えて、採用課題ごとに動画を使うことで解決にも繋がります。
以降、採用課題が生じやすい採用活動シーンを「母集団形成」「選考・内定後」の2つに分けてそれぞれ紹介します。
母集団形成時の認知度向上促進
採用動画の活用シーンとして1つ目に、母集団形成時点が挙げられます。
認知度が低い企業の場合、自社の求人を学生に認知してもらうことが大きな課題となります。
認知してもらうためには、学生の「目にとまる」ことが重要です。目に止まるには、動画を見ることを前提とした長尺動画よりも、よりキャッチーでメッセージが凝縮された短尺の動画の方が、母集団形成時点では使用しやすいでしょう。
例えば、採用したい学生を想定して発信したPR動画が、それに該当する学生に共感を生み、結果的にリアクション(いいねや口コミなど反応)を通じて、それに似た属性の学生(採用したい人物像)へと拡散されることはあります。
ですので、母集団形成時点の活用シーンでは、じっくり企業情報を長尺で提供するよりも、PR動画などで短くテンポよく印象に残り、採用したい学生に採用活動をしていると認知してもらう動画選びが重要です。
選考・内定後の企業理解度アップ・関係性強化
採用動画の活用シーンとして2つ目に、選考・内定後が挙げられます。
学生は選考を進めていく中で、企業に関して様々な疑問や不安が生じることはよくあります。
また、内定後のオファー面談や、それ以降の内定者フォローで、せっかく今まで苦労して並走してきた学生に内定出しができたのに、学生の「漠然とした不安」などで辞退してしまうのは、採用担当者であれば誰しもが避けたい課題でしょう。
例えば、「社風がいいって言ってたけど、実際どんな感じだろう?オフィスに入ったこともないし、空間のイメージがわからない」などの疑問・不安もあれば、同じ社風でも、「社風がいいって言ってたけど、実際に働く人はどんな人だろ?普段の会話とか話している感じを知りたい」など、「社風が良い」を表現するためには文字情報だけでは難しく、口頭の説明でも不十分であることも。
そのため、学生の疑問や不安を軽減するためには、より1つのコンテンツに情報量が多い(学生の疑問や不安に応えられる)かつ、メッセージが一貫して、イメージ共有のブレが生じにくい動画が有効です。
その中でも例えば、インタビューや職場紹介動画なども織り交ぜて、会社の魅力を伝えることが重要でしょう。
文字情報や採用担当者や面接官を含む採用チームとコミュニケーションするだけでは、不十分である側面をカバーし、意識の擦り合わせが進みます。
ですので、選考・内定後では インタビューや職場紹介で疑問や不安を緩和してもらい、より企業理解を進めてもらう動画選びが重要です。
新卒採用で効果的な訴求をしている採用動画の事例
ここまで、新卒採用動画の期待される効果、注目される背景、活用シーンなど基本情報を整理しました。
ここからは、数ある新卒採用動画の中から人事ZINE編集部が独断で選んだ動画3つを紹介します。
クックパッド株式会社
クックパッドでは、社内での社員インタビュー動画を公開しています。クックパッドらしく料理の映像を交えながら、「チャレンジ」「ユーザー目線」「成長」「泥臭く」「やりがい」など、ベンチャーらしい意欲的な社員の声を取り上げています。
また、社内でインタビューしているため、実際に社員が働いている姿や社内設備などが伝わるのも特徴です。1人をピックアップするのではなく、数多くの社員にインタビューすることで、社内メンバーの多様性も伝えています。
YouTube動画を見る※YouTube動画が開きます
株式会社メルカリ
メルカリの採用サイトでは「メルカリの人々」というタイトルで、さまざまな角度から切り取ったインタビュー動画を掲載しています。個人インタビューだけでなく、チームごとのインタビューや人事トップを交えた対談動画なども公開されており、メルカリの掲げるビジョンや社員に求められるマインドが伝わる内容です。
また、全ての動画が英語対応されており、海外採用を見据えている企業体制も伺えます。
「メルカリの人々 」を見る※外部サイトにジャンプします
株式会社村田製作所
電子部品メーカーを製造する村田製作所では、採用ページに「動画でみるムラタ」というコーナーを設けています。人事担当者による会社紹介や若手社員による座談会など、事業理解だけでなく社内の雰囲気を伝える工夫が感じられます。
また、自社で製造したロボットによる「チアリーディング」動画も見物です。村田製作所の技術力だけでなく、楽しみながらロボット操作に臨む社員の姿を見せることで、社員同士の雰囲気も伝えています。
「動画でみるムラタ 」を見る※外部サイトにジャンプします
採用動画を作成する手順と魅力度を高めるポイント
ここでは、採用動画の企画〜導入までのおおまかな制作フローを紹介します。
採用動画で訴求したい人物像を明確化する
まずは採用動画の準備段階として、自社にとって採用したい人物像を設定しましょう。
理由としては、採用動画を制作する以前に、自社の事業課題を解決できる人物像として『誰に届けたいか』『どの人物にはどんなメッセージが響くか』を想定しておかないと、動画の内容や伝えたいことが定まりません。
例えば、「なんとなく……」「一般的に優秀で高学歴な……」「とりあえずたくさん……」など、自社の事業課題から直接的に抽出されたとは言い難い人物像を設定している場合、注意した方がいいかもしれません。
一般化された「優秀な学生」と少し距離を置き、少なくとも以下3点について自社で内省し、自社の課題解決できそうな「自社にとって優秀な学生」と言える人物像を設定する必要があるでしょう。
- 自社の事業戦略における課題は?(理想と現実のギャップは?)
- 採用を通じて事業と組織に与えたい影響は?
- そのために必要な要因と、それらを含む採用したい人物像は?
採用動画の準備段階として、自社にとって採用したい人物像を設定しましょう。
採用動画の目的を設定する
採用したい人物像の設定ができれば、次は採用動画の目的を設定しましょう。採用動画を通じて、どんなことを成し遂げたいのかを考えることが大切です。
一例として、以下があります。
- 「母集団形成が上手くできていない」→PR動画で認知度アップ!
- 「自社の魅力を明確に伝えれていない」→採用シーンに応じて会社紹介動画などで理解度アップ!
- 「入社後のミスマッチの課題がある」→インタビュー動画などで理解度アップ!
また、会社説明会や採用サイトなど、採用動画を使用する場面を考えて、公開時期に間に合うよう早めに計画を立てましょう。
採用動画のコンテンツを設計する
目的が定まったら、具体的にどのような内容の動画を制作するのか、コンテンツ設計を行います。目的に応じて最適な採用動画の形式を検討し、そこから深掘りしてターゲットの志向に沿った内容を設計しましょう。
例えば、企業カルチャーや社内の雰囲気、社員の人柄を伝えたいのであれば「オフィス紹介」形式の動画がおすすめです。自社の価値観や理念、風土などを視覚的に表現でき、学生の理解が深まります。他にも「社員インタビュー」を通して社員の働き方やチームの雰囲気など、日常のリアルな様子を伝えるのも効果的です。
また、自社の伝えたい情報ばかりを強調するのではなく、ターゲット学生が欲している情報を想像することが大切です。ターゲットの志向性やキャリア観を考慮しながら、ターゲットにとって強い訴求となる自社の特色や魅力はどこなのかを検討し、コンテンツに盛り込みましょう。
採用動画を制作・公開する
採用動画の目的が設定できれば、次は採用動画を制作して、公開しましょう。
採用動画を制作する方法として、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 社内で制作する方法
- 動画制作会社に依頼する方法
社内で制作する場合
社内で制作する場合は、動画制作経験者がいれば動画制作ツール(Adobe Premiere Pro やAfter Effectsなど)を使って制作できます。未経験者しかいなければ、MACユーザーなら比較的操作しやすいi movieなどの無料ツールでも作成できます。
留意点としては、動画未経験者の制作となればツールがあっても、クオリティを担保することが非常に難しいです。クオリティの高さを求めるならば、社内制作は避けた方が良いでしょう。
しかし、採用動画の狙いとして「加工されていないアットホームな感じ」で訴求したいのであれば、スマホで撮影したデータを編集するなどできるでしょう。公開場所も含めて動画自体の使い所は限定的になるかもしれませんが(YouTubeでの公開設定を限定公開にするなど)、社内制作でもアイデア次第で小さく始めることができます。
動画制作会社に依頼する場合
制作会社に依頼する場合は、制作会社やクオリティの幅によって、費用が大きく変わります(数十万円〜百万円以上かかることも)。
採用動画のディレクションを含めて企画からどれだけ自社が関わるか、動画素材をどの程度自社で賄うかも、クオリティや費用に大きく関わってきます。
採用動画のクオリティとして、自社で制作するよりもプロの仕事として「(良い意味で)よくある採用動画として、きちんと形式にのっとって作られている感」はあります。また、PRなどある程度インパクトが必要で、まとまったクオリティが必要なのであれば、制作会社に依頼する方が良いでしょう。
まとめ
本記事では新卒採用における採用動画の基本的なポイントを整理した上で、数ある採用動画のなかから効果的な訴求に取り組んでいる例を紹介し、最後におおまかな動画制作のフローを紹介しました。
学生は採用動画コンテンツに肯定的な反応を示している一方で、未導入の採用担当者の方からすれば、採用動画は未踏のチャレンジと感じることもあるでしょう。
もし採用動画を実践する場合、まずは採用課題を振り返ってみて、目的・目標を定めてから、小さい規模で採用動画にチャレンジして、効果をみてはいかがでしょうか。
「本当に自社の採用課題にとって採用動画が必要か?」の問いを深めて、自社でより具体的な検討をしていきましょう。